フィリピンの中国への対抗手段には問題あり?

 まあ客観条件がこれ以上のやり方を許すのかという問題もありますが。

http://military.china.com/news2/569/20141024/18893835.html


アメリカメディア:フィリピンによる中国提訴は成功し難い ベトナムが2つの手段の準備を行うのに学ぶべき

アメリカの「国家利益」誌は10月23日にフィリピンのマニラのDe La Salle大学の国際事務・政治科学準教授リチャード ジャワド ハイデリンの文章を発表し、10月初めにフィリピンは中業島内の古い飛行機滑走路に対し維持修理グレードアップを行うのを暫時停止することを決定した、とした。中業島は南沙諸島で面積が最大、陸地の価値が最高の島嶼で、それ自体の200海里排他的経済水域を持つ。中業島の上の飛行滑走路はフィリピン武装部隊の戦力投入能力およびフィリピンの主張する直接的領海外の海上権益の維持保護に対し特別に重要と言える。

長年来、フィリピンはずっとたとえ1機の近代的作戦機も装備してはいない。だが今後数年内、韓国はフィリピン向けに12機の総額4.157億アメリカドルのFA50戦闘機を引き渡すと見られ、フィリピン海軍はその実力不足かつ時代遅れの古い戦闘機と艦隊を徐々に補充しつつある。すでに故人であるフィリピンの独裁者フェルナンド マルコスは南海の争いある領土に永久防御性基礎施設を建造する重要性を認識していた。この戦略眼のある指導の下、フィリピンはずっと方法を講じて有効に中業島を支配してきた。中業島の上には永久性の住民コミュニティがあり、さらに自らの市長を持っている。だが、現在フィリピンのこの島の上における優勢はすでに消失している。

マニラは「道徳的至高点」を維持することの重要性の強調によって、この極めて論争性のある挙動を説明することを企図している。現在フィリピンはすでに南海の国際的争いにつきハーグ国際法廷に向け4,000ページにもわたる「訴状」を提出し、中国が言明する南中国海に主権を持つとの説に挑戦している。簡単に言ってフィリピンは、事実から中業島がフィリピンの支配下にあることを確保できる有形のメカニズムではなく、本質的に不確定な法律行為の採用を優先的に考慮したのである。しかも、中国はこれまでずっといかなる国際機構の領土画定および主権に関する問題の審査権をも承認することを拒絶している。全く疑いなく、中国はフィリピンが必要もなく、主に外交ルートを通じて解決される領土の紛糾問題を国際化して危機を挑発して引き起こしていることを非難している。

これと同時に、最近署名された「フィリピン・アメリカ防御協力強化協議」の執行貫徹方面において、マニラとワシントンは再度法律および政治的障害に直面している。両国がこの協議を成立させた目的は、中国が日増しに自信をつける状況下でアメリカとフィリピンの軍事同盟関係をグレードアップさせることである。

フィリピンの法律戦略が成功するのは易しいことではない

フィリピンの軍事専門家ジェイ バタンバカは最近、一部のフィリピン当局者が考えるのとは異なり、フィリピンのハーグ国際法廷における仲裁請求は、決して「容易なこと」ではない、とした。もしフィリピンが有利な法律的結果を獲得できても、中国は簡単にそれを無視できる。結局のところ、仲裁法廷は主権に関する問題を最終的に解決するために設けられたのでは決してなく、その最終的な仲裁結果を貫徹させ得ることを確保するメカニズムも決してありはしないのである。

事実として、フィリピンに対し有利な仲裁結果はせいぜいフィリピンが新興海上大国に対抗する時の「道徳感」を増強できるだけである。簡単に言えばもしフィリピンの法律戦略が、主旨が既成事実を改変することにある中国の日常行動に照準を合わせて推進されるより広範な戦略の中の一部分ならば、この戦略には意味がある。論理的に言って、もしフィリピンが法的訴訟を提起すると威嚇すれば(事実訴訟を提起するのではなく)、中国を談判のテーブルに座らせることができる。あるいはベトナムなどフィリピンと似た問題を有する国と合同で訴訟を提起し得ることこそフィリピンにとって最も好ましいと言える。

冷戦終結後から、フィリピンは争いある水域において日増しにその競争相手によって制圧されている。元フィリピン国家安全保障顧問ロイロ ゲライスは、フィリピン武装部隊は非常に長い時間内国内の安全に過度に関心を注いできたが、1990年代以来安全保障環境にはすでに変化が発生している、と指摘する。フィリピンの指導層は中国の南海における挙動を見るべきである。フィリピン武装部隊の近代化の努力はフィリピンの排他的経済水域に出現した新興の脅威を解決するにはまだ不足であり、まさにゲライスが指摘するように新たに支出される予算項目は通信設備や夜視設備などの小さな設備の配備に用いられ、多用途戦闘機や海軍資産などの高額な装備の購入にではない。しかもこうした装備は海上の防御に対して極めて重要と言えるのである。

外部の反中国への支持を積極的に勝ち取る

フィリピンは米軍の回帰を招聘することによってその弱点を補うことを企図している。1991年、アメリカ・フィリピン軍事基地協定が満期になった後、アメリカは大幅にアジア太平洋地域における軍事的プレゼンスを減少させた。中国は全く時間を浪費することなく、米軍がフィリピンのスービックおよびクラーク基地から撤収したことが原因でできた臨時の権利の真空状態を利用し始めた。しかしオバマ政権はずっと、中国とフィリピンが領土の紛糾による問題が原因で衝突を発生させた時、フィリピンを支援するだろうと明確に表明することを拒絶している。

また、アメリカとフィリピンはさらに両国の軍事同盟の全面グレードアップに努力している。何故ならフィリピンの憲法は他国がフィリピンに永久性軍事基地を設立することを許しておらず、両国が署名した「安全保障業務協力強化協定」の執行をアメリカ・フィリピンが貫徹することを制限しているからである。この協定の主旨は、フィリピンの中国に対する最低限の威嚇を強化することにある。ここ何日か、アメリカ・フィリピン両国関係はまさに試練を受けつつある。あるアメリカの海兵隊兵士がフィリピン公民1人を殺害した嫌疑がかかっており、この件はフィリピン公衆の憤慨を引き起こしている。この事件は再度人々の国外の軍隊の職権乱用に対する憂慮を呼び覚ました。民族主義者や民族主義運動も米軍のフィリピン領土への出現に対する反対を徐々に強化しており、彼らはこの挙はフィリピンの主権を破壊していると考えている。

サンディエゴなどフィリピン上院議員は「部隊訪問協定」の取り消しをアピールし、一方その他の上院議員は二国間協定の再審査をアピールしている。1998年の「部隊訪問協定」が、ホスト国にはアメリカ軍人が関わる刑事事件に対し完全な管轄権がないことを規定して以来、刑事管轄権はフィリピンにおいてずっとデリケートな政治問題である。現在いわゆる殺人犯はスービック湾のアメリカ当局の監視支配下にある。アメリカ当局は全面的で徹底した事件調査を請け合うことによって今回の事件の政治的結果を制限することを企図している。

アメリカの刊行物の文章は、中国大陸がその建築活動(栄興島に滑走路を1本建設し、かつ永暑礁に似た施設を建設する)を強化するのと共に、台湾は1億アメリカドルを費やして大平島に港を建設し、現在この島の上にすでに維持保護が良好な軍用滑走路を持っている、とする。新たな港は2015年に完成する見込みで、沿岸警備隊の巡視艦および護衛艦を収容できる。台湾はさらに大平島上の滑走路をグレードアップしつつあり、もってこれをC-130「ハーキュリーズ」輸送機の発着に供することができるようにさせ、また高解像度衛星画像を利用して南海全体を測量もしている。

ベトナム、インドネシアは2つの手段による対中国準備を整えている

最近の石油掘削プラットフォーム危機解決のため、ベトナムは積極的に外交攻勢を展開し、8月末ベトナム共産党中央政治局委員の黎鴻英が訪中し、ベトナムの外交攻勢を頂点に到達させた。その時から中越両国の緊張した情勢は静まり、両国はいずれも現有の危機管理メカニズムの強化を探求し、今後類似の危機が出現することを避けている。2012年には早くも、中越両国外務省は海上の紛糾を包括する一連の問題につきホットラインを開設した。2013年、ベトナム農業・農村発展省と中国の農業部はホットラインを開設し、海上漁業資源と関係あるリスクと紛糾の発生を予防している。ベトナム当局者の言によれば、最近中越両国はすでに国防省直通電話開設で同意している。中越両国防省間の直通電話が類似の危機の発生を阻止できるか否かはまだ観察が待たれるが、ベトナムが力を尽くしてあらゆる利用できる外交ツールを利用して中国と類似の重大な衝突が発生するのを避けている、ということはごくはっきりしている。

ベトナムはその最低限の威嚇能力を強化しつつもある。最近2隻のロシア製の先進的な「キロ」級潜水艦を購入した。ハノイはワシントンが対ベトナム武器輸出を緩和する決定を歓迎しており、この決定はベトナムがその民事法執行能力を強化することに対し助けになる(頑住吉注:この民事というのは軍事と対になる言葉で、ここでは海上警察の武装強化などのことを言っていると思われます)。インドネシアも海上政策簡略化の努力を加速しており、同時に国防支出を増加し、もってインドネシアを「全世界の海上の中心」に変えるという目標を実現する。要するに、中国の西太平洋における競争相手は2つの手段の準備を整え、海上の能力を発展させるのと同時に、北京との間のカギとなる重要な外交チャンネルを保持することを必ず必要とするということは非常にはっきりしている。これに比べると、フィリピンはすでにあらゆる戦略の「卵」を法律という「籠」の中に入れている。(知遠/北風)


 最後のは「あらゆる卵を1つの籠の中に入れてはならない」ということわざからきた表現で、例えば大きな会社が飛行機事故が起きた場合に致命的なダメージになるのを避けるため同じ飛行機に役員全員を乗せない、というような、リスクは分散させろ、ということですね。ここでは解決策を1つに絞ったらそれがうまくいかなかった場合どうにもならなくなる、と言っているわけです。しかしこの文章自身が言っているようにフィリピンも戦闘機購入などできる限りのことはしているわけですが。ちなみに私は国際法廷の裁定に強制力がないというのはその通りでも、中立な場で議論した結果フィリピンに有利な判定がなされた、あるいは中国が不利と見てその場への出席を拒絶した、という結果は国際世論的に非常に大きな意味を持ち得ると思います。
















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