トルコの元軍トップが政変を企てた罪で終身刑

 日本ではあまり取り上げられていませんが、当然トルコでは非常に大きなニュースになっているようです。

http://military.china.com/news2/569/20130806/17984160.html


トルコの元最高軍事長官、政変を密謀したと告発される 終身刑に処せられる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「2010年3月、当時トルコ最高軍事長官の任にあったバーシブはアンカラで開催されたあるグローバルテロ・国際協力フォーラムで、NATOなどと対テロの経験を分かちあった。(資料画像)」)

トルコ元最高軍事長官終身刑の判決を受ける

テロ組織の設立と指導、政府転覆を企図したとして告発。この案件では全部で275人が審理を受けた。野党は全ての告発は事実無根だと考えている。

トルコの裁判所は5日、元最高軍事長官で70歳のバーシブら10人余りに終身刑の判決を下した。別の3人の現役議員には12〜35年の懲役刑の判決が下され、21人は無罪となり釈放された。

この「Ergenekon」という名の案件の調査、審判過程は6年持続し、案件に関わった人員は275人である。検察官は起訴状の中で、「Ergenekon」という名の組織が殺戮、爆発などのテロ手段によって軍事政変を作り出そうと企図した、と認定している。

支持者は、この審判は軍を政治の中から外に排除することになる、と考える。

テロ組織が軍事政変を画策

「Ergenekon」案件の調査は2007年のある警察の行動の中で大量の兵器が発見されたことに始まっている。「Ergenekon」はトルコ検察によってテロ組織と認定され、2003年にエルドアン政権をまるごとひっくり返す軍事政変を画策した嫌疑がかかっている。

この案件の調査、審判過程は6年持続し、案件に関わった人員はすでに275人に達し、多くの将校、記者、学者、弁護士などが逮捕されている。

2012年に発表されたある報告によれば、この案件の調査過程で10万以上の電話が盗聴され、3,000人が尾行され、1,360人が呼び出しを受け、588人が逮捕された。トルコメディアはトルコにおける「世紀の案件」と呼ぶことになった。

最高軍事長官、引退後に逮捕さる

6年間、不断に軍高官が起訴された。5日に終身刑の判決を受けたバーシブは2012年1月に逮捕され、この告発で嫌疑がかかっている最高クラスの容疑者だった。彼はかつて2008〜2010年にトルコ最高軍事長官を担当し、2010年に引退した(頑住吉注:事件は2003年とされているので軍トップとして事件に関わったわけではないですが、5年前も当然軍の中枢にはいたはずです)。

彼はテロ組織を設立して指導し、目的は政府転覆の企図だったと告発されている。

彼はあらゆる告発を否認している。その弁護士が引用するところによれば、もし彼が政府を倒したかったら、強大な軍隊を持つ指揮官である彼には、テロ組織ネットワークなどではなく多くのその他の方法があった。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「トルコのミリタリーポリスが裁判所付近の道路に対する封鎖を行う(資料画像)」)

審判は政治勢力によって主導される?

この案件は5日イスタンブール西部のある地方裁判所で判決言い渡しが行われた。被告の支持者たちは裁判所の入り口で大規模なデモ、抗議活動を行った。

トルコのミリタリーポリスは4日から裁判所付近の安全保障措置の強化を始めた。一部の裁判所に通じる道路は封鎖され、軍は何重ものバリケードを設置し、法廷での審理を傍聴する人員を厳しく制限した。

主要な野党を含む批判者は、あらゆる告発は根も葉もないことで、目的は反政府派への打撃、抑圧と長期にわたりトルコで主導的力量を占めている世俗力量を弱体化させることだ、と考えている。彼らは、審判はすでに政治勢力によって主導されている、と言明する。

分析

政府が軍を弱体化させる手段

分析者は、この案件は実はエルドアン政権が軍隊の勢力を弱体化させる手段の一種だと指摘する。案件自体が反映しているのは、エルドアン政権と世俗勢力を代表するトルコ軍との間のゲームである。

トルコ軍は1960年から1980年の期間にかつて3回の政変を発動している。最も近い1回は1997年で、軍は親イスラムの繁栄党政府を下野に追いやった。

2003年にトルコ正義・発展党が総選挙で勝利した後、エルドアンが政権に就き、民衆の高い支持率とEUの強い支持を利用して徐々に軍隊のトルコに対する政治的影響力を弱めていった。

去年9月、トルコ政府は政変発動の嫌疑を理由に300名の現役軍事指導者を監獄に入れた(頑住吉注:トルコの政治・司法制度がどうなっているのか知りませんが民主的な先進国なら政府が誰かを監獄に入れるなどということは有り得ず、当然独立した司法権力が行うことになります)。先週土曜日(頑住吉注:3日)、エルドアンが主催して軍事会議が開かれ、トルコ軍の一連の高級将校が交代となり、一連の現役高級将校が引退を迫られた。あるトルコメディアは、「政府が統制するNATOで2番目に大きい軍事力量が徐々に形成されつつある」という言葉を用いて今回の会議を形容した。エルドアン政権は強力な手段をもって軍の実力を弱め、軍はすでに政変を発動する能力を持たず、徐々に政府に妥協し始めている、と言える。


 軍が政変を起こしたり政治に口出しするのが一般的に言って望ましいことでないのはもちろんですが、トルコの場合は軍が世俗勢力の代表で、この力を弱めようとしているのがイスラム色の強い政府だというのが難しいところで、エジプトの政変同様アメリカもどう評価、対応するか迷うかもしれません。













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