イギリスの新たな空母を評価する

 ロシアがどう言っているという話題がありますが中国から見るとどうなんでしょうか。2回に分けます。

http://military.china.com/news2/569/20170630/30873247_all.html#page_2


イギリス新空母のクエスチョン:何故原子力動力を使わない? 何故まだスキージャンプ?

10年検証し、8年近く建造し、「女王」はついに海に出た。現地時間6月26日、イギリスロイヤルネービーの「エリザベス女王」号空母はゆっくりとスコットランドのロサイス造船工場を離れ、航海試験を開始し、自らに「米字旗」(頑住吉注:イギリス国旗)を記すため、最後の努力をする。

新空母が航海試験を行うのは予定時間に比べ3ヶ月遅かったが、それでもこのことは空母の上での「空隙」が長年になるイギリスロイヤルネービーに誇りを感じさせるに足りる。政治的に困った状況に深く陥っているイギリスにとって、「女王」の出航は疑いなく強心剤の注射である。

尋常ならざる新空母はイギリス人に心からの感嘆をもたらしたが、外界にもたらしたのはそれにもかかわらず多くのクエスチョンマークである。今日我々はこうしたクエスチョンを1つ1つ解き明かそう。

動力システムに関して

何故原子力動力を用いない?


絶対多数の人の印象の中で、原子力動力と空母の先進性との間には等符号が書けるようで、特に巨大なオーラをまとった「エリザベス女王」号は、理の当然にいくつかの核反応炉を詰め込むべきである。隣国フランスは20年あまり前にもう原子力空母を有している。しかし、神殿から降りたイギリス人は先進と実用との間でやはりきっぱりと後者を選択した。その原因は、おそらく戦略的需要と技術問題である。

第二次世界大戦後、重傷を負ったイギリスは膨大な海軍艦隊を支える力がなく、多くの艦艇が退役して解体され、加えて第二次中東戦争での外交的敗北があり、イギリスの硬軟の実力は共に低下し、戦略的萎縮を開始した。冷戦中後期になり、かつては全世界の大洋を縦横に走ったイギリスロイヤルネービーはすでに完全に地域軍事力量に身を落とし、空母は一度は「無用の品」となった。1982年、イギリスとアルゼンチンにマルビナス島戦争(頑住吉注:フォークランド紛争)が勃発し、「鉄の女」がかき集めた遠洋艦隊は曲折の末戦争に勝ったが、このことはイギリス人に大、中型空母は依然不可欠と認識もさせた。2つの作用の下、イギリスは一種矛盾した心理を形成した。すなわち、空母が欲しい、だがそれにもかかわらず良すぎる空母は必要ない、と。

技術の上から言って、大型艦艇の原子力動力システムの要求は比較的高く、研究開発の難度は比較的高い。しかもこれはちょうどイギリスの弱点である。ロイヤルネービーで最も先進的な「Astute」号攻撃原潜が使用するのはやはり何十年前の反応炉である。もし不成熟な製品の使用を強行ということなら、隣家の「ドゴール」号がまさに血塗られた教訓である。このため、イギリスはガスタービンと完全電力推進システムを新空母の動力システムのコンビネーションとして採用した。それが装備するMT-30ガスタービンはロールスロイス社の最新製品で、使用寿命は5万時間にも達し、現在のいかなる船舶用ガスタービンエンジンよりもはるかに長い。総合完全電力推進方式はさらに一歩新空母の運転効率を向上させている。アメリカの「フォード」号さえ完全電力推進システムをあえて用いていないことを知る必要がある。

装備発展の知恵は「長所を伸ばし短所を避ける」にある。老舗軍事強国のイギリスはこれを非常に深く理解している。

艦橋の設置に関して

ダブル艦橋の良さはどこにある?


「エリザベス女王」号と世界のあらゆるその他の空母との最も顕著な差異は、おそらくその独自の道を行くダブル艦橋設計に他ならない。周知のように、艦載機をその存在意義とする空母にとって、甲板は「クリーン」なほどよく、このため新たに設計される空母はいずれも艦橋の寸法の縮小に努力している。だが「エリザベス女王」号はそれにもかかわらず逆の道を行き、1つは前1つは後ろの2つの艦橋を設置しているが、これはまた何故なのか?

これに対しイギリスロイヤルネービーがする説明は次の通りである。ダブル艦橋は艦載機発着時の気流安定に有利で、下層甲板スペースレイアウトの柔軟性向上に有利で、レーダー反射面積減少に有利で、空中管制効率向上に有利である。

ダブル艦橋のメリットがこんなにも多い以上、ならば何故空母の設計、建造と使用に経験が最も豊富なアメリカは、「フォード」号に依然シングル艦橋設計を採用したのだろうか? 「エリザベス女王」号がダブル艦橋設計を採用したことにはまさか別に隠された事情があるのだろうか?

アメリカとは異なりイギリスロイヤルネービーは、空母は未来の艦隊の指揮中枢で、強大な通信指揮能力を具備することが必須と考え、このため「エリザベス女王」号により多くの電子設備を取り付けた。シングル艦橋に比べ、ダブル艦橋はより多くの取り付けポイントが提供でき、かつ分布がより均一で、位置がより良く、信号間の相互干渉妨害を有効に避け、もって電子設備、特にレーダーの性能を充分に発揮し、「シェーフィールド」の悲劇(頑住吉注:フォークランド紛争でアルゼンチンの対艦ミサイルによって撃沈される)の再度発生を避けることができる。同時に、ダブル艦橋は元々のシングル艦橋の機能区分をより明確にし、任務インターフェースをよりはっきりさせ、空母の運用効率向上に有利である。

当然、ダブル艦橋にも回避できない弊害がある。例えば飛行員の視野に障害を生じさせる可能性があるなどである。装備発展の角度から見て、「エリザベス女王」号空母がダブル艦橋設計を採用したのは作戦の需要と技術能力のバランスをとったことの産物である。実戦の背景を離れてダブル艦橋がシングル艦橋に比べ先進的か否かを深く検討する意義は決して大きくない。

やはりあの言葉、「需要が牽引、技術が推進」である。アメリカの元国防長官ペリーが提出したこの理論は、現在見たところ各国いずれに対しても依然適用される。
















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