中国版「バイソン」巨大ホバークラフト

 優先順位の関係で少し古い記事ですが。

http://military.china.com/important/11132797/20151111/20728999.html


解放軍の2隻の国産バイソン艦が同時に姿を現す すでに81軍旗を塗装

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「2隻の国産バイソン艦が同時に姿を現す すでに81軍旗を塗装」)

最近中国海軍が装備する「バイソン」大型ホバークラフトにまた新たな情報があった。ネット仲間が国内の某造船工場内に停泊する2隻の「バイソン」を撮影し、その巨大な体躯が特に壮観なことが目立つ。船体の八一軍旗の塗装は非常に人の注目を引き、視覚の誤差のため、2隻の「バイソン」は見たところ1隻は大きく1隻は小さい。

「ヨーロッパバイソン」ホバークラフトは世界最大のホバークラフト上陸船舶で、満載排水量は555トンである。設計当初、その寸法が当時のドック上陸艦や強襲揚陸艦の収容能力よりはるかに大きく、いかなる母艦によっても搭載できず、完全に自身の航続力に頼るため、ソ連海軍はそれを直接「上陸艦」に区分した。2015年7月10日、中国海軍の半潜水船868艦が正式に就役し、バイソンホバークラフトの搭載輸送母船となった。

深く解読:中国のバイソンホバークラフトの上陸戦に対する意義

ホバークラフトは完全クッション上昇式と一部クッション上昇式に分けることができ、ウクライナから購入した「バイソン」ホバークラフト上陸艇は現在世界最大の完全クッション上昇式ホバークラフト上陸艇と考えられている。周囲に柔軟性のあるゴムスカートを設置して空気を閉じこめ、艇体を圧縮空気の作用の下に浮き上がらせ、水面との接触から離脱させることができる。一部クッション上昇式ホバークラフトは側壁式ホバークラフトとも言い、両側に剛性の側壁を設置し、艦首と艦尾は柔軟性あるゴムスカートで、もって空気の逃げを減少させ、揚力ファンを利用して船底に空気を充填し、プロペラあるいはウォータージェットによって推進して前進し、この点は完全上昇式ホバークラフトと異なる。側壁式のメリットは空気の流失が比較的少なく、出力の損失も小さく、スカートの使用寿命が比較的長いことである。ソ連が1985年に建造した側壁式ホバークラフト「シーライオン」号はまさに1つの典型的な例である。

「バイソン」ホバークラフト上陸艇設計の原型はソ連が1980年代に設計建造した1232.2型「Zubr」、NATOのコードネーム「ヨーロッパバイソン」で、サンクトペテルブルグに位置するアルマズ造船工場とウクライナのクリミア半島の大海造船工場によって建造が担当された。1982年、第1隻目の「ヨーロッパバイソン」の建造が開始され、3年後に完成し、初航海で暴露された多くの問題は第二次改良の中で解決が得られ、1986年再度試験航海が行われ、2年後国家の検査の上での受領をパスした。「バイソン」ホバークラフト上陸艇の設計と建造はソ連解体の10年前に始まり、これはソ連末期の数多くない「怪物装備」でもあり、5台のガスタービンエンジンによって3台のファンを駆動し、別の2台が下向きに風を送ることを担当し、もってエアクッションを形成した。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「『バイソン』大型ホバークラフト」で、以下のページのキャプションは全てこれと同じです。)

「バイソン」は全長が57mに達し、全幅は22mに達し(アメリカ海軍の満載排水量9,000トンを超える「アーレイ・バーク」級ミサイル駆逐艦の全幅でも20.4mしかない)、幅が広く大きい艦体は「バイソン」に巨大な内部空間と甲板面積を賦与し、最大運搬搭載能力は130トンを超え、典型的な配置は3両の40トン級メインバトルタンクあるいは8両の制式BMP2歩兵戦闘車で、もし全部人員の輸送に用いたら、一個大隊規模の部隊を500km離れた島礁上に送り込むことができ、最大航行速度は60ノットを超え、4級の海の状況に適合し、全艇は良好なABC打撃防御能力を持つ。武備方面では、「バイソン」ホバークラフト上陸艇は主に前甲板に位置する2基の6本バレルAK-630近接防御砲と22本バレルロケット砲を使用して対地および対艦火力カバーを実現し、この他さらに携帯式対空ミサイルを装備し、もって低空飛行する空中目標に対応する。前甲板位置には防護装甲が取り付けられ、分隊用機関銃あるいは榴弾の破片を防御できる。

「バイソン」上陸艇はソ連海軍の兵力投入能力を極めて大きく向上させ、部隊を輸送して水陸両用上陸作戦が行えるだけでなく、さらに掃海、パトロールなどの任務も執行できるが、水陸両用上陸作戦が依然その主要な作戦の方向で、これはホバークラフト上陸艇が優勢を発揮できる場所でもある。ソ連が公開の場で初めて1232.1「コウノトリ」級大型ホバークラフト上陸艇を展示した時にはNATOの極めて大きな関心を引き起こした。その最大排水量は320トンを超え、50ノットの航行速度で70トンを超える作戦装備が搭載輸送でき、典型的な上陸配置は2両のT-62型メインバトルタンクで、戦車は115mmスムーズボア砲を装備し、成形炸薬弾、徹甲弾などが発射でき、浜辺への上陸作戦の中で比較的強い火力支援を提供することができた。もう1種の配置は4両のPT-76水陸両用戦車で、浜辺の堅固な陣地攻略作戦の主力とすることができ、この戦車は我が国の63式戦車の設計の原型の1つでもある。「コウノトリ」式大型ホバークラフト上陸艇はヨーロッパ諸国の岸の防御を有名無実化し、ミルー8ヘリとコンビネーションして新たな立体上陸模式を構成し、後のホバークラフト上陸艇の発展のためにサインポストを樹立した。

ホバークラフト上陸艇の原理と設計は最も早くはイギリスとソ連にルーツがあり、この2つの国はホバークラフト研究開発の始祖である。1920、30年代には早くも、ソ連の科学者チャオルフスキー、リエフコフが初期のホバークラフト技術の研究成果を発表し、一方イギリス人は1950年代に初のホバークラフトを研究開発し、かつ成功裏にイギリス海峡横断の航行を行い、費やされた時間は2時間で、これは当時の海上輸送にとって非常に大きな有利で良い情報だった。ホバークラフトの原理は伝統的な排水船と差異があり、ファンの気流を船底に送り込み、船体と水面の間にエアクッションを形成し、一方周囲のスカートはエアクッションを閉じこめ、ファンによってホバークラフトの前進を推し動かす。抵抗の減少はホバークラフトの航行速度が極めて大きな向上を獲得することを意味しており、初期のホバークラフトの航行速度はすでに50ノットを超え、「バイソン」ホバークラフト上陸艇の航行速度は60ノット以上に到達し、このことは上陸作戦に対し非常に重要な意義がある。航行速度の優勢の他、ホバークラフトにはさらに一定の障害突破能力があり、艇体がエアクッションによって持ち上げられており、池沼、浅い水、河口など特殊な地形を行くことができ、任務のカバー面を延伸した。「バイソン」を例にすると、それは高さ1.6mの障害あるいは水墻(頑住吉注:ごく小さな滝みたいな水の段差のことのようです)を越えることができる。ホバークラフトの特徴はそれを浜辺への上陸、島奪取作戦に非常に適したものにし、特にああいった埠頭のない、暗礁があまねく分布した島嶼地域では、完全上昇ホバークラフトはほとんど障害なくスムーズに航行でき、甚だしきに至っては機雷敷設区でさえその自由な通過を阻止できない。ずば抜けた航行適性は全世界の70%を超える上陸場で水平上陸が行えるようにさせ、極めて大きく上陸作戦の戦術応用を開拓展開し、これにより各国海軍の重視を受けている。

(頑住吉注:これより3ページ目。)

現在世界で最も重要な2種のホバークラフト上陸艇にはソ連・ロシアの「バイソン」と米軍の水平上陸の主力LCACホバークラフト上陸艇が挙げられる。「バイソン」は「大きい」の特徴が突出し、ソ連・ロシアのホバークラフト上陸艇発展の最重要の成果である。1960年代に始まり、ソ連はもう完全上昇ホバークラフトの研究開発を開始した。米軍の「海から陸へ」の作戦思想と異なるのは、ソ連の上陸作戦体系はより陸から陸に向かう模式に傾いていることである。味方サイドの基地から目標たる上陸場に向けて挺進し、アメリカ式の大型ドック上陸艦や中小型ホバークラフト上陸艇を必要としない。この指導思想の下、ソ連・ロシアのホバークラフト上陸艇はずっと非常に大きく、初期の「コウノトリ」から「バイソン」級に至るまで全て大型ホバークラフト上陸艇に属し、「バイソン」級は500トンを超え、「艦」のレベルに到達し、かつ非常に強大な自衛および打撃火力、自力持久力を持ち、一定程度上味方サイドの援護を離脱し、独立して作戦任務を執行することができる。

現在世界最強のホバークラフト上陸艇として、「バイソン」級は登場後すぐに各国の軍の関心を集め、その機能は強大で、兵力投入能力は強いが、その製造コストも非常に高価で、これによりその大規模装備を制限した。実は、「バイソン」級といったような重量数百トンのでかぶつはむしろ高速軽護衛艦に似ており、まるで一種の多用途海上プラットフォームであり、海兵隊を搭載し快速で争いのある海域に到達することができ、伝統的な水陸両用上陸艦に比べより有効である。

現在世界で数が最多のホバークラフト上陸艇には米軍のLCACが挙げられ、その就役数は90隻を超える。全長26.8m、全幅14.3m、標準排水量87トン、喫水0.9m、全艇はアルミ合金構造を採用し、動力装置は4台のガスタービンエンジンで、総出力は12,000馬力に達し、艇尾の2台のファンを推進に用い、設計上の速度は50ノットに達し、航続力は200海里前後と、ソ連/ロシアの300海里以上の投入距離より短く、典型的完全上昇ホバークラフト上陸艇である。1980年代初め、アメリカ国防省は新たな水陸両用攻撃作戦計画を提出し、108隻の全く新しい100トン級ホバークラフト上陸艇を配属し、もって水陸両用作戦に充分な兵力投入があることを保証することを要求した。1984年、米軍の第1隻目の要求に照らし製造されたLCACが引き渡され使用が開始された。2年後一定の作戦能力を形成し、この後20年にもわたる時間内、LCACはずっと生産ラインを維持し、2001年になって最後の1隻が引き渡されて使用され、この後LCACは依然輸出注文を受け、日本や韓国が米軍と同クラスのLCACホバークラフト上陸艇を装備している。

(頑住吉注:これより4ページ目。)

ホバークラフト上陸艇の原理は比較的簡単で、その主要な技術的ボトルネックは動力システムにある。「バイソン」級は5台のガスタービンエンジンを配置し、このうち3台のNX-12MV(MT-70)を推進に用い、2台を上昇に用い、ファンは可変ピッチ4枚羽を採用している。米軍のLCACは40Bガスタービンエンジンを装備し、後続の発展計画も重点的に動力システムをグレードアップし、例えばTF-50型ガスタービンエンジンの使用で、最大出力は20%以上増加し、4,100キロワットに到達し、持続出力は1,000キロワット向上し、動力タービンの回転速度は16,000回転/分に到達し、しかもより燃料が節約される。標準排水量たった87トンで1両のM1A1メインバトルタンクあるいは75トンの軍用物資の投入を要求され、このためその動力システムが非常に重要なカギだったと知る必要がある。

米軍のLCAC発展の道はソ連・ロシアとでは非常に大きな差異があった。ソ連・ロシアは単一の艇の作戦能力を強調し、相対的に完備された対空、対艦および対地打撃火力を配置し、味方サイドの火力支援を離脱し単独で上陸作戦が展開できる。このためソ連・ロシアが登場させた「コウノトリ」、「バイソン」の排水量はいずれも数百トンに到達した。ソ連上陸部隊は甚だしきに至っては大型上陸艦を必要とせずにもう1回の戦役クラスの海を渡っての上陸が完成でき、特にバルト海や黒海方向の上では、数百トンの大型ホバークラフト上陸艇が発揮する作用は非常に大きく、20隻前後の数を集中して一定方向に投入し、充分な兵力の優勢を形成することができた。だが、大型ホバークラフト上陸艇は基地を遠く離れて作戦を行うのに不利で、例えば「バイソン」のような大型上陸艇の最大航続距離は300海里であり、1万トン級の強襲揚陸艦によって搭載されることはできず、自身の動力に頼って航行するしかなく、このことはそれが近岸海域の上陸や島奪取作戦任務に向かう趨勢を決定づけた。

アメリカとソ連・ロシアの水陸両用ホバークラフト上陸艇にはそれぞれの長所があり、我が国の上陸作戦に対しても相当な啓発があると言える。我が軍には現在すでに3隻の大型水陸両用ドック上陸艦があり、LCACに似たような水陸両用ホバークラフト上陸艇も配属されており、車両や人員を輸送し、海から陸へ向けての上陸作戦に用いることができる。一方最も新しく就役した「バイソン」は陸から陸に向けた形式の水陸両用上陸作戦が執行でき、このことは近海水域に対して最大の機能を発揮できるということができる。我が軍は短時間内に数隻の「バイソン」を集結させて奇襲兵力とし、ホバークラフト上陸艇の多種の地形条件下で上陸を発起する優勢を見せることができる。


 国産化もされ数が増えつつある「バイソン」は南シナ海でも東シナ海でも「島奪取」作戦に使われる可能性があり、また半潜水船に搭載されればソ連・ロシアとは違って遠距離投入もできるわけですね。

http://img1.itiexue.net/2130/21309169.jpg

 ちなみにこれが「中国海軍の半潜水船868艦」がバイソンを搭載しているところで、2万トン級のこの船と比べても「バイソン」が相当に大きいことが分かります。












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