インドの弾道ミサイルが局地核戦争を誘発する?

 「ロシアの専門家がこう言っている」という体裁の記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20140125/18314739.html


ロシアの専門家:インドの新たなミサイルは中国に照準を合わせたもの あるいは局地核戦争を引き起こすか

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「インドの烈火-4は烈火-2を基礎に研究開発されたグレードアップ型に過ぎない」)

「ロシアの声」放送局ウェブサイト1月23日の報道によれば、インドは核弾頭を搭載可能な新型弾道ミサイルを大量生産することになる。ロシアの専門家は、この挙が南アジア地域の新たな軍備競争を引き起こすかもしれず、甚だしきに至っては最悪の状況下で局地的な核による衝突が引き起こされ、全人類にとって極めて悲惨な結果がもたらされるかもしれないことを心配している。

このミサイルは「烈火ー4」を指している。3回という一連の試射成功を経て、インド軍はこの武器の装備を準備している。「烈火」系列弾道ミサイルはインドが総合ミサイル計画の枠組み内で研究開発したもので、射程はそれぞれ異なる。2012年4月、インドは初めて新型大陸間弾道ミサイル「烈火」ー5を試験し、最大射程は5,000kmを超えた。「烈火」ー5は同系統のその他のミサイルと同様に、重量1トンに達する核弾頭を搭載できる。

ロシア科学院世界経済・国際関係研究所国際安全センターのベテラン研究員トペチカノフは、インドの核戦力の発展にはいくつかの目標がある、と指摘する。まず核の脅威に対抗すること。こうした脅威は隣国パキスタンを含むだけでなく、さらに中国もある。周知のように、中国、パキスタン両国にはいずれも積極的核開発計画があり、いずれもこの方面の新技術を掌握し、自身の核戦力の近代化を実現している。こうした脅威に対抗するため、インドは三位一体の核戦力を建設することが必須である。インドは現在、空中基地核戦力が最も薄弱で、しばらくは主に陸上基地武器システムに頼り、将来は海上基地核戦力を重視し頼りにすることになる。

ある視点は、もしインドとパキスタンの衝突という角度からだけ言えば、核弾頭を搭載でき、射程数千kmの戦略ミサイルはやや余計だ、と考える。実際、「烈火」ー5および「烈火」-4いずれも、その最も適した攻撃目標は中国国内にある。何とでも言うことはできるが、インドの野心は不断に膨張しており、インド軍事工業システムはずっとその煩をいとわずそのための各種各様の新たな論拠を補充している。

この視点を支持する1つの証拠は、インドが某種の三位一体に似た核戦力を作り出そうと企図していることである。現在ロシアとアメリカだけが三位一体の戦略核戦力を持っており、これは伝統的形式上、陸上基地、海上基地、空中基地という部分から組成される。分散して配備される核弾頭は、ひとたび突然の襲撃に遭っても、核武器庫全体が完全に殲滅されないことを保証し得るはずである。もし任意の2つの組成部分が破壊されても、第3の組成部分がやはり反撃を実施でき、敵を殲滅する、あるいは敵に対し受け入れられない損失をもたらすことを確保できる。

インドは戦略ミサイルの他、さらに核弾頭の空中搭載ツール、例えば「ミラージュ-2000」戦闘機を持っている。また去年秋、インドの専門家が自主建造した第1隻目の「アリハント」号原潜の反応炉が初めて試運転を開始した。また、インドは国産原潜に装備する弾道ミサイルをテストしている。要するに、これら一切全てはインドが地域の統治権を追求し、軍備競争を挑発して引き起こしていることを説明している。インド人自身は決してこの種の論評に賛同しないのではあるが。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「インドの烈火-4は決して全く新しい設計の機種ではない」です。)

ロシアの「コムソモリスカヤ・プラウダ」軍事ウォッチャーのバラニェツは、インドはとっくにアジア太平洋地域で適当な地位を占めることを企図している、と指摘する。だがインドにはいくつかの深刻な領土問題が存在し、しかもさらに相当強大な戦略的性質の相手がいる。特に中国である。インドは自身の武装力量を発展させる時、こうした要素を考慮せずにはいられない。インドが同様に膨大な海洋の空間に真のプレゼンスを保持することをも願っていることを忘れてはならない。当然、この方面ではさらにパキスタンの要素を考慮する必要がある。パキスタンサイドがどう言おうが何をしようが、インドは自らの隣国に対し極めて抑制的である。結局のところ印パ両国はしばしば「摩擦で火花を出している」のだ。しかも、アメリカがいかに大声で責めようとも、パキスタンは依然自らの核ミサイル計画を発展させている。パキスタンの要素だろうと、中国の要素だろうと、さらにはアメリカの地域における活動が急激に活発になっている要素だろうと、あらゆるこうした要素をインドは国防建設の中で真面目に考慮する必要があるのだ。

地域の情勢に対し影響を産み出し得るものにはさらにその他いくつかの力量がある。例えばアフガニスタンのタリバン武装集団とアメリカをメインとする駐アフガニスタン国際同盟、およびパキスタンの潜在的同盟国たる中国である。一連の原因ゆえに、インドはずっと中国をライバル視している。

インドの「烈火-4」弾道ミサイル試射は決して北京やワシントンの強烈な反応を引き起こしてはいない。一部の専門家は、地域の軍備競争はすでにこのような程度に達しており、インドが核弾頭を搭載できる弾道ミサイルを試験することは、もはやすでにその他の国に対し特別に深刻な刺激を形成することはない、と考える。潜在的盟友であろうと、潜在的ライバルであろうとである。

トペチカノフは、軍備競争は地縁政治の中で最も不安定な要素の1つであると考える。インドであろうと、中国、パキスタンであろうと、いずれも自分たちがいる地域には軍備競争は存在しないと言明している。だが軍事工業の競争が存在することは火を見るよりも明らかである。インド、パキスタン、中国は、しばらくのところは自らが相手の面前で無力であると感じることはない。現在は完全な勢力均衡とは言えないが、しばらくのところは一定のバランスが維持され得る。こうした国は決して侵略の態勢を見せる傾向にはない。だが、インド、パキスタン、中国はいずれも、新技術の出現が新たな脅威を作り出すだろうことを分かっている。原則として、「先んじて人を制す」の技術の出現は相手方に反抗のチャンスをなくさせる。このため中国、インド、パキスタン三国にはずっと対話があり、しかも対話を加速させている。この種の対話はしばらくのところ非政府機構代表の間でだけ展開されるが、その結果はずっと各国指導者のために用いられている。

もし軍事技術の競争がいずれか一方に、自らの重要地域が他方の打撃を受けやすいと感じさせる結果をもたらしたら、地域の軍縮の談判を真剣に展開する可能性が排除されなくなる。しばらくはまだこのような談判は展開されたことがないのではあるが。だが、現実の脅威は各方に談判の開始を迫ることになる。同様な事情はかつてソ連とアメリカの関係史上に発生したことがある。だが、キューバミサイル危機の後にまでなって、やっと両国は真に対話に本腰を入れ始めることができたのである。

完全に要求に符合する軍縮の談判はしばらくはまだ単なる未来の不確定な見通しに過ぎない。一部の専門家はまだ核威嚇理論が南アジアに適用されるのか否かに疑問を呈しているからなおさらである。インドとパキスタンは隣国で、ミサイルの飛行時間はたった3〜5分であり、基本的に相手方に抑制的で適当な解決方法を採るか採らないかの時間を残さないことを知るべきである。このためインド、パキスタン両国間の不信はいつも軍事ポテンシャルの増加と共に増加するのである。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「インドの烈火-3型弾道ミサイル」です。)

トペチカノフは、インド・パキスタン両国の軍事戦略家は全て隣国に対し打撃を実施する可能性に関するシナリオを推論演繹中である、と信じている。このうち1つのシナリオだけが最も発生の可能性がある。すなわち、論争のあるカシミール地方の情勢の悪化という状況下で、双方が相互に通常兵器を使用して打撃を行い、しかも普通の局地戦争に発展変化する可能性がある、というものである。もしパキスタン武装力量が有効に自らの国境を守護できないと、インド軍は長躯パキスタン国境に直接進攻し、甚だしきに至ってはさらにパキスタンの奥地に対して縦深打撃を実施するかもしれない。この状況下でパキスタンは核兵器を使用するだろう。第2のシナリオも完全に排除することはできない。すなわち錯誤により核による打撃が発動される、例えば某一国が意図せず1発のミサイルを発射する、というものである。幸運なことに、現在インドおよびパキスタンの核戦力はいずれも戦備状態を保持してはいない。異なる状況下で、インド・パキスタンの核戦力作戦体系が戦備状態に入るには10時間から1週間の時間を必要とする。このことはしばらくのところ反応が自発する可能性を排除している。だが、もし演習あるいは衝突がエスカレートしている状況下だったら、核戦力の戦備レベルは引き上げられることになり、核戦争勃発の可能性は当然増加する。

軍事専門家バラニェツは、率先して核による打撃を実施するかもしれないのはパキスタンだろう、と推測する。結局のところパキスタンサイドの軍事技術の実力がインド軍より明確に低いというのは争いのない事実なのである。パキスタンの一部の政治および軍事指導者は、かつて、もしインドとの衝突が深刻にエスカレートしたら、パキスタンサイドは最後の切り札の使用を迫られることになり、パキスタンにとってそれは核兵器に他ならない、としたことがある。この種の可能性は排除できない。もし事情が相互に核による打撃を実施する状態にまで発展したら、結果は非常に深刻なものになるだろう。印パの局地的核衝突が地域レベルにエスカレートする可能性が排除されず、甚だしきに至っては全世界核戦争の可能性もあり得る。この種の状況の発展は予測が非常に難しい。

トペチカノフは、パキスタンの軍事ポテンシャルはインドより低いが、パキスタンサイドにはインドの幸福を破壊する充分な力量と手段がある、と考える。パキスタンサイドはミサイル計画方面で主に巡航ミサイルと戦術核兵器に厚い信頼を置いている。このことは理解できる。インドが現在努力して作り出しているいかなるミサイル防衛システムもインドの領土を保護することはできない。特に印パ国境に近い目標は、巡航ミサイルや戦術核兵器の打撃を免れることはできない。結局のところ距離が非常に近いのである。パキスタンの巡航ミサイルは遠くない将来、インドの首都ニューデリー地域の目標を破壊できるようになる。当然、パキスタンは決してインドと同じミサイルを製造することを図ってはいない。パキスタンサイドの資源には限りがあり、インドサイドと同じ実力は持っていないため、インドに対し非対称の反撃を実施することになるだろう。

まとめると、インド、パキスタン、中国の核軍備競争は、一定の条件の下で局地核戦争を引き起こす可能性があると言うことができる。人口が密な地域においては、たとえいわゆる限定的核攻撃であっても、それは核戦争勃発後最初の数秒のうちにたちまち数百万の死亡者が出、2、3日後には1億以上が死亡し、その後放射能汚染、飢餓そしてその他全世界の生態および人道主義的災難の要素により、毎月1,000〜2,000万人が死亡するだろうことを意味している。当然、これは理論上の死傷者数に過ぎない。だが、たとえこの種の仮説の半分が現実になっても、この災難の規模は、さらに一歩軍事的優勢を強化することを夢想する国の目を覚まさせるはずである。結局のところ彼らが現在持つ殺傷兵器はすでに完全に自らの戦略的目標を実現できるのである。

(頑住吉注:4〜7ページ目)インドの烈火-5はかろうじて大陸間弾道ミサイルと評価できる

(頑住吉注:8ページ目)インドの弾道ミサイル技術は中国に遠く及ばない


 他人事なら何とでも言えますけど当のロシアも核兵器をどんどん改良しつつあるんですがね。現実的には互いに核を持っていることが抑止力を発揮してこんな事態に陥らないことを願うしかないでしょう。




















戻るボタン