M1900ピストル製作記
これはM1900ピストルの製作情況をリアルタイムでお知らせしたものです。なお、他のページと重複する画像は削除しました。


次期新製品はコラムでの予告通り、「あのジョン・ブローニング設計によるモデル1900ピストル」、すなわちコルトM1900に決定しました(笑)。

 この機種に決めたきっかけは、擬似ブローバックモデルの新展開として擬似ショートリコイルモデルを作りたいという希望でした。強度の低いガレージキットでは可動式バレルの保持に不安があり、またバレルの前方が下げられるような強い力がかかる点がネックになりますが、前後にリンクのあるこのモデルなら問題の解決が容易だろうと考えたわけです。構想を進めるうちに、いくつものアイデアが浮かび、初の擬似ショートリコイルに留まらず、今までにないギミックや工夫を数点組み込んで開発を進めています。

 と言ってもあまり知られていないと思うので、まず実銃について簡単に説明しておきましょう。

http://www.coltautos.com/default.asp

 この銃の説明ページに直接行けないんですが、このページ下の方にガバメントの全体像の周囲に多数の部分アップ写真があります。そのうち左上の、この銃の特徴であるセーフティを兼用したリアサイト部分のアップ写真をクリックすると表示されます。

 要するにガバメントの量産された最初の先祖と言っていいモデルであり、外観は大筋ガバメントに似ていますが内容には相当な差があります。すでに書いたリンクが前後にあってバレルがティルトせず後下方に移動する点、サムセーフティやグリップセーフティがなくリアサイトがセーフティを兼ねている点の他、後のガバメントでプラグに当たる部分を押してロックを解除し、「かんぬき」状のパーツを横に引き抜いた後でスライドを真っ直ぐ後方に抜くという異様な分解方法、グリップ後下方に位置しながら通常のいわゆるコンチネンタルタイプとは逆の動きをする(要するにイングラムと同じ)マガジンキャッチ、スライドストップを持たない点、ハンマースプリングが板バネでハンマーにローラーが備えられている(要するにSAAと同じ)点などが大きな特徴です。これだけ大きく異なりながら、トリガー、トリガーバー、シア、ディスコネクター、ハンマーの関係はほとんど後のガバメントと同一であるのも興味深いところです。ちなみに私も今回調べて初めて知ったんですが、この銃に使われる.38コルトという弾薬は、現在の.38スーパーACPの前身であり、薬莢は同一で単に弱装であるだけの弾薬です。

 製品は前述のように基本的には擬似ブローバックモデルですが、量産モデルガン同様バレルに常にショートリコイル方向への弱いスプリングのテンションをかける擬似ショートリコイルモデルとします。分解方法も実銃通り再現できるはずです。さらに、今回は擬似ブローバック系列では初めてのライブハンマーを採用する予定です(ハンマースプリングは板バネではありませんが)。単にハンマーが動いてもスライド前進と一緒にハンマーが戻ってしまったのではかえって変なので、これもこの系列では初のディスコネクトも盛り込む予定です。ただし、スペース的にスライドと連動するものは無理のようで、大昔のMGCモデルガンの一部にあったようなトリガーの引ききりによるディスコネクトですが。



 メカが従来よりずっと難しいのでかなり手間取りましたが、やっと基本的な構造が固まりました。まだ「かんぬき」のロック解除部分とマガジンキャッチが出来ていませんが、ここにはまず問題はないはずです。

 このシステムはスプリングのテンション差によるものであり、しかも強度のない素材を使う以上あまり強いスプリングは使えないという制約があります。ハンマーもショートリコイルもなしなら問題は少ないのですが、ハンマーはスライドの動きを邪魔し、擬似ショートリコイルのためのスプリングは閉鎖を邪魔するので難易度がかなり高くなります。つまり、「最強のスプリングであるバレル内のスライド後退用スプリングは極端には強く出来ない」、「この極端に強く出来ないスプリング1本の力でリコイルスプリングとハンマースプリングが協力する力に勝たせるためにはリコイルスプリングを出来る限り弱くする必要がある」、「リコイルスプリングがあまり弱いと擬似ショートリコイル用スプリングの力に負けて完全閉鎖しないし、ハンマーの抵抗に負けてスライドが後方で停止してしまうおそれがある」、ということです。しかしいろいろやってみたところ、何とかなりそうだと判断して発表に踏み切りました。この難しい調節に役立てるため、ネジによってバレル内スプリングのテンションを変える工夫も盛り込む予定です。ちなみに、リアサイトの上下動と連動してスライドロック用突起を上下動させ、セーフティをかけるとスライドがロックされないハンドリングモデルにもなるというギミックも考えたんですが、これはスペースやパーツの強度、精度などから断念しました。メカに大分スペースを取られるのでマガジンは実銃の3/4くらいの長さになってしまいそうですが、ないよりはましだと思うので再現します。ただマガジンキャッチの操作方向を誤って折ってしまう人が出ないかちょっと心配です。ダミーカートはプラキャスト製を複数セットする予定ですが、実物と寸法が似ており、比較的入手しやすいと思われるマルシン製モーゼルM712用と基本的な寸法を似せて共用できるようにするつもりです。

 残念ですがこの銃の場合「コルト」、「ブローニング」が使えないとほとんど成立しないのでM1877ライトニング同様刻印はなしにします。もう1つM1877なら「ライトニング」という固有名詞が一応ついていますが、この銃には記号以外に名前がないという困った点もあり、商品名は単に「M1900」になると思います。

 進行状況はここでお伝えして行きます。

12月17日

 今こんな感じです。この銃は形が比較的単純なのでこれからの作業は早いと思います。

12月25日

 かなり進行しました。後残る造形はハンマーとセーフティ兼用リアサイトの滑り止め程度で、間もなく仕上げに入ります。

1月5日

 間もなく型取りに入ります。

 パーツ点数がかなり多いことはこれを見てもお分かりだと思います。まだ多少増えますし。複雑なメカが複製品でもちゃんと動いてくれるかちょっと不安ですが、経験上まあ何とかなるはずだと踏んでおります。

 原型においてABS積層から削りだしたエキストラクターの歯がすぐに欠けてしまい、アルミ板から削りだして作動調整を行いました。グラスファイバーを混入した歯科用レジン製をテストしてみて、それでも欠けるようなら製品でも1個1個アルミ板から削りだすしか方法がないと思います。

 今回はシステムの都合上ホールドオープンしませんので、スライドを引いて後方で抑えた状態でカートをエジェクションポートに入れることになります。なお、実銃もホールドオープンしません。カートはやはりより寸法や形状が実物に近いということで、マルシン製モーゼルミリタリー用カートではなく、MGC製.38スーパーACPカートと基本的寸法を合わせることにしました。ただし、今回は作動調整がシビアなのでこの金属カート使用時には特別な調整が必要になるかもしれません。

1月18日
 予想よりかなり手間取りましたが、今日試作第1号が完成しました。

というわけで、


 とは言うもののまだ細部に修正が必要で、たぶん発売は2月中旬頃になると思います。予定外のシステムを追加した結果、カートの飛距離はあまり出ないものの作動自体は絶好調になりました。ただ、やはり調整は困難で、コストもかかるので価格は高めにならざるを得ないと思います。














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