殲-31の位置付けは

 中国のこうした記事には時々内容と合わないキャッチ-なタイトルで目を引いて読ませようとするものがあるようで、この記事もいきなりタイトルで「殲-31は存在しない」とかましていますが、現時点で軍の正式名称となっていないというだけのことです。

http://military.china.com/important/11132797/20130329/17753270.html


軍科院の専門家、真相を明らかに 「殲ー31」は存在しない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ウクライナの専門家はすでに殲ー31などのためにセットされるエンジンの研究開発を開始しており、この機が将来広い国際市場向けに輸出されるための先行しての準備を整えている。」)

2009年の新中国成立60周年閲兵式で一部新装備の「整然たるデビュー」が始まり、我々はほとんど毎年2、3件の新型武器装備の「鮮烈な登場」を見ている。例えば直ー10、殲ー15、殲ー20、運ー20などである。去年初めてその抜きん出た姿を見せた殲ー31(軍による命名ではなく、ひとまずにこう呼ばれている)もこうしたスター装備の一員であることは全く疑いない。この機はひとたび姿を現すや、すぐに各方面の関心と熱い議論を引き起こした。

しかし、ただ単に殲ー31の形状、重量を根拠にしてすぐにこの機が殲ー20と「ハイ・ローミックス」されるのだと断定したり、あるいはただ単にこの機がダブル前輪の降着装置を採用しているからといってすぐにこの機が「空母艦載機」になるかもしれないと判定するのは、いずれも明らかに専門性が足りない。

中国航空工業はすでに「構想1世代、事前研究1世代、試作1世代、生産1世代」の技術的実力を備えている。

2011年より前、殲ー31に言及する人は少なかった。当時、殲ー20が関心を集めている時、イギリスの「週刊ジェーン安全保障業務」は、中国はさらに「F-35Aに似た」第4世代戦闘機を沈陽飛行機社で製造中であると報道した。この刊行物は、この機の先進さの程度はF-35Aに肉薄し、2012年9月に試験飛行すると予測した。ここに至り、この新戦闘機はやっと広範な注意を引きつけ始めたのである。

2012年の端午の節句、あるネット仲間が高速道路上で自動車の上に置かれて輸送される1機の「飛行機」を撮影した。写真の中でこの機はぴっちりと包まれており、ある人はこれこそ「週刊ジェーン安全保障業務」が言及した新型機かもしれないと大胆に推測した。この機をどんな名で呼ぶかに関して皆は一致しなかった。何故ならそれまでに国防工業部門も軍の科研管理部門も言及していなかったからである。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「アメリカ軍のF-22ステルス戦闘機を見よ。この機はアメリカ軍の作戦体系の中でF-35と異なる作戦上の価値を持つ。もはやすでに伝統的な『ハイ・ローミックス』という考え方では取り扱えないのである。」です。)

国内外メディアと多くのネット仲間がこの神秘の飛行機に対する命名レースを展開し、あるネット仲間が撮影された時間を根拠にこの機をふざけて「ちまき機」と称した。

2012年10月31日、ある人がナンバー31001の新型戦闘機が試験飛行しているのを撮影し、一部の軍事マニアはその外形を根拠に、直ちにこれこそ中国が開発中の第2の第4世代ステルス戦闘機であると判断し、そのナンバーが31001で、さらにその垂直尾翼に眼光炯々たる翼を広げたファルコンイーグルが描かれていたため、直ちにネット仲間たちによって「殲ー31」、「J-31」、あるいは「ファルコンイーグル」と命名された。

実際には現在に至るまで沈陽飛行機社も軍の科研担当部門も、この機をこのように名付けてはいない。だが便宜的にしばらくの間こう呼ぶことにも何ら不適切さはない。

ある情報が、この機は中国航空工業集団総会社によって組織され、沈陽飛行機社の自己資金で研究開発されたもので、目的は第2の第4世代機として殲ー20と競争を行う、あるいはハイ・ローミックスを形成する、あるいは某型空母のために準備された競争性の機種であるとしているとしていることに関しては、我々には評論すべきものがない。

だが肯定できるのは、この第4世代ステルス戦闘機の出現がすでに、中国航空工業が「構想1世代、事前研究1世代、試作1世代、生産1世代」の技術的実力をすでに具備し、複数会社のそれぞれ持つメリットの競争という局面も基本的に形成されている、ということを証明するに足りる、ということだ。

殲ー31の調達が、汎用プラットフォームを基礎とし、もって異なる任務の必要性に方向付けするものだ、ということは必定である。

現有の報道によれば、殲ー31は単座、双発、双垂直尾翼の通常レイアウトの飛行機である。細長い機体、大きなストレーキ、台形の上翼単葉、前後のフラップ、大角度で外側に傾いた双垂直尾翼、全体が動く尾翼などの空力外形と構造レイアウトから見て、その設計は超音速巡航、中、低空での機動性、短距離離着陸などの性能に重点を置いている。機全体に複合材料が採用され、エンテ翼はなく、弾薬コンパートメントが内蔵されている、そして若干の総合航空電子情報システムの外部に配置されたアンテナや作動カバーの設置など技術的ディテールから見て、その目標は第4世代機が普遍的に追求するステルス攻防、体系作戦などの基本特性に照準が合わせられている。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「Fー35はアメリカ海軍、空軍、海兵隊など多くの軍種の現役の多くの実戦機に取って代わり、正真正銘の多用途戦闘機となり、より高い技術レベルにおける全面的進歩であって、絶対に低ランク戦闘機ではない。殲ー31に比べてもこの機には非常に大きな差異がある。」です。)

空中作戦武器プラットフォームとしてはそのサイズは比較的小さく、これにより機載武器は中距離能動迎撃と対輻射武器がメインである可能性があると判断できる。もし空中格闘弾薬や対地(対艦)正確打撃弾薬を装備すれば空中格闘、空中迎撃、空中偵察、空中援護、対地(対艦)打撃などの総合的任務が執行でき、ロジックに符合するはずである。

だが注意が必要なのは、今後の武器装備はもはや孤立したプラットフォームとして、あるいは某1種類の特定のプラットフォームに適する武器として開発されることは有り得ない、ということだ。何故なら、軍は情報化という条件下で多様化された軍事的任務を完成させるため、武器装備個体の技術戦術性能が優良であることを要求するだけでなく、さらにそれが汎用化、体系化され得、しかも全体作戦体系の中に溶け込む必要があり、もって研究開発、生産、作戦使用のバランスある効果、利益を求めることをも要求するからだ。殲ー31も当然この基本路線を避けることはできない。

現在、軍はまだ明確に殲ー31を調達するか否か表明していない。だが殲ー31の調達が、汎用プラットフォームを基礎とし、もって異なる任務の必要性に方向付けし、軍の作戦体系に溶け込めることを保証すると同時に、「1つの基本プラットフォーム+多種の変形プラットフォーム+多種の搭載方式」の模式に照らして発展変化するものになることは必定であると信じられる。もし殲ー31がこのような路線に沿って行くことができれば、この機は全体軍事装備体系の中で独特かつ有力な地位を占めることになる、と信じられる。

このため、いくつかの表面的情報を根拠にすぐこの機の未来の「地位」、「作用」を断定するのは恐らく時期尚早である。特にただ単にその形状と重量を根拠にすぐこの機を殲ー20との「ハイ・ローミックス」だと事前に位置付けてしまう、甚だしきに至ってはこの機が殲ー20の「簡略化バージョン」として対外的に輸出されると推測するというのは、恐らく全て想像に過ぎない。

中国はすでに「ある武器で戦う」という受動的局面を基本的に脱し、「相手に合わせた武器を作り出す」という能動的局面を形成しつつある。

工業部門の武器装備研究開発は軍隊の作戦使用に供するのであり、軍隊の武器調達は戦場において敵を打撃するのに用いるのである。どんな敵を打撃するのであろうと、目標は全て勝つことである。だが現代の戦争条件の下では誰を打撃し、どんな場所で打撃し、どんな状況下で打撃し、どんな武器を使って打撃するかは、全て研究の余地が大いにある。この中には戦略、戦術の問題もあれば、「建設の効果と利益」と「作戦の効果と利益」の総合的バランスという問題もある。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「ネットで描かれている殲-31艦載型の構想図。皆の考え方と出発点は良い。」です。)

単に目標、企図とコストパフォーマンスから位置付けられたバランスから見れば、「牛刀を用いて鶏を殺す」、および「鶏刀を用いて牛を殺す」はいずれも戦術、効果、利益にかなったあり方ではない。F-22が部隊に装備され、かつ作戦能力を形成した後、アメリカ軍はまだイラクとアフガニスタンの戦場の残された事態を収拾中であり、至る所でアメリカ兵は各種各様の待ち伏せ攻撃、襲撃に遭い、苦しい目に遭うことが少なくないが、F-22は1度もこのような戦場に派遣されたことはない。

イラク、アフガニスタンの戦争の初期を振り返ると、あの時アメリカ軍の各種通常兵器はほとんど全て戦場で使われ、「百花繚乱」そのものに見えた。彼らはこのように強をもって弱を踏みにじり、金を惜しまず、まるで牛刀を用いて鶏を殺すようであり、実際に勘定してみればアメリカ軍は絶対の優勢をもって「その志を奪い」、「その勢いを破り」、「先んずれば人を制す」、「先手必勝」の主導的局面を達成し、これと同時にいくつかの新型武器装備の性能の検証も戦場において達成された。これこそ学び所である。

現在世界の大国に関して言えば直面する脅威はそれぞれ異なり、脅威の程度にも大小があり、相応に対応、準備も単一では有り得ない。もし双方が体系的対抗を展開すれば、その体系の次元、要素、規模などを区分し、方向性を持った対抗を実施する必要がある。使うべきものを使わなければ弱勢体系VS強勢体系の局面が形成され、使うべきでないものを使えば、もしそれが戦略武器なら「秘して言わず」の有るべき形が破れ、もし戦術武器なら「鶏を殺すにも牛刀を用いる」になってしまう。常に原則は当然、強をもって強に対し、強をもって弱を撃ち、強弱が相互に助け合い、適した質、適した量、である。

また、もし「ハイ・ローミックス」の方式で作戦を組織すれば(特に強敵、難敵に対する作戦)、「ハイ」の武器がまず「ロー」の武器のために特定の戦場と使用の条件を切り開くことが必須となる。さもないと、ほとんど「透明」な戦場で、容易に強者が逆に弱者によって受け身の立場に引きずり込まれる。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「殲ー31は殲ー20の後に登場し、同時に2つの戦闘機の寸法、サイズには差異があり、非常に容易に皆に第3世代機時代の『ハイ・ローミックス』という位置付けを連想させる。だがこれは非常に大きな程度上両機の位置付けには決して符合せず、それらはあるいは相互補完かもしれないが、激しく競争する可能性もある。」です。)

アメリカの現役機は、何度呼んでも出てき難いF-35も含めて現在までまだF-22と「ハイ・ローミックス」を形成していない。現在までF-22は依然「孤独な幽霊」であり、アメリカ軍がF-22に付与する任務は依然独立して「目のえぐり抜き」(敵サイドの防空網の中の遠距離レーダーや早期警戒機を片付ける)、「頭への一撃」(敵サイドの高価値戦略目標あるいは指揮機構の打撃)を完成させることなどである。

このため、漠然と「ハイ・ローミックス」を語るのは非科学的であり、専門的ではなく、不正確である。殲ー31の未来の位置付けと発展をこのように語るのも同じである。もし将来殲ー31が調達計画に入れられれば、この機がいかに配備され、いかに編成され、いかに使用されるかは、恐らく「乞うご期待」でしか有り得ない。

また、殲ー31が取得した技術的進歩から見て、少なくとも次のように言える。我が国の航空工業はすでに高度な新技術の「模索期」から「集成期」に発展しており、しかもこれらは自主的知的財産権を持った高度新技術であり、どの方向に向かって、どの製品に集成されようともそのサイクルは全て非常に大きく短縮され、そのレベルは全て大きく向上することになる。

我が国の殲ー10機研究開発は機種のプロジェクト立ち上げから生産定型まで、用いた時間は20年余りに達した。だが殲ー10から殲ー15、殲ー20、殲ー31などまでに用いた時間はいずれも10年に満たない。この中には、概念型事前研究、バーチャル化設計、全景式推論演繹、および集成、設計、加工、生産、試験、試験飛行などの方面を含む技術の難関突破があり、立てられたのはトップの功績である。当然、空力、推進動力、原材料などの基礎科学やレーダー、データリンクなどのセット化された電子情報装備方面の理論的累積も基礎を固める作用を果たした。

このため、中国はすでに「ある技術で武器を作る」、「ある武器で戦う」という受動的局面を脱し、「どんな戦いをするかによって武器を作る」能動的局面を形成中なのである。

これに基づき、より多くの殲ー31に似た現代の高度科学技術の成果も包含するし、中国の独特の特色も備えた新型武器装備が不断に期待できることも必定である! (軍事科学院 王長勤 劉争元 馬岩俊)

(頑住吉注:6ページ目)殲ー31は国内工場が自ら行った研究開発の成果であり、その総合的技術力の全面的向上の結果である。このことは将来行われる高いレベルでの競争に対し非常に有力である。

(頑住吉注:7ページ目)殲ー31が空母上に降着する想像図。外国メディアは殲ー31がダブルタイヤの降着架を採用していることを根拠に先行してこの機が艦載機になると推測しており、やや独断的である。殲ー31は実際の需要を根拠にして「オーダーメイド」できる機として、真面目に努力すれば広い前途の見通しがある。

(頑住吉注:8ページ目)アメリカがオランダ空軍に引き渡した初のFー35戦闘機。将来の第4世代先進戦闘機拡散局面はすでに形成されている。


 キャッチ-な内容の割に内容薄かったです。と言うか内容薄いからこそキャッチ-なタイトルが必要だと思ったんでしょうか。もったいぶった記述が多いですが新しい内容はほとんどないですね。ハイ・ローミックスに関しても、別にF-16はF-15と全く同じ役割を持った低ランク戦闘機じゃありませんし。














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