殲ー15をどう見るか
総設計師のテレビでの発言を基にした分析です。
http://military.china.com/important/11132797/20130912/18043789.html
殲ー15総設計師:中国のレーザー成形チタン合金部品はアメリカより優れている
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)
新華ネット特別原稿(新華社軍事評論員鄭文浩) 最近中央テレビの番組「面対面」は殲ー15の総設計師孫聡に対し特別インタビューを行い、その中で非常に多くの「フライングシャーク」研究開発に関する重要な情報が明らかにされた。この中で孫聡は中央テレビの記者に対し、さらに「次世代機もきっと手配されている」と言及した。このことは軍事愛好者を中国の未来の艦載機に対しさらに期待でいっぱいにさせる。だが我々は第2世代国産空母艦載機に憧憬を感じるのと同時に、現在の殲ー15に対しより客観的で全面的な認識を持ってもかまわない。中国空母艦載機発展過程の中で、殲ー15は絶対に単なる空母での発着を満足させる初歩プラットフォームに過ぎないわけではなく、ましてや優曇華の花のように現れては後発者によってはかなく取って代わられる「第3世代戦闘機」でもなく、長期にわたる過程の中で攻防の主力の作用を発揮する。
2012年11月、中央テレビは艦載機初の空母発着を報道する時、次のよう殲ー15を紹介した。遼寧号上で成功裏に発着した殲ー15戦闘機は、我が国が自ら設計、研究開発した初の艦載多用途戦闘機で、完全自主知的財産権を持ち、この機は作戦半径が大きい、機動性がよい、弾薬搭載量が多いなどの特徴を持つ。異なる作戦任務に基づき、多くの型の対艦ミサイル、空対空ミサイル、空対地ミサイルおよび正確制御誘導爆弾など正確打撃武器を搭載でき、全海域、全空域打撃能力を持つ。殲ー15の各項目の性能はロシアのスホーイー33、アメリカのF/A-18など世界の現役主力艦載戦闘機に対抗でき、このため獰猛で強い空中の「フライングシャーク」と讃えられる。
孫聡は中央テレビの番組「面対面」で殲ー15に対し次のように定義付けした。殲ー15は我が国の第1世代の制空をメインとする多用途戦闘機であり(頑住吉注:「艦載」を抜かしたのは総設計師本人かい)、第3世代戦闘機に属すべきものだが、差異はこの差異で、相当するのは中国の航空の歩みが遅かったことで、ただし起点は高く、後発の優勢がある(頑住吉注:前後のつながりからここだけ切り取ったせいなのか訳が分からなくなってますが、中国の航空技術の遅れのため第3世代機としては他国より登場が遅かったが、その分新しい技術が使えるメリットもある、というようなことが言いたいんでしょう)。
制空をメインとする多用途戦闘機というのは殲ー15に対する定性的判断である。番組「面対面」の解説の中で、殲ー15は我が国が自ら生産する殲ー11戦闘機を基礎に開発されたもので、エンテ翼、折り畳み式主翼を持ち、機の尾部に着艦フックを装備するなど艦載機の特徴があり、脚の強度が高い、と明らかにされた。周知のように、殲ー11は双発大型の「制空」型戦闘機で、このためこれを基礎に研究開発された殲ー15は制空権争奪の上でもう一定の優勢がある。ロシアのスホーイー33もこの特性を体現しており、指標から見て、スホーイー33は推力:重量比でラファールMに立ち後れていることを除き、その他の方面では基本的にF/A-18およびラファールMと互角で、しかもスホーイー33の推力:重量比はスーパーホーネットを超えているようだ。このため空中格闘性能の上でF/A-18を超えているだろう。
だが外界は普遍的にスホーイー33の空戦性能に対し決して好意的に見ていない。何故ならスホーイー33はまず空虚重量が大きすぎるからだ。スホーイー33の空虚重量は18.4トンにも達し、F/A-18の13.4トンを超えている。ましてや「ラファールM」の9.7トンよりずっと大きい。このことはスホーイー33の発進時の弾薬搭載量と燃料搭載量がいずれも比較的限られることを意味する。このことは直ちにスホーイー33の空戦性能を制限する。次に航空電子設備が比較的立ち後れている。スホーイー33の航空電子設備は基本的にF/A-18戦闘機より10〜15年立ち後れている。F/A-18はアメリカの強大な航空電子の基礎に助けを借り、より良好な航空電子設備とマン・マシンインターフェイスを持ち、したがってスホーイー33との単純な飛行性能の隔たりを埋め合わせている。加えてアメリカ空母戦闘群の早期警戒手段があり、実際の作戦の中で、「スーパーホーネット」は逆にスホーイー33を圧倒するだろう。
このため、現在の評価でスホーイー33に極めて似ているとされる殲ー15の空戦性能に関しても、この2つの重大問題を解決できるか否かを見てみる必要がある。まず重量軽減である。現代戦闘機の重量軽減にはほとんど2つの道しかない。第1は設計上の最適化で、第2は新型材料の使用である。旧ソ連のスホーイー27はもう充分に設計上の重量軽減の思想を体現していた。この60%を超えるアルミ合金を使用した戦闘機は、構造システムレイアウトの一体化、全体・構造レイアウトの一体化、構造の一部の合理化設計などを広範に採用することによって構造重量を軽減している。一方孫聡も中央テレビのインタビューの中で、「重量軽減の作業は相当に困難だ。まず、もし搭載荷の設計の上で重量軽減を行うなら、構造というこの設計の柔軟性、つまり構造の効率上、材料選択上、等々この一連の実現が最終的な重量の減少となる。」と語っている(頑住吉注:というか分かりにくいことを言う人なんですかねこの人は。発言の引用部分だけ飛びぬけて読みにくいんですが)。
(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「遼寧号上で成功裏に発着する殲ー15戦闘機。これは我が国が自ら設計、研究開発した初の艦載多用途戦闘機である。」です。)
また大量に新材料を使用することはすでに作戦機の重量軽減の普遍的な方法になっている。新材料の応用による重量軽減の上では、チタン合金と複合材料の使用がどんどん主流となっている。F-22はチタン合金と複合材料の使用比率がすでに66%に達しており、一方伝統的なスチールおよびアルミ合金は20%にもならない。最近のメディアの報道から見て、中国は航空用チタン合金の発展が非常に急速である。中国はチタン合金研究開発の上で、その性能レベル、生産技術、プロセスおよびスタンダードが現在すでにいずれも世界先進レベルに到達している。チタン合金の加工方面では、2013年1月18日に開かれた2012年度国家科学技術奨励大会で、北京航空宇宙大学の王華明教授が主催する「飛行機チタン合金大型複雑一体部材レーザー成形技術」が国家技術発明奨励一等賞を獲得した。このことは、我が国がアメリカに次ぎ、世界第2の飛行機チタン合金構造部材レーザー快速成形技術を掌握する国となったことを意味する。しかも我が国はすでにアメリカより優れたレーザー成形チタン合金部材が生産でき、現在世界で唯一レーザー成形チタン合金大型主承力部材の製造を掌握し、かつ実用化している国となっている。中国の殲ー15がもし設計上創新の特色を体現でき、できる限り構造重量を軽減し、同時に材料の上でチタン合金など航空新材料を大量に応用し、さらに国内にすでに一定の基礎のある複合材料を加えれば、殲ー15が空虚重量の軽減を実現することに全く問題はない。
次は航空電子領域である。旧ソ連に比べ、中国の電子工業は迅速に世界先進レベルを追い上げているところである。機載火力コントロールレーダーの上では、中国の殲ー10、殲ー11はすでに多機能パルスドップラーレーダーを装備している。一方メディアの明らかにするところによれば新たな殲ー10B戦闘機にはさらにフェイズドアレイレーダーが装備されている。中国はフェイズドアレイレーダーの受信・発射ユニットおよび超大規模集積回路の技術の上ですでに長足の進歩をしているので、殲ー15が機載レーダー方面で「スーパーホーネット」と同一ランク、甚だしきに至ってはラファールMのレベルに到達し得ることは完全に可能である。しかもすでに過去のソ連式戦闘機の複雑で煩瑣な飛行メーター、コックピットに比べ、中国の多くの現役第3世代機はすでに大量の多機能ディスプレイを装備済みで、甚だしきに至ってはカラー液晶ディスプレイを使用している。中央テレビの番組「面対面」の中で、一部のネット仲間はすでに殲ー15のシミュレーターのコックピットに少なくとも3つの多機能ディスプレイがあるのに気付いた。殲ー15の全体的コックピット技術水準はF-35には対抗できないが、スーパーホーネット、ラファールMのレベルに到達するのには全く問題ない。
このため現在我々は、殲ー15の性能が「ロシアのスホーイー33、アメリカのF/A-18など世界の現役主力艦載戦闘機と対等」というのは単純な宣伝ではなく、しっかりとした技術的基礎がある、と判断する。だが現在非常に多くの視点は、殲ー15のスキージャンプ式発進方式には先天的な不足が存在し、殲ー15の対地対艦攻撃など多用途方面の性能を制限している、と考えている。ならば、殲ー15をカタパルト発進に改装できるのか否か?
(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「殲ー15は完全自主知的財産権を持ち、作戦半径が大きい、機動性がよい、弾薬搭載量が多いなどの特徴を持つ」です。)
空母ジェット式艦載機をスキージャンプ発進からカタパルト発進に改めるのは、世界にまだほとんど先例がない。だがこれは決して現代戦闘機の基本的設計の規律に違反しない。一般にカタパルト発進は脚の一部に強化を行う必要があり、一方スキージャンプ発進は必要ない、と考えられている。だが両者はいずれも制動ケーブルによる降着方式を必要とし、このためいずれも機体構造に対し強化を行い、もって着艦がもたらす巨大な衝撃に対応する必要がある。こうして見ると殲ー15をカタパルト発進方式に改装するには、さらに重量増加の必要がある。ある人が計算したことがあるが、現在の殲ー15をカタパルト発進に改装し、脚を強化すると、300kgの重量増加が必要になる可能性がある。このことは空虚重量を厳格に統制している殲ー15にとって、決していい情報ではない。しかし、殲ー15をカタパルト発進に改装した後、さらに重量軽減ができる、と考える視点もある。何故なら本来スキージャンプ発進の低速飛行性能を改善するために設計された揚力増加装置、例えば殲ー15のエンテ翼などは、カタパルト発進方式の下では省略できるからである。このように比較して計算すれば、殲ー15の改装後の重量増加は200kg以下に抑えることができる。しかも番組「面対面」の中で、非常に多くのネット仲間が殲ー15の脚が「非常にたくましい」ことに気付いている。このため一部の人は殲ー15は本来カタパルト発進させる「計画」があったのだ、と判断している。カタパルト発進はさらに一歩殲ー15の満載発進重量を増加させることができ、したがって殲ー15の燃料搭載量と武器搭載能力を大きくする。このことは殲ー15およびその空母艦隊の性能向上に対し非常に大きな意義がある。
このため、「ある飛行機ができたら、きっと系列化した発展がなされ、その後この系列は一定の程度に到達し、次世代機もきっと手配されている」 我々は孫聡総設計師の番組中のこの話に対し、深く突っ込んだ思考をすべきである。一部の人はあるいは、カタパルト型殲ー15の研究開発には中国にカタパルトを装備した空母があることを必要とする、と考えるかもしれないが、これは絶対に一朝一夕にできることではない。ならばこの時間の中で、中国は何故さらに殲ー15に技量をつぎ込もうとしているのだろうか。直接新世代ステルス艦載機を研究開発した方がいいのではないか。
しかし事実として空軍と海軍航空隊の作戦様式には非常に大きな差異がある。空軍の装備の中で第4世代機は全く疑いの余地なく王者である。しかし海軍の装備の中で第4世代ステルス戦闘機の研究開発はより複雑さを加え、しかも第3世代大型機の地位も我々がイメージするのに比べずっと安定しているのである。
(頑住吉注:以下のページのキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)
新材料や加工技術に関してはまだ実績を上げるところまでは行っていないようで、やや楽観的すぎる感じがしますし、航空電子に関しても以前より進歩しているのは確かでしょうが西側第3世代機と互角と言えるかは疑問です。カタパルトに関してはそもそもカタパルト自体がない段階では捕らぬ狸の皮算用としか言いようがありません。