サイト「WaffenHQ.de」フォーラムにおける特殊弾丸に関する小ネタ2題

 サイト「WaffenHQ.de」のフォーラムにちょっと面白い話題がありました。短いので2つまとめて内容をお伝えします。まずスムーズバレル用の新しい弾丸を発明したと称する人の登場です。

http://www.whq-forum.de/invisionboard/index.php?showtopic=25565



発言者:スパイラルチューブ
2006年8月25日

 ハロー、初めまして。

 実は私は有意義かもしれないスムーズバレル用の弾薬を開発するちょっとしたアイデアを思いついた。

 そう、スムーズバレルは確実なメリットを持っている。

●単純な製造
●結果としてもたらされる低価格
●高いガス気密性

 だがこうした弾薬で存在するのはサボ付き弾薬のみであるが、これは製造が難しく高価であるので、私は可能かもしれない単純に翼で安定させる弾丸を考えた。

 私は自分が想像したような弾丸の最初のデザインをここに持っている。

(頑住吉注:原ページにはここに非常に良くできたイラストがあるので見てください。要するに前半は通常のライフル弾、後半は迫撃砲弾のような形状のライフル弾です)

意見を望む。


発言者:archibald_tuttle
2006年8月25日


 全部かつてすでにあったものだ‥‥。

 あなたが何かこれについての本を手に入れるなら、最も簡単なのはこれだ(頑住吉注:ドイツのアマゾンへのリンクが貼られています)。

 そうすればあなたはすでに全ての可能な試みがなされ、これがほとんど良好には機能しなかったことを理解させられる。これがきっとそうなるように。

 あなたが同様に初めから意気込みをくじかれることを私は残念に思うが、おそらくこのアイデアから得られるものは決してないだろう。


発言者:マイナー
8月25日


 どうもこの弾丸は全く自然には出て行かない、つまり翼が薬莢上部の開口より大きいように見える。


発言者:予備役兵
2006年8月25日


 より安価なバレルのコストはきっと長期的に弾薬の高いコストで相殺される。


発言者:Ta152
2006年8月25日


 問題はコストではなく精度だ。翼が弾丸を安定させてしまうまでには時間がかかる。特に銃口直後では火薬ガスが弾丸を追い越す。この期間内にあまりにも精度が失われすぎる。


発言者:jg15
2006年8月26日


 あなたはこの小さな翼をどのようにして弾丸に固定したいのか???。 
 私は一体からの削り出しや溶接は難しすぎるように思う。一体としてプレスされた翼は柔らかい金属でしかうまくいかない。ゆえに→消費マーケットのためには高価すぎる。


発言者:スパイラルチューブ
2006年8月26日

 翼で安定される火砲からの砲弾の場合のような圧力鋳造も、抵抗溶接/スポット溶接も考えられるが、まあマテリアルによる(頑住吉注:「抵抗溶接/スポット溶接」に関しリンクが貼られていますが当然ドイツ語のサイトです。 http://www.himax.co.jp/welding.htm ここが分かりやすそうです)。


発言者:アイスマン
2006年8月26日


 ねじ込みの方がより適しているのではないか。
 この弾丸がライフリング回転を与えられていないということは、その方向性をこのネジが受け持つことともイコールだからである。
 
 溶接の場合の問題はおそらく「翼の軸線」と「弾丸の軸線」が一致するかどうかの危惧である。



 「凄いアイデアを思いついた!」と自慢げなちょっと幼稚な人が寄ってたかってコテンパンにされる、という日本のサイトでも良く見かける光景です(笑)。さすが思った通りの突っ込みが的確に入りますね。プラスチック製のサボの製造などたいした問題ではなく、翼の造形の方がはるかに困難であるくらいはちょっと考えれば分かりそうなもんですが。さて、負けじと私も幼稚なアイデアを披露します。



 フレシット弾の製造コストが高く、命中精度が低いという問題点の指摘を見て考えた改良案です。弾丸本体は単に先端を斜めに切断しただけの鉄線で、空中での安定機能は後半のごく肉の薄いアルミパイプが受け持ちます。両者は単に圧入によって結合され、これで不足なら接着かかしめで固定されます。両者は強い力を受けると比較的容易に分離するようにした方がハードターゲットへの貫通力やソフトターゲットに対する効力が増すのではないかと思います。また、微々たるものでしょうが先端の斜めカットはソフトターゲット突入後の転倒を助けるかも知れません。これなら「スチール製の原材料は引き伸ばされ、焼きなまされ、その後尾翼フィンが圧着され、先端が研磨され、矢全体が表面硬化処理される。その際多くの未完成製品が歪み、事後研磨しなくてはならない。このことはエンドエフェクトにおいて命中精度を低下させる。引き続いてフレシットは駆動カゴに適するようサンドブラストされる」というような方法よりずっと安価にできると思います。アルミパイプの直径は2mm程度を想定していますが、これを1発ではなく銃の口径で可能な限り3、4、7発、あるいはそれ以上束ねてサボの中にセットして発射します。命中精度の不足による命中確率の低下は多数同時発射によって補おうというわけです。スムーズバレルから発射した場合命中精度がどの程度になるのか、サボが確実に離脱するのか、もしライフリング入りのバレルで発射した場合散布が実用に耐えないほど大きくなりすぎるのか否かといったことはちょっと分かりませんが。


 さて次の話題はいわゆるスプーンノーズ弾です。

http://www.whq-forum.de/invisionboard/index.php?showtopic=25664



発言者:archibald_tuttle
2006年9月12日


 一体誰がスプーンノーズ弾を使って、何を、あるいは誰を撃つことが許されるのか?

 1970年代に国際赤十字社が禁止した。何故ならスプーンノーズ弾は「少なくとも炸裂弾あるいはダムダム弾と同じ程度の恐るべき傷」を与えたからである。

(頑住吉注:原ページにはここにスプーンノーズ弾の問題に触れている英語のページへのリンクが貼られています。なお、このページではこの他に1904年、フィンランドでブローニングM1900から発射された水銀弾による要人暗殺が行われたという興味深い話にも触れられています)

 ダムダム? その後のM193もダムダムらしいが。

 HK36(頑住吉注:G36ではありません)およびMP7はそのような弾薬を使う唯一の存在である。MP7だけがまだ現用だ。このパテントは1965年のものだが、この種の弾丸にはほとんど購入者が見られない。何故?


発言者:Goschi
2006年9月12日


1.ダムダム弾は現在存在しない。
2.(頑住吉注:いまいち意味不明ですがスプーンノーズ弾は実験においては命中精度がいいとされている、というような内容で、話の流れとあまり関係がないようです。なお、あまり意味のない発言2件を省略します)


発言者:Chiron
2006年9月12日


 引用:1.ダムダム弾は現在存在しない。

 私はこの発言に実に驚いている。私の理解によればダムダムとは次のようなものだと考えられる。

1) 西ベンガルにある都市である。
2) .303ブリティッシュマークVおよびマークW弾薬が1)において最初に生産された。
3) 2)を普遍化するなら先端にジャケットがないか、非常に薄いジャケットを持つ、そしてこのため簡単に断片化する全てのライフル弾薬である。

 「ダムダム弾は現在存在しない。」 この場合ダムダムはインドのビーレフェルのことか(頑住吉注:「都市名のことを言っているのか? そうではないだろう」というような意味です)。イギリス陸軍は.303マークVおよびWで決して射撃したことがないのか? フランコニアのカタログの一部に断片化しやすいセミジャケットハンティング用弾丸が記載されていたらそれに反しないか?

 おそらくあなたは不正確にも「ダムダム」を単に「断片化するセミジャケット弾」の名称と思っているのだろう。しかしだとしても「存在しない」という発言が不正確となる‥‥。


発言者:Goschi
2006年9月12日


 私には遅かれ早かれそのような列挙が来ることは分かっていた。

 もちろんあなたは全く正しいが、私は日常語として使われているように「ダムダム」という言葉を使ったのだ。


発言者:Whuffo
2006年9月12日


 元々の「HK 4.6x36」はセトメとH&Kの間の共同プロジェクトだった。MP7は4.6mmx30を使うが、これはスプーンノーズ弾ではない。
 
 スプーンノーズ弾は単純に弾丸が早期に転倒を始めることを結果としてもたらすことを意図している。これは「お好みのまま」の弾薬、例えば5.45x39(AK-74等)、そして5.56mmNATOにおいてスプーンノーズ弾なしでも達成される‥‥。

 これに関しHKとセトメが開発の重点をハンティングガンに置いていたとは必ずしも思われていない。4.6x36のためには大きなマーケットが与えられていないことはすでに実に早い時期から明確だったらしく、そしてこのプロジェクトは中止された。

 この口径、弾丸がハンティングの領域で意味を持つかどうか(獣の肉の損傷)に関しては評価を下したくない。


発言者:archibald_tuttle
2006年9月12日


 弾丸は転倒を早く始めるほど良い。ちょうど短いバレルから発射された5.56mm弾の場合低い速度によって転倒が遅らされる(頑住吉注:ことによって効力不足が生じる)ようにである。この場合スプーンノーズ弾によってこれに対抗して作用させることが可能である。もちろん5.45mm弾の場合のような追加的な(頑住吉注:後方への)重心移動も必要とされるが。



 私はスプーンノーズ弾によってパテントが取得されていたことも、国際赤十字が禁止したということも知りませんでした。ただ、国際赤十字による禁止にどれだけの効力があるのかなど詳しいことは知識不足で分かりません。禁止といってもこれはホローポイント弾などと同様に戦争への使用に関してであって、警察用その他は含まれないと思われます。だからこそH&Kも4.6mmx30にスプーンノーズのバリエーションを加えているんでしょう。

 要するにarchibald_tuttle氏の言いたいのは、「スプーンノーズ弾には効力が不足とされるショートバレルの銃から発射した場合の5.56mmNATO弾の効力を補うなど有効性が期待できる、大きな傷を作るといっても実際上同じような結果をもたらす弾が現に使われているのだから禁止はおかしいのではないか」といったことでしょう。ちなみに過去に試みられ、中止となった4.6mmx36というのはこんなのです。



 「DWJ」2004年9月号(原ページの最後に画像があり、また「知識の断片」その1の「4.6mmx30弾薬ファミリー」の項目で内容をすでに紹介しました)に掲載されていた写真です。そしてHK36に関してはこんなページがあります。

http://www.hkpro.com/hk36.htm

 先端が不均一な全真鍮製弾丸を超高速で発射することによって、フラットな弾道、ハードターゲットに対する高い貫通力、そしてソフトターゲット突入後に転倒して不規則に動くことによる高い効力を狙ったものです。あるいはこうした弾丸が広く使われていないのは国際赤十字による禁止、国際的な非難を浴びることに対する危惧が原因の一つかも知れません。











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