台湾のF-16Vは台湾海の軍事バランスを逆転させる?

 この問題に関する記事が多いのはそれだけ気になる存在だからでしょうね。

http://military.china.com/important/11132797/20151026/20632010.html


F-16Vが台湾海の軍事力バランスを逆転させる? 戦力化される日にはあるいは殲ー20とぶつかるか

両岸の軍事力を逆転させる分銅には多くの重みがある

先週(頑住吉注:記事は10月26日付です)の水曜日、アメリカのロッキード・マーティン社は声明を発表し、そのF-16戦闘機の最新改良型F-16Vはすでに先週金曜日に初飛行を実現した、とした。この機の改良はなお定型に至っていないが、少なからぬ大陸のウェブサイトを含む少なからぬメディアはすでに、この機が定型に至る前にF-16Vのために具体的性能を「欽定」している。メディアの描写によれば、改良後のF-16V戦闘機は各種の先進性能を持ち、アメリカが台湾のために「オーダーメイド」したハイエンド機種であるというだけでなく、さらに解放軍の殲ー10Bを含む各種戦闘機を超越することができ、甚だしきに至っては改めて台湾軍の台湾海上空の優勢な力を奪回するという。

このような描写は筆者に、こうしたF-16戦闘機が1992年に販売を批准されたばかりの時の場面を想起するのを禁じ得なくさせる。広範な描写によれば、当時の台湾海両岸の空軍はまだ第2世代戦闘機が天下を統一する立ち後れた局面で、大陸の空軍だけが第一陣12機のスホーイー27戦闘機を装備していた。その後台湾軍は何年かのうちに連続して150機のF-16、60機のミラージュ-2000戦闘機、130機のF-CK-1「経国」号戦闘機を購入し、迅速に中国大陸空軍に対する装備の優勢を構築したのである。

少なからぬ説は、1996年の台湾海危機の時F-16は台湾空軍の制空権の優勢を確保したと断言するが、ちょっと調べてみさえすれば、すぐに事実は決して完全にこうではなかったことに気付く。台湾軍のF-16は1992年に発注されたが、第1機目のF-16はずっと後の1996年7月になってやっと正式にアメリカで工場を出、1997年4月になってやっと正式に台湾軍に引き渡された。台湾海危機の中に顔を出すチャンスさえなく、一方これと同時に中国空軍はすでに1996年7月には48機のスホーイー27戦闘機を持っていたのである(当然、この時の中国空軍は第3世代戦闘機を熟知していない、および全体的な訓練水準が高くないなどの原因により、まだ全面的にこうした新たな戦闘機の戦闘力を発揮させることはできていなかったが)。

F-16が台湾軍の大陸空軍に対する優勢建立を助けるには2002年前後まで待つ必要があった。当時F-16を装備するあらゆる戦闘機連隊は全部戦力化され、一方同時期の大陸空軍は殲ー10、殲ー11系列戦闘機がまだ大規模量産を開始していなかったため、頼る第3世代機としては輸入された76機のスホーイー27しかなかった。単一の機の性能に関しては、確かに台湾のこうしたF-16A/B Block20は基本性能やいくつかの補助設備の配置の上でほとんどあらゆるF-16A/B型戦闘機より高かっただろう。だが最も重要なカギである対地攻撃火力コントロールシステムやAIM-120先進中距離空対空ミサイル発射というこの2項目の上ではそれにもかかわらず台湾軍戦闘機に対し「去勢」が行われた。このためこうした戦闘機はより大きなスホーイー27に「匹敵」し得るが、その優勢は主に質ではなく数に頼って取得されたのである。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「1996年の台湾海危機の時、我が軍はすでにスホーイー27戦闘機を持ち、一方台湾軍のF-16はまだ一定の状態に達していなかった」です。)

海峡両岸の軍備競争の中で、台湾軍が建立するいわゆる数の優勢は通常いつも長続きしない。大陸がすぐにスホーイー30系列戦闘機の導入を開始し、殲ー10、殲ー11系列戦闘機の生産も始動し、このため台湾のF-16の数の優勢はすぐにもはや存在しなくなり、その性能も解放軍が購入するロシア製R-77空対空ミサイルの挑戦を受けるに至った。アメリカは2000年にはもう台湾に向けAIM-120先進中距離空対空ミサイルを販売していたが、2004年に解放軍がR-77を大量装備した後になってやっと台湾軍のミサイルを台湾に引き渡すことを批准した。

ここまで見て読者たちは、アメリカがF-16の性能の制御という問題の上でカギとなる重要な作用を果たしたことに難なく気付く。アメリカは相当な長時間内ずっと、意識的に台湾軍のF-16の引き渡し速度とグレードアップの進度を制御しており、これは非常に大きな程度上海峡両岸空軍の勢力バランスという考慮から出ている。アメリカが台湾軍に各種の新たな改良を開放してやるのは、大多数が大陸空軍が掌握しかつ大量装備したばかりのことへの対応措置である。このことは台湾のF-16戦闘機が、当時のF-16系列の中で立ち後れているとは評価できないが、最初から最後まで「最先端」タイプとなることもないという結果をもたらし、この機が台湾空軍が建立する優勢を助ける時間も相当に短く、ほとんど2003年以後はその数に基づく優勢も衰退を開始した。

同様の性能の制限は今回のF-16V戦闘機のグレードアップ過程の中にも体現されている。F-16V戦闘機最大のハイライトはこの機が装備するAN/APG-83アクティブフェイズドアレイレーダーにあり、その技術の出所はアメリカがアラブ首長国連邦のF-16 Block60戦闘機上に装備したAN/APG-80レーダーであり、しかも需要を根拠に関連の性能を簡略化した。10年前、このような水準のレーダーはまだアメリカ空軍自身のF-22戦闘機にのみやっと使用することができたが、現在では中国を含むいくつかの主要国がこぞってすでに同様の水準の先進レーダーを生産することができる。台湾方面の報道によれば、F-16Vはレーダーを交換するのと同時にさらにエンジンを交換しようとしており、かつ一連の電子戦武器システムを交換する。

だが2000年前後に引き渡された第3世代機上でこのような改良を実施しようというその難度は絶対に普通の人の想定の中の「レーダーを換える」、「エンジンを換える」といったような簡単なことではない。アクティブフェイズドアレイレーダーの電力消耗や放熱はいずれも伝統的なレーダーに比べずっと多く、このため以前に比べより強大な電源供給および放熱設計を必要とし、このことはレーダーを換えるというこの作業を、普通のコンピュータ(頑住吉注:難解な専門用語が頻出し、それにそもそもコンピュータに関する知識が乏しいので訳せません。要するにコンピュータを大改造するにも電源や冷却の設備などが必要になることもある、といったことです)。電源設備の改良はまたより強大な電力供給を必要とし、このことは先進的エンジンへのグレードアップ後も全動力システムに対するグレードアップを行う必要を生じさせる。加えて改めてレイアウトを構築した新世代データバスなどの設備を必要とし、F-16Vの改良が関わるグレードアップの範囲の広さは、確実に一般の人の想像を超えたものなのである。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「F-16V戦闘機」です。)

当然アメリカにこのような改良グレードアップがうまくできないということはあり得ないが、グレードアップの価格は‥‥誰にでも分かることだ。今回の契約は145機のF-16の改良に関わり、契約総額は60億アメリカドル近く、1機あたりのグレードアップの価格は約4,000万アメリカドルであり、全面交換される各種機上設備および設計試験飛行に費やす必要がある金を考慮すれば、この数字は実はまださらに一歩高騰する可能性がある。年中「釣魚工程」を行い、甚だしきに至っては単発でアメリカ海兵隊全体を釣った名手として、アメリカの軍事工業企業は当然にいかにして長い糸を伸ばして大魚を釣り上げるかを心得ている。

全面グレードアップ後のF-16Vの性能は殲ー10B甚だしきに至ってはCクラスに到達し得るとされ、間違いなく大陸空軍で現役の最初期の殲ー11や殲ー10に比べ先進的だろう。だがしばし待て、国産殲ー10Bの生産はすでにまる何年か持続しており、しかも同様に新たなエンジンとアクティブフェイズドアレイレーダーを用いた殲ー10C、殲ー16などの戦闘機もすでに量産に投入され、殲ー11Dもすでに試験飛行を開始している。F-16Vの試験飛行の進度がどんなに早くても、1〜2年後になるのを要してやっと台湾軍のF-16の全面改装が開始され、プロジェクトの完成にはより長い時間を必要とする(ほとんど作り直しの工程をもって145機の戦闘機を改造するのは絶対に小さな工程ではなく、少なくとも4〜5年の時間を必要とする)。その時には殲ー10Cはもちろん、殲ー20といった現在まだ定型試験飛行段階にある次世代戦闘機さえもすでに量産が開始されている可能性がある。

アメリカが今回提出した方案はメディアの見たところ両岸の空中力量の対比を逆転させることができるものかもしれないが、技術上最初の構想は両岸の戦闘機の性能の隔たりを「ゼロに帰す」ものに過ぎず、しかもひとたび実際の執行に関われば、短時間内には台湾軍戦闘機の大陸戦闘機との技術上の隔たりを相対的に減少させるだけに過ぎず、両岸の軍事力の不断にバランスを失う天秤を逆転させることは全くできない、ということが難なく見て取れる。


 まあ残念ですけど大筋そうかなという感じがします。ただアメリカがこのように常にバランスを考えているとすれば、今回も他の要素と合わせ総合的にこれくらいあれば最低限OKだと判断しているいうことなのかもしれないとも思えますが。



















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