戦車競技で96Aに起こった故障を分析

 このテーマの記事に頻繁に登場する「南京軍区元副司令員」の新たな論評です。

http://military.china.com/important/11132797/20140822/18728932.html


中将、96Aのロシアにおける4回の真に作戦に影響する故障を明らかに!

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国の96Aメインバトルタンクが凱旋帰国。」 なおこの記事のキャプションは全てこれと同じです。)

中国の戦車兵は大したものだ

南京軍区元副司令員 王洪光

ロシアの戦車大会は幕を下ろし、中国チームは銅メダルを獲得、その中で射撃種目では19発の砲弾が全部命中して第1位を獲得し、乗員の身体能力も第1位を獲得した。抗米援朝、対ベトナム自衛反撃戦以後、中国戦車は初めて出国し、よく知らない地形の上で競技し、このように良い成績を獲得したことは実に容易ならぬことに属する。1人の老戦車兵として、筆者は今回の競技に対し簡単に要領よく評論分析し、もって軍事マニアを満足させる。

まず、これは主に戦車乗員の素質の競技であり、技能を比べ、身体能力を比べ、心理的素質を比べるものである。中国の戦車兵のパフォーマンスは完璧と称するに堪えるというべきである。射撃競技の第1位は、装備の要素の他に、爛熟した操作技能と全車乗員の協調一致した動作が勝利を獲得した重要なカギだった。装備の性能は高い命中率の客観条件を提供し得るが、高速行進中に(ビデオで見ると96A戦車の行進間射撃の時速は20〜25kmのはずである)発射するごとに目標に命中させられるというのは、主に人的要素によって決まる。一方T-72戦車の行進間射撃の時速はいずれも10kmを超えず、甚だしきに至っては短時間停車しての射撃で、隔たりは大きい。96A戦車の上反式画像安定火力コントロールシステムの反応速度、精度、複雑な作動条件における安定性は、非常に大きくT-72の下反式火力コントロールシステムを超えている。96戦車の初期型も下反式画像安定火力コントロールシステムだが、今回の競技中のT-72のこんなにも悪いパフォーマンスほどでは全くなく、これはまさに戦車乗員の質が作用を果たしているのである。中国の戦車兵の素質は国外の同業者より高いとしか言えない。また、我が軍の戦車兵の射撃訓練の難度は今回の競技の条件を非常に大きく超えている。例えば射撃を行うための走る道は起伏し、湾曲し、目標間の挟角は17ミルを超え(今回の競技はこれも1〜2ミル)、1つの目標を撃ち終わった後、大角度、高速度で砲を動かして次の目標を照準する必要がある。目標は静止しはっきり見えるものだけではなく、隠蔽されたものもあり、周囲にはっきり方位を示すものがあることはあり得ない(今回の競技では標的付近に一軒の独立した家屋が設立され、目標の捜索と指示に便とされた)。96A戦車は訓練中運動目標の打撃を主とし、目標の時速は時速12km以上である(今回の目標は固定で、目標の色彩の背景とのコントラストも比較的大きかった)。もし運動目標に変えたら、T-72戦車の失中はより多くなったと見られる。装備も重要な要素である。ビデオの中では、T-72戦車の砲弾の航跡と着弾点をいずれも見ることができ、これはその砲口初速が1000m/秒を超えていないことを説明している。一方96A戦車は砲弾の航跡が全く見えず、着弾点の煙や塵もずっと小さく、布のターゲットを貫通する時1つの小さな穴を形成し、このことは我が砲口初速とタングステン弾芯サボ付き徹甲弾の貫通力がT-72戦車よりはるかに高いことを説明している。我が命中部位は大部分目標の9点区に進入し(井の字の格子で、周囲に8つの区域があり、中心が9点区)、これは我が戦車砲の距離1,000mに立った標的に対する密集度の集中ぶり、精度の高さ、弾道の安定性を説明している(頑住吉注:その9点区のサイズを明記して欲しいとこなんですけどねー)。

速度競技の中では、相対出力が最小の96A戦車がオフロードでこの速度(およそ時速30〜40km)に到達するのが見られたが、これは超越的レベルの発揮である。特に水がいっぱいにたまった穴を越える時である。穴の縁にのし上げた後のスロットルのコントロールは完璧と称するに堪える。例えばスロットルのコントロールが小さすぎれば、動力不足により車両の後退が引き起こされる可能性があり(T-72戦車にはまさに後退したものがあった)、スロットルが大きすぎれば「〜(頑住吉注:日本語にない漢字を使った語)」(すなわち車両の先端が強烈に落下する)が引き起こされ、容易に行動、伝動部分がぶつかって壊れ、車内の乗員が壊れてしまう可能性もある。穴の縁を行く時、潜望鏡は泥水でふさがれ、もしそうでなくとも両眼には空しか見えず、潜望鏡の下の路面は見えず、操縦員は感覚と経験に頼って戦車の重心が穴の縁を越える瞬間を判断し、直ちにスロットルを開いて加速して離れるしかない。我が戦車兵は一気呵成で、私というこの老戦車操縦員を敬服させる。だが速度競技の中には遺憾な点もあった。これは道路での高速操縦訓練の不足である。筆者が操縦員をしていた1960〜70年代、都市や農村の道路(砂利道、土道)でも戦車は路上で行進できた。筆者は62式軽戦車を操縦して一般に時速40〜50kmで走ることもでき、大型トラック、大型バスを追い抜くことにも慣れっこになった。現在戦車部隊は真の道路行進を行うことができず、このため操縦場内に模擬道路を建設し、戦車に高速で走らせる必要がある。

(頑住吉注:これより2ページ目。)

さらに身体能力と心理的素質を見てみよう。戦車内の作業環境は劣悪で、高熱(極寒)に加えて強烈な振動と耳をつんざくエンジンの騒音があり、また戦車の火砲が射撃後に出す火薬ガスが車内にたまり、これは相当に体力を消耗するものである。身体能力に対する要求は持続作戦能力に対する要求であり、このため身体能力訓練は戦車兵の基礎訓練の重要な内容である。筆者はビデオから、今回の競技場の身体能力競技の場所と機材が、我が軍が平常訓練する身体能力訓練に比べ少なからず劣っているのを見た。我が軍が第1位を手にしたのは、朝飯前のことで誰にも譲らなかったはずである。ロシア軍人は平素から身体能力とその訓練を誇っており、1950年代には我が軍の装甲兵の師でもあったことを忘れてはならない。我が軍の装甲兵が身体能力訓練を重視する伝統は、旧ソ連軍が我々に与えたものだと言ってよい。さらに心理的素質を見てみよう。これは競技することができないものだが、競技の全過程から充分に感じ取ることができる。第1段階の競技は、地形に不適応で、場所とルールを熟知しておらず、我が軍はもっぱら走る速度という訓練を全く行ったことがなく、さらに加えて戦車が突然全くなかった大強度の使用に進入し、故障が比較的多く、我々の乗員の心理に対しマイナス面の影響をもたらした。我が競技参加団体はきっと我が軍の優良な思想政治工作の伝統を発揮し、思想の助け合い、心理のスムーズな流れを展開し、マイナス面の情緒を克服し、精神を発憤させ、対策を探し出し、結果として競技すればするほど良くなり、競技すればするほど自信をつけ、超越的に高い水準を発揮したのである。私は私の古い部隊の若き戦友を誇りに思う!

乗員の素質の競技の他、当然競技に使用された装備からも離れることはできない。戦車である。競技に参加した96A戦車に関し、私はすでに「我が96A戦車の戦車大会におけるパフォーマンスをどう見るか」との一文の中で、その作戦上の必要性、戦術技術性能と優劣に対し評価を行っている。今回の競技結果はやはり私の予測と評価を充分に実証した。ここで大会の中での故障と故障排除について個人的な見方をちょっと語る。信頼性と維持修繕可能性は戦車の戦術技術性能の重要な指標である。今回の競技は96A戦車のこの2項目の指標に対する厳しい試練だった。筆者の得点付けは、信頼性は合格、維持修繕可能性は優秀、である(頑住吉注:どうも「合格」は合格点には達しているが優秀とは言えない、というニュアンスのようです)

信頼性が合格と評価されるのは、12日の高強度の競技日程の中で、20回余り故障が発生しており、信頼性は全体的に合格と言うべきだ、ということである。T-72戦車の途中での競技からの退出は7両あり、40両余りの戦車が競技に参加したのであるから、パフォーマンスは良好、信頼性は96A戦車より高いと言うべきである。96A戦車に発生したものの大多数は軽微な故障(軽い損傷)で、例えば前の泥除け板がめくれあがった、潜水して渡るエンジンの排気管の固定がしっかりしなくなったなどで、作戦行動には影響しないものである。平常オフロード操縦訓練の中で、泥除け板の損傷を少なくするため、往々にして泥除け板を先に取り外し、訓練終了後再度取り付ける(今回筆者はビデオの中でも一部のT-72戦車が泥除け板を取り外しているのを見た)。潜水して渡る排気管は潜水して川を渡る任務を担わない時は往々にして取り外し、戦車のその他の付属部品と後方勤務車隊に送る。キャタピラの断裂が2回あり、その中の1回はその他のチームのT-72戦車の側面に衝突し、たまたま衝突の位置が悪く、損壊がもたらされたのである。単なる意外な事故で、故障と評価することはできない。不完全な理解によれば、真に作戦行動に影響する故障は4回だった。1つは1回のキャタピラ断裂で、原因は鋳造されたキャタピラの中にスが含まれ、品質不合格に属する。2つ目は戦車の急カーブ時にキャタピラが外れたもので、原因は操縦員が地形条件に対し熟知していなかったことの他、主にキャタピラの強度が不十分で、方向転換のトルクが大きすぎる時、キャタピラ全体が変形して外れ、これは設計の問題に属し、当然質の問題でもある。3つ目はエンジンが加熱し、停車して冷却したこと。「エンジン加熱」に対する私の判断は、エンジンの出力が人に及ばない状況下で、車両の速度を上げるため、エンジンの回転速度を定額回転速度以上に上げた、というものである。もし瞬間あるいは短時間ならOKだが、比較的長時間速度を超過した回転運動をしていると、エンジンはきっと堪えきれず煮え立ったような状態になる。エンジンを保護するため、車内には警告が発せられ、強制的に回転速度が低下させられる、あるいは停車して冷却することが迫られる。これは「人為的」にもたらされた故障であり、操縦員の熟練不足に属す。急いで車両の速度を上げると、かえって欲する速度に達しないのである。4つ目は1回の射撃の中断である。これは火力コントロールシステムの故障によって引き起こされたものである。システムの中の1つの部分に半田付けの外れ、接触不良があると、火力コントロールシステムは正常に作動できない。原因は高強度の使用に対する事前の計算不足で、強烈な振動がもたらしたのであり、やはり質の問題に属する。これらの故障は、96A戦車の弱点は平均無故障時間が短すぎ、信頼性が比較的劣ることだということをを説明しており、さらに大きな力を入れての向上が必要で、さもないと戦場で大事を誤るだろう。特に厳しい条件の下での高強度使用で、各部ユニットの余剰度を増大し、装備をより頑丈で信頼性あるものにするべきである。

戦車の維持修繕可能性に優秀な成績を与えた主な理由は、維持修繕資源が深刻に不足している状況下で、競技に影響しなかったことである。隊に随伴して5名の修理工しか派遣されず、1両の維持修理工程車だけが随伴して保障を行った(維持修繕資源の全要素は、5〜8両の工程車から組成される工程車チームのはずである)。戦車の維持修繕工はシャーシ修理工、兵器(銃砲)工、電気工、無線電信工、充電工、車載コンピュータ技師などに細分できる。5人では全く不十分で、1人1人が「1つの専門、多くの能力」であるしかない。しかも限られた損傷しやすい部品や細かい予備部品を正確に携帯してこそ、現場での修復任務が完成できる。理解されているところによれば、この維持修繕グループは十何作業時間でエンジンを交換した記録を創造しており、1〜2作業日数という規定時間に比べ何倍も速い。戦場の装備再生率はある国の装甲兵の戦闘力の重要な指標である。イスラエル装甲兵は中東戦争中、重大な損傷を受けた装備を除き、その他の中、軽度の損傷を受けた装備を全部戦場で修復し、直ちに再度戦闘に投入し、甚だしきに至っては打撃すればするほど多くなるという奇跡を創造した(鹵獲した敵戦車も修復後味方の作戦に加入させた)。一方アラブサイドは1両戦損すれば1両少なくなり、最終的にアラブサイドの数の優勢が劣勢に変わった。我が軍の装甲兵も戦場での再生率を極めて重視し、対ベトナム自衛反撃作戦の中で75%の修復率を創造し、世界でも上位に位置する。今回の競技する戦車に対する現地修復は、96A戦車の維持修繕可能性と我が装甲兵の維持修繕能力がいずれも優秀と称すに堪えることを説明している。


 キャタピラにスが入っていた、激しい振動で火力コントロールシステムが故障した、というロシアの記事は事実だったようです。しかし全体的なレベルが相当に向上してきていることは確かだと思われます。



















戻るボタン