中国の航空アルミ材の発展状況は

 今後大きく発展するとされる中国国産旅客機に必要とされる素材ですが。

http://military.china.com/news/568/20151021/20602175.html


中国の航空アルミ材は米ロに立ち後れること30年! C919の初期用材は全て輸入

中国と外国の航空アルミ材の発展の比較

アルミ合金は密度が小さい、強度が適度、加工成形しやすい、耐腐食性が強い、資源が豊富、回収可能性が高いなどの独特の優勢に頼り、1903年に人類が初めて動力装置に頼って空を飛んで以来、航空工業の発展はアルミ合金材料の応用と切っても切れない縁を結んでいる。近年来カーボンファイバー強化プラスチックに代表される複合材料の飛行機上での比率がある程度上昇しているが、コストパフォーマンスが高いアルミ合金は依然絶対の優勢を占め、依然航空機製造の主要にしてカギとなる重要な性質の構造材料である。中国が自主知的財産権を持つ支線旅客機ARJ21-700やC919大型旅客機の用材の中で、アルミ合金部品の質量は飛行機の総質量の68〜75%を占める。発展の歴史から見て、アルミ合金材料と航空工業はずっと相互に補い、両者のグレードアップ世代交代は相互に促進する関係である。新型アルミ合金の誕生は新世代飛行機の製造を助け、より高い性能の飛行機はまた新世代アルミ合金の研究開発と応用を促進する。民間用飛行機の発展について言えば、1950年代にボーイング707にふさわしかったのは高強度変形アルミ合金で、一方現在エアバスA380機に対応するのは7085アルミ・リチウム合金である。全世界のアルミ加工産業や航空工業から見て、変形アルミ合金の応用はすでに相当に成熟し、現在新型機の材料の需要は、より主要には総合性能がさらに優良なアルミ・リチウム合金上に体現される。

航空民間機用アルミ・リチウム合金の発展

アルミ・リチウム合金はアメリカアルミ工業社が1983年に新たに研究開発し登場させた航空7085アルミ合金で、2002年アメリカアルミ業協会に登録され、102〜178mmの航空機厚板の生産に用いられる。アルミ・リチウム合金はいまだかつてなかった超純7xxx系合金である。リチウムは非常に大きな化学的活性を持ち、このためアルミ・リチウム合金は真空炉内で溶解精錬することが必須で、溶体も保護気雰(頑住吉注:通常は雰囲気、ムードなどの意ですが専門用語として別の意味があるのか、あるいは記述の間違いでしょう)がある条件下で鋳造を行うことが必須で、溶解鋳造技術はアルミ・リチウム合金生産の最も重要なカギとなる技術である。リチウムはアルミの密度を下げることもできれば、また弾性率を高めることもできる。アルミ金属の中に1%のリチウムを添加するたびに、アルミ合金の密度は約3%低下し、一方その弾性率は6%上昇し、したがって複合材料(カーボンファイバー強化プラスチック)の有力なライバル製品となる。ボーイング社の試験によれば、アルミ・リチウム合金を採用してボーイング機を製造すると、その重量を14.6%軽減することができ、燃料は5.4%節約され、飛行機の製造コストを2.1%低下させることができ、それぞれの機の毎年の飛行の費用を2.2%下げることができる。アルミ・リチウム合金のコストはおよそ複合材料(カーボンファイバー強化プラスチック)の10%でしかないので、応用上顕著な比較の上での優勢を持つ。2009年、アルミ・リチウム合金はアメリカ航空宇宙材料のスタンダードに含められ、現在第3世代アルミ・リチウム合金も規模化された工業生産を実現し、第4世代アルミ・リチウム合金の研究開発にもすでに新たな成果がある。新型機の設計、製造の中で、アルミ・リチウム合金を採用することは飛行機のアルミ合金部品の質量を14〜30%軽減することができ、すでに新世代航空機のカギとなる重要な性質の構造材料となっている。

航空アルミ合金の新たな焦点は先進アルミ・リチウム合金の研究開発と応用である。統計によれば、アメリカアルミ業社は全世界のアルミ・リチウム合金生産能力、生産量最大の生産企業で、全世界の約55%を占め、ロシアの連合アルミ業社は約25%を占める。その他の企業は合計で約20%を占める。現在全世界ですでに主に7つの工場がアルミ・リチウム合金圧延材を生産することができ、11の工場がアルミ・リチウム合金押出材を生産することができ、9つの工場がアルミ・リチウム合金自由鍛造部品と型鍛造部品を鍛造することができ、この中には我が国の西南アルミ業(集団)有限責任会社が含まれる。

アメリカアルミ業社はアルミ・リチウム合金の生産量が全世界の首位にいるが、依然アルミ・リチウム合金に対し能力拡大を行っている。例えばアメリカアルミ業社はラファイエットに世界で生産能力最大のアルミ・リチウム合金生産工場を建立済みで、生産される第3世代アルミ・リチウム合金部品はエアバスA380、A350、ボーイング787などの飛行機の製造商に提供される。

2013年中期、アメリカアルミ業社はイギリスに位置するキッツグリーン工場のアルミ・リチウム合金生産能力の拡張を完成させた。ダベンポートローラー製造工場のアルミ・リチウム合金生産ラインに対し改造拡張建設を行った。インディアナ州のラファイエット圧延・鍛造工場のアルミ・リチウム合金生産ラインに対し拡張建設を行った。2013年末の統計データによれば、アメリカのアルミ・リチウム合金生産能力は年10万トンで、その中でアメリカアルミ業社の生産能力は年約5.5万トンに達し、アメリカアルミ業社のアルミ・リチウム合金合金生産能力は全国の55%を占める。

アルミ・リチウム合金の誕生後、この合金はずっと細分化されたグレードアップの過程の中にあり、質量がより軽く、強度がより高く、コストがより低い新世代のアルミ・リチウム合金が不断に研究開発され、例えばアメリカアルミ業社の第3世代アルミ・リチウム合金はすでに規模化された工業生産を実現している。アメリカのケンユニオンアルミ業社のフランスにおけるヴォレッペ研究開発センターは10年の時間を用い、「AIRWARE」という名の新型アルミ・リチウム合金を研究開発し、これは航空宇宙領域に応用される革命的な性質を持つアルミ合金新材料である。同センターはアルミをリチウム、銅、銀などその他の金属と融合し、結果的にこの新たな合金を獲得した。

理解されているところによれば、AIRWAREは飛行機製造のために四大優勢をもたらすことができる。1つ目は伝統的なアルミ合金材質に比べ25%軽く、このため構造部品の設計を最適化し、かつ二酸化炭素の排出を減少することができる。2つ目はその卓越した抗腐蝕および抗金属疲労特性で、比較長い維持保護の時間的間隔を12年にまで延長することができる。3つ目は100%の循環再利用を実現することができる。4つ目は航空機の全部の部品の製造に用いることができる。現在AIRWAREは新世代飛行機の製造の中にすでに応用されており、エアバス社はそれをそのワイドボディ旅客機A350-XWBに応用することになる。ボンバルディア社はそれをナローボディ飛行機C系列に応用することになる。航空市場の新型アルミ・リチウム合金に対する日増しに増加する需要を満足させるため、ケンユニオンアルミ業社はフランスのイソアール圧延製造工場に新たに2本のアルミ・リチウム合金溶解精錬鋳造生産ラインを建設中で、専門にAIRWAREアルミ・リチウム合金を生産し、建設される2本の生産ラインは2016年までに生産に投入されると見られる。

中国では、国産飛行機のアルミ・リチウム合金に対する需要を満足させるため、我が国のアルミ加工企業は1960年代にはもうアルミ・リチウム合金に対する追跡性の研究を開始し(頑住吉注:上の部分では「1983年に新たに研究開発し登場」とされてるんですが)、コピー生産されたアルミ・リチウム合金には2種がある。1つは8090合金(1984年にヨーロッパアルミ業協会が発明した合金)、もう1つは2091合金(1985年にフランスが発明した合金)である(頑住吉注:感じとしては80年代の間違いですかね)。2種の国産アルミ・リチウム合金の各項目の性能はすでに国外の水準に到達している。2000年、西南アルミはロシアのモスクワ軽金属研究院からアルミ・リチウム合金の真空溶解精錬炉および鋳造設備を導入し、中国はアルミ・リチウム合金の板材、型材、鍛造部品を少量生産できる。2012年1月、西南アルミは成功裏に国産大型機プロジェクト専用の第3世代アルミ・リチウム合金を試作した。

現在我が国はすでに基本的に航空アルミ・リチウム合金の溶解精錬技術を掌握しており、例えばアルミ・リチウム合金の大型フラットインゴットやアルミ・リチウム合金鋳塊の鋳造技術である。だがアルミ・リチウム合金の基礎研究や合金の生産の実践方面では、ロシア、アメリカと20〜30年という比較的大きな隔たりがあるはずである。これは主に次のことに表れている。1つ目は創新能力と技術開発能力が比較的薄弱なこと。2つ目は生産能力が小さいことで、現在西南アルミしかアルミ・リチウム合金を生産できず、年産量もまだ非常に少ない。

中国の大型機製造およびアルミ・リチウム合金材料の応用

我が国では大型機の製造の需要が、アルミ合金材料、特にアルミ・リチウム合金材料の需要を強く牽引しつつある。中国の大型機であるC919型旅客機の機体などの直線部分(客室前部、貨物室前部、再循環ファン室含む)は、外皮、客室の窓、客室の床板、力を受け入れる部品によって構成される筒状構造部分である。理解されているところによれば、C919の機体など直線部分は大型旅客機の機体前部に位置し、幅が同じ筒状構造部分で、全長7.45m、幅4.2m、高さ4.2mで、先進的な第3世代アルミ・リチウム合金板を採用し、これは中国国内の民間用飛行機初のアルミ・リチウム合金で製造した部分の採用である。

2014年9月、C919大型旅客機の機体中部と補助翼部品が引き渡され、初めて引き渡された機体中部と外翼ウィングボックスの大型部品は全長5.99m、幅3.96mで、機体中部の筒状部分、竜骨梁、中央翼、緊急ドアからなり、この部分は部品8,200個あまりを含み、工装(頑住吉注:作業着の意味とされていますがここでは工程?)3,400項目あまりに関わり、第3世代アルミ・リチウム合金と損傷許容限度の高いアルミ合金材料が大量に採用された。

現在C919大型旅客機はすでに国内外20あまりの航空戒社の507機の発注を獲得し、ARJ21-700にも278機の受注がある。計画によれば、2018年になればARJ21支線旅客機、C919大型機に用いる30%以上のアルミ合金材料に国産アルミ材が採用されることになる。中国の大型機のアルミ合金材料に対する需要は、中国のアルミ加工企業の航空民間機アルミ合金研究開発の規模化された生産の緊迫感を増加した。

現在航空民間機に応用されるアルミ合金材料には主に次のものがある。アルミ合金鋳造部品、アルミ合金鍛造部品、大面積アルミ合金圧延型材、アルミ合金厚板、アルミ・リチウム合金など。中国のアルミ加工業は60年あまりの発展を経て、すでに国際的に公認のアルミ材生産大国となり、現在アルミ合金溶解精錬設備、圧延設備でも、アルミ合金プレス設備および精密整形設備でも、近代化された一流のアルミ加工設備の数は全世界の各国に対して最多だと言うべきである。だが研究開発資金の投資が少なく、基礎研究が薄弱なため、近代化され一流の設備は性能が非常に高くはないアルミ材を大量生産することしかできず、航空宇宙工業に用いられるようなハイエンドアルミ材はまだ我々の弱点である。

我が国に1956年に近代化されたアルミ加工工業ができて以来、必要とされる航空アルミ合金厚板はずっと純輸入の状態にあった。初期の国産ARJ21-700支線旅客機と大型旅客機C919の材料の中で、アルミ材およびアルミ合金鍛造部品は全てアメリカアルミ業社からの輸入あるいは同社が中国に設けた独占資本企業によって提供されたものである。現在の航空工業は需要旺盛にアルミ・リチウム合金を必要としているが、我が国は依然基本的に後追い、コピー生産の研究開発段階にあり、規模化された商業生産の実現にはまだ非常に多くの攻略すべき難題があり、まだ非常に長い実践すべき道のりがある。

我が国の航空民間機、特に国産C919、ARJ21大型機の急速な発展はすでに争えない事実である。時は我々を待たず、航空アルミ材開発の任務は重く、道遠しである! 我が国のアルミ加工業界は世界最先端の近代化されたアルミ加工技術装備を持ち、近代化されたアルミ加工装備の優勢をうまく利用し、国外の先進国の同業者と技術協力を展開し、彼らの業務経験と研究開発の成果を吸収しさえすれば、きっと「カーブしての追い越し」が実現できる。(王登文)


 中国での需要をあてにして世界の先進国の航空メーカーが中国と協力しており、中国はそこから技術を吸収し、それは軍用機の改良にも用いられていくでしょう。
















戻るボタン