ロシア空母が黒煙を吐いたのは何故?

 「遼寧艦」と同型艦ということもあって気になるようです。

http://military.china.com/important/11132797/20161026/30022232.html


遼寧艦もロシアの「クズネツォフ」号空母同様黒煙を噴くのか?

10月14日、ロシア海軍は「クズネツォフ海軍元帥号」空母を核心とする空母戦闘群を派遣し、北方艦隊のムルマンスク港から出発し、シリア付近海域に行きテロ分子打撃の任務を執行させる。艦隊には空母の他、さらに「ピョートル大帝」号大型ミサイル巡洋艦、「セベロモルスク」号および「クラコフ海軍中将」号大型対潜艦および1隻の攻撃型原潜が航路護衛し、加えて北海海域で合流したバルト海艦隊の2隻のミサイル軽護衛艦が加わり、ロシアのソ連解体以来戦闘力最強の水上艦隊を組成している。

艦隊はユーラシア大陸の西側に沿ってゆっくりと南下し、一路多くのNATO加盟国の沿岸を経、かつイギリス海峡を通過した。海峡の中で、NATOの海空力量はそれに対し高強度の監視と観測を行った。西側諸国のメディアはロシアのこの唯一の空母に対し辛辣に嘲り皮肉っている。特に「クズネツォフ」号が航行途中に煙突の中から噴出した黒煙は、さらにメディアとネット仲間たちの攻撃の対象となった。ロシアの反体制派はこの艦隊を1905年に全軍壊滅した帝政ロシアの太平洋第2艦隊と比較し、アメリカメディアは社交ネットワークの視点を引用し、ロシア艦隊を「レーダーを用いずもう発見され得る」と風刺している。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「『クズネツォフ』号のもうもうたる濃い煙はほとんど全艦隊を遮蔽している」 続いて2枚目。「ロシアの衛星ニュースの報道」 これは確かにひどいですね。)


ロシア唯一の空母として、「クズネツォフ」号の動力は一体どうなのか、またなぜ濃い煙がもうもうなのか?

作動状況、メンテナンス、燃料の油

「クズネツォフ」は蒸気タービン動力を使用する大型通常空母で、油を燃料とする蒸気ボイラーを使用して蒸気タービンを駆動する。艦艇によく見られる外燃機関として、現在通常の船舶用蒸気タービンが使用する燃料油は燃焼媒質である(バンカー炭ボイラーは19世紀から20世紀前、中期によく見られたボイラーの1つで、現在ではすでに基本的に船舶の主流な動力の選択からは退出している。原子力動力という煙突さえ必要としない方式も当然我々の討論の中にはない)。本質の上で、外燃機関だろうと内燃機関だろうと、燃料の燃焼後の排出過程で、その排気成分の形態に影響する要素はいずれも大差ない。

1台の自動車を持ち出して例にすると、もし車両が操縦中いつも排気管から黒煙を排出していたら、一般的に言ってあなたのお友達たちは通常3つの方面からあなたに注意を促すだろう。いつも低档位轟油門(頑住吉注:自動車のこと無知なんで分からないです)ではないか。期限になってもメンテナンスをやっていないのではないか。良くない燃料を使っているのではないか。「クズネツォフ」に関して言っても、黒煙の問題は他ならぬこの何点かの原因である。

同一の燃焼機関に対して言えば、エンジンの作動状況が異なれば、その排気の排出も必ずしも同じではない。一般的に言って、経済的作動状況の下での燃焼機関の作動状態は効率が最高で、燃料の燃焼が最も充分である。一方高い作動状況および低い作動状況の下では、燃料の効率はいずれも相対的に低下するだろう。そして低い作動状況の下では、酸素供給不足により、非常に容易に燃焼不充分が引き起こされ、したがって「黒煙を吐く」現象が生み出される。艦船のエンジンは始動当初あるいは比較的低い航行速度をもって航行している時、この種の状況は極めて容易に発生し、かつほとんど避けられない。

「クズネツォフ」号に関して言えば、この艦が狭いイギリス海峡を突っ切る時、航行の安全のため、航行速度は比較的遅く、加えて当日は海峡内の風速が大きくなく、大量の黒煙が艦艇付近に集中し、濃い煙がもうもうという景色が形成された。実は今回人に嘲笑された非常に多くの濃い煙の画像の中で、大多数の画像は決して今回の遠洋航海の中で撮影されたものではなく、「クズネツォフ」艦が港内でタグボートによって牽引されている、甚だしきに至ってはエンジンを始動したばかりの画像なのである。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ロシアのネット仲間が世界の名画を用いて制作した自嘲。「クズネツォフ」号は単に「薪」を焚いているだけでなく、さらに人夫に引かれている‥‥」です。)

率直に言って、この種の低い作動状況の下の黒煙は大多数の燃焼機関にとって避けることができない。ロシアがインドのために改造し、蒸気タービンを使用する「ヴィックラマディヤ」号空母も試験航海の期間にかつて始動時の濃い煙が天を燻す画像を撮影された。中国海軍の蒸気タービンを使用する051型駆逐艦やディーゼルエンジンを使用する護衛艦にはいずれも低速航行時に類似の状況が出現したことがある。ガスタービンエンジンを使用するアメリカの沿海域戦闘艦さえも、かつて港に進む時、煙突から濃い煙をもうもうと上げているのを人に撮影された。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「インドの空母『ヴィックラマディヤ』号が黒煙を上げる」 続いて2枚目。「2016年2月19日、アメリカの『フリーダム』号沿海域戦闘艦がサンディエゴ海岸を航行しているところ」)

当然、「クズネツォフ」号が人に嘲笑される非常に重要な1つの原因はこの艦が止まることなく低速で海峡を通過する時に煙がもうもうだったことで、しかも大多数の時煙が非常に酷かった。これはこの艦の維持保護メンテナンスと非常に大きな関係がある。

「クズネツォフ」はソ連解体直前に竣工した老艦で、就役して今まですでに25年で、本来すでにもうシステマチックな維持保護を行う必要がある年齢に達している。しかも、この艦の動力システムは1990年代中、後期のロシア経済が崩壊していた時期に連続して何度かの故障を起こしたことがあり、それにもかかわらずこの艦のために徹底した維持保護を行う充分な経費と技術力量が欠乏していた。2000年以後この艦は何度かの持続時間がやや長い修理を経たが、これもそれを海に出して巡航させる「延命」措置でしかなかった。

2012年以後、ロシアは何度も「クズネツォフ」艦に期間5〜7年の徹底した大修理を行うと宣言したが、資金の欠乏と相対的に頻繁な使用の必要性が修理工程を再三縮小させ、最終的に何ヶ月かを費やして船底をガリガリやり、ちょっと塗装を補うものに変わった。

(頑住吉注:これより3ページ目)

恒常的な修理の欠乏とこれに加わる早い年代の「病根」はこの艦の動力システムの状態を憂慮すべきものにさせている。今回の航海では、煙突の黒煙もうもうだけでなく、空母の高速航行のシーンも見られない。

今回の出動前にも、「クズネツォフ」号はまもなく期間2年の大修理時期に入ると宣言したが、しかし‥‥

もう1つの煙の効果に影響する要素は燃料の品質である。

現代艦艇の油燃料エンジンは適応性を高めるため通常必ず多種の燃料が使用でき、したがって艦艇が戦時に安定した燃料供給を獲得できることを保障している。またその中で蒸気タービンは燃料に対し最も寛容で、グレードの高い航空燃料、普通のディーゼル燃料だけでなく、重油といった種類の品質が高くない、雑質が少なくない燃料さえも使用できる。だが、異なる燃料が使用できることは、それらを使用した後の効果が全て同じであることを意味しない。ひとたび燃料油の品質が高くなくなれば、排出される排気の雑質は増加し、色が黒く変わるのは当然の状況である。

例を挙げて語ると、2014年に中ロが「海上連合-2014」合同軍事演習を行った時、中ロ両軍が同時に出動させた現代級ミサイル駆逐艦に対し、ロシアの艦の排煙の色が顕著に中国艦艇より濃いのを見たメディアがあり、このことはロシア海軍が蒸気動力戦闘艦に提供する燃料の品質が決して理想的ではないことを示している。

当然、クズネツォフ号空母の濃厚な煙に関して言えば、上述の3つの原因は空母がイギリス海峡を通過する時の協同作用で、だからこそ我々に、一気に第一次工業革命時代に戻ったかように思わせたのである。

これは遼寧艦の未来なのだろうか?

ロシアの「クズネツォフ」の濃い煙がもうもうなのを見て、すぐ我々の遼寧艦に思い至る人がいる。「クズネツォフ」の姉妹艦で、遼寧艦の前身である、旧ソ連の時機に建造された1143.6型大型航空機搭載巡洋艦「ワリヤーグ」号が使用するのは「クズネツォフ」艦と基本的に同じ動力システムである。だがソ連末期の造船技術の改善のおかげで、「ワリヤーグ」の動力システムは建造の当初からもう船体の総段内に埋め込まれて装備され、このためこの艦がソ連解体で作業停止された時、外観から見るとこの艦は外殻に過ぎず、動力システムの取り付け試験も完成していなかったが、ボイラーや蒸気機関を含む動力システムの主体部分は皆すでに艦に取り付けられていたのである。

(頑住吉注:これより4ページ目)

だが「ワリヤーグ」艦が中国に牽引されてきた時、この艦はすでに作業停止して10年で、しかも艦上の多くの設備は洗いざらいの破壊取り外しを経ていた。当然、以前の香港の小新聞あるいは国内の絨毯(頑住吉注:検索しても出てきませんが「底辺」みたいな意味があるんですかね)軍事メディアの誇大宣伝とは異なり、こうした破壊は決して意図的でシステマチックな破壊、甚だしきに至っては中国の空母計画を妨害するものではなく、単純に造船工場内の長期にわたり賃金が支払われていない職工たちが、一部の設備を取り外して盗み取り、もって貴重な金属を転売したせいである。まさにこのようだったから、非常に多くの金、銀、プラチナ成分を含有する電子設備部品は窃盗の波の中で次々と外され壊されて転売された。だがボイラーと蒸気タービンはそれにもかかわらずこの中には含まれなかった。こうした寸法が非常に大きい鋼鉄部品は艦艇の最も深いところに位置し、切断するのに不便でもあったし運ぶのも非常に難しく、さらに加えて鋼鉄は決して金にならず、このため艦上の破壊は基本的に動力システムに波及しなかったのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「2001年11月1日、ワリヤーグ号がタグボートに牽引されてトルコのボスポラス海峡を通過する。」)

当時の「ワリヤーグ」上の比較的完備された動力システムの主体、および中国の空母クラスの大出力蒸気タービンシステム製造の技術や経験の上での欠乏を考慮し、中国は最終的に「ワリヤーグ」を基礎に、オリジナル艦の関連資料を利用して動力システムを建造続行することを選択した。このため技術から見て、「クズネツォフ」と「遼寧」艦の動力システムは構造上基本的に一致し、主要な差異は「遼寧」艦の設備がより新しいことにしかない。

だが「遼寧」艦は就役の最初からもう厳格に使用規範を遵守し、「クズネツォフ」艦の1990年代のような維持保護欠乏、管理が混乱する運行状況は出現していない。中国海軍に一貫する現役装備に対する厳格かつ優秀な維持保護メンテナンスに照らして見れば、日常の維持保護と定期的な工場入りしての修理が保証できさえすれば、「遼寧」艦上での黒煙もうもうの機会は、エンジンを始動したばかりの非常に短い一定の時間だけに限られるかもしれない。

「クズネツォフ」艦運行の経験から見て、ロシア海軍は空母が多くの維持保護を必要とすることを知らなかったのではなく、できる限りこのロシアにこれしかない空母のために、遠洋航海の合間に維持修理活動を手配した。だが空母というこの種の技術、資金、マンパワーいずれも高度に密集した近代化された武器に関して言えば、それを高い効果で運行する作戦状態を維持するのに必要とされるコストは、実は異常に高いのである。

現在全世界で現役空母が最多、空母運用経験が最も豊富なアメリカ海軍の計画によれば、それぞれの空母はその就役期間におよそ1/3の時間しか戦闘巡航が執行できず、残る2/3の時間内、空母は維持修理メンテナンスや近代化改装中でなければ、艦員や艦載機部隊および航路護衛艦隊のすり合わせの性質の訓練の中にある。そして1回の完備された配備・維持保護・訓練の期間はおよそ18ヶ月である。

ロシアのような1隻の空母しかない国にとって、これはこの国が2/3、甚だしきに至ってはより多くの時間内使用可能な空母がないことを意味しており、空母の運用時間を増加しようとすれば、できる限り維持保護と訓練を簡略化するしかない。これは空母の負担も重くするし、さらには容易に今回の巡航のように濃い煙がもうもうのまずい状態の発生がもたらされる。

中国海軍に関して言えば、大連造船工場のドック内の国産空母は、「遼寧」艦は中国空母の起点でしかないことを示している。一方すでに試験飛行しているカタパルト型殲ー15は、現在建造されている国産空母も中国空母の終点には程遠いことを証明している。中国が充分に多い空母を持ち、かつ実戦能力を具備した時、我々はもう「遼寧」艦が「クズネツォフ」艦のようなまずい場面を上演する心配は必要なく、必要な時に一言質問できる。

「我々の空母はどこにいる?」


 最後のは何か紛争が起こりそうになるとアメリカ大統領が決まって言う言葉だとされており、中国も空母方面でアメリカと同様の力を持つようになる、という意味です。記述通り中国はおそらく将来空母に無理な運用を強いなくて済むようになるでしょうし、ロシアの困難は今後さらに増すでしょうね。















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