マッチガンとしてのM16

 「Visier」2004年7月号に競技用として使用されているM16バリエーションに関する記事が掲載されていました。私は競技にはあまり興味がないのですが、この記事には全く知らなかった意外な内容が多く非常に興味深かったです。


名声への道

今日もはや軍用ライフルとしてはまったくそうではなくなっているが、民間用ではM16から派生したセミオートモデルは現在多くのスポーツ競技会においてほとんど無敵の存在として通用している


事においても始まりは大事である。M16アサルトライフルおよびその民間用バリエーションAR−15の故郷であるアメリカでは、多くのスポーツシューターが長年にわたってこの新しい銃をサービスライフル種目に使用することをまったく拒絶していた。一部の射手は使えるにもかかわらず使っていなかったのだが、やがてこのオートローダーをNRAの「ハイパワー」競技に起用する最初の試みが始まった。この競技は200ヤード(1ヤードは91.44cm)スタンディング、シッティング、および400、600ヤードプローンで命中精度と累計タイムを競う当時のアメリカのクラシックな競技プログラムであり、長年にわたって7.62mmx51口径のサービスライフルM14の民間バリエーションであるM1A1に文句なしに制圧されてきた。この競技には補足的に1000ヤードプローンシリーズも含まれており、AR−15の使用は一般的には最初から考慮の外だった。小口径の.223オートローダーによるスポーツ射撃は、非公式な催しまたは純粋な軍の競技に限定されていた。

 この状況が最初に大きく打破されたのは1971年のことだった。National Rifle Association(NRA・全米ライフル協会)の「National Board for the Promotion of Rifle Practice」(頑住吉注:「ライフル射撃訓練促進のための全国会議」みたいな感じですかね)において、AR−15が全国的な競技用のスポーツライフルとして認められたのだ。同じ年、Camp Pennyにおいて最初の9人のシューターが AR−15によって成功を収めた。だがこの際600ヤードでの命中成績には若干の問題を残していた。当時M16はすでに全米軍の制式ライフルだったが、スポーツ射撃では「ターゲットライフル」としての許可を得ているだけだった。サービスライフル競技に使用が認められたのは1974年が初めてである。そしてこの許可はAR−15の純セミオート民間バリエーションに限られていた。

 だが、アメリカにおける(スポーツの)戦いはそれからなお20年続けられた。1994年、Camp PennyにおいてKenneth GillがAR−15を使用して、.308口径のM1A1「ナショナルマッチ」を使用した強力なライバルたちに勝利するまでである。以来7.62mmx51のスプリングフィールドが上位ランキングに入ることはもはやほとんどなくなった。今やアメリカではいくつかの競技が特別な保護ゾーンまたは特別競技とされ、M1ガーランドやM1A1のような古い大口径サービス、またはサービススポーツライフルは一般にこれによってまだタイトル獲得のチャンスを持っているだけである。
 今日、AR−15以外の銃が勝利するハイパワーサービスライフル競技(たとえ600または1000ヤードであっても同じ)はないのである。ターゲットライフル競技においてさえ、AR−15は600ヤードまで無敵であり、1000ヤードクラスでAR−15のより大きい姉妹機種(たいてい6.5/08かそれに似た口径のAR 10)が勝るのみである。

 ヨーロッパでもこの状況に違いはないように見える。サービスライフルにおいて、採用年の制限がない(またはオートローダーが禁止されていない)限り、AR−15は適合する競技を支配している。この4月、筆者の1人はOberland Arms OA−15A3を使用し、フランスで開催されたハイパワー ユーロ競技会において、「サービスライフル競技」でも「ターゲットライフル競技」でも勝利した。その何週間か前には複数の同じ機種が、フランス陸軍が運営に参加したマルチファンクション競技会において、700mの距離においてさえ卓越した成績を収めて他を打ち負かしている。オランダ、ルクセンブルグ、ドイツ、フランス、スイスによる国際競技会一次予選のベスト成績をそこに持ち込んでも総合2位にしかならない。

命中精度
 トップシューターのJohn FeamsterはAR−15を使い、200ヤードにおいて、オフィシャルなベンチレストマッチの中で0.231インチ(5.87mm)という結果を得た。これはどちらかというと冗談のような数値である。しかし、Feamsterはこれによってセミオートライフルに新たな可能性があることを証明した。それは、非常に良好なAR−15を使用しさえすれば、この距離で本当に1インチ(25.4mm)未満の命中精度成績がまぐれでなく連続して出せる可能性が期待できるということである。
 先端的命中精度は、もちろんその小さくない部分が、AR−15にはトリガー、いくつかのオプションを備えたバレルなど最も精密なカスタムパーツ領域も含む膨大な付属品マーケットが存在する、ということが原因になっている。他のオートローダーにはこのような形、クオリティ、豊富さでこうしたものはそもそも存在しないのである。
 だが、決定的な要素はファンクションの中に隠されている。AR−15のガス圧システムはバレル上のガスチューブによって作動する。発射時、少量の火薬ガスが分岐し、直接ボルトキャリアに導かれる。比較しうる原理はすでにスウェーデンのリュングマンAG42に存在していた。実際上他の全てのガス圧ローダーはガスピストンシステムで作動する。AG42もガスがAR−15のように直接ボルトキャリアに吹きつけるわけではない(頑住吉注:もう少しAG42のシステムに関する説明が続いていますが文章だけではよく分からず、本筋とは関係ないので省略します)

 AR−15のガスチューブはそれ自体がボルトキャリア内部にもフローティング状態で入り込んでおり射撃によって振動を引き起こすような力が生じない(頑住吉注:M16に関してもメカニズム上何故有利かという説明がもう少しありますが、はっきり分かりません。ただ、ロック解除、ロック時の一部パーツの動きがボルトキャリアの作動と逆であり、動揺が少ない、ということを言っているようです)。このように、この設計は命中精度結果にとっての理想的な条件を提供し、これはボルトアクションリピーターに劣らない。AR−15には付随的にまだ利点がある。それは、バレルを簡単に完全なフローティング状態(頑住吉注:要するに根元のネジだけで保持され、他の部分からはバレルに振動が伝わらない)に改造できることである。これは他のオートローダーでは全く不可能か、困難な改造によってのみ実現できるかである。装填時の弾薬(そしてその弾丸)への、そして排出時の薬莢へのストレスが小さいことはさらなるプラスポイントである。

風による偏差
 長年、人々は.223レミントンは遠距離では命中精度ポテンシャルが低いと言い続けてきた。充分な適格性を持つのは約200mまでにすぎず、使用可能性があるのは500mまでに限られるかもしれないと。風への敏感性が極度に高く、5.56mmx45の飛行安定性は小さいと小者扱いしていた。だが、事実は違うようである。7.62mmx51NATOをH&K G3から撃った場合の風による偏差と、5.56mmx45をM16から撃った場合のそれは、600mまで実際上同等である。900mにおいてさえ7.62mmは風の中で約20%結果がよいだけである。
 これに対しUSアーミーの新しい重量77グレインの5.56mmスナイパー弾(頑住吉注:「6.8mmx43SPC」の項目で登場した「Mk-262 5.56mmx45 77グレイン弾薬」のことですね)は、900mにおいて7.62mmx51のスタンダードフルメタルジャケット弾を約5%上回りさえする。リンゴと洋梨は比較すべきものではない(頑住吉注:これってアメリカ在住のGUN誌ライターが好んで使う言い回しですけど元ネタは何なんでしょうね)。M16/AR-15の20インチバレルから発射されたホーナディ製75グレインA−MAXの風による偏差と、24〜26インチバレルから発射された7.62mmx51「Parma」155グレインマッチ弾のそれは等しい。この事実を持ってしても、小さな5.56mmx45は依然として純粋なロングレンジキャリバーということはできない。だが、ミリタリー弾薬の中で7.62mmx51に後れを取るものでないのも確かである。

ライフリング
 多くのシューターは今日でもまだ正しいライフリングピッチの命中精度成績に果たす決定的な重要性を過小評価している。ライフリングは半回転/進行長(インチ)で計測される。例えば1/8というのは8インチ弾丸が進行する間に半回転するという意味である(mmで計測される場合もある)。これは、1/8ライフリングで発射された弾丸は1m進行するごとに4.92回その軸に沿って半回転するということである。  弾丸の速度が900m/sのまま変わらないと仮定した場合、1秒間に4428回半回転していることになる。そして、弾丸の速度とは反対に、弾丸は銃口を出てから非常にわずかなライフリングによる回転速度を失うのみである。
 M16アサルトライフルの場合でも、まず最初に選ばれた1/14ライフリングは55グレイン弾を必ずしも充分に安定させないということが最初の実験の結果すぐに示された。すなわち弾道上に草の茎があると弾丸が曲がる可能性があるのだ。北極圏の緯度でもそれに対応する低い気温での射撃における命中精度問題が存在した。ライフリングを1/12に強めることでこの問題は解決した。
 1980年代の始め、米軍は(まず最初にアメリカ海兵隊がM16A2とともに)新弾薬(SS109、重量62グレイン)に切り替えただけでなく、ライフリングも特別に強めた1/7のものに切り替えた。弾丸が重くなり、そして長くなるほどライフリングは強くなければならなくなる。
 今日、.223レミントンの提供品は40グレインの軽量バーミント弾から、極端に長く延ばされた重量領域80グレインのマッチ弾まで広がっている。この多様性はAR−15クローンをチューニングできるバレルのいろいろなライフリングピッチにも反映している。

約200mまで使用するための50〜55グレイン弾:これらの弾丸は、しばしば(100mにおいて、ときどき200mにおいても)最も命中精度がよく、そしてたいてい最も安価である。リロードのコンポーネントとしても、また工場製弾薬においてもである。これらはライフリングピッチが1/6.5から1/14のライフルで発射することができる。ただし、高初速が極度に強いピッチと結びつくと、弾丸が分解する傾向が出る。ピッチを1/8以上に強くすべきなのは主に非常に短いバレルのライフルによって撃ちたい人だけである。この弾丸重量領域で優先的に扱われるのは1/9のライフリングである。

距離100〜800mに使用される重量68〜68グレインホローポイントボートテイル(HP-BT)マッチ弾:これらは初速をかなり上げても(バレル長および弾薬により810〜930m/s)依然として高い命中精度を提供する。この重量クラスのHP−BT弾は1/10かそれより強いライフリングピッチを必要とする。1/7では初速が930m/sを越えると弾丸分解の可能性がある。

200〜800mにおける75〜77グレインHP-BT弾:これらの弾丸は空気力学上の有利さはマッチ弾と比べ取るに足りない。だが、より遠距離においてターゲットにより大きなエネルギーを与える。AR−15用弾薬はマガジン内でギリギリの長さであり(スタンダードな弾薬の長さは57.4mm)長いこの弾丸の場合薬莢内の発射薬のスペースは小さくなるが、この制約内でも69グレインマッチ弾に対する優位が確保される。この重量クラスは最低1/9ライフリングを必要とし、より望ましいのは1/8または1/7である。

300〜900mで使用される75グレイン ホーナディA-Max、80グレイン Sierraマッチキング、そしてより重い弾丸(例えばBergerの):これらの長い競技用弾丸はもはやノーマルなマガジンに入らない。弾薬全長が60mmかそれ以上にならざるを得ないからである。この場合特殊な一列マガジンを使った「回り道」によって連発機能を残すか、単発で使用するしかない(頑住吉注:マガジンを一列にしただけで長い弾薬が入るわけではなく「回り道」というのも意味不明ですが、最低ならわずか2.6mmの差ですからひょっとすると弾薬先端が中心に位置し、お尻が横に振られたような斜めの形で装填されるのかもしれません。)。80グレインのSierraマッチキングも5グレイン軽いAーMAX等と同じ使用領域をカバーする。両方とも1/8かそれ以上強いピッチのライフリングを必要とする。だが、Sierraの弾丸はホーナディと比較して弾道係数が劣っており、より重い重量によって初速も低い。これらの弾丸に1/8ライフリングは過度ではなく、より望ましいのはM16A2と同じ1/7である。ちなみにM16A2の場合、これほど強いピッチのライフリングが必要なのは必ずしもSS109の62グレインスタンダード弾のためではなく、トレーサーを充分に安定させるためである。80グレインのBerger VLDのような極端に長い弾丸のためにはオプションとして1/6.5の特殊ライフリングすら存在する。

 使用するのがAR−15でも他のライフルでも、ドイツでは大部分のシューターはロングレンジの射撃を行う可能性をほとんど持っていない。大部分のスポーツシューターは弾丸の重さに応じて自由に選んだ結果として1/8ライフリングを使用しており、このライフリングはより軽い領域の弾丸の使用にも大きな制約はない。競技での射撃距離が最大300mに制限されているシューターには1/9ライフリングが最適のものとしてお勧めである。

サイト
 ルール上厳密に基準が定められていない場合、スポーツシューターはリアサイトをいろいろなメーカーの豊富なアクセサリーバリエーションから選んで組み込むことができる。ドイツではAR−15のマッチバージョンの大部分はいわゆる「上なし」、つまりガス取り入れ部とアッパーレシーバーの上に単にマウントレールだけがある状態で提供されている。レール上部の多数の横方向のミゾによっていろいろなアクセサリーが好みの前後位置でマウントできる。
 外観上これらのレールはウエーバーマウントの方式とすべての機能において同じであるように見える。個々の「歯」の距離と寸法、そして削り加工はミリタリースタンダード1913の規格とされており、これはアメリカで「ピカティニーレール」と名付けられている。全てのピカティニーレールは同時にウエーバーレールであるが、全てのウエーバーレールがピカティニーレールの規格を満たすわけではない。

 国際的なサービスライフル競技(ほとんど全てにおいてAR−15が認められている)への参加を希望する人は(1クリック0.5-MOA上下左右に調節できる)「A2」または「A3」スタイルのミリタリーリアサイトの使用が義務づけられている。両バージョンともM16に特徴的なキャリングハンドル内に2枚のブレードに切り替えられる穴型のリアサイトが組み込まれている。
 両者の差その1。A2のリアサイトでは、キャリングハンドルがアッパーレシーバーと一体であり、一方A3ではそれが「フラットトップ」のアッパーレシーバー上に固定されたピカティニーレールに装備されている。両者の差その2。A2のリアサイトは300〜800mの大きな調節範囲を提供しており、一方除去可能なA3のリアサイトは300〜600mまでである。だが、A2でもA3でも、個人の必要に応じてチューンされた穴型リアサイトに自分で交換することは比較的容易である。

 A2でもA3でもフロントサイトハウジングに背の高い調節可能なフロントサイトが内蔵されている。このため距離対応型リアサイト、穴型リアサイトの調節目盛りを現実に合わせることができる(頑住吉注:要するにリアサイト側を例えば「200m」に合わせた時、本当に200mでターゲットの中心に着弾するようフロントサイト側で調整できるということのようです)。その上、上下調節可能なフロントサイトにより、ライフルを大きな出費なくいろいろな距離に適合させることもできる。
 たいていのスポーツ組織はミリタリースタンダードから逸脱するフロントサイトの変更の余地を充分に認めており、その場合たいてい外観が変わらないことが条件になっている(頑住吉注:フロントサイトがフロントサイトハウジングの左右のガードに隠れて一見変わっていることがわからないようなものなら軍用から逸脱したものを使ってもよいが、そこから大きくはみ出して「サービスライフル競技」の雰囲気を壊すようなものは認めない、ということのようです)。ノーマルな(頑住吉注:断面が)ラウンド型のフロントサイトは1クリックで1MOA(Minute Of Angle)移動する。
 スポーツに適したタイプは(頑住吉注:断面が)正方形のタイプである。このタイプはいくぶん良好なサイト像を持つが、そのかわり1クリックですでに1.25MOA移動してしまう(頑住吉注:ラウンド型はどの方向から見ても形が同じであり、1回転で5か所のクリック位置がありますが、正方形型は斜めに見るわけにはいかないので必然的に4か所のクリック位置しかとれないということのようです)。スポーツシューターにベストなのは後方に軽い切り込みのついたクラシックな「角材型」フロントサイトなどである。こうしたタイプは最もクリアなサイト像になる。少々問題なのは調節が5MOAだということだ(頑住吉注:要するにこのタイプは1方向からしか見ることができないため1回転するうちに1か所のクリック位置しかなく、当然1クリックでラウンド型の5倍移動してしまう、ということのようです)。そこで使用者はヤスリで修正することになる。

 ARー15にオープンサイトを使うことを希望し、オリジナルサイトに縛られないというシューター(頑住吉注:つまり「サービスライフル競技」以外に出場する人)には、ARー15の高さに調整された純粋なスポーツ用距離対応リアサイトがお勧めだ。そのようなサイトは例えばCentra社が提供している。これは絞り、色、偏光フィルターとコンビネーションして取りつけることができ、正ネジでも逆ネジでも入手できる。1クリックでの移動距離も個人の基準値に合わせることができる。このサイトは319ユーロである。これに加えてマズル直上にフロントサイトハウジングを装備すれば理想的なメカニカル距離対応サイトは完全なものとなる。これを使うと射手は照準長を最大限に長くすることができる。

 スコープをマウントすることを希望し、それをマウント部品、マウントリング、スコープ本体ともまとめて業者からベストの形で購入する場合はその前にいくつか考慮すべき点がある。「フラットトップ」アッパーレシーバーはたいてい比較的高いマウントリングまたはマウントを必要とする。「フラットトップ」型は比較的集中した位置にしか入れられないボルトアクションライフルと対照的に、その一番前から射手の利き目に比較的近い一番後ろまでレールに横方向の切り込みが入れられる。
 それでもスコープを目から遠距離(10cmかそれ以上)に設置したいときは、しばしばレール内では収まらない時がある。そんなときは前方に延長された、補助的な「スワンスリーブ」スタイルのマウントレールが助けになる。これはいろいろな長さで提供されており、一部は起倒式の穴型リアサイトが直接装備されている。
 クラシックなM16スタイルの固定されたフロントサイトハウジングの場合、スコープはたいてい、いや常に、非常に高くマウントしなければならない。フロントサイトがスコープの像の内部で約40%以上突き出さなくなるようにするためである。さもないとスコープを通して像を見た時フロントサイトのシャドーに邪魔されてターゲットを狙うのが困難になる。
 スコープをアッパーレシーバー上にレールとリングを使ったクラシックな形で直接マウントするか、あるいはそのかわりに着脱式のマウントにするかは個人の好みと予算次第である。
 単純なウエーバーレール用マウントリングは2、3ユーロからすでにある。着脱式(そして着脱を繰り返しても狙点の正確さが維持されるタイプの)マウントはこれよりはるかにコストが高い。ただしこのタイプにはいろいろなスコープ、オプティカルサイト、距離対応型リアサイト、キャリングハンドルなどの間で交換ができ、その際調整が必要ないというメリットもある。レオポルドの「クイックリリースリング」、Oberland Armsが大量に販売しているA.R.M.S.マウントといったこの種のシステムの繰り返し着脱した場合の正確さは確認済みである。

ライフル
 ドイツではこのスポーツ用のオートローダーを「AR」15ではなく、OA−15、またはXR15と呼ぶ(頑住吉注:というか別にアメリカ製のAR−15をそう呼ぶわけではなく、ドイツで販売されているAR−15系クローンがそういう商品名だということです)。目下2つの国内における取り扱い企業がいくつかのライフルモデルと膨大な適合するアクセサリーの両方を提供している。OHGはイギリスからSabre DefenceのXR15を輸入しており、一方Oberland ArmsはOA−15用のオリジナルアッパーレシーバーを国内で生産している。
 以前は両社ともアメリカ製(OHGはオリンピックアームズ製、Oberland ArmsはDPMS製)の似たような銃を輸入していた。しかし9.11テロ攻撃以後アメリカからのARー15ライフルの輸入は乏しくなっているようである。

 何故この記事の中にOA−15ライフルの写真しかないのか? まったく簡単なことだ。Oberland Armsは初めに多数のこの種類の銃を送ってきた。シューティングレンジでのいくつかの簡単なテストはそれを使って行わざるを得なかった。テストした銃には機能障害はなかった。命中精度に関する結果は表にまとめてある。
 これらOA−15の加工と仕上げは、2003年6月号のオートローダー比較テストの時以来大きな変化はなかった。マッチバレルには依然Lother Waltherが使われ、アッパー、ロアレシーバー間には全ての銃においてほとんど遊びがなかった。

 遺憾なことにOHGの2種のXR15は編集の締め切り日から2、3週間経過して初めてだらだらと来た。テストレポートは次号に掲載する。

モデル:Oberland Arms OA−15
(基本)価格:1600ユーロ
口径:.223レミントン
マガジン装弾数:10(2、5、20、30もあり)発
全長:1010mm
バレル:609mm(外径23mm)
重量:4850g
装備:ワルサー製フローティングステンレスバレル、PSGグリップ

弾薬 グルーピング
Hornady Custom 53grs HP 17mm
PMC 55grs Match King HP-BT 24mm
IMI 55grs HT-BT 16mm
American Eagle 62grs VM-bt 114mm
Federal Gold Medal 69grs HP-BT 33mm

距離100m、ベンチレスト、5発の結果。


 M16のシステムは重いピストンが激しく前後動する通常のガスオペレーションシステムより発射時のストレスが小さくて命中精度上有利であるという話は読んだことがありましたが、まさか遠距離も含めて軍用ライフル中無敵とは思いませんでした。
 余計な話ですけど、「何故ゴルゴ13は遠距離狙撃に不向きな.223のM16を使っているのか」という疑問(というかネタ?)は大昔からあって、「漫画(劇画)なんだからいいじゃん」と言う人もいれば(私もそうでした)、一生懸命合理的な説明をしようと試みる人もいましたが、「いや、M16はボルトアクションライフルに負けない軍用として最高の命中精度を持つライフルだから遠距離狙撃に使うのは正しいのだ」と主張する人はあまりいなかったように思います。こんなことは試してみればすぐ分かりそうなものなのに、「.223の弾は軽い。軽い弾は遠距離ではズレが大きくなる。またオートマチックライフルは一般にボルトアクションライフルより命中精度が低い。したがってM16が遠距離射撃に向かないのは明らかである」と長年多くの人が思い込んできたというわけです。まあもちろん初期の55グレイン弾と1/12ライフリングの組み合わせ、そしていろいろな命中精度向上ノウハウがなかった頃は本当に今より遠距離射撃能力が低かったというのもあるでしょうが。また余計な話をすると、実験で確認できる問題においてすらこういうことがあるなら、実験して確認することが原則不可能な人間に対する効果の問題において「9mmパラベラムは小さくて軽い弾だからストッピングパワーが45ACPに劣るのは明らかである」という思い込みが根拠な長年く続いていることもありうるかもしれない、という気もしたりするわけです。

 XM8、HK M4の記事で命中精度に一切触れていないのがやや気になりましたが、ショートストロークのピストンが長いロッドを介してボルトキャリアを強烈に打撃し、慣性で大きく後退させるというこれらの銃は命中精度が現用のM16に明らかに劣るのでドイツ人としては触れたくなかったのかもしれません。ただM16にこうした長所があるのは事実でも、砂漠などでの信頼性などの面で大きな問題があり、また5.56mmx45のストッピングパワーが不充分であることもまた確かであって、何らかの解決策が早急に求められているわけですね。

 ちなみにドイツの銃器雑誌に「ライフリングが〜mm」などと書かれていることがよくあり、私は特別の説明がない以上当然「〜mmで1回転」と思い込んできましたが、ライフリングの表示の基準は半回転ということです。

記事中紹介されているOberland Armsの公式サイトにおけるこの銃の紹介ページはここです。

http://www.oberlandarms.com/index.php?category=Waffen&id=OA15_0&page=details

 Oberland Armsの銃のデータおよび成績表は本当はもっとあるんですが、ドイツで販売されているM16バリエーションの詳細に興味がある人は少ないと思うので基本的なバリエーション1種類だけにしました。命中精度はどれも大差ないです。これを見ても適した弾薬を使うと100mで20mm以下に集まるようで、M16(系)の命中精度は確かに想像以上だなと感じます。「ステアー タクティカルエリートSDとM9A1SD」の項目では「タクティカルエリート」のノーマル弾薬、サイレンサー使用時の100mグルーピングが16〜28mmとされており、最小の数値16mmは今回のOA−15と一致しています。

 この記事には続いてOA-15 「Classic Retro」という、ちょうど東京マルイの「ベトナムバージョン」のような、厳密でなくできる範囲で「ベトナム戦争当時風」にしたバリエーションのレポート記事があり、また次号には締め切りを破ったOHGのXR15の記事が掲載されるようですが、多くの人に興味があるのは今回訳した一般論に関する部分だと思うのでたぶん訳しません。












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