S-400がトマホークの攻撃を防げなかったのは何故?

 中国にも輸出されるので関心があるようです。

http://military.china.com/important/11132797/20170409/30401168_all.html#page_2


ロシアのS-400は何故「トマホーク」ミサイルを防ぎ止めなかったのか? 専門家:距離が遠すぎ

アメリカメディアは、6ヶ月前にかつてロシアはシリア国内にS-300および最も先進的なS-400防空システムを配備したと事実確認し、それはすでにシリア空軍基地がアメリカの巡航ミサイルの打撃を受けるのを免れさせるよう保護できるとした、とする。

アメリカのグローバルセキュリティウェブサイト4月7日の報道によれば、それにもかかわらず一連のアメリカの「トマホーク」巡航ミサイルが4月7日に一部ロシア軍人が駐留するシリアのシャイラート空軍基地に命中した後、少なからぬロシア人は社交ウェブサイト上で問うた。「我々が誇るS-400は一体どこへ行ってしまったのか?」

あるツイッターユーザーは問うた。「まさか私が唯一の、何故我々のS-400がアメリカのミサイルを撃墜できなかったのか分からない人なのか?」

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「シリアに配備されるロシアのS-400対空ミサイルシステム」)

2015年、トルコが同年11月に1機のいわゆる誤ってその領空に進入したロシアの実戦機を撃墜した後、クレムリンは初めてシリア国内に「凱旋」S-400防空システムを配備した。このシステムは4種の異なる方式を採用して各種来襲する武器や飛行機に対応するもので、その中の1つの機種の射程は400kmに達し得、もう1つの機種の射程は40kmしかなく、したがって相互に重複したシームレスなカバーを提供している。ロシアニュース社の当時の報道によれば、S-400システムは飛行機、無人機および「トマホーク」を含む巡航ミサイルを撃墜できる。

しかし、ロシアと西側の軍事分析者は、S-400システムの配備位置はシャイラート空軍基地からの距離が遠すぎ、もって4月7日の打撃を有効に防御できない結果がもたらされたのだ、と考えている。あのときの打撃行動で使用された巡航ミサイルは地面からの距離5mの高度で地球をかすめ過ぎ、亜音速をもって飛行しかつ自らの飛行ルートを遵守した。

モスクワの軍事分析者であるパウェイル フェイエルゲンガオルは、「いわゆる我々はすでに全シリア領空を保護したとの一切の説は全て術策的誇大宣伝である。」と語る。彼は、このような説はロシアがシリアでデモンストレーションする武器の販売促進のためだ、と考える。

彼は、「それらは当然あんなに遠い場所から(巡航ミサイルを防ぎ止めること)は無理だ。それらはせいぜい所在する基地付近の区域を防御できるに過ぎない。」と語る。

報道は、S-400防空システムはロシアのラタキアに位置する空軍基地、およびタルトゥースに位置する海軍基地に配備されている、とする。フェイエルゲンガオルは、ホムス付近に位置するシャイラート空軍基地はタルトゥースからの距離が75kmを超え、ラタキアからの距離は120kmを超えており、このことはアメリカの巡航ミサイルが全部安全にロシアの防空システムの巡航ミサイルに対する有効な防御範囲を遠く離れることを意味している、と語る。彼は、「防御半径は40km前後だ。」と語る。

ロンドンのシンクタンクである王立三軍研究所の安全保障業務研究員であるジャスティン プランケットはこれに対し賛同を表明する。彼は、S-400システムのレーダーは非常に先進的で、比較的高い空域に対するカバー範囲は400kmに達し得るが、比較的遠い低空目標に直面した時は、このシステムは面倒にぶつかる可能性がある、と語る。プランケットは語る。「レーダーと巡航ミサイルとの間の複雑な地形状況(今回はラタキアとタルトゥース)はシステムの作用発揮を妨害するだろう。」

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『トマホーク』巡航ミサイルが米軍の『ロス』号駆逐艦上から発射される瞬間(ロイター社)」)

だが、もう1人のウォッチャーはもう1つ可能性が存在する、すなわちS-400システムは作用を発揮できたが、モスクワがそれを活性化させないことを選択したという可能性が高い、と考える。

モスクワの軍事分析者であるアレキサンダー ゲーツは語る。「我々はロシアの軍隊が(迎撃)できなかったのかそれともしたくなかったのか分からない。我々の見たことについて言えば、意外な事件を避ける(ロシア、アメリカのシリア領空の飛行の安全に関する)覚え書きが作用を発揮した。アメリカ人は覚え書きを遵守し、打撃2時間前にロシア人に通知した。この種の状況下で、我々はロシア軍がそれでも彼らの防空システムを使用したがったのか否かは分からない。」


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新華社:米軍、「トマホーク」を振り回す ロシアは何故応戦しなかったのか

地中海東部に停泊する2隻のアメリカの軍艦が7日シリアのホムス州シャイラート空軍基地に向け59発のトマホーク巡航ミサイルを発射した。アメリカが「トマホーク」を振り回す下で、ロシアがシリア国内に配備する先進的な対空ミサイルS-400は決して反応をしなかった。これに対し、ロシアの専門家は次のように説明した。1つ目は在シリアロシア軍が決して今回の空襲が原因で危険に遭遇しなかったこと。2つ目はロシアにはシリアが第三国の攻撃を防御するのを助ける義務はないこと。3つ目は現有のロシアの在シリア防空配備はシャイラート空軍基地を決して有効に保護できないことである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「米軍が発表したトマホークミサイルを発射してシリアを攻撃した画像」)

ロシアが応戦しなかった3つの「理由」

アメリカの空襲発生後、ロシア大統領ニュース秘書ペイスコフ、ロシア大統領の下に属する軍事工業委員会の専門家ムラホフスキー、国家下院国防業務委員会主席シャマノフは異なる場で、米軍がシリアのシャイラート基地に対し発動したミサイル攻撃の2時間前、ロシアとアメリカの現有の情報交流ルートを通じロシアサイドに通告された、とした。シャイラート基地にはロシアサイドの人員や飛行機はなく、ロシア駐シリア部隊も空襲の中でいかなる損失も受けなかった。

ロシアの関係者はシリアサイドが事前にロシアサイドの通報を得て防備をしたのか否か明らかにしていない。だがロシア国防省スポークスマンのカナシェンコフは、米軍の今回のミサイル攻撃の戦果は「非常に小さく」、発射された59発のミサイルのうち23発しかシャイラート基地に命中せず、その他の36発は行方不明である、とした。破壊された基地施設には物資設備倉庫1つ、教学用建物1つ、食堂1つ、レーダーステーション1カ所、および6機の機格納庫で維持修理を待っていたミグー23戦闘機が含まれる。

ロシアサイドにシリア政府軍の施設が米軍の空襲を受けるのを免れるよう保護する義務があるか否かに対しては、ムラホフスキーは次のように強調した。ロシアがシリアに出兵した主旨は対テロで、ロシアとシリアの政府は、シリアが第三国の攻撃を受けるのを免れさせることに関連する協定を決して締結しておらず、ロシア・シリア双方は軍事同盟の義務を担っていない。現段階でロシアサイドはこうした盟約の締結を準備してもいない。ムラホフスキーはさらに例を挙げて、ロシア空軍がシリアに駐留する期間、イスラエルは数回ミサイルを用いてシリア空軍基地を攻撃したが、ロシアサイドはいずれも関与あるいは反撃を加えていない、と語った。

単に性能から見て、先進的なS-400地対空ミサイルはトマホークを撃ち落とせるのか否か? これに対しムラホフスキーは回答し、「当然できる。だがその前提はS-400の配備が攻撃を受ける基地の付近であることだ。」と語った。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「このアメリカのDigitalGlobe社が4月7日に提供した衛星写真がはっきり示すのは、軍事打撃に遭った後のシリア中部ホムス州のシャイラート軍用飛行場である。」)

ムラホフスキーは次のように語る。ロシアのS-400地対空ミサイルはシリア北西部のヘメイミム空軍基地に配備されており、シャイラート基地との距離は約100kmで、単に作戦の「地理的条件」から見て、アメリカとロシアの地対空ミサイルはいずれもこの距離からトマホークミサイルを撃墜できない。S-400ミサイルの最大射程は約400kmであるが、もしその最大射程内で目標に命中させたければ、目標たるミサイルの飛行高度は少なくとも1,000mある必要がある。だがトマホークミサイルの飛行高度は一般に30mから50mまでである。

彼の説明によれば、相互の距離が100kmの時、ロシアとアメリカの地対空ミサイルはいずれも「無線電子地平線」問題に直面する。すなわち目標を探知計測するレーダー波が地平線を越えた後、無線電子地平線の下方の低空巡航ミサイルを探知計測できなくなるのである。この問題の解決には2種の方法がある。1つ目は地対空ミサイルのレーダーを高地の上に架設することである。だがヘメイミム基地付近の山地の高度は依然レーダーに低空の巡航ミサイルを探知計測させるには不足である。もう1つの方法はS-400ミサイルを直接シャイラート基地周辺に運ぶことだが、ロシアサイドには目下この計画はない。

亡羊補牢で防空を強化 (頑住吉注:「亡羊補牢」は羊が逃げてから檻を修繕する、で「泥棒を捕らえて縄をなう」みたいな意味かなと思ったんですが、事後でも早急に対策をすればそれ以上の被害にはあわない、という全く違う意味でした。)

だがロシアサイドは明らかに継続してシリア軍が爆撃を受けるのを座視したくない。カナシェンコフは、シリア軍が重要施設を保護するのを援助するため、ロシア国防省は総合的な措置を採ってシリア防空装備の作戦効果を高めることになる、と語った。現在シリア軍の主要な防空武器にはS-200遠距離地対空ミサイルとS-11「ブナの木」中距離地対空ミサイルが含まれる。ロシアはすでにシリア軍がこうした防空武器の戦力を回復させるのを助けている。

ロシア国防省社会委員会のケロチェンコは次のように指摘する。もしこうした中・遠距離地対空ミサイルを用いなくても、シリアサイドはその現有のロシア製「鎧甲」防空システムに頼ってトマホークミサイルに対抗することができる。彼の説明によれば、「鎧甲」システムは12本の短距離地対空ミサイル発射筒と2門の対空機関砲を持ち、装輪式あるいは装軌式装甲車上に装備することができる。多数のこのような戦闘車は防衛隊形を組んで重要施設を保護することができる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「S-400ミサイルの資料画像」)

ケロチェンコはシャイラート基地に「鎧甲」防空システムが配備されているのか否か明らかにしていない。だが彼は、シリアの基地にこの防空システムを配備しさえすれば、もう車載レーダーを用いてトマホークミサイルが追跡し、かつレーダーの指示を根拠に「トマホーク」を迎撃することができる、とも強調した。

一方ロシア通信社の報道によれば、「クラブ」巡航ミサイルを搭載するロシア黒海艦隊の護衛艦「ゲリゲロヴィッチ海軍上将」号が7日地中海東部に出発した。この艦はアメリカの2隻の駆逐艦がシリアに対し打撃を実施した海域に到達し、しかる後にロシアが使用するシリアのタルトゥース海軍基地物資保障に行く。

米軍が今回手を出した原因に関し、ロシア国家下院国際業務委員会主席のスルスキーは、ワシントンは一切の代価を惜しまずアサド政権を転覆させ、したがって地縁政治の利益を図りたがっている、と考える。カナシェンコフは、アメリカの国内政治勢力はシリア問題の上で比較的大きな食い違いがあり、アメリカ政府が今回の攻撃命令を下したのにはあるいは国内の争いを静める考慮があり、「シリア政府の化学兵器使用を懲罰」云々は口実に過ぎないかもしれない、と考える。


 あえて迎撃しなかったのかもしれないとか、アメリカのミサイルだって同じ条件下で迎撃できない、とか言い訳に必死なのは、販売促進の意味も含めたつもりが逆効果になってしまうことを恐れているからでしょう。しかし多くの人に「言うほど凄いものではないのかも」と思わせてしまったことは事実ですね。




















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