米軍機F-18が台湾に緊急着陸した意味は?

 中国や台湾では比較的大きな話題になった事件です。

http://military.china.com/important/11132797/20150403/19468473.html


民進党「立法委員」:アメリカのF-18の台湾緊急着陸には重大な軍事的意味がある

(頑住吉注:原ページのここにある動画のキャプションです。「アメリカ国防省、F-18の台湾緊急着陸が政治的シグナルを発しているとの説に反駁 台湾緑営の顔を痛打」 なお「緑営」は民進党を中心とする陣営で、与党国民党より独立色が強いです。)

【グローバル軍事報道】 2機のアメリカのF-18戦闘機が1日午後、「招かれざる客」の身分をもって台南飛行場に緊急着陸した。台湾軍およびアメリカ在台湾協会はいずれも「情非得已従権之挙」(頑住吉注:非常に難解な言い方ですが、おおよそ「止むを得ざる行い」だと思います)と公式に表明しているが、両岸の世論はそれでも次々に「緊急着陸」の原因と動機を推測し、甚だしきに至っては少なからぬ「これは故意であって故障ではない」の陰謀論の出現がある。中国外交部スポークスマンの華春瑩は2日この件につき回答し、すでにアメリカサイドに向け厳正な交渉を提出し、類似の事件の再度発生を避けるよう要求した、とした。

台湾の「中央社」の報道によれば、2機のアメリカのF-18戦闘機が1日機械的要因により台南基地に緊急着陸し、アメリカサイドは専門家を派遣しC-130軍用機に搭乗させ機材を持って維持修理に行かせ、2日夜8時35分に台湾に到着した。台湾空軍当局者は、台南空軍基地は後方勤務の支持を提供し、F-18戦闘機がひとたび修復されれば、直ちに台湾を離れることになるだろう、とした。だが、そのうち1機の戦闘機のエンジンが受けた損傷が深刻だったため、夜間の維持修理には難度があり、アメリカサイドの人員は2日夜台湾で夜を明かすことになる。

台湾の東森ニュースの報道は次のように言う。アメリカ国防省当局者は、この2機の戦闘機は日本の嘉手納空軍基地に派遣され駐留するアメリカ海兵隊VMFA-323中隊の所属で、軍用機は定例の飛行任務を執行している期間に機械的要素により「直ちに予防性の緊急着陸を行った」と明らかにした。戦闘機が台南への着陸を選択したのは、機械部品に問題が発見された地点を根拠に決定がなされ、飛行員は標準のプロセスに依拠して、最も近く、また天候が適した地点に着陸した。必要な維持修理作業が完成した後、2機の軍用機はできるだけ早く台湾を離れることになる。台湾軍関係者は、アメリカサイドは軍用機の構造、性能が秘密保持されていることに基づき、台湾サイドの維持修理人員を戦闘機に接触させず、このため台湾サイドは「暫時保管」することしかできない、と明らかにした。

台湾・アメリカ双方いずれも事件は純粋に意外事に属すると強調するが、島内世論はそれにもかかわらず「そんなに単純ではない」と考えている。トゥデイニュースネットの報道は、米軍機緊急着陸の一件は長年でも稀に見るもので、同時にまた台湾と大陸がM503航路やアジアインフラ投資銀行参加で交渉するなどの事件が発酵する極めて重大な時期であり、民衆の米軍機は「本当は緊急着陸したのではないかもしれない」との推測を引き起こしている。あるネット仲間は「この時間的ポイントに突然この種のことが発生しており、事件の事情は単純ではなく、アメリカの戦闘機が台湾海峡に来たのは何故か」、アメリカはやはり台湾が戦時に補給を行って米軍を支持できるか否か試し、台湾の飛行場が使いやすいか否か、整備や修理を行う必要があるかどうかちょっと見たのではないか、と疑義を呈する。さらにあるネット仲間は陰謀論に傾き、「アメリカは今回のアジアインフラ投資銀行での敗北を機会に、故意に軍事的実力をもって恨みをぶちまけ、台湾はアメリカの管理下にあると証明したのだ」とする。さらにあるネット仲間は「解剖分析」し、米軍機は「某国のレーダーによってロックオンされ、緊急着陸してパラメータの外部漏洩を避けたのかもしれない」「ある軍用機が空母に墜落損壊し、その他の機が止むを得ず別の地点を探して着陸したのかもしれない」とする(頑住吉注:でも陸上の基地に配備される海兵隊所属の機でしょ?)。

緑営の政治関係者はこの機を借りて声を発している。民進党の「立法委員」である蔡煌は、自分はこの件の事情をポジティブに受け止めており、これは「米日安保条約」が明らかにまだ台湾をその安全保障の範囲内に置いていることをはっきり示し、だからこそ米軍機は台湾を選択して着陸したのであり、このことには間違いなく重大な軍事的意味があり、特に台湾・アメリカ関係に関して言えばそうだ、とした。蔡煌はさらに次のように言明した。もし「故意の緊急着陸」だったらさらに良く、アメリカが台湾に緊急着陸することによって、台湾の「国防の安全」および台湾とアメリカの軍事的関係に対する関心をはっきり示したことを表し、このことが台湾にとって喜ばしいことでないことがあろうか? もしアメリカが故意なら、台湾にはアメリカとの同盟関係があると大陸に適度に告知してもおり、「このような表明性の意味は尋常ならざるもので、台湾はこのチャンスをつかんで台湾・アメリカ関係を掌握すべきだ。」

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「台湾独立勢力はアメリカからいわゆる安心と支持を得ることを希望している」です。なお以後の画像のキャプションは全てこれと同じです。)

アメリカの「ワシントンポスト」はシンクタンクの戦略・国際研究センターの中国軍軍事専門家であるRichard Fisherの話を引用し、アメリカ海兵隊の戦闘機は実はより議論の余地のない、台湾からの距離が約193kmの下地島飛行場(沖縄と台湾の間に位置する島嶼)に緊急着陸することができたが、最終的にはそれにもかかわらず台湾への着陸を選択しており、ペンタゴンは見たところ北京に対し政治的情報を出しているようで、「これは単純な意外事のように見えるが、ある人は北京が事件の象徴性が見ても分からないだろうことを希望している」とする。たとえこれが意外事でも、中国大陸に対し、「アメリカと台湾は中国の侵略行為に対し迅速に主要な軍事的反応をなすことができる。」と軍事的に注意を促すことができる。

だが、台湾の「中国時報」は台湾軍当局者の話を引用し次のように言う。米軍にはエンジン故障で台湾に着陸したと故意に言う必要はなく、軍事的に言えば意味は大きくない。何故なら両岸に本当に有事が起きたら、米軍の意識にあるのは飛ぶことのできる「安全なルート」があることであって、実戦機は空中でこそ安全で、真に着陸する必要があったら、逆に安全でなく、このため米軍機は口実を探してわざと台湾に着陸する必要はない。台湾の「外務大臣」林永楽は2日、米軍の2機のF-18戦闘機が台南基地に緊急着陸したのは、純粋に機械故障によるもので、中国大陸が主導するアジアインフラ投資銀行に台湾が加入申請したこととは無関係である、とした。国民党の「立法委員」林郁方は、もし台湾がアジアインフラ投資銀行の意向書を提出したからといって米軍がすぐ2機の軍用機を派遣して警告する必要があったら、よりイギリスのアジアインフラ投資銀行加入を気にするアメリカはもっと多くの軍用機をイギリスに派遣するべきではないのか? とした。彼は、一部のネット仲間の想像力は「すでにアラビアンナイトクラスに達している」とする(頑住吉注:何故か中国語では荒唐無稽の典型例としてアラビアンナイトが挙げられることが多いようです)。

台湾「中央社」の報道によれば、2日の大陸外交部の記者会見であるメディアは、アメリカの軍用機が技術的故障により台南飛行場に着陸したことに対し何かコメントはあるか? と質問した。大陸外交部スポークスマン華春瑩は、すでに関連の報道に注意をしており、すでにアメリカサイドに向け厳正な交渉を提出してもいる、とした。華春瑩は、中国はアメリカサイドに、「1つの中国」政策と中米3つの共同コミュニケの原則を遵守し、慎重、妥当に関連の問題を処理し、類似の事件の再度発生を避けるよう要求する、と重ねて言明した。

島内メディアは、これは台湾・アメリカ「断交」後初の米軍機の台湾着陸であるとするが、事実の上ではこれは決して初の例ではない。1978年に台湾とアメリカが「断交」した後、米軍駐台湾顧問や軍事人員は全部撤収したが、米国議員が台湾を訪問する時はずっと軍の行政専用機に搭乗して松山飛行場に到着している。1999年の「9.21」大地震発生、2009年の「モラコット」台風災害救援時、いずれも米軍はC-130輸送機あるいは大型ヘリなどの軍用機を派遣して台湾に赴き災害救援に参加している。もし故障による緊急着陸の話だとしても、初とは評価できない。1978年、2機の米軍空母から発進したF-14戦闘機が任務を執行し台湾付近を通過する時、そのうちの1機に故障が発生したため台南基地に緊急着陸した。1990年、米軍の1機のA-4攻撃機がフィリピンから沖縄に向かう途中、やはり燃料タンクの破裂により台湾民間航空局に助けを求め、その後1機の極東航空の台東に向かうフライト機について台東の志航基地に着陸し、維持修繕の完成後米軍基地に戻った。

また、台湾とアメリカの軍用機にはさらに「別の種類の親密な接触」があったことがある。「中国時報」2日の報道は、ある台湾軍当局者が次のように明らかにしたとする。この前米軍のF-18戦闘機が台湾東部海域を通過する時、台湾の防空識別圏に接近したため、台湾空軍は台東基地のF-5戦闘機を派遣して上昇、巡航させ、米軍のF-18は何と気まぐれに、台湾軍戦闘機と「勝負」し、結果として意外にも敗北した。事後米軍は「腹の虫がおさまらず」、トップのF-18飛行員を代わって派遣し、再度台湾東部空域に行かせて「一勝負」した、アメリカサイドの来た者が名手だったため、今度は台湾のF-5戦闘機がロックオンされ敗れるという結果になった。【グローバル時報駐台北特約記者 蕭師言 特約記者 周礼】


 どう見ても考え過ぎじゃないのかと思いますが、それだけデリケートな問題だということなんでしょうね。ちなみに私は米軍機が台湾に降りることが基本的にないということすら知らず意外に感じました。あまり関係ないですがついでに台湾関連の記事をもう1つ紹介します。

http://military.china.com/news/568/20150401/19455387.html


台湾の空母キラーの戦力化典礼にまずい状況が出現 馬英九、「軍歌」を歌い間違える

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「沱江艦の戦力化を馬英九が検閲」)

馬英九は3月31日台湾海軍の「盤石艦」と「沱江艦」合同の戦力化典礼を主宰したが、それにもかかわらず「海軍軍歌」を歌い間違えたためにやや気まずさが目立った。

台湾「中央社」の報道は、これは馬英九が2008年に就任して以来初めての海軍戦力化典礼の主宰である、とする。彼は挨拶を述べる時、「沱江艦」はかつて「八二三砲戦」に参加しており、その命名には伝承の意義がある、とした。一方盤石艦の艦名は台湾百山の1つである花蓮県「盤石山」から来ており、その「固若磐石、堅毅穏健」(頑住吉注:前半は「堅固なること盤石のごとし」、後半は「剛毅で穏健」ですかね)の意を取ったのである。彼は同時に、台湾には「潜水艦国産」の目標を達成する決意と絶対の自信がある、と言明した。「沱江艦」は島内初のステルス巡洋艦で、雄風-2、雄風-3などのミサイルを搭載し、メディアによって「空母キラー」と呼ばれている、とされる。一方台湾が自ら建造した燃料弾薬補給艦である「盤石艦」は、燃料と弾薬の補給と国際救援を主要な任務とし、レーダーステルス設計を持ち、ヘリ格納庫が設けられ、対潜ヘリを搭載して海に出ることができる。

人に気まずさを感じさせたのは、馬英九が挨拶を述べる時海軍将兵に面と向かって「海軍軍歌」を歌ったが、結果として歌う順番を間違え、「我々は中華民国の新海軍、我々は三民主義の新海軍」の前後の順序を誤ったことである。馬英九は若い時まさに海軍で兵役に服していたとされている。


 別にそのくらいいいじゃんと思いますが。ちなみに「八二三砲戦」は1958年に発生した大陸と台湾の砲戦で、大陸では「金門砲戦」という呼称が一般的らしいです。

















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