ドゥテルテは反米?

 トランプもこの人もそんなに深い考えを持った人じゃない気がするんですが。

http://military.china.com/important/11132797/20170524/30560684_all.html#page_2


ドゥテルテは真に「叛米帰中」したのか? おそらくそんなに単純ではない!

ドゥテルテは今日ロシア訪問に出発し、これは彼のロシアに対する初訪問である。加えて彼は先週訪中し「一帯一路」サミットフォーラムに出席し、中国サイドとの関係をさらに一歩緩和させ、外国メディアの「フィリピンが親米から親中ロ方向に発展」に対する評論があちこちに起きている。

米ロ関係が持続的に悪化する背景の下、フィリピンがロシアと外交関係を発展させるのをいかに見るか? フィリピン国内の反対の声はさらに一歩強化されるのか否か? 我々は上海国際問題研究院大国外交室主任の周士新にこれにつき文章を執筆し分析してもらった。

フィリピン大統領ドゥテルテが現在なすより多くは前任のアキノ3世政権の外交政策の偏向の修正で、採るのは主に全方位等距離の友好外交政策だが、それにもかかわらず西側メディアによって親中ロで西側を遠ざける外交政策と誇大宣伝されており、やや言葉が誇大化されているようである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ドゥテルテがロシアを訪問、プーチンと会見」)

ドゥテルテの就任以来の外交に関する言動を総合すると、我々は次のことを見て取ることができる。

第1に、ドゥテルテはアメリカに対し不満を態度表明し、甚だしきに至っては「フィリピンで米軍を見たくない」としているが、フィリピンは依然アメリカと穏健な同盟政策を保持している。さらにドゥテルテ本人とアメリカ大統領トランプとの関係は比較的友好的で、双方の意志疎通、関係も比較的スムーズである。

もしドゥテルテが真に反米なら、アメリカ・フィリピン関係を決定する多くの条約、協定などの政策文書は改修あるいは破棄され、双方の多くの軍事協力プロジェクトや行動は削減あるいは取り消しされる可能性がある。だが現在見たところ、ドゥテルテはまだこの方面の決心をしていない。

ドゥテルテに関して言えば、アメリカとの関係悪化は決してフィリピンの国益に符合せず、一方アメリカと一定の距離を保持し、アメリカがフィリピンに重きを置く戦略の傾向を利用すれば、より多くアメリカと駆け引きができる。

だが問題は、アメリカのトランプ政権はややケチで、かつ南海問題がまだその戦略的優先位置となっていない前提の下、ドゥテルテは止むを得ずより多くの戦略的選択を探し求めるしかない、ということである。

第2に、ドゥテルテは中ロとの戦略協力関係を高度に重視し、甚だしきに至っては強化しているが、これは彼が全方位の友好外交関係を形成する正常な挙動でしかない。ドゥテルテは中ロと仲違いする必要はなく、逆に協力を強化することがフィリピンの国益を維持保護するのに有利である。

現在見たところ、ドゥテルテが南海仲裁案の結果を放棄していない状況下で、中国との戦略協力を回復および増進することによって、国家の経済発展に速やかに必要な資金、技術や管理の経験が獲得されただけでなく、しかも中国のいくつかの経済援助が得られ、フィリピンの国際および地域の舞台の上での地位やイメージが向上し、アメリカと駆け引きする資本が増加しただけでなく、しかも非常に大きくフィリピンの国家の安全が促進された。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ドゥテルテが中国に対し善意を見せることを選択したのはフィリピンにとって賢い行いである。画像はドゥテルテが来訪した長春艦に乗り込んだところ」)

試しにちょっと考えてみよう。もしドゥテルテがアキノ3世の南海問題の上での頑固な立場を改変せず、中国の南海問題の上での合理的合法的な訴え要求に挑戦していたら、中国は迫られて黄岩島防衛のいくつかの必要な措置を採り、結果的に双方の緊張した関係を激化させていた可能性があり、これはフィリピンの国家の安全に対しても益するところはない。

ロシア・フィリピン関係から見ると、双方の戦略協力の増強は必然的にアメリカのトランプ政権に対し相当に大きな戦略的圧力を生むだろう。ドゥテルテのこの挙は必然的に彼にロシア・フィリピン関係改善の中からより多くの実利をも得させるだろう。

中国やロシアなどの大国と密接な友好関係を発展させることは、実際上ドゥテルテが将来アメリカから来る戦略的圧力に対応する実力および能力を極めて大きく向上させただけでなく、しかもフィリピンの国家の安全環境をも継続、加速して改善し、ドゥテルテ政権がより多くの精力を国家建設の主要な任務の上に向ける助けになる、ということができる。

第3に、ドゥテルテはフィリピンと世界の強国との間のバランスを努力して維持するのと同時に、その他の力量、例えばASEAN諸国間、ムスリム諸国と非ムスリム諸国との間の戦略バランスも維持している。これはドゥテルテがフィリピン国内のイスラム教徒とキリスト教徒集団との関係を処理した経験を持つことと関係があるし、フィリピンが多元世界の各種力量のバランスを求める戦略的選択でもある。

この種の状況はASEAN内部の各メンバー国に広範に存在するだけでなく、世界の某いくつかの地域でも非常に典型的である。通常戦略バランスを探求する国家指導者がエルサレムを訪れると、それぞれイスラエルとパレスチナを訪問しかつ双方の指導者と交流を行うだろう。もしドゥテルテが中東和平推進プロセスの中で突破を取得できれば、彼の国際的地位は計り知れないものとなる。

当然、アメリカ大統領トランプも中東和平プロセス推進を企図することを考慮すれば、パレスチナ、イスラエル双方はアメリカの実力と承諾をより重視するだろう。ドゥテルテが類似の政策的選択をするか否か、および成功できるか否か、依然知り得ない。結局のところパレスチナ・イスラエル和平問題は長期にわたっていて容易には変わらず、フィリピンがこのプロセスを推進する力量を持つか否かも、なお人を疑わせる。

第4に、関心を注ぐに値するのは、ドゥテルテは政権担当以来確かに伝統的な欧米諸国を訪問しておらず、その外交政策の特殊な偏愛をはっきり示している。これは一方においてはフィリピンとこうした国との間に比較的強い友好協力の基礎が存在するからで、もう一方ではこうした国の最近世論のドゥテルテに対するネガティブな反応が比較的多く、彼の不満を引き起こしているからである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ドゥテルテがトランプへの『朝見』を拒絶したのは、実際上自分の売値が上がるのを待っているのである」)

しかし、趨勢の上から見て、ドゥテルテにはこうした国との関係を悪化させるつもりはない。むしろこうした国に戦略的利益の上からフィリピンの重要性を考慮し、長期的な立場から出発してフィリピンとの伝統的関係を維持させようとしているのである。ドゥテルテはこうした国との発展と改善のルートをふさぐことはないだろう。だがこうした国が公平公正に彼の国家建設促進の各種政策を見ることをより希望する。

当然、フィリピンは高度の民主的自由を尊重崇拝する国で、国内に政府のいかなる外交政策的選択に対する評判と批判が出現することも全てごく自然なことである。アキノ3世の政府がアメリカ政府に高度に依存して南海問題で騒ぎを起こした時も、国内には異なる声が出現したことがあるし、甚だしきに至っては彼の弾劾を提出する人がいた。

現在、フィリピン国内にドゥテルテ政府の中ロ関係改善を憂慮する異なる声が出現していることは、フィリピンにとって実に正常なことに属する。しかし、この種の異なる声が存在する状況は常に事実という基礎の上に建立されるべきであり、もっと重要なのはフィリピンはアメリカあるいはその他の国の国益をもって誘導されるのではなく、かつありもしないことをでっちあげ、フィリピンの外交環境に影響、破壊させてはならない、ということである。

また、ドゥテルテ政権は国内外世論に盲従してもならず、フィリピンの国益から出発する必要があるのであって、それでこそその全方位、等距離、友好の外交政策をより安定してより遠くまで行かせることができる。


 従来よりも中ロに接近しアメリカから遠ざかっているのは確かでしょうが、等距離外交を目指しているのだと言われればその通りな気もします。しかし例えば韓国もそうですが、両陣営の間でバランスをとって国益を最大化するのは実は難しく、両方から圧力を受けてどうにもならなくなる危険もはらんでいるわけですが。


















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