FNミニミ SAW M249

 「Visier」2004年8月号に、アメリカ軍、日本の自衛隊など世界中で広く使用されている分隊支援火器ミニミに関する記事が掲載されていました。


全容が明らかに

30年前、FNはミニミを発表した。以来そのライトマシンガンは西側世界の陸軍の中に立場を確保した。そして他のライトマシンガンをこれを基準として比べなければならないものさしとなった。

 もなくドイツ連邦国防軍は、陸軍「危機対応兵力」の中に、より重い7.62mmx51口径のMG3(頑住吉注:MG42の改良型)の代わりとして、軽量な5.56mmx45口径のMG4を大規模に導入する。それ以後は全分隊(Kampfgruppe)が従来の1挺の代わりに2挺のマシンガンを自由に使えるようになる予定だ。これは他のNATOパートナーはとっくに実行済みの戦術的進歩である。というのは、NATOスタンダード弾薬5.56mmx45用ライトマシンガンの採用は、戦術レベル下の弾薬補給と、10人の兵士で構成される分隊の火力を倍にすることを容易にしただけではなく、分隊長に実戦におけるより高いフレキシビリティを可能にしたのである(頑住吉注:要するに5.56mmx45のマシンガンに関し、前者は銃自体も、そしてマシンガン用では特に大量に必要とされる弾薬も軽量省スペースになって小規模な分隊内への2挺の装備、そして運用が容易になったこと、後者は分隊を二手に分けてそのいずれにも火力の強いマシンガンを使用させるなど従来なかった戦法が可能になったことを指しているようです)。

 しかし、現時点においてドイツ連邦国防軍がH&Kの供給する新しいマシンガンを導入するにあたっては、ベルギー製のミニミとの国際的な比較が必要だった。この銃は1974年、ベルギーのリエージュにおいて、Fabrique Nationale(FN)によって発表された。そしてシリーズ展開され、.223口径のライトマシンガンという全カテゴリー(例えば他にイスラエルのNegew、シンガポールのウルティマックスがある)の先駆者のような印象を与えている。しかしそれだけではなく、その刺激はロシアの陸軍武装構造にも及んだ。すなわち、AK47、およびAKMアサルトライフルとならんで、同一弾薬仕様のマシンガン(最初にベルトドラムを装備したRPD、そしてその後RPK)が分隊に登場したのである。

岐路で
 FNが1970年代始めにミニミプロジェクトを開始した時、新NATO弾薬5.56mmx45の進行状況は決定事項には程遠かった。新弾薬SS109/M885への統一は、1977〜79年に行われたNATO弾薬テストにひき続いて行われた、かの標準化協定(英語では略してSTANAG4172)によって初めてなされたものだからである。当時H&Kはその後G11プロジェクトのベースとなるケースレス最小口径弾薬の研究を大車輪で行っていた。たいていの国はまだ、70の陸軍に採用されたFN FALのような現用の7.62mm口径のアサルトライフルを排除することをためらっていた(頑住吉注:ちなみに私はフルサイズに属する7.62mmx51を使用するフルオート可能なライフルはアサルトライフルとは別物であり、「バトルライフル」として区別する方がよいとする意見に賛成ですが、厳密好きのドイツ人がそうした区別を行っているのをまだ見たことがありません)。そして問題のユニバーサルマシンガンにおいても、たいていの陸軍は、1958年に登場したFN MAGやMG42から生まれたラインメタルMG3のような大口径で貫通力の強い弾薬である.308仕様の機種を相変わらず維持したがっていた。

 だからFNの設計者たちが新しいライトマシンガンをまず最初に7.62mmx51仕様に設定したことは、たまたまそうなったわけではない。これに関しては、なお2つの長いこと忘れられていた、しかし幸いにもまだ入手可能だった弾薬を使用する案がFN工場内に存在していたという証拠がある。しかしベルギーの兵器コンツェルンのマーケティングスペシャリストは、問題をまとめて解決し得る選択肢を追求した。すなわち、FNのプログラムにより、FALの戦後モデルは5.56mm口径アサルトライフルであるCALによって当時すでに引き継がれており、そしてその時点で同一弾薬仕様のライトマシンガンを提供すべきだという事になったのである。

 その上、新しいFN製ライトマシンガンは重大な未決定事項である「Squad Automatic Weapon」(SAW・分隊の火力支援のための軽量なマシンガン)開発のためのアメリカ陸軍の研究プロジェクトに参加するためにまさにグッドタイミングであるように思われた。当初は106グレイン弾頭を持つ新弾薬6mmx45の採用すら検討されていた。プロジェクトに関する必須要求項目リストは1972年3月に発表され、プロトタイプを製造するメーカーとして、コルト、Maremont、H&K、FordAerospaceが登録された。メリーランド州のAberdeen Proving Groundにある陸軍研究所は、全てのライバルと比較テストされるためのヘビーバレルとベルト給弾機構を持つM16特別バージョンすら作った。FNのプロトタイプは1974年に最も遅れての参入が認められ、テストナンバー「XM249」を手に入れた。 

 2年後、SAWプロジェクト参加各社は幸いにも5.56mm、7.62mmと並ぶ新しい第三の弾薬のアイデアから決別し、5.56mm62グレインハードコア弾丸を欲した。これは後に新しいNATOスタンダードにもなるものだった。FordとMaremontにも研究委託と開発助成金が与えられていたが、結局ベルギーのデザインがフィールドおよび部隊テストをやり遂げた(頑住吉注:この間になんらかの理由でコルトとH&Kは脱落していたということでしょう)。1982年2月1日、「M249SAW」というタイプ名称で米軍組織武装への新ライトマシンガンの公式な導入が行われた。

全ての要求を超えて
 ミニミのフィールド導入にはいくつかの重大な論拠があり得た。当時米軍がスタンダードとしていた7.62mm口径マシンガンM60は、空虚重量ですでに10.5kg強あった。交換バレル(それに固定されているバイポッドを含めて)はそれだけで3750gもあった。7.62mmx51の200発ベルトは5450gあった。アメリカ軍は1976年以後必須要求項目リストにおける要求で、「1挺のライトマシンガンは200発ベルトケース」(5.56mm)込みで21イギリスポンド、9.5kgを越えないように考慮するよう定めていた。FNの最初のミニミプロトタイプはまだこのノルマを680g超過していた。 

 テストの最終バージョンではミニミは結局全長104cm、交換バレル重量1600gで本体重量6830gとなった。工場渡しのオプションであるストック組み込みの油圧バッファーは銃の重量にさらに120g加えた。200発ベルトは全体重量をさらに2.75kg高めた。つまり実戦使用準備状態でミニミは10kgを下回り、これによりアメリカ陸軍のイメージの範囲内となった。ハードテストでも外国製品たちを悠々と打ち負かした。最も多様な気候・風土環境下で新ライトマシンガンたちは5分以内に700発(1分につき100発、200発と発射速度を変えて)、障害なしで射撃されなければならなかった。いろいろな実験室内、部隊でのテストにおいて、米軍は採用に向けて結局FN製の29挺の銃を150万発以上発射した。レシーバーの寿命は5万発と設定されていたにもかかわらず、いくつかのテスト銃は5万発の継続負荷を技術的障害なしにはるかに上回った。

ミニミの簡単なデータ
 FN M249は技術的に見ると回転閉鎖ボルトを持つガス圧ローダーであり、そのベルト給弾メカニズムは同社製MAGの縮小バリエーションである。特別の目玉はそのボルト領域が自分の選択でベルトまたはAR-15/M16の30連マガジンで給弾できるように作られていることだ。そのためにレシーバー左側、ベルト給弾部の下にマガジン挿入穴がある(ミニミのバージョンのうち、SPWとマーク46/48では省略されている)。

 このライトマシンガンはオープンボルトから、毎分750〜950発の発射速度で射撃を行い、発射速度は弾薬の種類、汚れの程度、バレル前部にある2段階変換式のガスレギュレーターの調節に依存している。トリガーメカニズムはフルオート位置しか持たず、単発射撃設備はない。MAGと似て内部にハードクロームメッキされたバレルはキャリングハンドルを持ち、2操作で数秒以内に前、そして上へと抜き出し、交換することができる。ピープサイトは300〜1000mまでワンステップ100mの調節を示す。 

 顧客の選択により、FNはミニミ各バージョンを油圧装置付きでも供給している。これはリコイルを緩和するバッファーで、統一的発射速度750〜800発/分を持つ(頑住吉注:先に記述があったバッファーはストックに組み込むものですから原則として発射速度には影響しないはずです。ここで言っているのは本体内に組み込むもので、これがあるとガスレギュレーターを強い方に合わせて高速でボルトを後退させてもバッファーがショックを吸収するので発射速度の変化が比較的小さくなる、ということだと思います)。M249のさらなるバリエーションは、「同軸機銃」として装甲車両内に取り付けることもできる。さらに全てのミニミのレシーバーには車載銃架受け入れおよびUS M122トライポッドまたはFNオリジナル360度トライポッドで射撃するための差し込み式結合部がある。

結果-成功(頑住吉注:原文は「Folge-Erfolge」で韻を踏んでます)
 米軍の受領後すぐに他の国々、例えばベルギー、オランダ、カナダ、イスラエル、オーストラリア、フランスからの注文が続いた。FNはアメリカ型をサウスカロライナ州コロンビアの子会社FNMIで製造し、現在カナダ、オーストラリア(リスゴー)にもライセンスを与えている。エンフィールドSA-80(L85)のSAWバージョンの長い不毛な研究の後、イギリス陸軍は1990年代始めに最初のミニミを購入した。アフガニスタン投入の直前、2回目の大規模注文が行われた。イギリスも現在1歩兵分隊につき2挺のミニミを導入している。

 当然特別な要望もあった。1982年、M249はベルギーとサウスカロライナで大規模に大量生産がスタートしたが、2年もたたないうちに「パラ」バリエーションが登場した。これは465mmから349mmに短縮したバレルと伸縮可能なストックを持つもので、これにより銃の全長を776mmに縮小可能だった。 

 パラ型はイギリス落下傘猟兵同様アメリカにも顧客を見つけた。だが多くの部隊はこの銃をロングバレル付きで運用し続けた。弾道学的損失をあえて甘受する必要はなかったからである。90年代始めには早くもレシーバーカバー上に照準装置、スターライトスコープ受け入れのためのSTANAGレール、またはピカティニーレールなしで工場を離れるミニミはほとんどなくなった。

 SPW(Special Purpose Weapon)により、FNはさらなるバリエーションを提供した。このタイプは伸縮可能なストックを持ち、バイポッドの代わりにフォアピストルグリップを持ち、406mmバレルを装備している。

特別待遇
 アメリカ海軍特殊部隊SEALsは独自の兵器実験所を持っている。すなわちインディアナ州CraneのNaval Surface Warfare Centerである。ここで1990年代にスペシャルオペレーションズコマンド(SOCOM)のためのバージョンである「マーク46モデル0」が生まれた。これはミニミを空虚重量5.75kgに軽量化した型で、406mmバレルを持ち、全長は908mmである。ストックもいくらか短縮されている。際立った特徴は側面および上部にピカティニーレールを装備したフォアストックである。これはバレル交換をいくらか困難にする。すなわち前方にしか引き出せない(頑住吉注:他のバージョンはフォアストックの上部が開放されているのでロックを解き、少し前方に引き出したらすぐ上方に取り去れるが、このタイプはピカティニーレールが上に被っているのでフォアストックから完全に抜けるまで長距離前方に引き出す必要がある、ということのようです)。

 2001年、SOCOM特殊部隊はSEALs同様に、長く厳しいトレーニングや実戦に耐えてきたM60E3の軽量化バージョン(アメリカ海軍での別名マーク43)を以後もはや使用しないという判断を下した。代替物が必要になるが、これはFNミニミをそのまま7.62mmNATO弾薬用に拡大したものに確定している。

 NSWC Crane師団が作成した新ライトマシンガンの要求項目リストに従い、アメリカにおけるFNの子会社、FNMIの設計者は比較的単純にマーク46をより大きい弾薬用に改造した。2002年3月にはすでにアメリカ国防省はFNMIに2500丁を超える7.62mmLWMG(Light Weight Machne Guns)の、交換バレル、工具類、交換部品込みでの供給注文を行ったことを明らかにした。最初の生産シリーズはネービーSEALsに納入され、目下エアボーンレンジャーおよび他のSOCOM兵力がこの新しい銃をテストしている。

 「マーク48」として採用された新しいLWMGが小口径の前身に対して際立っているのは、特に長さ501mmの長さを持つ7.62mmバレルによってである(これにより銃の全長は1010mm)。その上、強化されたレシーバーカバー、大きな弾薬に適合させた給弾機構も加わっている。マーク46同様この銃にもミニミに本来あったボックスマガジンの挿入穴はない。空虚重量は8.44kgであり、発射速度はガスレギュレーターの調整次第で500〜700発/分に達する。そして当然新しいFNバージョンマーク48にも充分な数である5本のミルスタンダード1913ピカティニーレールが備えられ、工場渡しのまま射撃姿勢の助けになるフォアピストルグリップ付きで引き渡されている。

実戦で
 M249SAWまたはパラミニミとは違って、新しいLWMGはまだ短い期間しか部隊使用されていないため(そして特殊部隊のみに制限されている)、まだ射撃テストおよび日常環境に保管して発射できるかに関する判断はできない。
 
 これとは違ってミニミまたはSAWはイギリスとアメリカによって湾岸において実戦使用されただけでなく、イスラエル、アフリカ、ラテンアメリカでもいくつかの作戦に貢献した。

 イラク戦争後の経験分析の間に判明した欠点があった。現地の状況下にあった銃は大部分がアメリカに戻されているが、それにより米軍の実用下にあるSAW M249の大部分がすでに2、3年にわたって問題を抱えていることが分かった。この銃は現在技術的な耐用年数の限度に突き当たっている。結局のところ、大部分のミニミはアメリカ陸軍によって1984〜85年に調達され、それによりたっぷり20年実用下に存在する。レシーバーの横方向のピンのための穴は摩耗し、スプリングで銃に保持されるベルトケースも再三にわたってレールから脱落している。メーカーの主張では新しい200発ベルトケースではこの問題は解決されているはずだというが、部隊にはなお多くの古いバージョンが見かけられるようだ。車載部隊では、そのベルトケースの使い勝手が悪いことの他、特に夜間、その中で弾薬が音を立てることが理由で嫌われている。全般的に優位なのはキャンバス製100発入りコンテナである。アメリカ陸軍では「Cap」(combat ammunition pac )の名で運用している。

 部隊は実戦経験に関するアンケート調査において、FNミニミについてもっぱら肯定的な意見を述べている。特に伸縮可能なショルダーストックは高得点を得ている。

 バイポッドは実戦使用負荷の継続には耐えない。射手がそこにリコイルによる負担をかける使用をしている場合、関節部が使い潰されてしまう。一部の人々は、この銃が多数の小さなピンやスプリングを使用しており、クリーニングの際地面に落ちて失われる可能性があることにも気付いている。そしてイラクにおける(頑住吉注:砂漠地帯における昼夜の)極端な温度差に直面するとサビに対する抵抗力のなさが問題化する。

結論
 しかし全体として、イラクにおける主要戦闘行為によって室内戦闘シナリオでも、パトロール行動でも、ミニミコンセプトはプルーフされたものであることが示されている。というのは、分隊における第二のライトマシンガンは決定的に火力を強化しただけではなく、今や分隊内の両火力チームが前進、そして後退時に互いをカバーし合って、戦術的により有効に行動できるようになったのである。今や分隊が自由に使用できるオートマチック射撃の純粋なボリュームは、イギリスおよびアメリカ兵のいくつかの困難な戦闘シチュエーションをより有利に変えた。例えば自動車がバリケード突破を試みた際、またはより大きいイラクの分隊に偵察隊が火力奇襲を受けた際などにおいてである。しかし5.56mmミニミは、FN MAGやMG3のようなより大きいマシンガンに完全に取って代わることはできない。特に自動車や遮蔽物に対する射撃では無理である。もしかするとマーク48はここに、火力、貫通力と輸送軽便性の間の実行可能な妥協案を提供するものであるかもしれない。5.56mmのマシンガンでは不足だから実戦のベテランは車載の、そしてトライポッドに乗せた支援火器として、より強力なマシンガンを残すことを希望しているのである。

 いつものように、アフガニスタンとイラクにおける最新の経験は近いうちにミニミのモデルチェンジに反映されそうである。次のライトマシンガン調達ラウンドはもはや遠いことではない。特にアメリカ地上軍は少なくとも2万人の兵を増員する予定だからなおさらである。アメリカ会計検査院は1挺のSAWを更新する際の価格をシステムの価格4000ドルと見積もっており、これはいくつかの近代化を可能とするものである。マーク48バージョンの将来も興味の対象である。

ライトマシンガンの発達史(囲み記事)
 歴史的にM249の先駆者に分類されるのはBARおよびジョンソンマシンガンである。しかしM249は技術的にはブレン、FN MAGと非常に多くの共通点を持っている。これに関しては次号でより詳しく評価する。ドイツでこれにあたるものは第一次世界大戦時のMG13からMG42およびMG3に至る道をたどっている。そしてドイツ製のミニミのライバルであり、現在ドイツ連邦国防軍が採用しているHK MG4については次号で大きくレポートする。ともあれ小口径5.56mmx45x仕様のライトマシンガンというアイデアは決してベルギーのみに由来するものではない。すでに1960年代、ユージン・ストーナーはいろいろなバージョンを実験しており、それらは特にネービーSEALsによってベトナムで実戦使用された。H&Kはすでに1970年代、G33シリーズのマシンガンバージョンである、口径5.56mmx45でヘビーバレル、バイポッド、100発ドラムマガジンを持つM13を完成させていた。同様にH&Kはベルト給弾システムを持ち、NATO領域のいろいろな選択テストにも参加したモデル23を提供していた。

モデル:FNミニミSAW M249
口径:5.56x45mm(.223)
全長:1004mm
銃身長:465mm
重量:7.1kg
発射速度:750〜1000発/分
装填:ベルト/30連マガジン


 ミニミは1980年代前半から米軍によって使用されているわけですが、評判はきわめてよいようです。ミニミの評価が高かったからこそGPMGもFN製のMAGに換えたらどうだという話になったんでしょうし。20年使用して、クリーニングのために分解するたびスチール同士がこすれるピン穴が摩耗したとか、これも非常に頻繁に着脱しなくてはならない弾薬ボックスの結合部がへたってきたなどというのは欠点のうちには入らないでしょう。振動を与えるとベルトリンクが音を立てるというのもこの銃特有の欠点ではないはずです。だからと言って保弾板にするわけにもいきませんし、キャンバス製のボックスにすればかなり改善されるようです。
 全体として非常に評価の高いミニミですが、5.56mmx45を使用するSAWでは7.62mmx51を使用するGPMGの完全な代用にはならず、車両や遮蔽物などのハードターゲットに対してより貫通力のある大口径マシンガンはやはり必要だということです。そこで少なくとも私は全く知らず、また意外に思いましたが、7.62mm仕様のミニミがすでに使用され始めているということです。それならMAGを使えばいいのでは、とも思いますが、7.62mm仕様のマーク48の空虚重量は8.44kg、全長1010mmであるのに対し、MAGはそれぞれ11.0kg、1255mmあるようなので、より小型軽量で、かつ威力があり長時間持続射撃にも耐えるマシンガンが求められているということのようです。これも現代の兵が従来なかった電子機器類などの重い装備を持ち運ばなくてはならなくなったことや、戦争の重点が屋内のどこに潜んでいるか分からないテロリストの掃討などに移ったことなど、現代戦の様変わりと関係しているんでしょう。このマーク48の実力が認められれば、あるいは一部の特殊用途のみでなくMAGにとってかわることもあるかも知れません。

 最後の囲み記事はやや言い訳がましいような印象を受けます。要するに「ドイツはミニミによく似たH&K製MG4を採用したが、別に5.56mmx45を使用するマシンガンはミニミが最初ではなく、H&Kも以前からそういうものを作っていたんだから真似したと言われるには当たらない」ということが言いたいようです。この記事は「Visier」編集長の執筆ですが、この人はどうもこういうことを書きたがる傾向があるようです。
 しかし私は例えば最近のプラスチックフレームを使用したドイツ製ハンドガンはグロックの真似をしたと言われてもしかたないものだと思います。H&KがVP70やP9ですでにやっていたことだから真似ではない、と言うのは言い訳としてちょっと無理があるでしょう。それらは全体として成功とは言えず、ハンドガン業界全体に大きな影響を与えることはできずに長い年月が経過しました。そしてグロックが大成功を収めて業界全体に現代ハンドガン発達史上最大ともいうべき強い影響を与え、その結果としてドイツメーカーもそういう製品を作らざるを得なくなったわけです。これと同じで、ストーナーやH&Kの5.56mmマシンガンは業界全体に大きな影響を与え得ず、ミニミが大成功した結果それに強い影響を受けたMG4を作らざるを得なくなったと言うのが実際のところでしょう。
 それに、アサルトライフル強化型の5.56mmx45マシンガンと、元々マシンガンとして最適に作られたミニミではかなり性格が異なり、MG4は明らかに昔のH&K製5.56mmマシンガンではなくミニミに近いものです。

 次号ではいよいよそのMG4が詳細に語られるようです。





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