マシーネンピストーレ18/1(ベルグマン)

(頑住吉注:原ページにはここにKoblenzの博物館に展示してあるこの銃の画像があり、「ユニークなマガジン形状がよく分かる」とされています)

歴史
 第一次世界大戦では鉄条網とマシンガンの使用により従来の戦争指揮の方法はほとんど不可能となった。両陣営は塹壕に潜り込み、鉄条網の背後、掩蔽壕の中に身を隠した。陣地はしばしば敵領域のわずか2、3m以内にあった。2名または3名で操作するフルオートマチックのマシンガンは全中隊を釘付けにすることができ、新しい戦術を考案する必要に迫られた。
 いわゆる「突撃部隊」が出現した。この突撃部隊は長いM98ライフルの代わりにカラビナー98、ハンドグレネード、ピストル、軽機関銃を手にした。彼らは危険を押して敵に向けて急速に前進し、マシンガン陣地を撹乱することを意図していた。これにより攻撃を受ける歩兵は敵のマシンガンによる致死的な阻止射撃を免れたままでいられるはずだった。だが当時のマシンガンは攻撃部隊において使用することを可能にするためには単純に重すぎた。狭い塹壕内ではM98のような長いライフルや長いバヨネットが使えないこともまた明らかであり、1人で操作できる軽量なフルオート銃が必要とされた。当初はピストーレ08やモーゼルC96のフルオートバージョンが試みられた。だがこうした銃はその軽量な閉鎖機構のせいで高い発射速度に達し、そしてその比較的小さい自重によりコントロールされた掃射ができなかった。ここでヒューゴ シュマイザーはあるプランを案出した。彼の新しい銃は1917年にライフル検査委員会(G.P.K.)に提出された。

(原ページにはここに上と同じ銃のバレルジャケット部のアップ画像があります)

技術
 この銃は本質的には5つの主要部分からなる。すなわちバレル、これを包む穴の開けられたジャケット、レシーバー、閉鎖機構、木製ストックである。マガジンとしてはG.P.K.の要求に基づいてピストーレ08の32連ドラムマガジンが使用されたが、これは実に手間と時間がかかる、装填補助器具によってしか装填できないものだった。このマガジンは薄い金属板から作られ、しばしばマガジンリップが曲がり、このことは戦闘の最中での機能障害を招いた。マガジンは銃の左サイドから入れられ、後方に傾いている。サイトは単純な起倒式であり、100および200mに調整できた(これと比較してM98の長いサイトは距離400mで初めて始まり、2000mで終わっている)。発射速度は毎分400〜450発で、フルオートではマガジンは6秒以内に空になった。兵士たちから「ヒューゴ噴霧器」とも呼ばれたこの銃全体ではゲベール98より重かったが、これによりフルオート時でも保持が実に安定した。
 
 閉鎖機構の原理はロックのないオープンボルトファイアの重量閉鎖機構であり、すなわち弾薬は閉鎖スプリングの反発力と閉鎖機構体の重量だけで閉鎖される。しかし9mmパラベラムはそのように単純に閉鎖することを可能にするためには強力すぎる弾薬であり、非常に強い閉鎖スプリングまたは非常に重い閉鎖機構を必要とするはずである。このためこの銃は実際上ほとんど使用不能となるだろう。ヒューゴ シュマイザーの閉鎖機構はこれよりやや高度である。ここでその機能を1つ1つ説明する。
 閉鎖機構はボルトハンドルを使って後退させられ、トリガーによってコック位置に保持される。射手がトリガーを操作すると閉鎖機構はファイアリングピンスプリングの反発力によって前方に急速に進む。その前進運動に際して閉鎖機構はマガジンから弾薬を持って行く。閉鎖スプリングはファイアリングピンにダイレクトに取り付けられているため、そしてファイアリングピンはそのショルダー部で本来の閉鎖機構ブロックを前方に押しているため、ファイアリングピンの先端は常に閉鎖機構ヘッドから突き出ている。このとき弾薬は閉鎖機構前部に存在する強力なスプリングであるエキストラクター爪によって前方に押され、これによりファイアリングピンには触れない。弾薬がチャンバーに導入されると、ある時点でチャンバー内における弾薬の摩擦が大きくなり、この結果エキストラクター爪の抵抗は克服され、この時弾薬はファイアリングピンに触れる。このことが弾薬に点火し、しかしここによく注意してほしいが閉鎖機構はまだ前進運動中である。ここで弾薬のリコイルショックはまず閉鎖機構の前進運動を片付けねばならず、その後初めて閉鎖機構を後退させる。閉鎖機構は最後部位置で保持されるか、改めて前方に急速に動く(射手がトリガーをまだ引き続けている場合は)。この天才的ではあっても単純なアイデアには2つの大きなメリットがある。すなわち閉鎖機構が比較的軽量に作れ、発射後熱したバレル内に万一の点火を起こす可能性のある弾薬がもはや存在しないことである。

 この銃のための「服務規定」は使用目的に関する疑いを許さない。その概念は短い連射で発射されるだけの噴射ファイアー、あるいは全マガジンを空にし、より広い地帯に阻止火力をたっぷり見舞うことを意図するいわゆる刈り取りファイアーと言われた。イギリスおよびフランスの兵たちはMP18/1の壊滅的な効果を報告した。というのは、彼らはこの兵器の新方式に匹敵する対抗手段を持たなかったからである。
 全将校、全下士官、兵の10パーセントにMP18/1を支給することが決定された。だがひっくるめて約30,000〜35,000挺のマシーネンピストーレしか生産されず、このためこの兵器もドイツに有利な戦局への転換を助けなかった。しかしMP18/1は最初の真正マシーネンピストーレであり、また9mmパラベラム弾薬のワールドワイドな普及を助けた。

(頑住吉注:原ページにはここに横、上からの断面図がありますが、これも博物館の掲示物を撮影したものなのでいまいち不鮮明なのが残念です)

銃器の名称 マシーネンピストーレ18/1
メーカー SuhlのT. Bergmann銃器工場
全長 815mm
重量 4.2kg
銃身長 196mm
ライフリング 6条右回り
口径 9mmパラベラム(9mmx19)
銃口初速度 381m/s
マズルエネルギー 580J
発射速度 400〜450発/分
効果的射程 200m
最大有効射程 約1000m
弾薬供給/マガジン容量 32発ドラムマガジン

(頑住吉注:原ページにはここに同じ銃の画像があります)


 この銃自体に関してはよく知られていることもあり、特に付け加えることはないんですが、作動方式に関する説明がちょっと気になりました。

 PP−90を作る際、資料に「ボルト前進中にすでに発火させ、ボルトの前進運動と薬莢がガス圧によって後退しようとする力がぶつかり、相殺し合うことによってボルトの後退を遅らせるシステム」旨の説明があり、非常にユニークなシステムだなあと感心したんですが、その後いろいろな資料を見ていくと、オープンボルト銃の場合基本的に全てこのようなシステムになっているという説明も見かけられました(ただしその理由としてボルトの後退を遅らせる等ではなく、重いボルトが前方に激突した際のショックで命中精度が低下することを防ぐためであるという説明もありましたが)。今回紹介した説明もこれと同じものと考えられます。

 ただ個人的にちょっと疑問があります。テーパーのついた9mmパラベラムの薬莢とチャンバーとの摩擦がエキストラクターの弾性を超え、プライマーの発火に至るほど大きくなった後、薬莢やボルトはさらに前進を続けることができるんでしょうか。またこんな方式ではチャンバーや薬莢に高い精度が求められすぎるのではないか、また発射によるチャンバーの汚れ程度でも作動が変化してきてしまうのではないかという気もします。そして「9mmパラベラムはそのように単純に閉鎖することを可能にするためには強力すぎる弾薬であり、非常に強い閉鎖スプリングまたは非常に重い閉鎖機構を必要とするはずである。このためこの銃は実際上ほとんど使用不能となるだろう」とありますが、例えばUZIピストルにもクローズドボルトバージョンがあり、大きな設計変更なく使用できており、そんなことはないだろうとしか思えません。UZIシリーズのオープンボルト、クローズドボルトにおけるリコイルスプリングの強さははっきり違うものなんでしょうか。ご存知の方がいたら教えてください。














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