中国、インドのLCA戦闘機を評する

 インドはスリランカに売り込みたいようですが。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/12/15/018002212.shtml


インドのLCA戦闘機、30年あまりの困難は非常に大きい あるいはステルス中型実戦機研究開発の助けになるか

アメリカの「ストラテジー ページ」ウェブサイト最近の報道は、政府の「テジャス」軽戦闘機(LCA)100機を再購入する提案に対し、インド空軍は度胸を据えてボイコットした、とした。空軍指揮官たちは、LCAの研究開発は失敗に満ちあふれている、と強調する。また現在この種の設計の維持保護コストは非常に高く、空中での作業はてんでなっていない、という。

冷静に言って、LCA戦闘機の性能はなかなかで、もし10年前にあらゆる技術問題が解決できていたら、現在本国空軍に大量装備されていたと見積もられるだけでなく、さらにはすでに非常に多くの途上国の天空を飛び回っていた可能性がある。ただ惜しいことに繰り返される難産が本来この機の最も良いものに属したはずの時代を逃させ、本国の空軍さえ歓迎しない「失意」の戦闘機とした。

自主国防の希望の「鷹」

インドは南アジア地域で工業体系が相対的に完備された国で、アジア地域で最も早く航空工業を発展させた国でもある(頑住吉注:いや日本より早いことはないでしょう)。1950年代、インドはイギリスの技術を導入し、自ら「蚋」式ジェット戦闘機の生産を行い、インド現代航空工業の処女作となった。だが、技術的蓄えが限られ、人材が乏しく、工業能力水準が全体的に高くなかったため、インド航空工業の進展は緩慢で、長期にわたり外部の援助に頼り緩慢に発展する局面にあって、実戦機を対外購入することもインドが軍を強化する主要な方法だった。導入した装備の性能は優秀だが、印パ戦争時期の戦損の補充や維持修理保障はそれにもかかわらずインドを甚だしく苦しめ、自主国防工業の発展がインド政府の国策の1つとなった。

1980年代初め、アフガニスタンに進駐したソ連空軍に対抗する需要から、インドの主要な戦略的相手であるパキスタンはアメリカからF-16戦闘機を受領した。この戦闘機の性能はインド空軍が装備するあらゆる機種を全面的に超越していた。インドは非常に刺激を受け、全面的にF-16を超越し、かつミグー21戦闘機に大量に取って代わり得る新型戦闘機を研究開発する決心をした。インド空軍は2000年までに、10個飛行中隊をこの戦闘機に換装することを計画し、総装備数は約230機で、自信満々ということができた。

理想は非常に豊かだっだが、現実はごく貧弱だった。このインド自主国防の夢を乗せた「戦鷹」はそれにもかかわらず波乱に満ち、紆余曲折、進度は深刻に遅延した。

1980年、インドはLCA戦闘機プロジェクトを発表した。1983年、研究開発作業が始動した。1984年、航空発展局が成立し、LCAの研究開発を専門に担当した。1990年、戦闘機の全体設計が完成した。1995年、第1機目の技術検証機が製造された。2001年、第1機目の技術検証機が初飛行を行った。2003年、第1機目の原型機が工場を出た。2007年、少量生産が開始された。2008年、生産型が初飛行した‥‥2014年になり、この研究開発が遅延に遅延を重ねること30年あまりの戦闘機はやっとインド空軍入りして正式に就役した。だがすぐに少なからぬ品質問題を暴露し、非常に多くの軍からの疑問や批判を受けた。LCA戦闘機発展の歴史的過程から見て、インド自主国防の夢は完全に破綻してはいないが、明らかに充分に満足いく形ではない。

性能が比較的優れた力強い「鷹」

LCAは小型制空戦闘機で、全体性能は基本的に世界の第3世代戦闘機の水準に到達し、中小国や途上国の空中の防御の要求を満足させることができる。

この機の全体設計は比較的良く、全長13.2m、全幅8.2m、全高4.4m、アスペクト比1.8、主翼面積37.5平方m、最大水平飛行速度2,400km/h、実用上昇限度は1,6000m近く、最大航続距離は3,000km近く、空中給油能力を持つ。この機は大デルタ翼、無尾翼、機体両側からの空気取り入れという空力レイアウトを採用し、制限過負荷は+9/−3.5Gで、近距離格闘能力突出し、かつ短距離離着陸ができ、全天候作戦ができる。

この機は複合材料を大規模に使用している。機体の主要な負荷を受け入れる部品にアルミ合金とチタン合金材料が採用されていることを除き、その主翼、機体外皮、空気取り入れ口、昇降用補助翼、方向舵、減速版などには主に複合材料が採用されている。複合材料構造部品の総重量はLCAの総重量の40%を超え、この比率はアメリカのF-22ステルス戦闘機に比べてもずっと高いだろう。複合材料の大規模運用は、この機の固定組み込み部品を半減させ、かつ2,000あまりの機体の組み立て穴を減少させている。顕著に飛行機製造の作業量を減少させ、機体重量を軽減し、飛行機のレーダー反射面積も顕著に減少させている。

体型はスマートだが、LCA戦闘機の武器システムは比較的強大で、23mmダブルバレル機関砲1基を装備し、7つの武器搭載架を設置している。機体腹部下に1つ、両側の主翼下面にそれぞれ3つで、空対空ミサイル、空対地ミサイル、対艦ミサイル、航空爆弾、および制御されないロケット弾など多種の武器が搭載でき、外部搭載総重量は4トンを超える。インドはさらにこの機の左側の空気取り入れルート下方に照準吊り下げポッドの搭載架を増設し、もってさらに一歩その正確打撃能力を強化する計画である。またこの機が装備する機載レーダーの探知計測距離は100kmを超え、同時に10個の目標を追跡でき、この機に超視距離空戦能力を賦与し、これは世界の軽戦闘機の中で先進的な水準に属する。

危機を隠し持つ問題ある「鷹」

LCA戦闘機の未来の発展過程の中で、もし以下の4つの問題が解決できなかったら、この機をインド軍が大量装備する主力戦闘機にしようとすることはおそらく決して楽観できない。

1つ目は国産エンジン研究開発の問題である。インドのLCA戦闘機専用に研究開発された「カフリ」ジェットエンジンは、1980年代末から今に至るまで研究開発して20年あまりになるが、このエンジンの性能はそれにもかかわらずアメリカ製エンジンの水準に到達し難く、しかもその信頼性は比較的低く、大規模生産までまだ一定の距離がある。もし国産エンジンの研究開発、改良そして生産が進度に追いつけなかったら、LCA戦闘機の大量就役は「心臓病」の問題に直面することになる。

2つ目は戦闘機の大規模生産と品質管理の問題である。インド国防工業の効率は低めで、管理も比較的乱れ、このことはこれまでの期間にメディアが公表したLCA戦闘機の粗末な生産作業場から一端を見ることができる。もしこの機の生産速度が上げられなかったら、将来インド空軍は古い機が大量に退役するにもかかわらず新たな機が引き継ぎ難いまずい局面に直面することになる。また、インド航空工業の生産技術は充分精細ではなく、LCA戦闘機の質は軍をあまり安心させていない。インド監査院は最近この機には53カ所の欠陥があると宣言し、世界を愕然とさせた。

3つ目は価格コントロールの問題である。インド国産武器の価格コントロールは多くが一路高騰で、LCA戦闘機も例外ではなく、その研究開発費用は当初たった1.2億アメリカドルと計画されたが、工期の遅延および不断に直面する新たな技術問題ゆえに、研究開発費用はすでに11.5億アメリカドルにまで高騰している。こうした費用は、将来大量就役するLCA戦闘機によって頭割りにされ、この機を性能は特別に最先端とは言えないが、それにもかかわらず価格は国外の同類戦闘機に比べいくらも安くないコストパフォーマンスの低い戦闘機とさせる。

4つ目は性能アップの問題である。LCA戦闘機の艦載型はすでに滑走試験を行っており、将来は「ハリアー」式戦闘機に取って代わりインド空母の主力艦載機の1つとなる。だが客観的に言って、この機種の後続の発展ポテンシャルは限られ、主にLCA戦闘機が軽戦闘機に属し、機体が狭小で、後続の改装に残されたスペースに限りがあるからである。また、この機は設計当初決してステルス設計の問題を考慮しておらず、世界の第4世代戦闘機基準とではまだ非常に大きな隔たりが存在する。こうしたことはLCAの発展のためにも隠れた問題を潜伏させている。

5つ目に国産化率アップの問題である。インドはこの戦闘機を研究開発する初期、かつて5項目の突破を必要とするカギとなる重要な性質の技術を設定した。すなわち、複合材料、ガラス化コックピット、フライバイワイヤシステム、多機能機載レーダー、先進的なターボジェットエンジンである。複合材料とガラス化コックピットがすでにインドによって難関攻略されたことを除き、その他の3項目はインドの工業能力の範囲を超えている。現在この機の国産化率は60%前後にしか到達できていない。これは明らかにインドの予想に到達しておらず、戦時には依然技術ソース国によって「首締め」される隠れた災いに直面している。

当然、我々はインド政府、インド軍およびインド工業部門のこのプロジェクト推進の中に存在する各種問題を分析する他に、彼らの取得した成就を肯定もするべきである。より重要なカギは、この戦闘機の30年あまりにもわたる研究開発を通じて、インド航空工業が貴重な経験を積み、一定数の技術隊伍をも養成および鍛錬したということであり、このことはインドが新たなステルスMCA中型戦闘機プロジェクトを推進することに対し非常に有意義である。(作者は劉征魯 機関:国防大学)


 指摘されている問題の中には程度の違いはあれ中国にも当てはまるものがあり、また失敗作に近くても人材養成、技術の蓄積の役に立つというのはもちろん、最先端技術の塊である戦闘機の開発は多くの産業に波及効果が期待でき、これは例えば日本のステルス戦闘機開発にも同じことが言えるわけです。














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