ロシアのS-500次世代対空ミサイルシステム

 中国が導入するというS-400に比べどの程度進歩したものなんでしょうか。

http://war.163.com/16/0201/08/BENNTBHS00014OVF.html


ロシアのS-500は同時に10発の弾道ミサイルを迎撃 新たな方向性を率いる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「S-300、S-400、S-500対空ミサイルシステムの目標迎撃の説明図。」)

ニュースの提示

S-500「プロメテウス」はロシアのダイヤモンド-安泰社によって研究開発された新型対空ミサイルシステムである。S-500はS-400防空システムの高級バージョンで、専用の部品を採用して設計されてできたもので、同時に10発の射程600kmの弾道ミサイルが迎撃でき、一方S-400は最多で6発の射程400kmの弾道ミサイルが同時に迎撃できるに過ぎない。またS-500が装備するのはX周波数帯のアクティブフェイズドアレイレーダーで、探知計測距離は750〜800kmで、レーダーの探知計測範囲がS-400に比べより広い。

アメリカが不断に極超音速打撃武器を研究開発するという背景の下、ロシアは加速して対空ミサイルシステムを発展させている。S-500はどのような防空対ミサイル武器なのだろうか? その研究開発の背景はどうなのか? 装備後どういった任務を担うのだろうか? またアメリカのミサイル防衛システムに比べ、どういった方面に優勢があるのだろうか? 今期我々はロケット軍指揮学院装備教研室主任の周騫をインタビューし、あなたのために詳細に解読する。

任務は多様

未来の天空の防御のスーパーシールド

問:最近メディアはロシアのS-500対空ミサイルシステムに対し報道を行っています。まず皆にこの新型対空ミサイルシステムを簡単に紹介してください。

答:S-500はロシアの現在最新世代の対空ミサイルシステムで、射程が長い、精度が高い特徴を持ち、速度が7000m/sの目標が撃墜でき、極超音速巡航ミサイル、飛行機、無人機を殲滅し、甚だしきに至っては低軌道衛星、極超音速飛行機が発射する宇宙殺傷武器が破壊できます。S-500は未来の戦場の「万能選手」と言えます。

問:ロシアがS-500対空ミサイルシステムを研究開発した背景は何ですか?

答:ロシアがS-500対空ミサイルシステムを研究開発したのには以下の2点の考慮があります。

まず、ロシアの防御体系建設の需要です。現在、ロシアの防空にはS-300、S-400ミサイルシステムがあり、もしS-500対空ミサイルシステムを装備したら、全方位立体防御システムが構築でき、低・中・高の各種飛行機を打撃し、近・中・遠距離弾道ミサイルや巡航ミサイルを迎撃し、極超音速飛行機や軌道プラットフォームを打撃し、「水も漏らさぬ」防御壁を構築することができます。

次に、未来の宇宙の脅威に対応します。現在、宇宙の中の絶対多数はアメリカの軍用衛星で、不断にロシアの上空を通過し、ロシアに対し偵察監視を行っています。またアメリカは積極的に宇宙軌道飛行機をプラットフォームとして利用し、宇宙対地打撃武器を開発することを追求しています。宇宙からくる脅威に有効に対応するため、ロシアは対抗手段として対衛星武器を開発することを早急に必要としています。

問:S-500対空ミサイルシステムは装備後主にどういった作戦任務を担うのですか?

答:S-500対空ミサイルシステムは装備後、主に以下の任務を担います。

戦役戦術ミサイルの迎撃。区域性の防御手段として、S-500対空ミサイルシステムは来襲する近・中距離弾道ミサイルと巡航ミサイルが迎撃でき、必要な時は中間段階および再突入段階で飛行する大陸間弾道ミサイルの迎撃に用いることができます。

極超音速飛行機の殲滅。特別に大きな出力のレーダーと非常に先進的なデジタルコンピュータを配備しているため、S-500対空ミサイルシステムは極超音速巡航ミサイルおよび飛行機を軽々と殲滅できます。

宇宙に近い目標の破壊。その強大な打撃能力にかんがみ、S-500対空ミサイルシステムはさらに触角を宇宙に向けて伸ばし、低軌道衛星や極超音速飛行機が発射する宇宙殺傷武器を破壊する能力を具備することになります。

性能は優越

全く新しい対空ミサイルシステム


問:S-500は決してS-400のグレードアップ型ではなく、全く新しい対空ミサイルシステムであるという人がいますが、これに対しあなたはどのように見ますか?

答:私はこの説に賛同します。S-500の優越した性能から言って、それをS-400のグレードアップ版と見るべきではなく、これは全く新しい対空ミサイルシステムです。S-400が使用するのは照射制御誘導レーダーで、目標探知計測距離は600km、ミサイルの射程は400kmです。一方S-500が装備するのはX周波数帯アクティブフェイズドアレイレーダーで、探知計測距離は750〜800km、ミサイルの射程は600kmに達します。S-500は同時に10発の射程600kmの弾道ミサイルが迎撃でき、一方S-400は最多で同時に6発の射程400kmの弾道ミサイルが迎撃できるだけです。

問:アメリカのミサイル防衛システムに比べ、S-500対空ミサイルシステムにはどういった優勢があるのですか?

答:現在アメリカのミサイル防衛システムは主に陸軍の「パトリオット」-3および「THAAD」ミサイル防衛システム、海軍のイージスミサイル防衛システムなどから組成され、それらはハイローミックスし共同でアメリカの多層のミサイル防衛システムを構成しています。アメリカの多種の対ミサイル武器と比べての、ロシアのS-500対空ミサイルシステムの優勢は次の通りです。

性能が優越。レーダー探知計測距離の上で、ロシアのS-500は750〜800kmに達し、アメリカの「THAAD」(500km)や「パトリオット」-3(400km)を超えています。射程の上では、S-500ミサイルの射程は600kmに達し、「THAAD」(300km)、「パトリオット」-3(160km)を超えます。射撃高度の上では、S-500は185kmに達し、「THAAD」と同等で、「パトリオット」-3(25km)を超えます。全体的に言って、ロシアのS-500の総合性能は「THAAD」や「パトリオット」-3より優れているでしょう。

汎用性が高い。ロシアのS-500およびS-400対空ミサイルシステムはいずれもダイヤモンド-安泰社によって設計および製造され、標準化の程度が高く、汎用性が高く、作戦使用により有利です。

地位は突出

対空ミサイルシステムの発展方向を率いる


問:ロシアがS-500を研究開発したのにはどんな戦略的考慮があったのですか?

答:ロシアが新型S-500対空ミサイルシステムを研究開発したことは、その置かれた国際環境と密接に関係しています。

第一に、米ロ関係は緊張が持続しています。近年来、アメリカは不断にロシアの戦略空間を圧縮し、ヨーロッパを味方に引き込んでロシアを制裁し、かつ不断にミサイル防衛システム建設を推進し、経済の上と軍事の上でロシアを牽制することを企図しています。ロシアが加速してS-500対空ミサイルシステムを装備するのは、したがってアメリカの軍事上の脅威を抑止することなのです。

第二に、ミサイル防衛システムがロシアに迫っています。2013年、アメリカは東欧のポーランド、ルーマニアと協定を締結し、極力ロシアの「門前」に陸上基地イージスミサイル防衛システムを配備することを企図すると言明し、対ロシア「包囲網」を作り出すことを企図していますが、ロシアがどうして座視していられるでしょうか? S-500の研究開発と装備は、欧米に対する有力な回答であり、同時にそのロシアの未来の国家の安全の中での主導的地位をもはっきり示しています。

第三に、ロシアの宇宙防御能力を見せつけています。経済的実力の向上や科学技術の進歩と共に、ロシアは大国の地位を再興させ、さらに一歩ロシアの強大な宇宙防御能力を見せつけ、ロシアには国家の安全を防衛する能力があるのだということを表明することを希望しています。

問:未来の対空ミサイルシステムの発展の趨勢を語ってください。

答:近年来、世界のそれぞれの軍事強国は進攻性武器を開発するのと同時に、防御性武器の国家の安全に対する重要性を意識するに至り、次々と自身の対空ミサイルシステムを開発しています。ミサイル技術の急速な発展と共に、未来の防空対ミサイル武器の発展の趨勢は主に「1つの新」と「2つの一体」に表れます。

「1つの新」とは防空対ミサイルの新概念武器の開発で、例えば高エネルギーレーザー武器、レールガンなどです。アメリカは1980年代には早くももうレーザー武器の研究開発を始動させ、現在研究開発中のものには海軍艦載レーザー武器、陸軍汎用区域防空総合対ミサイルレーザー武器、ブースト段階対戦術弾道ミサイル機載レーザー武器などがあります。

「2つの一体」には「空・宇宙一体化」と「防空・対ミサイル一体化」が含まれます。「空・宇宙一体化」は、打撃範囲を空中から宇宙にまで開拓展開し、近・中距離から遠距離、甚だしきに至っては大陸間にまで開拓展開し、各層の防空対ミサイル武器を有効に融合し、高/中/低空をコンビネーションし、遠/中/近距離を有効に接続し、空・宇宙一体の防空対ミサイル体系を形成し、立体化された偵察早期警戒システム、ネットワーク化された指揮コントロールシステムおよび軍・兵種の有効な融合の下に、多層の迎撃破壊破壊能力を形成するのです。「防空・対ミサイル一体化」ですが、防空目標が伝統的な飛行機から弾道ミサイル、巡航ミサイルなどの目標という方向に向け発展するにつれ、防空・対ミサイルシステムの融合を行い、防空対ミサイルの戦術技術上の一体化を形成し、新型の防空対ミサイル体系を構成すれば、さらに一歩一体化された防空対ミサイル能力を向上させ、国家の立体防御のシールドを鋳造することができます。

S-500対空ミサイルシステムは「2つの一体」の傑出した代表であり、世界防空対ミサイル武器発展の新たなる方向を率いているのです。(張新)


 ミサイル防衛システムの場合、射程などのデータで上回っているからといって単純により上だとは言い切れないのでは。迎撃確率で米ロのシステムを比べた場合どうなのかが気になりますが、これは実際に使用されるまで本当のところは分からないのかもしれませんね。












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