ホーナディ.17マッハ2

 .22WMR(ウィンチエスターマグナムリムファイア)をボトルネック化して超小口径弾頭を装備し、超高速、フラットな弾道を狙った.17HMR(ホーナディマグナムリムファイア)についてはすでにお伝えしました。ホーナディは新たにこの弟分のような弾薬、.17マッハ2を発売して話題になっています。これは最もポピュラーな弾薬ともいえる.22LRを同様にボトルネック化して同じ弾頭を装備したものです。「Visier」2005年2月号にこれに関する記事が掲載されていました。


「Rand-Erscheinung」(頑住吉注:「Rand」にはリムファイアのリム、「Erscheinung」には「現象」、「出現」、「外観」などの意味があります。日本語にも「〜現象」なんていう言葉がありますが、リムファイア弾薬の発展をこんな風に表現しているんではないかと思います)

.17HMRが禁猟期弾薬.22ウィンチェスターマグナムを凌駕した後で、ホーナディは今.17マッハ2で最高のものを狙っている。.22ロングライフルである。(頑住吉注:「禁猟期弾薬」というのはドイツの狩猟法に何らかの規定があるんでしょうが意味不明です。「最高のものを狙う」という言い回しは直訳すると「星をつかむ」というような言い方で、不可能なほどの高望みを指すそうです。つまりさまざまな用途に信じられないほど広く普及しているリムファイア弾薬のチャンピオン、.22LRの王座を奪おうとチャレンジしている、というような意味と考えられます)

メリカの弾薬および銃器メーカーはバーミントシューティング(小さな地リスや他のげっ歯類への狩り)なしに存在できるだろうか。できるメーカーはわずかである。というのは、この余暇活動のいくらか奇妙な形は、新開発のための原動力として有効だからである。このための装備には最高の要求がなされるからなおさらである。この領域で特に活動的なのはホーナディ社である。同社は2002年、.22ウィンマグをベースに.17HMR(ホーナディマグナムリムファイア)を開発して驚かせた。2004年、これに.204ルガー、および軽量化版.17ホーナディマッハ2が続いた。これにより同社は今、現在.22LRの王座を揺さぶりたいと考えている。

才能ある人
 空気力学的性質に優れたV-MAX弾のおかげによるフラットに伸びた弾道と抜きん出た精度により、.17HMRはすでに「飛ぶ灰皿」を思い出させるホローポイント弾を装備した古い.22WMRをはるかに追い抜くことができている(頑住吉注:「飛ぶ灰皿」というのはよく分からん表現ですが、細くて先端が鋭く尖った.17HMR V-MAX弾に比べ、.22WMRのホローポイント弾は空気抵抗が比較にならないほど大きいということでしょう)。しかしその開発者Dave Emaryはすでに.17HMRの研究段階で、さらなる縮小プロセスを熟考していた。彼は開発エンジニアMitch Mittelstaedtとともに、小口径化した.22LR薬莢と17グレインV-MAX弾による最初の実験を続行した。だが、この弾薬の全長は短い弾丸により多い発射薬のためのスペースを提供する.17HMRの薬莢と等しかった。この弾薬では弾丸後方に3グレインの発射薬が置かれ、つまりこれは.22LRのほとんど倍である(頑住吉注:直訳しようとすると話がよく分かりませんが、要するに新弾薬は.17HMRより発射薬のスペースがずっと小さくなるが、それでも.22LRの倍近い量が使われている、ということです。.22LRは発射薬がぎっしり詰まってないんでしょうね)。これにより、プロトタイプはほぼ等しい圧力比(1840bar)において640m/sの初速を引き出した(頑住吉注:この圧力が何と等しいのか明記されていないんですが、たぶん狭いスペースに多量の発射薬を詰め込んで点火することで.17HMRと同じ高圧を引き出している、ということではないかと思います)。そしてこれにより、ノーマルな.22LRの(頑住吉注:初速の)ほとんど倍となった。この弾薬には考えをこらした名前、「マッハ2」が与えられた。

提供品と需要
 しかしホーナディはすでに.17HMRの注文殺到に応えられていなかった。多くの客は弾薬を複数月待たねばならなかった。このため、メーカーにとって等しい弾丸を使用するさらなる17口径系を売り出すことはほとんど意味を持たなかった。

 というのは、2003年だけで、ネブラスカ州Grand Islandでほとんど1億5千万単位が製造された(頑住吉注:「単位」=「Einheiten」という言い方は初めて見ました。「発」のことではないかと思うんですがよく分かりません)。その際小さなV-MAX弾の製造には問題があった。公差がより大きい弾丸の場合より非常に大きな批判を受けたのである(頑住吉注:この人の文章はいちいち意味がつかみにくくて嫌になります。「大きな弾丸」とは一体何のことでしょうか。文脈からして.17HMRのことかと思うんですが弾薬はより大きくても弾丸は同一です)。最も小さい逸脱がすでに命中精度に表れた。ホーナディは大きな需要に生産過程の見直しと生産高の上昇で応えた。

広範なベースの上に
 中でも、経営陣は多くのSAAMI(The Sporting Arms and Ammunition Manufactures’ Institute全ての大きなアメリカの弾薬、銃器メーカーで構成される)メンバーにこの弾薬の技術的スペックとプロトタイプが入手できるように決断した。「我々が何を意図するかを見よ。あなたも参加できるのだ。」 Steve Hornadyはライバルにさえ訴えた。

 銃器メーカーでは素早く最初のプロトタイプが生じた。というのは、同じマガジンが使え、ただ.17口径のバレルを必要とするだけだからである。これにより昔に導入されたモデルでさえ、たやすく新口径に変更できるのである。広い普及に技術的障害はほとんどないようである。当然弾薬会社もすでにこの新弾薬の大量生産を発表している。ホーナディは今回簡単でより良い準備を望んでいた。結果的に同社は多数の銃および弾薬メーカーをマーケット導入のために勝ち取った。銃器サイドではスタームルガー、マーリン、トンプソン/センター、タウルス、サベージ、レミントン、ブローニング/ウィンチェスター、S&W、アンシュッツ、CZが含まれる。弾薬サイドではホーナディ、レミントン、ATK(フェデラル)、エレーがこの弾薬を受け入れている。

2つの名前、1つの生産
 ホーナディは.17ホーナディマッハ2として販売を行っているが、一方この弾薬の商品化にタッチしていない他の提供者もある。異なる特徴は弾丸の先端にある。ホーナディはV-MAX弾を赤い先端部つきでロードしている。レミントンは緑で、エレーは青である。ただし弾丸を提供しているのはいまだホーナディだけである。

 SHOT Show2004における公式な発表もまた大騒ぎになり、称賛の言葉が導かれた。タウルスの主任Bob Morrisonは.17HMRの極度の成功を取り上げ、この小さな弾薬が低いコストに基づきさらにベターな進行を遂げるだろうと考えている。その上この弾薬の評価はリムファイア弾薬は全てそうだが高い速度とパワーにかかっている。ブラジル人は弾薬と同時に短銃身リボルバーも発表した(これ以後の文しばらく意味不明です)。

小さい、強い ホーナディ
 マッハ2は24インチバレルから真に強い印象を与える数値を示す。135mの距離においてこの弾丸は依然として.22LRハイベロシティ弾の初速よりいくらか早い。ひっくるめて、この新弾薬はエネルギーに関して.22LRを67パーセント上回り、.17HMRを32パーセント下回る。10パーセントゼラチンへの試射では要求された残余重量56パーセントが現れた。これは高い弾丸速度と、ほとんど爆発傾向をもつ弾丸タイプを見れば非常に良好な価値である。命中精度に関しては、ニコン6.5〜20
x44AOを装備したテスト銃アンシュッツ1702D HBとエレー弾薬は、50mで10発のグルーピング11mmを、また100レーンでは5発のグルーピングが14mmをもたらした。

結論
 50発入り紙箱12ユーロという価格により、.17HM2はより大きい姉妹品(頑住吉注:.17HMR)より入手しやすいことになる(19ユーロ)。少なくともアメリカでは、多くのバーミントハンターにとって。我々にとってはそのような小型げっ歯類の欠如により、いくらか事情が違うと思われる。ウサギ、カラス、カササギ、ハトを狩りたい人には、50mまで.22LRがお勧めである。だが、.22口径マッチ弾薬(エレー、Ultimate Tenex EPS、RWS R100、SKマッチゴールド 12.20〜14.30ユーロ)と比較すると、.17マッハ2は同価格に過ぎない。それに加え80〜90mとなれば差が出てくる。ただし静的な50m競技を行うスポーツシューターは全く冷たい反応しかしないだろう。

弾薬 弾丸 速度(0m) 速度(45m) 速度(90m) 速度(135m) 速度(180m) エネルギー(0m) 同(45m) 同(90m) 同(135m) 同(180m) 45mでの命中点 90mでの命中点 135mでの命中点 180mでの命中点
.17HM2 17grsV-MAX 640 548 466 397 346 226 165 120 87 66 +1.7 0 −11.2 −35.6
.17HMR 17grsV-MAX 777 674 580 494 421 333 250 185 134 98 +0.3 0 −6.6 −20.3
.17Remington 25grs TM-HSP 1231 - 993 - 819 1227 - 799 - 543 +0.8 +3.3 +3.5 +1.1
.22LR 40grsVM 325 295 265 - - 135 110 90 - - 0 −19.3 - -
.22LR HV 40grsVM 385 335 311 287 - 192 145 125 107 - 0 −15.3 - -
.22WMR 40grsVM 582 488 405 347 - 439 309 213 156 - +3.5 0 −12.8 -

速度の単位はm/s、エネルギーの単位はジュール、命中点の偏差の単位はcm。TM-HSPはセミジャケットホローポイント。VMはフルメタルジャケット。HVはハイベロシティ。


 .17マッハ2は.22LRをボトルネック化して.17HMRと同じ弾丸を装備したもので、データによれば50mちょっと飛んだ.17HMRの速度で発射されると思えばいいようです。それでも初速はノーマルな.22LRのほぼ倍もあり、エネルギーも約1.7倍あります。ちなみに書いてありませんけどこの名称は弾丸の初速が約マッハ2だという意味でしょう。軽い弾は空気抵抗で減速しやすいというのが原則ですが、V-MAX弾は細くて先が鋭く尖っているので空気抵抗が小さく、減速率が小さく弾道もフラットです。.22LRの王座にどこまで迫れるんでしょうか。
 この弾薬は「効力とはエネルギー伝達である」というドイツ流の考え方からすればほぼあらゆる面において.22LRに勝っていることになります。不謹慎ですが、この弾薬が広く普及して対人用にも使われていけば、それが果して正しいのか事実を持って証明されていくことになるはずです。

http://www.ammo-one.com/17MACH2.html



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