「遼寧艦」の戦力を向上させるには

 設計が古くカタパルトもない「遼寧艦」の戦力が限られているのは誰もが認めるところですが、これはそれをどうしたら改善できるのか、という考察です。

http://club.china.com/data/thread/1013/2748/66/55/7_1.html


遼寧艦の戦力向上の方法を詳細に検討する

遼寧艦はすでに海軍が引き継いだが、戦闘能力は具備していない。海軍が引き継ぎ、船工場が助けるというのが、空母自体の管理と維持メンテナンスにより有利であり、対接にも便利だというだけのことである(頑住吉注:「対接」はドッキングなどの意味がありますが、ここでの意味は不明です)。この名の艦とロシア人のクズネツォフ艦は同じ級別に属し、いくらかの変更はあるかもしれないが、スキージャンプ式発進だという事実は変えられない。スキージャンプ発進とカタパルト発進は異なり、カタパルトは戦闘機に外力を加え、したがって戦闘機を燃料満タン重搭載で発進させることができる。一方スキージャンプ式発進は甲板の末端にジャンプ用の角度を追加しただけで、形を変えた甲板の長さの延長に属し、外力の助けはないので、戦闘機が燃料満タン満載で発進を達成するのは非常に難しい。このため殲-15は全力を尽くしても威力を発揮できず、戦闘力は大いに割引になる。それでは良い方法ありやなしや? 殲-15の能力を非常に大きく増強させる方法は? こうした問題に関し、我々は詳細に検討してみよう。

まず、少なからぬ人がカタパルトを追加して解決することを考えている。下の図のようにである。(頑住吉注:画像は原ページを見てください。黒い実線部分がカタパルトということのようです。)

しかし、1基の蒸気カタパルトを追加することなど冗談ではない。まず、甲板にスリットを設け、蒸気カタパルトの付属設備を追加する必要がある。数百トンの重量も空母のバランスを崩す。しかも艦載機にも改造が必須である。例えば前輪にカタパルト用のフックを増設し、液圧制動バーも設計上拡大する必要があるなどなど膨大な問題が付随してやって来ることになる。(頑住吉注:この後「カンフーパンダ」のセリフがどうとか豆腐がどうとか意味不明のたとえ話が出てますが飛ばします。なおこの後の画像の部分名称は、左から「制動バー」、「カタパルト」、「カタパルト用フック」です)

カタパルト以外にもまだある提案はロケット補助推力を採用して発進するというものだ。事実として多くのミサイルがまさにこの方法を採用して発射されている。タンデム式、並列式がそれぞれあり、並列式補助推力ロケットは、補助推力ロケットとミサイルのエンジンを一斉に点火でき、発進のための推力はより大きい。(頑住吉注:この後にある画像が並列式を採用したミサイルの発射ですね)

もう1種のタンデム式のメリットは発射筒内に入れることができることだが、ロケット補助推力の完了後にやっとメインエンジンに点火することができる。(頑住吉注:もう少し下にあるのがタンデム式を採用したミサイルの発射だと思います。要するに並列式は横に余計なものを付け加えるので本来の発射筒には入らなくなってしまい、タンデム式はそのデメリットはないが当然第1段目のロケットの噴射が終わって切り離した後でないと2段目に点火できない、ということでしょう)

だが、補助推力ロケットはほとんど戦闘機には使われていない。何故ならロケットの噴射するガスはもの凄すぎて、主翼下に吊り下げたら戦闘機に致命的傷害をもたらす可能性がある。甲板にも一定の損傷が起こる。もし機の尾部に吊り下げ搭載するとしたら飛行機に対し改造を行わねばならず、制限が非常に大きく、さらに余りにも大きなリスクを冒す必要がある。このため、この種の方案は否決してよい。

これ以外にまだ別の方法ありやなしや? 例えば空母上の発進用滑走路の延長である。事実としてこの方法は実行可能である。我々は、制動ケーブルが発進用滑走路をさえぎっていることを知っている。このため滑走路は艦尾までは伸ばせない。これにより発進用滑走路は大きく制限される。だが我々は知っている。実は制動ケーブルは短時間で取り外せるのだ。取り外せば、空母は発進に使う滑走路を非常に大きく延長でき、作戦機の能力を非常に大きく向上できる。特に殲-15のような機はスキージャンプ発進なので、大型艦載機が持つ長い航続距離と大きな弾薬搭載量という優勢を発揮することが全くできず、ロシア人とインド人がいずれもミグ-29の使用に改めたことも納得できるというものである。

制動ケーブル取り外し後の対比図は下の通り (頑住吉注:薄いですが甲板の4本の黒い線ですね)

上の図のように、空母上には305mの滑走路がある。戦闘機の発進時空母は高速で航行しており、さらに加えてスキージャンプ角の作用があるので、陸上における600m前後の滑走路の効果に相当する。燃料満タン満載のスホーイ-33が発進するにはあまり大きな問題はない。もしこうだとすれば、殲-15の作戦半径は軽く1,500kmに達し、F-18や以後のF-35を超える。艦尾にさらに発進に用いるホイールチョックを追加するのは、全くもってちょっとしたことである。それだけではなく、もしこの方法を採用したら、固定翼早期警戒機すら発進できる。何故なら、運-7の滑走距離でも700mに過ぎず、もしエンジンにさらに手を加えればこれは完全に実現可能である。E-2の陸上での滑走距離は500mに過ぎず、これは彼らがエンジンに力を注いでいるからである(頑住吉注:ホイールチョックというのは車止めで、艦尾にこれを設置するとギリギリ滑走路の後端から滑走が始められる、という意味かと思います)。

だが、必ず見ておかねばならないのは、この種の方法の非常に大きな限定性であり、非常に多くの不利な要素もある。これについてはちょっと説明しておかねばならない。

1、制動ケーブルは発進後すぐにつながねばならない。さもないと戦闘機の着艦ができなくなる。もし本当にこうする必要があれば、纖-15と運-7をまとめて先に発進させ、その後急いで制動ケーブルをつないで着艦を可能にすることが必須である。(頑住吉注:画像に示されているのは制動ケーブルの着脱部分です)

2、発進時に空母甲板の大部分のスペースを占め、非常に少ないスペースしか戦闘機の駐機に使用できず、戦闘機のローテーションに不利で、特に運-7のような大型機にはそうである。これは戦闘機の配分に極めて不利である。

3、滑走中の偏向問題。陸地上では戦闘機は何千m滑走しても偏向することはない。だが空母上では間違いなく偏向現象が存在する。カタパルトを採用すれば、カタパルト発進時に拘束力があるので偏向は起こさせない。だが滑走による発進ではこの種の拘束作用がなく、滑走距離が長くなればきっと偏向が生じる。どうしようか? だが幸運なのは、この滑走路は空母の軸線付近に位置するので、偏向の影響は決して大きなものではない。何故なら滑走時の偏向は結局のところ艦の横揺れがもたらすのであり、この種の左右の横揺れが戦闘機の発進時に予定のルートから偏向させるのであるが、中心線寄りであるほど影響は小さい。このため、この問題も大きすぎる問題ではなく、海の状況が悪過ぎさえしなければ、克服できない問題ではない。

4、前輪の過負荷。これまでのいくつかの問題の克服が容易だったとしても、これはダメである。戦闘機がスキージャンプ角を過ぎる時、前輪に反発力が生じる。これは実際には向心力の作用であり、同時に戦闘機を上、前向きに持ち上げる力も生み出され、したがってスキージャンプ発進の作用が引き起こされる。スホーイ-33はカタパルト発進ではなく、このためその前輪にはダブルタイヤを採用する必要がない。シングルタイヤはカタパルトのミゾにはまり込み、事故を起こす可能性がある。だがスキージャンプ式発進ではこの種の状況は発生しない。それでもスホーイ-33がダブルタイヤを採用し、降着装置の支持部を補強している目的は1つ、それはスキージャンプ時に発生する反発力を受け入れる必要があることである。公式によれば、向心力の大小と速度の自乗が正比例し、質量と正比例し、アールの半径と反比例する。試しに考えてみると、艦載機が305mの滑走路から飛び立てば、速度はきっと200mの滑走路に比べ高くなる。だが滑走路の延長は満載満タンのためであって、ならば重量もきっと大きくなり、生み出される反作用の力も当然ずっと大きくなるはずである。だとすると殲-15の前輪はこれを基礎にさらに一歩強化することが必須である。さもないと事故が引き起こされる可能性が極めて高い。アールの半径を大きくすることはほとんど不可能である。何故ならこれはクズネツォフ艦の前部スキージャンプ部分を切り落としてジャンプの高度を大きくする必要があり、重量の新たな配分が必要になり、しかも艦首により大きな乱流が生じる(頑住吉注:ずいぶん時間をかけて考えないと理解できませんでした。重い機体を支えた車輪と指示架が高速でアール部分に差し掛かると負担がかかるのは当然ですが、それを軽減するにはアールをゆるくすればいいわけです。ならばジャンプの高度は低くなり乱流は小さくなるのでは、と思ったんですが、それではスキージャンプ発進の効力も小さくなってしまうので、既存のスキージャンプ甲板をゆるく曲げ直す形でなく、アールはゆるいが同じ効力を持つようになるまで延長する必要があり、艦のバランスが崩れ乱流も大きくなる、というわけですね)。

この種の方案の採用は艦隊の作戦模式に深刻に影響するだけでなく、しかも艦載機に手を加える必要があり、当然全く実行不可能であるとは言えないが、少なくとも一定の極限性がある。

これ以外の方法はもうないだろうか? 決してそんなことはない、進んで頭を働かせさえすれば、きっとより良い方法がある。水轟-5と組み合わせる方案の方が少しいい。我が水轟-5を例にすると、スキージャンプ発進の空母と組み合わせると、思いがけない作用を引き起こすことができる。どんな作用があるか? それは給油機および早期警戒期への充当である。水轟-5に関しては私が多くを語る必要はなく、皆分かっていることだが、実はこの機にはもう1つ呼び名がある。すなわち水上の運-8である。運-8に関しては皆知っていると思う。ちょっと見てみれば両者に多くの似た所があることに気付く。事実としても間違いなくそうなのである(頑住吉注:運-8はもう何度か出てきたことのある輸送機ですが水轟-5というのは初めてです。名前は水上爆撃機ですが、要するに対潜飛行艇で、ここにある画像の機がそうです。そんなに大きくなさそうな印象を受けますが、実は二式大艇よりだいぶ大きいです)。

まず、水轟-5の最大速度は556km/hで、スホーイ-33の最低許容速度よりずっと速い。このため殲-15の給油機とすることは完全に可能である。水轟-5に給油ポッドを追加することはごく容易で、一方殲-15に給油を受けるための装置を追加することはもっと朝飯前である。水轟-5を給油機とすることのメリットは非常にはっきりしている。まずこの機は水面から発進し、甲板上の戦闘機のスペースや滑走路を奪うことがない。空母や艦載機自体にいかなる改造も必要ない。この他、水轟-5のサイズは大きく、その最大航続距離は5,000kmに達し得る。実はこんな航続距離は使いきれず、水轟-5の機体内燃料を設計より少なくすれば、より多くの戦闘機の燃料を搭載でき、このため1機の水轟-5は4機の殲-15に給油するに足りる。全艦隊に5機の水轟-5しか必要とせず、これでもう全部の殲-15の給油に足りるのである! ならば殲-15の大航続距離、大弾薬搭載量の優勢が体現でき、その強大な攻撃能力が発揮される。しかも、もし殲-15が帰投した時に燃料が少なかったら、水轟-5はさらに救命機の役割も果たすことができる。このことは遼寧艦上の殲-15を給油機に充当する圧力も軽減できる(頑住吉注:救命機というんで飛行艇だから不時着水した殲-15のパイロットを救助しやすいということかと思いましたが、燃料が乏しい機を迎えに行って給油できるということでしょうね)。

早期警戒機に関しては私は多くを語る必要はない。運-8はすでに広く使われている。しかも水轟-5とはその内部レイアウトが似ており、いかなる問題も全く存在しない。しかも水轟-5を早期警戒機に使えばE-2より強い。何故ならE-2は20トン余りしかなく(水轟-5は50トン近い)、サイズが水轟-5よりずっと小さく、重量搭載能力がダメで、このためこの機内ではたった2人の人員が操作し、3人の人員が指揮を行う。任務が多く、指揮を行うのは疲れる。イラク作戦時、アメリカではE-2が適時にF-18に目標識別を提供することができなかったため任務放棄が発生したことがある。一方水轟-5は明らかにずっと強く、より多くの戦闘機の作戦を指揮することもできる。

だが話を戻すと、この機をいかにして艦隊に随行させるのか? 水轟-5全機それぞれをタグボートを用いて牽引するなど全く不可能ではないか? その解決方法は、普通の戦車上陸艇を改装すれば即実現する。この種の上陸艇は双胴に設計して風や波に抗する能力を高めるのが最も好ましく、排水量は500トン前後、格納庫のゲートを下げてウィンチを使えば即水轟-5を船内に引き入れ、露天で置くことができる。しかも尾部のタンクを灌水させて格納庫のゲートを開けば即水轟-5を自動的に海に放出することができる。この種の上陸艇は水轟-5に対し簡単な維持メンテナンスと給油を行うことができるに違いない。

だが、カタパルトのない空母に関して言えば、これは応急的な道でしかなく、決して正規の解決へのルートではない。我々は困難に遭遇して引くことはできないが、もし水轟-5があっても、そのための後方勤務作業の増加は多くの不利な影響を与え、しかも水上機の維持メンテナンス量は非常に大きく、海の状況の影響も非常に大きく受ける。増してや水轟-5は旧式機ですでに引退しているからなおさらで、頭に浮かぶのはこの機の後継機である蛟竜600(頑住吉注: http://slide.mil.news.sina.com.cn/slide_8_16642_5941.html これは水陸両用機なので運用の柔軟性が高くなりますが、まだ実機は存在しない、あるいは公開されていないようで、すぐに使えるものではなさそうです)で行うことで、結局のところこの新世代の水上蛟竜が性能上その先輩である水轟-5より低い理由はないのである。筆者は水轟-5の動力は4台のターボプロップ-5甲エンジンで、定額出力2059.4キロワット、最大出力2316.8キロワットで、4つのJ19-G10型金属4枚羽根プロペラを駆動すると考える。一方蛟竜600がもし運-9のWJ-6Cターボプロップエンジン(6枚羽根のJL-4プロペラを駆動)を採用したら、その出力は3,800キロワットに達し得る! その離陸重量はさらに一歩60トンまで増加することができる! 効果はより出色となり、運-7がもしこのエンジンを採用すれば、305mの滑走路上で離陸するのは問題ではないはずである。我々は、飛行機が大きくなるほど降着装置の問題はより深刻になることを知っている。だが水上機はちょうど反対で、機が大きくなるほど風や波に抗する能力は高くなり、降着はかえって安全になる。海上に直接降着できるので、単に航続距離から計算すれば、蛟竜600は戦時において港から4,000km離れた空母に到達でき、その意義は重大と言うべきである。筆者は我々が新世代の蛟竜が早く見られることを期待する。

この他まだ1つ方法があり、それは殲-15を利用しての殲-15への給油である。これも現在ロシア人が採っている方法である。下の図のように。

だが、本来すでに燃料搭載が多くないスホーイ-33が、さらに帰投のためのことを考えると九牛の一毛にしかならない。しかもクズネツォフ艦上のスホーイ-33はもともとすでに多くはなく、どこにいくらかの給油機に改装できる機があるのか? 乞食に飯を乞うようなもので(頑住吉注:何ちゅう表現)、要求できる分はきっと多くない。つまり、ロシア人のスホーイ-33がスホーイ-33に給油する主目的は、帰投するのに燃料が足りない状況への備えのためであって、真の給油機ではないのである。

まとめると、空母の戦力増強の最終的な方法はやはりカタパルトの採用である。我々はこの問題を軽視してはならず、簡単な言葉で済ますわけにもいかない。このため、大いに力を入れてカタパルトの発展を加速させることは我々の唯一の選択である。我々のようなカタパルトを持たない国にとって、蒸気カタパルトであろうと電磁カタパルトであろうと、やらねばならぬとなれば実際上全てゼロからの開始である。このためスキージャンプ発進が満足に使用できる状況下では、電磁カタパルトに取り組むことがより良い選択に違いない。何故なら結局のところ1960年代や1970年代ではないのであって、現在蒸気機関を設計あるいは製造することは実際のところ電動機関より面倒だろうからだ。一方電磁カタパルトでも、我々はアメリカの研究開発の経験と教訓を参考にする必要がある。筆者は、中国の現在の電子、電気機器方面、特にリニアモーター方面の実力に頼り(頑住吉注:中国ではすでにリニアモーターカーが実用化されています)、浙江大学および国内の有名な工場や関係人員の助けがあれば、電磁カタパルトが実現する日は近いと信じる。このため現在殲-15がスキージャンプ発進を満足させる条件の下で、我々は次世代空母艦隊の研究開発作業を強化し、次世代(きっとそれは殲-31とステルス無人機の天下になる)においては電磁カタパルトもまた唯一の選択となる。


 給油機を必ずしも遼寧艦に載せなくても飛行艇を小さな船に乗せて随伴させればいいというのは面白い発想です。しかし筆者が言うように急場しのぎにしかならんでしょう。どうせ蒸気式でも電磁式でもゼロからのスタートになるからより新しい電磁式を開発しよう、というのはどうなんでしょう。両者には駆動原理以外の部分に多くの共通点があると思われ、より簡単で技術的に成熟し情報も多い蒸気式からトライした方が結局は早道になる可能性もありそうですが。










戻るボタン