アメリカの対艦弾道ミサイル対策

 アメリカが、空母の強敵になると見られる中国の対艦弾道ミサイルその他に対する対策を進めているという話題です。

http://mil.huanqiu.com/observation/2012-08/3083091.html


アメリカの将軍、空軍は中国のDF-21Dの打撃チェーンをN段に分解できる、とする

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカのレポートは中国の潜水艦に対し比較的大きな関心を向けている」)

【グローバルネット総合報道】2012年8月10日、アメリカ議会は「中国海軍近代化:アメリカ海軍戦力に対して持つ意味」という研究レポートを発行した。レポートは中国海軍の発展の現状、建設の成果、問題の存在について詳細に論述し、中国海軍の遠洋建設計画を評価し、中国海軍の対艦弾道ミサイル、対艦巡航ミサイル、潜水艦、空母、水上艦艇、揚陸艦艇、陸上プラットフォームの航空機、無人機システム、核兵器、電磁パルス兵器、海に対する監視、位置決定システムなど先進装備を列挙し、アメリカ国防省、アメリカ海軍の中国海軍近代化に対する反応を詳述している。文章は以下のように編纂されている。

アメリカがいかに中国の軍事近代化、特に海軍近代化建設に対応するかに関する問題は、すでにゆっくりとアメリカ国防政策のカギとなる重要問題になっている。中国海軍の急速な発展に対抗する多くの海軍軍事プロジェクトの予算が削減されることになるため、この問題はアメリカ海軍にとって特に重要なのである。

議会とその執行下部組織は、不断に増強される中国の海上軍事能力に対応するアメリカ海軍のプロジェクトを制定し、これはアメリカと中国の台湾海峡など潜在的な太平洋での軍事衝突の結果に影響する可能性がある。議会による、中国の海軍能力増強に対応する海軍プロジェクト発展に関する決策は、太平洋地域の政治情勢の進展に影響することになり、さらにはアメリカの太平洋およびその他の地域における戦略目標実現能力に影響する。

中国の海軍近代化改革は1990年代に始まった。これには対艦弾道ミサイル(ASBM)、潜水艦、水上艦艇などの装備調達プロジェクト、後方勤務保障、海軍軍事理論、将兵の素質、教育訓練および演習の改革と改善が含まれる。ウォッチャーは、中国海軍近代化の近い時期における目標は、台湾情勢における軍事的主導権を高めることであると信じており、この目標と一致して、中国は「対介入」能力の向上を希望し、軍隊にアメリカ軍が台湾海における衝突に干渉することを阻止し、あるいはアメリカ海、空軍の動きを遅延させることによってアメリカの干渉を打ち負かすことができるよう要求している。海軍近代化改革を包括する中国の軍事近代化は他の目標をも追求する。例えば南海や東海で主権を宣言し、中国の世界における影響力を高め、200海里の排他的経済水域(EEZ)で権利を行使し、中国の海上航路を防衛し、外国の華僑を保護し拡散させ、アメリカの太平洋地域における影響を消し去り、世界の主要な力量としての中国の地位を確立することである。

このため、アメリカ議会は以下の問題に関心を持ち、解決する必要がある。中国の「対介入」作戦に対応する問題上、アメリカ海軍は未来において充分強大であるか否か? アメリカの利益の維持保護その他の任務を完成させることができるか否か? アメリカ海軍の、中国の対艦弾道ミサイルや潜水艦に対応する能力はどうなのか? アメリカ海軍の、中国の「対介入」に対応する能力は、艦隊編成模式の改革を必要とするか否か?

未来のアメリカ海軍の規模。2011年8月の予算抑制法案に基づき、アメリカ海軍の将来の予算はきっと削減に直面する。議会はずっと海軍の規模が中国を牽制し得るバランスにあるか否かを心配している。アメリカ海軍の官僚は、世界中でのあらゆる任務完成を確保するため、少なくとも310〜316隻の各種艦艇を必要とする、と宣言している。これからの30年、アメリカ海軍の駆逐艦、攻撃潜水艦、揚陸艦艇は全て不足の状態にあることになる。経費節約の考慮から、海軍の2013財務年度予算は、7隻の「イージス」級駆逐艦、2隻の強襲揚陸艦および多数の退役艦艇の短期就役方案を計画している。もし海軍が将来無理に310から316隻の艦艇を維持すれば(これには11隻の空母も含まれる)、海軍のその他のプロジェクトの予算は削減が必須となり、これもアメリカ海軍の戦闘力を損なうことになる。

「海空一体」作戦理念。2011年11月7日、本土安全委員会戦備部主席ランディ フォーブスはパネッタに1件のレポートを提出した。これは「海空一体戦」に充分な資金的支持と持続的注目を与え、1970〜80年に登場した「空地一体戦」理論の経験を参考に、相応の作戦条例を発展させ、関連の武器装備を生産し、作戦理論の改革を支持することを提案するものだった。現在初歩段階にある「海空一体戦」改革に、アメリカ軍は同様に資金調達と政策的支持を必要とし、アメリカ議会も国防省が適切で実行可能な予算草案を制定することを要求している。アメリカ国防省はすでに対介入/区域拒止(A2/AD)作戦環境に対応する2カ年発展計画を制定しており、これは関連の戦術および技術上の必要性を提示し、アメリカ軍の戦場における主導権を確保するものである。

対「対艦弾道ミサイル(ASBM)」能力。中国海軍の新型武器装備に焦点を合わせ、アメリカ海軍は将来、対「対艦弾道ミサイル」(DF-21D)能力を重点的に発展させることになる。中国の新型対艦弾道ミサイルは、「海上戦力の比率を変える」ことができると考えられており、アメリカはこのため多種の対艦弾道ミサイルを抑える方案を研究し、かつこれらの方法の総合的運用を強調している。対艦弾道ミサイルの殺傷チェーンの破壊はアメリカの主要な対応方法であり、対艦弾道ミサイルの直接的撃墜(ハード殺傷)に比べこの種の「ソフト」打撃は、アメリカ軍艦艇の正確な位置を偽装して対艦弾道ミサイルを幻惑するもので、対艦弾道ミサイルの探知計測、識別、位置決定など異なるなポイントを攻撃し、対艦弾道ミサイルに向け幻惑するデータパッケージを発射しその制御誘導を撹乱してもよい。2011年9月、空軍の作戦、計画、調達に責任を追う副参謀長ハーバート カーライル中将は、空軍はすでに「中国の打撃チェーンをN段に分解」できると表明した(頑住吉注:タイトルにもなってますが意味がおぼろにしか分かんないす)。アメリカ海軍の水上艦艇は、電磁波発射を抑制し、あるいは電磁妨害発射器により、ASBMの探知計測、識別、位置決定の難易度を上げ、かつ特殊装備を研究開発して中国の海上偵察監視システムを妨害し、ASBMの発射と異なる飛行段階を妨害し、特にASBMが目標に接近した時に妨害の強度を上げる。アメリカ軍は近年イージス弾道ミサイル防御システム(BMD)、「スタンダード3 Block IIA型」迎撃ミサイル、「スタンダード2 Block IV型」末端制御誘導海上プラットフォーム迎撃システム、「電磁レールガン(EMRG)」、海上プラットフォーム高エネルギー自由電子レーザー武器(FFL)、固体レーザー(SSL)などを開発してハード殺傷を行い、艦載電子戦システム、レーダー遮蔽煙幕発射器を開発してASBMの末端制御誘導レーダーを妨害する。もしこうであるなら、アメリカ軍はまだ防御に欠陥が存在し、さらに一歩受動的防御措置を発展させる必要があると考えている。

「アーレイ・バーク」級駆逐艦。アメリカ海軍は2016年に「アーレイ・バーク」級(DDG-51)Flight III型駆逐艦を調達する計画で、この艦には18.8億アメリカドルが費やされ、現在のFlight IIA型に比べ、超強力な防空作戦(AAW)およびイージス弾道ミサイル防御(BMD)能力を備え、その防空および対ミサイルミサイルは直接中国のASBMに焦点を合わせている。DDG-51は直径12〜14フィートの防空対ミサイルレーダー(AMDR)に換装された後、現在装備されているSPY-1多機能フェイズドアレイレーダーに比べてさらに正確となる。アメリカ海軍が将来建造を計画しているCG(X)巡洋艦はさらに強力な防空作戦およびイージス弾道ミサイル防御能力を備え、排水量は20,000トンを超える可能性がある。DDG-51に比べより多くのミサイル発射管を追加装備し、防空対ミサイルレーダーシステムもより先進的である。2008年、アメリカ軍はさらにDDG-51にスペースベースセンサーなど離岸データ採集装備を装備し、通信データチェーンの建立をもって偵察、探知計測能力を向上した。

大気圏内対艦弾道ミサイルサンプルターゲット。アメリカミサイル防御局は現在大気圏外サンプルターゲット計画を発展させているところで、各サンプルターゲットには3000万ドルが費やされ、しかも繰り返し利用することはできない。大気圏内対艦弾道ミサイルサンプルターゲットの研究開発は海軍の職責と考えられており、製造コストはさらに高くなるが、現在関連予算の支持がない。今後数年、アメリカ海軍は3〜5発の対艦弾道ミサイルの模型を購入し、対ミサイル試験のターゲット弾として使用することになる。2012年2月28日、アメリカでは、アメリカ軍が大量の試験ミサイルを必要とし、中国の「東風-21D」対艦弾道ミサイルの発射軌跡をシミュレーションするのに用いるとの報道があったが、アメリカ海軍には研究、開発、調達のためのいかなる経費もない。

対潜作戦(ASW)。対潜方面でアメリカは、海軍は中国の潜水艦に対抗する準備がうまく整っていないと考えている。2006年10月26日、1隻の中国の「宋」級潜水艦が沖縄海域で「キティホーク」号空母(CV-63)打撃群から5マイルの距離の時浮上した。だが打撃群は「宋」級潜水艦浮上前、中国潜水艦を探知計測していなかった。中国政府は潜水艦がアメリカ空母を追跡中であることを否認したが、アメリカ海軍に対潜作戦をさらに重視させた。アメリカ海軍はさらに多くの対潜戦プラットフォームの調達、艦載および機載分布式センサーをメインとする対潜方式の開発、ネットワークセンサー、無人機システム、離岸武器の総合使用を計画している。この前提は整合ソノブイなどセンサー情報の技術的難題の攻略である。


 海戦スタイルを完全に変える、アメリカに大型空母をもう作れなくさせる、とまで言われた対艦弾道ミサイルですが、当然アメリカも太平洋における影響力の維持がかかっているのでさまざまな対策を立てています。しかし一切妨害されなかった場合の命中率も、妨害された場合の命中率も、本番になるまでは分からないでしょう。







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