AG600は軍用として使えるか

 昨日紹介した文章では軍用以外の用途が紹介されていましたが当然軍用にもするつもりでしょう。

http://war.163.com/16/0729/08/BT4KKJQP00014OMD.html


中国最大の水陸両用飛行機の軍用ポテンシャルはどれだけ大きいか? 捜索救援に適合

【グローバル軍事7月29日の報道】 中国最大の水陸両用飛行機AG600の総組立下線(頑住吉注:生産ラインから降りる)式からすでに何日も経過しているが、民間のAG600に関する討論は依然非常に熱烈である。ある視点は、AG600は対潜哨戒機に改装して海軍に装備できる、と考える。だが専門家は、その最も適した任務は依然海上捜索救援であり、軍の海上捜索救援任務を執行するには依然この機に対し一定の改装を行う必要がある、と考える。またAG600の1つの重要な作用は中国航空工業の人材を鍛錬し、設計製造の隊伍をよく維持し、航空装備発展を良性の循環に乗せることに他ならない。

現在民間にはAG600を対潜哨戒機に改装する呼び声が存在する。だが専門家は水上機自体決して良好な対潜プラットフォームではない、と考える。水陸両用飛行機は水上発着能力を併せ配慮するため、機体底部がV字型で、縦向きに1つあるいは2つの段があり、断階と称し、発進離水時の水の動力学的抵抗を減らすのに用い、V字型の底面は滑走時の船体の波に遭遇しての衝撃および降着時の船体の水に対する衝撃作用を減らすことができる。ひとたびこのようになるや、こうしたもっぱら水上発着に適応するための設計は、1つ目には飛行機が飛んだ後のデッドウェイトが比較的多く、2つ目に空気抵抗が大きいという結果をもたらす。同等の規格の水上機は通常の飛行機に比べ速度は遅く、航続距離は短く、経済性は劣るだろう。

具体的にAG600に言及すると、それが使用するエンジンは運ー8改良型のそれに相当するが、最大離陸重量、航続距離、搭載重量、速度いずれも小さすぎる。結局のところ、対潜哨戒機は少なからぬ機載設備を搭載する必要があり、プラットフォームは小さすぎてはならないのである。しかも対潜機に関して言えば、通常水面捜索レーダーを利用して海面に対し捜索、スキャンを行い、潜水艦の潜望鏡や通気管を発見した後、直ちに全力で現場に駆けつけてソノブイを投下し、潜水艦に対する探知計測を行う。同時に、相手方の潜水艦の潜望鏡上の電子支援装置(すなわちレーダー警告装置)も自らを発見し探知計測されるだろう。この時緊急に潜水し、かつできる限り早く被発見地点から遠く離れ、ソノブイによって探知計測されることを防止する。これは実際速度勝負の競技である。対潜機の速度が速いほど敵サイドの潜水艦の消失前にそれに対し位置決定する可能性は高くなる。また、水上機自身の設計の特徴も、機体下部が大型弾薬庫の接地に適さないことを決定している。同時に各種大型レーダー、光電子吊り下げポッドの装備にも適さず、センサーの設置のためにも面倒をもたらす。そして水上機特有の水上発着性能は、現在の対潜機にとって、決して特別な助けにはならない。まさにこのような原因により、世界各国の現在の対潜機は多くが陸上基地飛行機をベースに研究開発されており、特に旅客機で、しかもジェット化の趨勢が顕著であり、基本的にもはや水上機プラットフォームを利用して対潜機は研究開発されていない。

専門家は、現在の作戦機は分業がどんどん細かくなり、専業の飛行機は専業のことをし、世界各国は現在いずれも水上機を基礎に対潜機に改装してはいない、と指摘する。日本はUS-2水上機を持つが、さらに単独でターボファンエンジンを装備するP-1大型対潜機を研究開発した。中国にも現在運ー8三類プラットフォームをベースにした「高新」系列対潜哨戒機がある。この角度から見て、決してAG600を専業の対潜哨戒機に改装することは好意的に見られない。

現在空軍、海軍の南海巡航および第一列島線を飛び出した遠海飛行はすでに常態化された任務となっている。ハイリスクの軍事行動として、飛行に問題が出現しないことを確保するのは非常に難しい。しかも戦時においては、危険はさらに重大となる。遠海での救援が確保できることは、遠海飛行および作戦任務執行の1つの基本的前提である。遠海捜索救援能力の具備は部隊の士気向上に対し非常に大きな助けになる。

現在海軍、空軍の捜索救援力量は主に捜索救援ヘリに頼っており、これは各国の普遍的なやり方でもある。だが捜索救援ヘリの飛行速度は遅く、通常300km/hに満たず、基地を捜索救援区域付近に配備するのでないかぎり、快速救援の実現は非常に難しい。だが固定翼水上機の飛行速度は500〜600km/hに達し、かつ捜索救援される目標付近に降着し、直接救助して飛行機に乗せることができる。これはヘリや通常の固定翼機が持たない性能である。

AG600は好都合にこの種の優勢を発揮できる。当然、この機を捜索救援をメインとする多用途プラットフォームに改めることもでき、通常は南海、東海の島礁の通勤任務、人員や小型物資輸送を担い、充分にその利用率を上げることができる。結局のところ、南海では決してそれぞれの島全てに飛行場があるわけではないのである。

専門家は、現在この機は依然民間用規範をもって設計され、「軍に参加し入隊する」ためにはさらに改良と改装を行う必要がある、と考える。例えば赤外線/可視光線偵察捜索救援吊り下げポッド、対海捜索レーダーおよび相応の通信装置や電子戦システムの追加装備である。必要ならばさらに適当に自衛火力を増加する必要がある。

水陸両用機自体が持つ機能の他に、この機にはさらに1つの非常に重要な作用があるかもしれない。すなわち、個々のプロジェクトを通じて中国航空工業の人材の隊伍を保持し、将来「首締め」されることを避けるのである。1つの非常に顕著な例は日本である。日本の航空工業の規模は大きくなく、しかも日本の飛行機対外購入が受ける制限は極めて少なく、ほとんど買ってこられない飛行機はない。だがもしこのようであったとしても、日本はそれでも一世代また一世代と各種の機種を研究開発している。たとえ研究開発と購入の価格が非常に高く、性能があまりよくなくてもである。練習機から戦闘機まで(例えばF-2および未来のF-3)、支線飛行機から大型輸送機まで、武装ヘリから水上機まで、現在世界の大多数の機種に、日本には全て自ら生産する機種がある。しかも日本は破天荒にも巨資を投じてわざわざP-1対潜哨戒機のために大型の4発プラットフォームを研究開発した。これは各国の現代対潜機研究開発史上極めて珍しいことである。他国の絶対多数は既存のプラットフォームを利用して改装している。まさにこの種の態度とやり方は、日本航空工業の独立性、継続性、比較的先進的なレベルを保持しているのである。

さらに西側の大企業を見てみよう。大量の軍民用プロジェクトの他に、彼らはさらに大量の検証機計画を持つ。航空工業の維持のため、米軍は各社の間で異なるプロジェクトによってバランスをとっている。これは実際上全て航空工業発展を維持する措置である。現段階で、中国の航空工業の市場化の程度は比較的低く、各種の原因により民間機の需要は大きくなく、このため個々の国家プロジェクトに頼って隊伍を鍛錬し、航空工業の良性の循環を確保することが必須なのである。AG600は一定程度上このような役割も演じている。(張亦馳)


 比較的軍用にはなりにくいという立場でしたが、意外な形で日本の航空産業への言及がありましたね。例えば無人機には力があまりさかれておらず、褒め過ぎのような気もしますけど。
















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