「彩虹-5」無人機

 無人機は比較的実戦経験の少ない中国の兵器の中で最も実戦経験豊富なものの1つになりつつあるようです。

http://www.chinanews.com/mil/2016/12-30/8109348.shtml


中国の「彩虹」5無人機の全体作戦能力は国際的に先んじた水準に到達

「彩虹」-5無人機は今年の中国航空展での「スター」装備の1つだった。最近、あるアメリカメディアは、「彩虹」-5はすでに輸出許可証を獲得した、と報道した。

「彩虹」-5無人機は中国航空宇宙科学技術集団社の航空宇宙空力技術研究院が研究開発した最新の「偵察・打撃一体」無人機で、「彩虹」ファミリー最新のフラッグシップ機種と呼ばれる。この無人機は2015年8月に初の試験飛行を完成させ、今年8月に飛行コントロールシステムの集成飛行検証試験を完成させた。この機は「彩虹」-4を基礎に発展したが、外形寸法でも離陸重量でも、いずれも「彩虹」-4に比べ非常に大きな向上があり、その全体作戦能力は国際的に先んじた水準に到達している。

この先進的な無人機の研究開発成功は、研究開発チームが任務の需要に着眼し、無人機の未来の発展方向を正確に判断したおかげである。研究開発人員は、テロ分子、過激武装組織には通常充分な対空火力が欠乏し、高性能のレーダー探知計測システムはないと考えた。このため、この種の力量に対し打撃を実施する時、無人機は決して非常に強いステルス性能や非常に高い飛行高度を持つ必要はない。研究開発者は巨額の資金を投入して無人機のステルス性能や飛行高度を向上させる必要はなく、重要なのは合理的な技術を用いてコストをコントロールし、無人機発射プラットフォームや機載ミサイルの作戦使用のシステムマッチングを突出させることで、すなわち人を満足させ、廉価で物は良い先進的な無人機を研究開発すればよいのである。

まさにこの認識に基づき、航空宇宙科学技術集団社は国際兵器市場のために「彩虹」-5を含む「彩虹」系列無人機をオーダーメイドした。「彩虹」-4無人機はイラクの戦場で重要な「定点排除」機能を発揮し、実戦の検証を得た。現在、「彩虹」系列無人機はすでに全世界で装備する国が最多の「偵察・打撃一体」無人機となっている。メディアの報道によれば、今回の中国航空展で、「彩虹」-5はアメリカの「プレデター」無人機を圧倒し、イラクなどの国の歓迎を獲得し、こうした国は現在購入の件を討論中である。

多用途大型無人機として、「彩虹」-5無人機は搭載ポイントが多い、弾薬搭載量が大きい、飛行時間が長い、航続距離が長いなどの突出した特徴を持ち、超越的に長い待機時間の「大型狙撃手」と呼ばれる。「彩虹」-5無人機には主に5つのメリットがある。

1つ目は搭載能力が強いことである。「彩虹」-5の翼の下には6つの搭載ポイントが設けられ、1回で16発の異なる類型の空対地ミサイルが搭載でき、最大搭載荷は1トンに達し、「彩虹」-4の搭載能力に比べ2.5倍向上している。「彩虹」-5の機体サイズは「彩虹」-4の2倍で、「彩虹」-4の設備キャビンに比べスペースがずっと増加し、体積や重量がより大きな任務搭載荷が搭載できる。例えば中型多機能対艦レーダーや電子戦設備および各種の複雑な正確制御誘導武器などで、このことは必ずや「彩虹」-5の作戦効能を非常に大きく向上させることになる。

2つ目は揚力:抵抗比が高いことである。「彩虹」-5は複合材料を用いて作られ、全幅は21mに達する。この機は「彩虹」-4の成熟した空力レイアウトの延長線上にあるが、より大きなアスペクト比と揚力:抵抗比の翼型を採用し、かつフラップによる揚力増加技術を採用し、その離陸揚力を30%高めている。「彩虹」-5の外部搭載設備がない時の揚力:抵抗比は25以上に達し、性能が先進的なボーイング737に比べてもさらに40%高いだろう。このことは非常に大きく「彩虹」-5の離陸距離を短縮し、離陸速度を低下させ、無人機の経済性を高めている。

3つ目は航続時間が超越的に長いことである。現在「彩虹」-5は航空ガソリンピストンエンジンを採用し、優良な燃料消費率を持ち、数十時間連続飛行でき、「彩虹」-4の十何時間をはるかに超え、アメリカの先進的な同類無人機である「プレデター」Bもはるかに超える。将来の改良型「彩虹」-5は航続能力がさらに長く、2017年の年末になれば、「彩虹」-5無人機は国産の重油ピストンエンジンに換装されることが望める。重油は燃値(頑住吉注:英語では「calorific value」と言うようです)が高く、揮発しにくく、価格が安いが、燃焼は激烈で、エンジンの設計や部品の精密製造に対する要求が高い。国外はすでに重油エンジンの使用普及を開始している。ひとたび「彩虹」-5が重油エンジンを採用すれば、西側諸国の重油エンジン技術に対する独占を打破できるだけでなく、しかも「彩虹」-5の航続時間を「プレデター」Bの2倍に到達させることができる。

4つ目は安全性が高いことである。「彩虹」-5はS字型の湾曲した空気取り入れルートのジェットエンジンを採用し、比較的良好に敵サイドのレーダーの探知計測を避けることができる。「彩虹」-5の体積や重量は大きいので、極めて小さい搭載重量を代価に、新世代剰余度飛行コントロールシステムを装備することができ、ソフトウェアとハードウェアの故障の隔離が実現でき、故障再構築技術の上で新たな突破を実現している。飛行コントロールシステム剰余度技術の運用は、飛行コントロールシステムの耐用性を大幅に向上させ、したがって無人機の飛行の信頼性、自主性、安全性を高め、「彩虹」-5が劣悪な気象条件の下で多種の複雑な任務を執行できるようにさせる。

5つ目は連合打撃ができることである。「彩虹」-5とその前身である「彩虹」-3、「彩虹」-4のデータリンクおよびコントロールシステムは同じであり、相互に互換できる。「彩虹」-5が通信指揮設備を搭載すれば、「彩虹」系列のその他の無人機と共に、ハイローミックス、編隊使用の方式をもって、合同偵察、合同監視、合同打撃など異なる作戦任務を執行し、かつ無人機群の「指揮官」の役割を担当することができる。異なるレベルの作戦コンビネーションにより、体系総合作戦機能が発揮される。

世界で機能が最も強大な「偵察・打撃一体」無人機の1つとして、「彩虹」-5無人機は広範な用途を持ち、その他の力量に協力援助して任務が執行できるだけでなく、しかも独立して作戦任務が執行でき、より良く国内外ユーザーの日増しに増大する多元化された任務の需要を満足させることができる。そのサイズの大型化はさらに無人機作戦と使用模式に重大な変化が発生することを押し動かし、無人機を徐々に単独の戦いから連合作戦の中の戦場支援の方向に向け発展させ、作戦補助手段から主戦装備に変え、未来の空中作戦の主役を担当させる可能性がある。

「彩虹」-5は同時に合成開口レーダーと高画質光電子偵察設備を搭載することができる。合成開口レーダーを利用して高空電子偵察を実施することもできれば、高画質光電子偵察搭載荷を利用して低空光電子偵察を実施することもできる。数百km離れて遠距離広域偵察を実施し、大規模軍事行動のために重要な決策指揮情報を提供することもできれば、また疑わしい区域に対し接近して精細な偵察を実施し、正確度の高い情報を獲得することができる。その飛行時間は長く、目標区域で数十時間留まることができ、全時間偵察監視とパトロールを実施し、敵サイドの陸上、海上、空中作戦情報など関連のデータを捜索収集し、最終的に目標に対し識別と正確な位置決定を行い、疑わしい目標に対しみだりに殺すことを有効に避けることができる。同時に、さらに戦場の縦深の目標地域に深入りし、打撃効果に対しリアルタイムあるいはリアルタイムに近い評価を行うことができる。

「彩虹」-5は機載衛星通信データリンクを装備しており、このデータリンクを利用して超視距離作戦を実現し、真に「運籌帷幄之中、決勝千裏之外」(頑住吉注:本陣で計略を巡らせ、千里離れて勝負を決する)を実現することができる。作戦対象の差異を根拠に、「彩虹」-5は50、100、200kgクラスの対地攻撃ミサイルあるいは制御誘導爆弾を搭載でき、1回で即一個戦車中隊が破壊できる。

この機はさらに対テロ作戦の中で用いることができる。この種の行動の中で、テロ分子は通常自動車などを使用して機動を実施し、このことは無人機の低速追跡能力に対し一定の要求を提出する。「彩虹」-5の巡航速度は180〜220km/hで、この速度はピックアップなどの自動車に対する有効な追跡ができ、テロ分子のロックオン、迎撃および打撃に有利である。この機はさらに壁を貫く透視レーダーを搭載し、建築物内の目標を自ら探知計測、識別認知、追跡でき、このことは非常に大きく無人機の作戦効率を高め、不必要な誤爆を避けることになる。

「彩虹」-5は空中早期警戒システムを搭載することができ、将来は小型で低コストの早期警戒機に改装でき、敵の飛行機あるいは無人機を遅れず発見できるだけでなく、しかも区域偵察や戦場指揮に用いることができる。「彩虹」-5は合同対地監視、指揮コントロール、電子情報偵察や対抗、戦場総合態勢関知などの方面でいずれも独特の作用を発揮することができる。この無人機は電子戦総合システムを搭載し、通信偵察妨害やレーダー偵察妨害などの任務を執行し、敵に対し区域性の妨害制圧を実施し、味方サイドの飛行機の防御突破や対地攻撃を援護することができる。この作用は中小国に対し、非常に重要な意義を持つと言え、このことは低コストの無人機を用いて超視距離早期警戒を行い、強大な総合態勢関知能力や電子戦能力を獲得できることを意味し、したがって極めて大きくこうした国の軍隊の戦闘力を高める。


 中国の無数の無人機を主力とする新たな戦法に今後日本は対抗できるんでしょうか。不安になります。















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