「翼竜」無人機の開発

 開発機関の責任者や開発担当者に取材した記事です。

http://news.xinhuanet.com/mil/2015-01/02/c_127352115.htm


中国の未来の無人機の秘密を明かす:あるいは空中格闘、極超音速飛行が可能か

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:『利剣』無人機」)

2001年、アフガニスタンのタリバンに対するある打撃行動の中で、米軍は初めて「プレデター」無人機を使用してある駐車場に向け2発のミサイルを発射し、アルカイダのナンバー2の人物を攻撃して殺した。これより無人機の偵察・打撃一体の時代が開かれた。この時の作戦は世界各国に極めて大きな震撼をもたらした。偵察・打撃一体無人機の種々の優勢にかんがみて、国際市場のこの種の無人機に対する需要も日増しに増加し、中航工業成都飛行機設計研究所は市場の需要に応えるため、自身の航空機研究と設計の優勢を結合させ、「翼竜」偵察・打撃一体無人機を登場させた。

「翼竜」無人機研究開発の概況

「翼竜」無人機の総設計師師李屹東は記者に向け、「翼竜」無人機システムは中航工業成都飛行機設計研究所によって国際市場の需要を根拠に自己資金で研究開発された、と説明した。2005年にプロジェクトは正式に始動し、2007年に初飛行を実現し、2008年に初めて正式に対外的に公開された。2009年6月に国家の輸出許可を獲得し、2010年に大量生産とユーザーへの引き渡しが開始された。

「翼竜」無人機システムは国内初の偵察・打撃一体無人機システムで、主に次のものに応用される。伝統的軍事領域の戦場偵察、監視、打撃効果の評価、小型面目標に対するリアルタイムの打撃、電子偵察と妨害、データ中継など。非伝統的安全領域の対テロ監視、打撃あるいは非致命威嚇、騒乱に対する監視と非致命威嚇の実施、国境パトロール、麻薬取り締まり、対密輸など、および民間領域の資源調査、災害監視および評価、映画テレビ撮影など。

「翼竜」無人機システムは昼夜にわたってミサイル陣地、地上の飛行機、装甲車、戦車、中・小型輸送車両、小型建築物および小型掩体などの目標を偵察監視できる。小型建築物、ミサイル陣地、中・小型輸送車両などに対する識別が行える。昼夜にわたって装甲車や戦車、中・小型輸送車両、小型建築物および小型掩体などの目標に対する攻撃が行える。

任務搭載荷には偵察設備と武器外部吊り下げがある。偵察設備には可視光線/赤外線/レーザー距離測定光電子吊り下げポッド、CCDカメラ、合成開口レーダー、電子偵察設備、通信情報偵察設備などが含まれる。武器外部吊り下げ搭載には、レーザー制御誘導空対地ミサイル、レーザー末端制御誘導空対地ロケット弾、レーザー制御誘導空対地ミサイル、航空親子爆弾などが含まれる。

地上コントロールステーションはデータリンク地上ステーションと指揮コントロール地上ステーションによって組成される。データリンク地上ステーションは飛行に対するコントロール指令の完成、機載任務設備のコントロール指令、火力コントロール誘導情報やリンクコントロール指令のリアルタイムな発信、無人機の飛行状態に対する情報、飛行パラメータ、偵察設備の作動状態パラメータ、偵察情報およびリンクの作動状態のキャッチに用いられる。任務コントロールステーションは無人機に対する任務計画、発進/飛行のコントロール、偵察設備のコントロール、武器発射コントロール、リンク管理、飛行状態情報処理・記録表示、偵察情報の処理・表示と記録、模擬訓練機能の実現に用いられる。

能力は実力に源がある

技術指標から見て、「翼竜」の性能は国際的に先進的な偵察・打撃一体無人機と優劣がないが、プロジェクト立ち上げから初飛行まで2年の時間しか用いておらず、ユーザーへの引き渡しにも5年の時間しか用いていない。ならば、「翼竜」無人機はどのようにして高い効率、高い速度での研究開発、引き渡しを実現したのか? 殲ー10と「梟竜」の研究開発過程を経験した李屹東は笑って、これは完全に成都所の殲ー10など第3世代機の研究開発による基礎技能のおかげである、と言った。

設計当初、「翼竜」の位置付けは「偵察・打撃一体の中/低空低速、多用途、長航続時間無人機システム」だった。研究開発目標に照準を合わせ、市場の位置付けを正確に探し出すため、中航工業成都所は有人機および航空宇宙技術プラットフォームの成熟した技術研究開発の優勢を不断に「翼竜」無人機プラットフォーム上に転化し、研究開発する「翼竜」無人機に完全自主の水平車輪式発着および飛行能力を具備させ、光電子偵察照準設備、合成開口レーダー(SAR)、電子偵察/対抗および警告自衛などの任務搭載荷および小型航空武器を搭載し、監視、偵察、対テロ打撃などの任務が執行できるようにさせ、戦時・平和な時の応用価値を具備させ、国際航空市場の同類製品の優秀者とさせた。技術能力の優勢は「翼竜」のスムーズな研究開発成功の保障となっただけでなく、ユーザーの使用のためにも少なからぬ自信を増やさせた。

中航工業成都所の無人機研究開発の技術的実力に言及して、所長の季暁光は我々に向け成都所が無人機領域で取得し得た非凡な成績の「奥秘」を明かした。

季暁光は記者に向け説明し、無人機の産業全体のチェーン状の連なりから見て、成都所の技術的実力は有形と無形の2大部分に分かれる、とした。有形の実力はまた研究開発、生産、応用の3つの方面の優勢に細分できる。研究開発から言うと、「翼竜」の研究開発作業には何故こんなに速い進展があったのだろうか? これは実際には以前の第3世代有人戦闘機の研究開発成果に基づいており、無人機の研究開発は第3世代機のフライバイワイヤ技術、慣性ナビゲーション/GPS技術、火力コントロール技術、データリンクなどの技術を無人機上に総合的に応用したものであり、このようにして無人機の大部分の技術的難題はすらすらと解決したのである。こうした技術は決して突然に出現したのではなく、この一切はまさに殲ー10などの飛行機の研究開発過程を通じて、中航工業成都所にこうした技術を掌握させたものなのである。現在こうした技術は成都所にとって比較的成熟したものと言え、無人機プラットフォーム上に総合するのは全く自由自在だった。これはまるで武術界の名手のようで、ひとたび奥義を会得すれば、拳法の動作はもはや一般の型の手順に拘泥せず、必要に基づき変幻自在なのである。

生産、製造から言うと、中航工業成都所はやはり非常に豊富な経験を持っている。1つのプラットフォームシステムは多くのサブシステムから構成され、こうしたサブシステムの非常に多くはその他の専業メーカーによって完成されたもので、こうしたサブシステムをスムーズに一体に総合し、完備された大システムを構成できるか否かに関しては、最終的な総組立を行う機関の集成能力を見る必要がある。そして成都所はメインの研究開発機関として、システム集成は最も身につけている基礎技術的実力の1つであると言うことができる。成都所の要求に基づいて生産された「翼竜」のサブシステムの最終的な総合集成も当然成都所によって完成された。

さらに一歩研究開発、生産の期間を短縮し、市場化に素早く応えるという需要に適応するため、成都所は「翼竜」無人機の集成、総組立、引き渡しの組織管理模式を大胆に創新し、「翼竜」連合生産管理事務室の創設により、所内でシステム設計、システム集成、試験・試験飛行などの核心任務を引き受け、製造、機載設備、データリンク端末外注を集めた集成生産模式を採用し、完成品機関と「利益は共に享受、リスクは共に負担」し、「翼竜」無人機の素早い生産と引き渡しを実現した(頑住吉注:この部分非常に複雑な文で難解な専門用語も多用され、ちょっと訳が怪しいです)。

応用の角度から語る。長年の製品研究開発経験によれば、ユーザーは使用中にも各種各様の要求を提出するだろう。何故なら現在無人機の発展は非常に完備された状態に到達するにはほど遠いからである。全く逆に、無人機の使用模式はまだ不断に発展し完備される途中にある。この時、全体的研究開発機関の研究開発・生産の優勢が体現されてくる。研究開発機関はユーザーが提出する新たな需要を根拠に、素早く使用模式ソフトウェアあるいは任務機能ソフトウェアを変更、修正し、ユーザーが使用中に遭遇した難題をいち早く解決できるようにさせることができる。

無形の技術的実力は中航工業成都所のより核心的で、より貴重な財産である。無形の実力は成都所の航空製品の長年にわたる部隊就役使用の経験、航空武器の作戦プロセス、各種の複雑な環境下での使用模式、状態にルーツがある。こうした貴重な経験は長年にわたって累積された成果であり、金銭を用いて価値を計り難い。一般の無人機メーカーが獲得し難い核心技術でもある。成都所はこうした経験をソフトウェアに編成し、この種の多様性、全状態のデータソフトウェアは「翼竜」無人機に一般の無人機を超越するセルフ適応能力をも持たせ、使用中より柔軟で、応用範囲もより広範になるだろう。

現在に立脚し未来に着眼する

季暁光との対話の中で、記者は中航工業成都所が決して「翼竜」の成功ゆえに技術研究の歩みを緩めてはいないことを理解した。季暁光は明確に、中航工業成都所の無人機発展の位置付けを話してくれ、それは国内のハイエンド無人機の研究開発、生産、サービス基地を作ることである。現在の成都所の建設も、上述の研究開発、総合集成、アフターサービスの3方面を根拠に展開されている。

季暁光は、研究開発は概念に始まり機体設計まで、さらには設備集成の全過程まで、設計中に必要とされるいくつかの製品は、中航工業あるいは外部の優勢を持つ機関に頼って完成される、と説明する。総合集成は成都所がメインで担当する部分である。この部分において、研究開発機関は全システム集成サービスのため、生産工場の優勢を充分に発揮するだろう。アフターサービスは利用と顧客が互いにに影響し合うもので、顧客が遭遇した問題を不断に解決し、顧客の需要を実現し、システムの価値増加を実現するのである。

製品計画の上からは、成都所が研究開発した無人機はハイエンドおよび先進製品に立脚する。現在「翼竜」のような大型無人機があるだけでなく、さらに独特の発着方式のVD200、および船に搭載して使用する「海巡者」などがある。現在成都所は依然軍用無人機をもってメインとしているが、民間用無人機に向けて拡張展開しつつある。季暁光は、中航工業成都所は国内の大多数の無人機メーカーと正面からの競争を展開することはないだろう、このようにしたのでは技術の優勢も体現できないし、生産能力の浪費にもなるだろう、と語る。成都所が研究開発する無人機製品は、国内の絶対多数の無人機メーカーが望んでも及び難い技術レベルを持つことになる。民間用無人機の発展から言うと、一般の環境での使用の下では、大部分の無人機が問題を解決できる。真に技術的挑戦の意義を持つのは特殊な環境下での使用、例えば海上での応用、突風に抗する、長航続時間飛行、複雑な地形や気候の下での発着などであり、これらこそが中航工業成都所の優勢の在処なのである。

相互に促進、技術の共生

無人機の発展に言及して、李屹東は我々に自分の無人機の未来の発展に対するいくつかの認識を話してくれた。李屹東は、将来の作戦発展の趨勢は、有人機と無人機の共同作戦である可能性がある、と考える。現在世界の防空武器の発展はどんどん先進的になり、このことは有人機に対する脅威もどんどん大きくし、アメリカの何度もの対外空襲作戦の中では、相手方の防空力量が米軍の先進実戦機の面前では取るに足りないものだったにもかかわらず、実際の作戦の中で飛行員はやはり非常に緊張した状態に置かれ、米軍機が撃墜されたとの情報もしばしば見られて珍しくない。飛行員の安全に関する考慮から、研究人員は無人機を有人機の「ナビゲーター」として、センサーやレーダーを搭載して前に置いて配備することができるか否かを構想している。このようにすれば防空武器の攻撃ゆえにもたらされる飛行員の死傷を非常に大きく減少させることができる。また、目標を攻撃する時、有人機が搭載する武器の数はつきつめれば有限であり、武器庫としての無人機を開発し、有人機に代わってより多くのミサイルを搭載し、甚だしきに至っては有人機の指揮下で有人機を助けて地上あるいは空中の目標に対し攻撃を発動することはできないものだろうか? さらには空中格闘、極超音速飛行などといった創新性の項目があり、中航工業成都所の研究人員もいかにして無人機で実現するかを考慮している。

李屹東は、現在無人機の人工知能技術はまだ人類の飛行員の飛行経験に遠く及ばない、と語る。無人機は一定程度上まだ人の操作に依存している。だが両者の発展は互いに促進と補充の作用を果たし、例えば無人機の人工知能技術は非常に大きく飛行員の操作の負担を軽減しており、一方有人機上の自動制御、データリンク、ナビゲーション技術も無人機をもはや簡単な遠隔操作の航空模型ではなくさせている。要するに、両者のいかなる一方における技術上の突破も、他方の設計、生産の中に応用できるのである。

まさに前述のように、この種の機種の間での技術「移植」は、新機種上に新技術を採用することがもたらすリスクを下げているだけでなく、プロジェクトの進度とコストいずれにも有効な統制を達成することができ、しかもより多くの機種でより多くの技術検証が実現できる。この種の穏当な技術的進歩の中で、有人機と無人機の技術は共に向上し得ているのである。


 まあ「翼竜」の開発が早かったのはアメリカの先行する製品の全体的コンセプトやデザインを相当程度参考にできたことが大きいと思うんですがそれには全く触れられていませんね。しかし日本でも一部の研究機関などが無人機に取り組み始めているようですが、軍で実際に使用される飛行機を長年作ってきたことによる成都飛行機の経験がこうした新規参入者より有利に働く面があるのは確かでしょう。




















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