インド空母の現状

 これまでも何度か触れましたが、インドの旧ソ連製改装空母、国産空母が直面する問題に関するより詳しい内容です。

http://military.china.com/news2/02/11078239/20120813/17369135.html


インド海軍世界第2の大空母艦隊建設を欲するも重大な障害に直面

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「インド海軍のヴィックラマディヤ号空母」)

2017年に世界第2の大空母艦隊を持ちたければ、志の高いインド海軍はまだ少なからぬ技術的障害を乗り越える必要がある。

今年7月末のある日、ロシア北方艦隊基地Severomorsk港内で2隻の鋼鉄の浮島のような空母がはるかかなたを望み、そのうち1隻の艦体にはヒンディー語で書かれた艦名「ヴィックラマディヤ」がはっきりと識別できた。はるかに遠い南アジア亜大陸インドのメディアは明らかにやや誇らしげな口ぶりで、争ってこのような珍しい壮大な光景を報道した。10年近くなる曲折を経て、このインドがロシアに改装を委託した中古空母はついに全面的に竣工し、就役間近である。加えて最近連続して明らかになった国産空母計画があり、インド海軍が遠洋に雄を唱える大志は、最も信頼できる物質的保証を得たかのようである。

古い艦の改造は時間を費やし金も費やす

長期にわたりニューデリーはインド洋を「運命の海洋」、「未来の海洋」と見なしており、インド洋の主導権を握りたければ、空母を核心とする艦隊は当然不可欠である。インド軍の見積もりによれば、パキスタンから防衛するのと同時に遠洋戦力を強化したければ、少なくとも3隻の大、中型空母を保持し就役させている必要がある。この望む光景をできるだけ早く現実とすることを促すため、インド海軍は早くから、外部からの購入、改造、自主研究開発という3つのの方法を取ることを決定し、空母発展の歩みを加速させた。

空母の操作に関して言えば、インドはずっとイギリスに師事してきた。だが、新世紀の初めに協力のパートナーを選択するにあたり、ロシア海軍が何年も使わずに置いていた「ゴルシコフ」号に注目した。これが「ヴィックラマディヤ」号の前身である。2004年1月、ロシアとインドはこの艦の購入と改装に関する協定にサインし、ロシアサイドにより艦体レイアウトに新たな設計を行うことが規定された。施工中、空母に元々あった大量の武器装備は取り外されて空になり、これに取って代わったのは全通式滑走飛行甲板だった(頑住吉注:元々は甲板前部をミサイルが占めた「航空重巡洋艦」でした。 http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/A.Gorshkov.htm )。

興味深いのは、「ヴィックラマディヤ」号が未就役なのに即国際的にメディアの注目の焦点となったことだった。しかもそれはその強大な実力ゆえにではなく、この艦の改造工程が難しく、ニューデリーの予想をはるかに超えたからだった。この艦は本来2008年に引き渡されると定められていたが、改装費用が不断に高騰し、本来の15億アメリカドルから29億アメリカドルにまで上昇した。引き渡し期日も再三延期され、まず2010年まで延期され、後にまた2012年まで延期され、この間に一度インドサイドの責任者である官僚による収賄スキャンダルが起きた。

経緯はどうあろうと、8年の長きに渡る施工を経て、「ヴィックラマディヤ」号はついに今年6月8日に試験航海を開始した。数百名のインド海軍将兵もロシアに赴いて訓練を受け、もってこの艦の引き取り後できるだけ早く戦闘力を形成しやすくした。ロシアサイドは、この艦の航空兵力構成の柱であるミグ-29K艦載機は、ロシアの21世紀における最も先進的な航空技術の成果を総合したもので、原型機に比べ成熟度、安定度がさらに増し、空力性能、電子設備、航続距離にいずれも明確な向上があった、としている。

この他、中国が同様に購入、改造した、元々ロシアに属した「ワリヤーグ」号に注意を向け、いささか競争心の強いインドメディアは、頻繁に両国空母計画の比較を行っている。「ヴィックラマディヤ」号の工期が遅延しても、インド軍サイドは依然この艦が今年年末前に就役するのが必須だと要求している。これは、この艦の試験航海期間が半年にもならないことを意味し、去年8月初めて海に出た「ワリヤーグ」号より短いだけでなく、アメリカ軍の同類艦艇に比べてさえ短く、新たな世界記録を作る希望があるのである。

(頑住吉注:これより2ページ目。)

国産の新たな艦、「進水を急がされる

あるいはロシアとの協力期間に「割を食った」ことを意識したのか、2008年頃からインド海軍の注意力は徐々に国産空母計画に移っていった。このプロジェクトの成果として、2011年12月29日、インド初の国産空母「ヴィクラント」号の艦体が国営コーチン造船工場のドックを出て進水した。その満載排水量は4万トン、最多で30機の艦載機を搭載(主に「ヴィックラマディヤ」号と同じミグ-29K)するが、全体のトン数はやや小さい。

アメリカの「安全保障業務ニュース」ウェブサイトに最近掲載された文章は、「ヴィクラント」号は今までにやっと1/3の建造工程を完成させたが、相当程度まだ単なる空箱であり、期日通り就役できるか否かさえ疑問だという。インド国防省の消息筋の人物はそれでも、成功の経験を吸収し、「ウェイサール」号という名の第2の国産空母の建造を計画中だと公言している。この空母の排水量は6.5万トンに達し、初の国産空母に比べ50%拡大されている。報道は、「ウェイサール」号は蒸気カタパルトを装備し、戦闘機、攻撃機が発着できるだけでなく、早期警戒機、給油機のような体積や重量が比較的大きい艦載機種も発着できるとしている。

現在「ウェイサール」号はまだ最初の設計論証段階にあり、この作業はインド海軍の某設計局で秘密のうちに進行中である。インドサイドは、この艦の設計と建造は全て国内で自ら完成され、もはや外界の助けは探し求めない、と強調している。注意に値するのは、さらに「ウェイサール」号がインド海軍が現在購入しているミグ-29Kに比べてより先進的な戦闘機を搭載するだろうことだ。この機をインド自ら開発を行うのか、あるいは例えばアメリカのF/A-18E/Fのような欧米製品を導入するのかは現在まだ観察が待たれる。

インド海軍の理想は遠大と言うべきものではないが、現実との間には「断層」が存在する。事実、「ヴィクラント」号の昨年末の進水は、間違いなく「急がされた進水」だったと言える。主に貴重なドックをその他の船舶の使用に譲るためである。内部の設備がまだ未装備のため、この艦は海上で「数日散歩した」後、再度埠頭に引き戻された。「インド教徒報」は当時分析して、軍サイドが急いで「ヴィクラント」号を進水させたのは、ロシア向けの示威で、相手にもう少し早く「ヴィックラマディヤ」号を引き渡すことを迫るためだと考えている。「インド時報」は批評して、「国産空母も進水した。リニューアルされる空母がなぜまだ完成しないのか?」と書いた。

(頑住吉注:これより3ページ目)

技術の「大いなる寄せ集め」があるいは潜在的危険となるか

現在インド海軍は1隻の半世紀という高齢の「ヴィラート」号だけに勤務執行を頑張って続けさせている。もし「ヴィックラマディヤ」号と「ヴィクラント」号が遅れず就役できたら、インド海軍の3隻の空母艦隊は2017年前後に形になり、この国がイギリス、フランス、ロシアを超えて、アメリカに次ぐ全世界で第2の空母大国に躍進することを意味する。

だが計画は変化に追いつかない。種々の兆しから見て、インドの自ら空母を建造するプロジェクトも同様に順風満帆とは言えない。「ヴィクラント」号の本来の就役時期は2015年で、延期された原因の1つは施工に責任を負ったコーチン造船工場が伝動システム方面で障害に遭遇し、ドイツが提供する技術支援を待つ必要があり、それでやっと2つのメイン減速ギヤボックスの生産が完成されることである。ある情報は、引き渡しが延期されたギヤボックスの他に、このインド国内実力最強と称する造船工場は、何といかなる同類設備も生産したことが全くないとしている。延期を引き起こした他の原因には、さらにディーゼル発電機の事故と手直しの問題が含まれる。

かくのごとき大きな出費を伴う曲折は、インドのまずい現実を充分に暴露した。すなわち自主建造と称しているものの、実は「ヴィクラント」号の全身に「外国の要素」が充満しているのだ。この艦の設計作業はイタリアのファンカンディア社によって完成され、同社は同社でフランスのDCNインターナショナル社およびスペインのアイザック海軍造船所から初期の設計図を獲得したのである。

イギリスの「週刊ジェーン安全保障業務」はさらに一歩の指摘を行い、「ヴィクラント」号の4台のLM-2500ガスタービンはアメリカのゼネラルエレクトリック社によって提供されたもので、艦載レーダーシステムはインド海軍が常用するロシアの「頂板」三座標レーダーで、艦載機もロシア製で、動力系統はドイツ由来で、電子設備は大部分がイタリアとフランス由来である。このため、この艦は正真正銘の「混血児」であり、各種サブシステムの調整、互換性を持たせる作業は今後さらに少なからぬ面倒を引き起こすだろう。

同時に、インドのリニューアル空母および初の国産空母はいずれもロシア戦闘機を採用するが、計画中の「ウェイサール」号に始まる後続艦はきっとカタパルト発進方式に転じることになり、西側の艦載機の搭載が必須となる。このため、将来インド空母艦隊の空中戦力は、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア装備の大いなる寄せ集めとなる可能性が高く、このことは尽きることのない後方勤務の潜在的問題をもたらすことになる。現在すでに続々と引き渡されているミグ-29K艦載戦闘機に関しては、ロシアの最新技術が採用されていると称されているが、軍事工業内部の人々は普遍的に、ロシア製機載設備は西側製品とでは1世代の隔たりがあると信じている。この機が2017年以後の複雑な戦場環境に対応しようとしても、おそらく気持ちがあっても空回りするだけである。


 中国人の見方にインドの失敗を強く望むバイアスがかかっているのは疑いないですが、これを読む限り確かにインドにも技術的裏付けが不充分のまま発展を急ぎ過ぎる傾向があるように感じられます。おまけにこんなページも紹介します。

http://zhan.renren.com/huabei802?gid=3674946092067301380&from=post&checked=true


複数のミグ-29K、インド中古空母での発着に成功

(頑住吉注:画像1枚目キャプション。「最近ロシアは、インドの中古空母『ヴィックラマディヤ』号が艦載機のテストを行っている写真数枚を公開した。少なくとも2機の異なるミグ-29K艦載機がインド空母上での発着に成功している。これらの機はそれぞれミサイルと増加タンクを搭載して艦載機発着テストを行っている。計画によれば、ロシアサイドは今年年末にインド海軍に『ヴィックラマディヤ』号を引き渡すことになる。海上で艦載機のテストを行っているインドの中古空母ヴィックラマディヤ号」 たぶん太字の部分が本来のキャプションで、その前のは元々はリードだったと推測されます。なお、画像2、3枚目のキャプションは1枚目と同じで、4、5枚目も微妙に違うだけです。)

(頑住吉注:画像6枚目キャプション。「スホーイ33がヴィックラマディヤ号の上でタッチアンドゴーテストを行っている」 後の画像のキャプションも1枚目と同じです。)


 「飛行機の離着艦は命を的のゲーム! インドの中古空母、鶏肋となる」ではこの空母が使い物にならないとボロクソに言われてましたが、いくら何でもロシアもそんなものを売りつける(艦自体は無料という建前ですが)わけはなく、一応実用にはなるはずです。こんなところからも中国人の「失敗しちまえ」バイアスの強さが伺えます。ただあの筆者が書いていたように、制動ケーブルが3本しかなく、しかも艦尾から相当に近いことも3枚目の画像から確認できますね。












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