殲ー15艦載戦闘機のコストは その2

 続きです。

http://military.china.com/important/11132797/20170904/31274740_all.html#page_2


殲ー15の値段はどこから来る?

当局メディアが今回言及した「4億」とは海軍が沈陽飛行機製造社から殲ー15を購入する価格を指すはずで、この価格には沈陽飛行機の研究開発コストの償却、製造コストおよび合理的な利潤が含まれているはずである。製造コストの概念は容易に理解され、より重要なのは装備価格の中では「償却される研究開発コスト」の占める比率が低くないかもしれないことである。

すでに公開されている資料を根拠にすれば、1996年、沈陽飛行機製造社はスホーイー27SKの総組み立てを開始した。21世紀初め、我が国はウクライナからT-10K-3(スホーイー33の原型機)のサンプル機を獲得した。この2つの事件は我が国の艦載機が殲ー15を選択する重要な節目のポイントだったに違いない。殲ー15プロジェクト立ち上げは2001年前後で、2009年に初飛行し、この期間10年近くを経歴した。もし殲ー15を単独のプロジェクトとしたら、あらゆるこのプロジェクトに関わる人員、設備、材料、試験が発生させる支出は全て殲ー15プロジェクトに算入され、コストを形成しただろう。今まで、殲ー15の研究開発コストは依然高度に秘密保持されている。だが我が国の一般的規律に照らせば、沈陽飛行機は一部分の費用を担った可能性がある。さらに加えて艦載機の構造の複雑性、および殲ー15の現在の限られた生産量があり、その研究開発コストは空軍の殲ー11系列に比べ50%以上高い可能性がある。

この数字を得たのは、我が国が第4世代機を研究開発する過程の中での、顧誦芬院士の「顧誦芬文集」の中の非常に強い参考にする意義のある数字に基づいてである。顧誦芬は文中で当時の第4世代機研究開発コストに対する見積もりを披露しているが、文中には次のように書かれている。「我々は国内第3世代戦闘機である殲ー10と殲ー11の研究開発費用および現在の1機あたりの価格を参照し、2002年の通貨価値により、見積もり計算と分析を行ったが、初歩的な結果は総研究開発経費は371億人民元を必要とするというもので、これには試験・試験飛行飛行機8機の製造および事前生産型機6機が含まれる。このうち飛行機の機体の研究開発経費が約200億人民元、エンジンの研究開発経費が約60億人民元、機載電子設備の研究開発費が約75億人民元で、機載武器の研究開発費は約36億人民元である。この費用は第3世代戦闘機である殲ー10および殲ー11の開発と導入費用の総和におおよそ相当する。1機あたりの価格は4.5億〜5億人民元で、スホーイー27導入の3,500万アメリカドルよりやや高い。第4世代戦闘機の技術集成度の重大な向上を考慮すれば、飛行機の作戦コストパフォーマンスは明らかに第3世代戦闘機より良い。」

顧誦芬院士のこの記述は第4世代機に対するもので、しかも院士の4.5億から5億という構想は現在の我が国の第4世代機である殲ー20の実際のコストとでは比較的大きな差があるかもしれない。何故なら殲ー15の価格は明らかにこの水準に到達しており、殲ー20はより高いだけだろうからである。だが逆向きに考えると、顧誦芬院士が見積もった1機あたりのコストが殲ー15と基本的に似ている以上、ならば我々は価格から逆に推測し、殲ー15の研究開発コストも350〜400億人民元前後の可能性が高いと知ることができる。

だが、研究開発コストの償却は予期された生産量に照らして行われる。殲ー15の研究開発コストが400億人民元、予期された生産量が200機と仮定すれば、ならば1機あたりの殲ー15の償却費用は2億人民元である。もし予期された生産量が300機なら、償却金額は1機あたり1.3億人民元まで下がる。このため、もし殲ー15の生産ラインが持続し、海軍が持続的に購入していければ、将来殲ー15の価格にはまだ下方修正の余地があるだろう。

ならば、研究開発コスト償却の他に、殲ー15の単価の主な部分にはさらにどういったものがあるのか?

エンジン

去年の珠海航空展の期間、かつてある報道は中国は再度ロシアに向け100台のAL-31エンジンを発注する、とした。ロシアの専門家の当時の見積もりによれば、1台あたりのAL-31の価格は3,300万人民元前後で、1機の殲ー15が2台のAL-31を必要とするので、殲ー15のコストの中で、エンジンは少なくとも6,600万人民元を占めるだろう。

材料および人件費のコスト

米英仏などの国の飛行機メーカーとは異なり、中国とロシアの飛行機製造材料および人件費のコストは相対的に低廉である。しかも生産量の高まりや技術の熟練度の向上と共に、1機の戦闘機の人件費のコストは徐々に低下するだろう。

利潤

軍用品販売の粗利は非常に高い。読者がもし興味があれば、我が国の軍を主要な販売対象とする上場企業である天和防務の財務諸表を調べてみてもよい。統計によれば、同社の粗利率はかつて96%にも達し、最低でも50%以上である。沈陽飛行機の粗利率は当然天和防務とは比べられないが、軍事工業製品の高い粗利率は1つの客観的事実である。筆者は前述したが、軍事工業の特殊性と封鎖性ゆえに、軍は製品を購入する時メーカーに比較的高い粗利率を与え、もって企業の持続的研究開発能力を保障するだろう。もし我々が沈陽飛行機の平均粗利率を30%と仮定するならば、1機あたりの殲ー15の粗利は1.2億人民元に達することになる。





















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