「近宇宙」の利用価値

 英語では「NearSpace」というようです。

http://military.china.com/important/11132797/20180331/32255721_all.html#page_2


近宇宙飛行体:空・宇宙一体戦の利器 優勢は比類がない

2017年10月、我が国が自主研究開発した「旅行者」3号飛行体が成功裏に生きた鳥と亀を搭載して近宇宙に進入し、実験任務を展開しまたカギとなる重要な技術検証を行った。これは全世界で初めての浮遊体によって生きた動物が搭載され近宇宙に進入し停留したもので、我が国の近宇宙飛行技術が新たな高度に到達したことを象徴的に示している。

現代の高度新技術の急速な発展と共に、情報対抗の空間はもはや陸上、海洋、低空に限られず、近宇宙もすでに現代の戦争の新たな戦場となっており、国家の安全体系の重要な一部分である。近宇宙飛行体は空と宇宙の戦場を連結する有効なリンクで、将来空・宇宙一体連合作戦の中できわめて重要な役割を演じることになり、どんどん多くの国の高度の重視を受けるに至り、その発展、応用は未来の作戦様式に対し重要な影響をも生み出す。

上では制宇宙、制空ができ、下では制地、制海ができる

飛行禁止区に浮かび漂う「ダモクレスの剣」


一般的に言って、通常の航空機の飛行高度は地面からの距離20km以下で、宇宙機材が運航する空間は地面からの距離が100km以上で(頑住吉注:というか通常100km以上を宇宙としてますね)、一方地上からの距離20kmから100kmの間のこの区域は近宇宙と呼ばれる。

近宇宙には成層圏、中間圏、一部の熱圏が含まれ、航空と宇宙空間の間の過渡区域で、ロケットがたまに通過する以外、そこは人類がなお未開発の一面の空白空間である。

まさに近宇宙の置かれる独特の環境ゆえに、それに独特の大きな優勢を持たせている。この区域に雲や雨の天候が見られることは少なく、温度はほとんど不変で、飛行体の平穏な飛行に非常に適している。ここで近宇宙飛行体はは絶対的大部分の地上からの攻撃を避けることもできるし、同時に対地攻撃や宇宙船に対する打撃が有効に実施でき、空中軍事活動を行う理想の区域で、発展のポテンシャルはきわめて大きい。

飛行速度の差異に基づき、近宇宙飛行体には高動態近宇宙飛行体と低動態近宇宙飛行体が含まれる。アメリカ国防省とNASAが共同研究開発したX-30飛行体は典型的な高動態近宇宙飛行体で、飛行速度が速く、機動性がよく、指令に対する反応が敏捷である。

低動態近宇宙飛行体は機能時間が長く、空間停留期間が長く、しかも搭載荷の量が多く、宇宙ステーションや宇宙実験プラットフォームとすることができる。報道によれば、アメリカは30kmの高空に、多くの飛行船からなる永久性高空浮遊プラットフォームを作り出し、宇宙船の高空中継基地や補給基地に用いる計画である。

新型戦略武器の不断の更新と発展と共に、近宇宙飛行体の戦略的価値が各国の歓迎を受け、少なからぬ西側の国はすでにそれを情報化武器装備体系建設の中に入れている。近年来、アメリカは近宇宙飛行体技術領域で持続的に力を発揮し、アメリカ国防省の「2005〜2030年無人機システム路線図」の中では近宇宙飛行体を無人機武器システムの範疇に入れ、ロシア、イギリス、イスラエルなどの国もこの領域で初歩的研究成果を取得している。

カバー範囲は広く、コストは低く、持続時間が長く、反応時間は短い

「百家の長」を一身に集める


近宇宙飛行体は何故各国が競争で開発する「新たなる寵児」になれたのか? 原因はそれが飛行機と衛星の機能範囲の間に存在する広大な真空地帯を埋めたことにあり、戦略戦術任務執行時、伝統的飛行機と比較できない優勢を持つ。

近宇宙飛行体は一般に任務区域上空30kmの区域に配備され、視野のカバー面積は伝統的偵察機より大きいだろう。同時に、信号が電離層の妨害を受けず、軽々と高解像度で大きな区域をカバーする偵察画像を獲得できる。アメリカは「探知計測器と構造一体化」プロジェクトの中で、高空監視スパイ飛行船計画を提出していた。目標は20km以上の高度を飛行する監視飛行船の研究開発で、いかなる軍事活動区域の高空でも偵察活動が展開できるものだった。

ハイテンポな現代の戦争の中で、近宇宙飛行体は作戦の需要を根拠に配備と調整機動が行え、随時応急に飛び、快速で効果の高い配備ができる。同時に、近宇宙飛行体の飛行条件は安定し、情報伝達の時間的遅延が非常に小さく、快速で適時の情報伝達に有利である。

近宇宙にはさらに一大特徴があり、気流が平穏で、環境が安定していることに他ならず、このことは大多数の近宇宙飛行体が風力、大気の浮力、太陽エネルギーなど自然エネルギー源の助けを借りて、長時間任務区域の上空を漂うことができるようにさせ、したがってエネルギーの消耗が低下する。フランスによって提出されたステラサート安定式無人飛行船は搭載荷が1000kgに達し、近宇宙で5年の長きにわたり監視任務が連続執行できる。

数年の長きにわたる任務執行で、近宇宙飛行体は何故ずっと完備された状態を保持できるのか? 一方においては、近宇宙飛行体の外形がいずれも比較的平滑で、レーダーや赤外線特性がいずれも顕著ではなく、このため非常に探知計測、ロックオンされ難い。もう一方では、現在の作戦機や地対空ミサイルはほとんど近宇宙に到達できず、それに対し脅威を構成できず、このため近宇宙飛行体は長時間安全に安定して運行できるのである。

偵察監視、通信中継、宇宙での対抗、物資補給

比類のない軍事的価値


近宇宙飛行体の出現は空・宇宙領域の連結を実現しただけでなく、さらに防空対ミサイル作戦のために新たな考え方の筋道を提供した。もし武器プラットフォームを搭載すれば、全世界を範囲とする快速打撃が実現され、非常に大きく戦争のテンポが加速することになる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「X-37B(資料画像)」)

情報化戦争の中で、瞬時に千変万化する戦場の環境に直面し、戦場体勢の動態に対する監視は特に重要なことが目立つ。この飛行体に先進的なレーダーを搭載すれば、近宇宙監視計測プラットフォームが構成でき、全時間、全天候の観測が実現される。最も代表性を持つのはアメリカが登場させる計画のSR-72極超音速飛行機で、この飛行機は情報収集、偵察監視、敵に対する攻撃などの任務を担い、2023年に初飛行を実現し、2030年に使用に投入する計画である。

未来の戦争の中で、制情報権の奪取はどんどん重要なカギとなり、複雑な電磁環境下で、安定し安全な通信の保証は戦争の主導権を掌握することに対し重要な意義を持つ。現在、軍用通信信号が妨害を受けやすいという問題はずっと軍隊の作戦能力の生成と発揮に影響しているが、近宇宙飛行体を採用し通信設備を搭載し通信プラットフォームを構築すれば、長時間持続して機能でき、超視距離通信能力が実現できるだけでなく、さらに衛星ナビゲーション通信に比べ強度がより高く、秘密保持性がより良い信号が提供できる。

また、近宇宙飛行体にはもう一つの重要な作用があり、それは宇宙での対抗と打撃を行うことである。飛行体を拡張展開して対抗妨害プラットフォームにすれば、制圧妨害と欺瞞妨害が実施でき、強大な電子対抗の優勢が形成される。もし飛行体を武器プラットフォームとすれば、大範囲をカバーする区域で目標に対し随時どこでも打撃が実施できる。例えばX-37B軌道試験飛行機は多種の機能を一身に集めており、大気圏内で超音速飛行することもできれば、また軌道に進入して運行もでき、その他の航空、宇宙機材とは比較できない優勢を持つ。


 最初に「旅行者」3号というのが出てきましたが、これは透明なビニール袋にガスを充填したようなごく単純なもので、アメリカの宇宙飛行機と同列に論じるのはどうかと思われます。今からなら日本も遅れず開発ができそうですが、充分な予算が付くことはなさそうですね。




















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