日中衝突におけるアメリカの役割

 2つの記事を紹介しますが、読んでいただければ分かる通り元々は1つのテーマの空軍編と海軍編です。

http://military.china.com/important/11132797/20130213/17678689.html


漢和:ひとたび中日が開戦すれば、アメリカは全力で日本の制空権奪取を助ける

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ空軍のFー15戦闘機」)

カナダの月刊「漢和安全保障業務評論」2月号に掲載された文章は、ひとたび中日の軍事摩擦が発生すれば、アメリカの駐日空軍戦力は真っ先に巻き込まれる作戦部隊である、とする。初期段階ではフォークランド諸島(アルゼンチンはマルビナス諸島と称する)紛争に似たものになる可能性が高い(同盟国イギリスに情報を提供し、装備の支持を行った)。情報の支持には早期警戒、ネットワーク戦、通信、衛星情報、画像情報が含まれる。

アメリカ国務省は2012年に少なくとも2回、釣魚島は米日安保条約のカバーする範囲内であると重ねて言明した。2012年8月、米日連合軍はグアム島、テニアン島で島嶼防御戦演習を行い、アメリカ海兵隊第3遠征軍、陸上自衛隊西部方面隊第15旅団(沖縄に駐留し防衛する)、普通科連隊(長崎県佐世保に駐留し防衛する)が占領された島嶼の奪取を想定して行われた上陸演習に参加した。演習に参加した部隊の編成から、米日が行動の上で西南諸島で発生する可能性のある事態に積極的に備えていることを見て取るのは難しくない。

日米軍事同盟は緊密な同盟国の性質を持つ。このため米日の海、空軍の主要な作戦プラットフォームはいずれも共通のLink16データリンクを使用し、海軍は同じLink11/14データリンクを持つ。武器装備の汎用性も相当に強い。ひとたび東中国海で事が起これば、いかなるものであろうとアメリカが軍事的に巻き込まれるのは自動的である。主要な作戦部隊は当然、駐日米軍が真っ先ということになる。その次はアメリカ本土の空軍作戦部隊、特にF-22戦闘機部隊である。F-22は異なる機数で何度も沖縄に進出して交代で訓練、配備されており、毎回およそ3ヶ月である。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「アメリカ空軍のF-22『ラプター』ステルス戦闘機」です。)

1990年代に両国が締結した「物資交換協議」は、ひとたび有事になれば米日作戦物資は共用となることを明確に規定している。多数の日米両軍の弾薬は共用であり、アメリカ軍は日本に極東最大の前置後方勤務倉庫を建設済みである。これらの倉庫にはAIM-120空対空ミサイル、AIM-9系列短距離空対空ミサイル、各種艦砲弾薬等々を含む弾薬が貯蔵され、これらの弾薬は日本の航空自衛隊、海上自衛隊の汎用装備でもある。アメリカ軍も日本の軍用物資倉庫から同じ弾薬を受け取ることができる。このような方式を通じ、米軍は日本、朝鮮半島に事態が発生した時の快速反応能力を強化している。

駐日米軍の冷戦時代における機能は、主にソ連軍の対北海道上陸、朝鮮半島と台湾海の「有事」の防止だった。両岸関係の緩和後、現在「アジア回帰」の軍備調整政策は、中国の軍事力発展に対する警戒の強化、および中日間に事態が発生した時の快速反応に重点が置かれている。

全力で日本の制空権奪取を助ける

文章は、中日の争いがひとたび実際の軍事衝突という状況までエスカレートしたら、アメリカ軍の偵察機、無人機の対中国偵察活動ははっきり増加することになる、と考える。これらの機は平時でも多数が沖縄から飛び立ち、中国、北朝鮮両国を偵察している。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「アメリカ空軍のMCー130H/P空中火力支援輸送機」です。いわゆるガンシップですね。)

ひとたび戦闘という性質の中日空中衝突が発生したら、アメリカ空軍の早期警戒機、戦闘機は明らかに参戦することになり、後方勤務、制空権奪取の支持を提供する。全面的な大規模戦争が発生しない限り、アメリカ空軍が中国本土に対し攻撃行動を採ることはない。

この作戦目的を達成するため、実際に駐日米軍は2000年以後もう調整を不断に行っており、特に海、空軍がそうである。2010年、駐日米軍は全部で44,850人で、このうち日本本土に駐留し防衛を行うのは22,078人、沖縄に駐留し防衛を行うのは22,772人である(外務省の発表)。半分のアメリカ軍戦力が沖縄に駐留し防衛を行い、主に中国を防ぎ抑止している。

アメリカ第5航空隊は日本に駐留し防衛を行う。アメリカ軍在日最大の基地は沖縄の嘉手納基地と三沢基地、山口県の岩国基地である。

嘉手納空軍基地は極東最大の基地で、アメリカ軍が中国空軍を抑止する最も主要な前置基地でもある。まさにこうだから、ずっと前から中国の軍事力は嘉手納基地に対する海、空軍、第二砲兵隊の攻撃能力を不断に強化している。ここにはアメリカ空軍第18航空連隊が駐留して防衛を行い、5つの作戦集団に分かれ、アメリカ軍の総数は18,000人である。

第18航空連隊の戦闘機部隊は第44、67戦闘機中隊の下に属し、全部で24機のFー15C/Dがいる。ひとたび中日が開戦すれば、これは最も中国に近いアメリカ軍のF-15戦闘機部隊ということにもなる。この連隊はさらにKC-135空中給油機、E-3空中早期警戒機を配備し、非常に強い連合作戦能力を持ち、偵察・打撃の一体化を行っている。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「アメリカ海軍のFー18戦闘機」です。)

第353特殊作戦航空群は実際には本土の空軍特殊作戦部隊に属し、空軍の特殊作戦に用いられる。MC-130H/P空中火力支援輸送機を装備する。全部で3個中隊、750人である。

第733航空輸送隊。毎月本土からのべ600機近い機が飛来し、3,000トンの物資補給を提供する。

第82偵察部隊。中国、北朝鮮の弾道ミサイルの発射、核実験などの監視専門に用いられる。RC-135U/V/W、WC-135などの偵察機を装備し、平時の無線偵察にも用いられる。

第390情報部隊は最も神秘的で、嘉手納に駐留して防衛を行い、空軍情報局に直属し、中国空軍に対する情報収集活動を担当する。

2007年3月から、本土空軍の第27飛行中隊の12機のF-22が初めて嘉手納に派遣されて交代で訓練を行い、5月に撤収した。これがアメリカの対中国空軍作戦強化の始まりである。

三沢基地に駐留し防衛を行う第13、14戦闘機中隊。第35航空連隊直属である。主要装備はF-16C/D Block50型戦闘機24機である。ひとたび西南地域で中日の空戦が発生すれば、F-16C/Dの主要な任務は地上目標に対する攻撃任務である可能性が極めて高く、特にもし中国軍が率先して争いのある島嶼を攻撃占領した場合はそうである(頑住吉注:この箇条書きみたいな記述、たぶんオリジナルの記事ではキャプションだったんでしょう)。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「アメリカ空軍のCVNー73『ジョージ ワシントン』号空母」です。)

空母が重要な役割を担う

文章は、海軍航空作戦部隊には「ジョージ ワシントン」号空母戦闘群があり、第5空母艦載機連隊が配備されている、と指摘する。現在神奈川県の厚木基地に配備されている。

「ジョージ ワシントン」号空母の全ての空中戦力は85機の飛行機を包括し、このうちF/A-18E/F戦闘攻撃機は全部で44機である。1隻の空母艦隊の空中攻撃、迎撃作戦能力は、ほとんど中国海軍の2個戦闘機飛行連隊の実力を超えている。さらに大きな中日軍事衝突では、アメリカ海軍は必ずより多くの空母作戦群を投入するに違いない。

F-35戦闘機、MV-22輸送機の進駐あるいは間もなくの進駐と共に、駐日米軍の実際の空戦能力、快速輸送能力はさらに非常に大きく強化される。

(頑住吉注:以後のページは画像とキャプションだけです。6ページ目は「アメリカのMV-22『オスプレイ』ティルトローター機」、7ページ目は「アメリカのWC-135W『フェニックス』核偵察機」、8ページ目は「アメリカのRC-135偵察機」です。)


http://military.china.com/important/11132797/20130214/17679073.html


漢和:アメリカ軍の1空母艦隊は中国海軍全体を超える

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ海軍のCVN-73『ジョージ ワシントン』号空母」)

カナダの月刊「漢和安全保障業務評論」2月号に掲載された「駐日アメリカ軍の中日軍事衝突の中の作用(海軍編)」との文章は、中日が真に大規模海上衝突を発生させる状況に至れば、アメリカ海軍の介入は空軍同様必然だ、とする。ひとたび中日の衝突が勃発すれば、アメリカ海軍は必ずや第2砲兵隊の弾道ミサイル発射活動を厳密に監視する。これと同時に、海上自衛隊に対する情報支援も当然のことで、両国海軍水上艦はいずれもLink11/14/16データリンクを配備しているのである。

戦争のエスカレートにつれ、戦闘の性質での介入は艦載戦闘機の中国海軍航空隊戦闘機に対するスクランブルの実施、海上自衛隊艦船の封鎖突破の援助、潜水艦を用いた中国海軍艦船への「誤爆」、日本の実施する対潜作戦の援助など、「非直接接触性の」衝突を含むようになる。

艦隊は強大な打撃能力を持つ

文章は、動員される主要な海上戦力はやはり当然駐日アメリカ海軍であるとする。これらの部隊には第70任務部隊が含まれる。すなわち第7艦隊戦闘部門で、司令部は「ジョージ ワシントン」号空母内に設置され、横須賀に駐屯する。しかもこの部隊は第5空母作戦群の作戦艦船を包括する。すなわち「ジョージ ワシントン」号空母の打撃群であり、第15駆逐艦艦隊からなり、アメリカ軍駐日部隊はすでに護衛艦を持たない。

(頑住吉注:これより ページ目。画像のキャプションは「アメリカ海軍の『タイコンデロガ』級ミサイル巡洋艦」です。)

アメリカ海軍第15駆逐艦艦隊は2隻の「タイコンデロガ」級ミサイル巡洋艦、CG-63、CG-67を含む。その満載排水量は10,000トンである。この2隻の巡洋艦はいずれも「スタンダード」-3海上対ミサイルシステムを装備しており、射程1,500kmの中距離弾道ミサイルを迎撃する能力がある。この他、第15駆逐艦艦隊はさらに7隻の「アーレイ・バーク」級ミサイル駆逐艦を持ち、その満載排水量は9,000トンである。それらはそれぞれDDG-54/56/62/63/82/85/89で、いずれもSPY-1Dフェイズドアレイレーダー、「トマホーク」巡航ミサイルを混装できるMk41垂直発射機を配備している。

文章は指摘する。たった1つの空母艦隊の対地巡航ミサイルの攻撃能力、艦対空ミサイルの作戦防御能力だけで、もう中国海軍全体の類似の打撃能力を超える。実際、中国海軍の水上艦はCJ-10巡航ミサイルをまだテスト中であり、真に陸上目標を打撃する能力を持つ巡航ミサイルは現在第2砲兵隊に配備され、3個旅団を超えず、数の上でも質の上でもアメリカの「海軍トマホーク」のレベルに達するには、まだ多くの技術開発の時間を必要とする。

文章は言う。対潜戦力は第7艦隊哨戒偵察部隊がメインで、飛行場は三沢基地で、嘉手納に分遣隊を持ち、衛星写真に見られるPー3C対潜哨戒機はこの部隊に属す。言い替えれば、長年にわたり東中国海、南中国海に対し偵察を実施している主力がまさにこの部隊であり、中国の不満の主要な原因でもある。

この他、第7艦隊潜水艦部隊も同様に横須賀に設けられ、最も神秘的な部隊であり、どのくらいの攻撃型原潜があるのか全く発表されていない。しかもアメリカ軍の「ロサンゼルス」級攻撃原潜が横須賀に常駐しているのも発見されていない。日本民衆の反核感情を考慮し、第7艦隊潜水艦部隊の原潜は日本に常駐せず、有事にあたり必要な時進駐するようである。これはグアム島の原潜の数が増加する主要な原因であり、現在グアム島には3隻の「ロサンゼルス」級潜水艦が配備されている。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「アメリカ海軍のLHD-6大型強襲揚陸艦」です。)

上陸作戦能力はあなどれない

文章は言う。第3遠征軍の一部の軍人が日本を離れグアム島の防衛に配置転換された後も、駐日米軍の上陸作戦能力は決して弱まっていない。長崎県佐世保には第7艦隊第7遠征打撃群が駐留し防衛している。司令部はLHD-6大型強襲揚陸艦上に設けられ、その満載排水量は41,000トンに達する。その他の上陸艦には1隻のLCC-19上陸指揮艦(これは第7艦隊の旗艦でもある)、3隻の満載排水量それぞれ15,000トン、16,000トン、17,000トンの上陸艦が含まれる。この他、さらにMCM-1/5/7掃海艇が各1隻ある。

文章は指摘する。このような上陸戦力に依拠すれば、1回の上陸で4,734名の海兵隊員が輸送できる。このように強大な上陸戦力が配備されるのは、単に島嶼攻防の問題だけを考慮しているからではなく、当時の意図はあり得る朝鮮半島に対する上陸作戦の必要性を配慮することだった。だが、説明を要するのは、長崎県佐世保の西南諸島からの最も遠い距離は1,000kmだということだ。より多くの海兵隊員は平時においては実際上沖縄に駐留し防衛している。ずっと以前から駐日アメリカ軍の実際の作用は、朝鮮半島の大規模陸上衝突勃発の予防であり、中日海上衝突に巻き込まれる可能性は微々たるものである。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「アメリカ陸軍の『グリーンベレー』特殊部隊の第1特殊戦闘群(大隊)の兵士が訓練中。」です。)

駐日アメリカ軍司令部は神奈川県相模原市に位置する。2007年に元第9戦域支援司令部を基礎に第1軍前方司令部が新設され、平時は作戦部隊は編成されていない。この他、さらに沖縄には第10地域支援群が駐屯し、実際には主に陸軍信号監視モニター、電子情報分析、偵察衛星データ処理、暗号解読部隊である。この部隊は陸軍情報局の管理下に属す可能性が極めて高く、現在の主要な任務は中国陸軍に照準を合わせた信号情報偵察である。この他、沖縄読谷村に駐屯するこの支部隊は高度に神秘的で、陸軍第1特殊作戦部隊第1大隊もここに駐留して防衛し、およそ300人の特殊部隊である。この部隊こそ著名な「グリーンベレー」であり、何度もアフガニスタン、中東に出入りし特殊任務を執行している。

これらを総合すると、アメリカ軍の極東戦略は中国の抑止をメインとし、このため相当に膨大な海、空、海兵隊総合作戦戦力を駐屯させ、自衛隊との連合作戦(統合)能力も非常に大きく強化されている。だが東海はアメリカのグローバルな戦略の重点ではなく、このため中国に対する防備は中日開戦を積極的に希望することとイコールではない。中日関係の間で演じる役割は封じ込めと調和であり、真に軍事衝突が発生することは決して希望しない。だが、ひとたび衝突が発生すれば、安保条約の性質に基づき、アメリカは巻き込まれざるを得ない。これに対し、ワシントンの多数の戦略家は決して楽観視していない。

(頑住吉注:以後のページは画像とキャプションだけです。5ページ目は「アメリカ海軍の『アーレイ・バーク』級ミサイル駆逐艦」、6ページ目は「アメリカ海軍のPー3C対潜哨戒機」、7ページ目は「アメリカ海軍の『ロサンゼルス』級潜水艦」、8ページ目は「アメリカ海軍のLCC-19上陸指揮艦」です。)


 まあアメリカは日中衝突を望まないが、もし起きれば支援する、さもないと世界中で果たしている「用心棒」としての信用が落ちて不利益になる、しかし矢面に立つのはあくまで自衛隊、ということになるんでしょう。














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