ロシアの新世代ステルス爆撃機はどういうものになるのか

 このテーマの記事は以前にも何度か紹介しましたが、しばらく時間がたって新たに分かったこととかあるんでしょうか。

http://news.sina.com.cn/o/2014-06-13/051030350829.shtml


ロシア新世代戦略爆撃機の本当の姿が徐々に明らかに

報道によれば、ロシア空軍と国防工業部門の指導者は最近相次いで、新世代爆撃機の大規模試作設計作業はすでに開始され、2019年の初飛行、2025年の装備が有望であるとした。

ロシアの新世代戦略爆撃機の設計はツポレフ設計社によって主導され、同社は2009年から設計を開始し、2012年6月に方案を提出し、1年後にはもう空軍の批准を得た。この時からロシアの新世代戦略爆撃機の発展は追い越し車線に入り、工程研究の段階に入り、大いに現実味を帯びている。

単に1機種の飛行機ではなく、さらにはある態度である

戦略爆撃機は空軍の戦略的威嚇、戦略的進攻の主要な戦力であり、大国間の戦略的ゲームの重要な道具である。だが同時に、その開発は費用の消耗が非常に大きく、完備された国防工業体系と先進的な国防科学技術の支えがあることを必要とし、並の国家が開発できるものではない。

まさにこのようだから、イギリスに代表されるいくつかの国は1960年代にはもう競技場から淘汰された。冷戦の期間、ソ連もアメリカとの弾道ミサイル、ミサイル原潜、戦略爆撃機に象徴される軍備競争の中で、疲労困憊に堪えず、最終的に経済が崩壊し、国家が解体した。

ソ連の戦略爆撃機開発の実力は強大で、かつてはずっとアメリカと肩を並べていた。アメリカは1946年にB-52の研究開発を開始したが、ソ連は1951年にはもうツポレフ-95を登場させていた。アメリカは1962年にB-1の開発を開始したが、ソ連はまた1967年にツポレフ-160を登場させた。だがアメリカが1978年にまたB-2の研究開発を開始し、ソ連はまさに奮起してまっしぐらに追おうとしたが、国がばらばらになってしまった。

1991年に冷戦が終結し、成立したばかりのロシアは経済危機に陥り、アメリカとNATOはオリーブの枝(頑住吉注:平和の象徴)を伸ばし、経済援助を獲得するためロシアは一度西側と親しくし、軍事的に「純防御」戦略を実行し始めた。この背景の下に、ソ連から残されたB-2に似たステルス爆撃機の開発思想は、作戦上の需要が不明確なため1990年代中期に中止された。

ロシアが戦略爆撃機の夢を改めて持ったのは、ロシアのアメリカおよびNATOに対する徐々にはっきりしてくる認識に源がある。1990年代中期から、アメリカは大きな力を入れてNATOの東への拡張を主導し、ロシアの警戒を呼び覚ました。2000年以後、アメリカとNATOはいっそうひどくなり、独立国家共同体において反ロシア勢力を育て、「カラー革命」を画策し、軍事力を中央アジアに進駐させ、ロシアはついに誰こそが自らの真の相手なのかを認識するに至ったのである。

1990年代後期、ロシアは戦略爆撃機計画を再始動させ、ミグ、スホーイ、ツポレフなどの設計局はいずれも各自の考え方を提出した。だがロシアは当時国力が貧弱で、このプロジェクトを支える力はなく、ツポレフ設計局もいくつかの事前研究、探索を展開しただけだった。

2001年、アメリカはハイテンションでミサイル防衛システムの開発を宣言し、かつ徐々にロシア周辺への配備を推進し始めた。ロシアはアメリカやNATOが一歩一歩迫り来ることに対し憤怒を表明し、2007年には戦略爆撃機の全世界での定例戦闘巡航を回復し始め、就役して40年余りのツポレフ-95は止むを得ず身支度を整えて出陣し、アメリカ空母と対峙し、北米の防空識別圏に侵入し、イギリス領空に接近した。

このことから、ロシアが国際的発言権を求め、大国のイメージを作り直すことに対し、戦略爆撃機がどんなに重要かが見て取れる。

2008年、ロシアは「新たな様相」の軍事改革を開始し、「戦略的抑止」戦略を鮮明に提出し、進攻が最も良い防御であると堅く信じ、核戦略の突撃の優勢を作り出すことを突出させた。この時、ロシア経済も徐々に回復し始め、徐々に「BRICs」の栄耀を持った。

2009年に開発が開始されたロシアの新世代戦略爆撃機は、ロシア人のあまりにも多くの不満と憤怒、決意と希望を包含していると言わざるを得ない。新世代戦略爆撃機をアメリカとNATOに対応する利器として作り上げることに、ロシア上層部は大きな期待を寄せ、それが極超音速、高度のステルス、「核・通常兵器兼備」などの能力を持つことを希望している。

全く新しい概念、全く新しい設計

ロシアは新世代戦略爆撃機の開発状況に関しずっと秘して語らないが、その各部門指導者の関連の談話の中からは、やはりいくつかの基本的な状況が捕捉できる。概括すると、ロシアの新世代戦略爆撃機には以下のいくつかの主要な特性がある。

1つはステルス、全翼レイアウト、亜音速である。ロシア空軍は新世代戦略爆撃機は対ミサイルシステムの防御が突破できることが必須であるとの考えを堅持している。これは明らかにアメリカに照準を合わせたものである。だがいかにして防御を突破するのかに関しては、その上層部にはずっとステルスと極超音速の争いが存在している。

極超音速防御突破は疑いなく今後の重要な発展の方向の1つである。だが長年来、ロシアにはこの領域においてずっと大きな突破がなく、現在技術的条件を全く具備していない。もし条件を具備していたとしても、飛行機の製造コストが非常に高価になり、大量装備が難しくなる。このため、ステルスがロシア新世代戦略爆撃機開発の優先される方案となった。

B-2誕生後、全翼は多くの飛行機が高いステルス性を実現するために選択する古典的レイアウト形式となった。全翼式レイアウトの飛行機には機体、尾翼などの大きな部品がなく、暴露面積が大いに減少し、いくつかの連結部品の角反射現象がなくなり、ステルスに非常に有利である。だが全翼式レイアウトの機は通常、中等のアスペクト比、中等の後退角、中等の相対的厚み、という組み合わせを採用し、このため亜音速と高亜音速の飛行にのみ適し、遷音速や超音速は難しい。

全翼レイアウトという基礎があり、さらに加えて複合材料とレーダー波吸収塗装層を大量に採用し、エンジンの空気取り入れルートと尾部噴射口をうまく設計し、フラップ、ハッチなどの可動部品をうまく処理し、内部埋め込み式武器コンパートメントを採用すれば、ロシアの新世代戦略爆撃機は比較的良いステルス性能を持つはずである。

もしロシアのプラズマステルス技術も応用可能な程度に成熟していたら、そのステルス能力はアメリカの現役で最も先進的な戦略爆撃機を比べて見劣りさせることになる。

2つ目は「核・通常兵器兼備」である。これはロシア空軍がずっと堅持している基準でもある。戦略爆撃機はずっとロシアの「三位一体」戦略核戦力の支柱の1つであり、特にアメリカとNATOが一歩一歩迫り来て、ロシアが核という手段を用いて強い警告を与えざるを得ないという状況下で、核の威嚇と打撃は疑いなくロシアの新世代戦略爆撃機が持つことが必須の能力となる。

だが、結局のところ核使用のハードルはどんどん高くなっており、核兵器はむしろ一種の威嚇手段であって、未来の戦争は必然的に高度技術局地戦争となり、戦略爆撃機はより多く通常兵器による遠距離正確打撃任務を遂行することになる。このため、アメリカとロシアも現在B-2、ツポレフ-160などの戦略爆撃機の、核による打撃任務執行メインから通常兵器による打撃任務執行に向けてのモデルチェンジの推進をせざるを得なくなっている。アメリカの新世代戦略爆撃機も「核・通常兵器兼備」型である。

3つ目は大型、遠距離である。ロシアは玩児狠(頑住吉注:スラングのようで意味不明です)を好み、同種の飛行機でも他国のものより全て大きく、ツポレフ-160は現在世界最大で、最も重い超音速爆撃機に他ならない。次に、ロシア空軍は新世代戦略爆撃機に、ツポレフ-160よりも多くの武器を搭載できることを要求する。現在のロシア軍の各種情報と全翼レイアウトの選択から見て、ロシアの新世代戦略爆撃機は依然大型化の路線を行くことになる。

ロシアの新世代戦略爆撃機の目標は依然アメリカ本土を攻撃できることであり、このため遠距離作戦能力の具備が必須である。ツポレフ-22M中距離爆撃機の航続距離は7,000kmに達し得、ツポレフ-160遠距離爆撃機は空中給油なしで航続距離が12,300kmに達し得る。アメリカの新世代戦略爆撃機の基本航続距離は9,000km前後である。ロシアの新世代戦略爆撃機の航続距離、作戦半径はツポレフ-160とツポレフ-22Mの間で、アメリカの新世代戦略爆撃機に負けないものになるはずである。

4つ目は火力が猛烈で、正確打撃能力が強いことである。ロシア空軍の機載武器はずっと系列化発展の道を行っており、巡航ミサイルに関しては射程2,000kmに達し得るKh-555、5,000〜5,500kmのKh-101/102がある。内部武器搭載に適合するその他の通常武器にはさらに射程が15km〜250kmのKh-31PD高速対輻射ミサイル、および一連の正確制御誘導爆弾がある。

障害は比較的多く、困難は少なくない

ロシアの新世代戦略爆撃機の発展はすでにその空軍の優先プロジェクトとして大きな力を入れて推進され始めている。だが望み通りスムーズに2019年の試験飛行を実現できるか否かには、まだ非常に多くの不確定要素が存在する。

1つ目は資金保障に圧力があるだろうこと。良い品は安くない。ロシアの新世代戦略爆撃機の研究開発には3兆ルーブル近くの資金が費やされることになる。現在ロシアはまさに「新たな様相」の軍事改革、装備発展計画を実行しており、2020年までに経費の投入総額は20兆ルーブルに達することになる。これはプーチンでさえもやや恐れさせる巨額な数字であり、ロシアが最終的に持ちこたえられるか否かは、人を大いに疑問にさせる。

T-50も研究開発過程でかつて経費の支えが不足する問題に遭遇したが、インドとの合同研究開発という方法を探し出して遅れず解決することができた。だが新世代戦略爆撃機はロシアの各種高度技術を一身に集めたもので、輸出は禁止され、経費の圧力は自ら引き受けるしかないという可能性がある。

また、ロシア・アメリカの進攻性戦略兵器削減条約の制限を受けて、ロシアの新世代戦略爆撃機の装備数はあまり大きくならず、1機あたりの価格が非常に高くなる可能性がある。B-2はまさに価格が20億アメリカドルにまで到達したために、最終的にアメリカ空軍は装備数を21機にまで削減せざるを得なかった。

ロシアの現在の考え方はおよそ100機前後の生産であるが、最終的にB-2の状況が再現され、装備できない新世代戦略爆撃機になるか否かは、まだ非常に語り難い。

2つ目は高度のステルスが実現できるか否かに比較的大きい疑いがあることである。新世代戦略爆撃機の開発は、ロシア軍事航空製造領域のさまざまな方面に関わり、特に空力特性、エンジン、新材料、新技術、新工程いずれに対しても比較的高い要求が提出される。ロシアの関連の専門家は、ロシアの工業部門はこれに対しほとんど準備が整っていないと語っている。

ロシアの新世代戦略爆撃機の研究開発はその第5世代戦闘機T-50の開発経験を参考にすることができる。だがT-50は長年の難関攻略を経て、現在正面のレーダー反射面積も0.5平方mに到達しているが、米軍のF-22の0.01平方mとではまだ比較的大きな距離がある。このことは、ロシアが飛行機のステルス構造設計、材料、工程などの方面で、依然まあまあ満足できるといったレベルだということを説明している。

米軍のB-2の正面レーダー反射断面積は0.1平方mしかなく、ロシアは新世代戦略爆撃機にアメリカのミサイル防衛システムの防御を突破できることを要求しており、ステルスに関する要求はB-2に比べ低くはない。

新世代戦略爆撃機がプラズマステルス技術を使えるか否かにはまだ疑問がある。報道によれば、ロシアは1980年代初めにはもうプラズマステルス技術の開発を開始しており、現在世界に先んじている。試験は、この技術が飛行機のレーダーによって発見される確率を99%下げることができることを証明している。だが人を疑わしくさせるのは、もしこの技術が成熟し、かつ本当にそんなに不思議な力があるのならば、T-50の高度のステルス性の問題はとっくに解決しているはずだし、ロシアの新世代戦略爆撃機も必ずしも全翼レイアウトを選択する必要はない、ということだ。

3つ目は機に対する有効なコントロールの実現も1つの関門だということである。ロシアは世界第2位の航空製造国だが、全翼式レイアウトの飛行機の研究開発はやはり史上初なのである。全翼式レイアウトの飛行機には尾翼がなく、縦・横方向いずれも不安定で、俯仰の操縦は翼の上に配置されたその他の操縦面によって完成されることが必須で、いくつかの操縦面には総合的利用の必要があり、縦・横方向の操縦がカップリングし、権限の分配およびコントロールが極めて複雑である。

4つ目は航空電子システムの総合化の道が一道坎(頑住吉注:これもスラングのようで意味不明です)だということである。航空電子システムの総合化は現代の作戦機の重要な発展の趨勢の1つである。ロシア軍も新世代戦略爆撃機に全く新しい火力コントロール、ナビゲーション、通信、偵察、電子対抗などのシステムを装備し得ることを希望している。戦略爆撃機のセンサーは多く、内外の情報の相互の量は大きく、情報融合は複雑で、各システムの総合設計製造、各種情報の総合処理、ソフトウェアのプログラミングなどにいずれに対してもより高い要求が提出されるが、これはまさにロシアの弱点なのである。(執筆した機関:空軍装備研究院)


 飛行機が飛ぶには本来翼以外は必要なく、全翼機が一番効率がいいということは早くから分かっており、試作もされましたが、結局コンピュータ制御の自動操縦システムができるまで実用化されず、現在でも実際に使用されているものは多くないことから、実現の難度が高いことが分かります。戦略爆撃機の開発には戦闘機より金がかかるでしょうから、確かにT-50でも苦労した以上戦略爆撃機はもっと苦労するだろうと予想できます。なお、T-50やアメリカのステルス機の具体的なレーダー反射面積の数値が示されていますが、これらは最高機密のはずで、正しいという保証はないと思われます。















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