殲-20、新型空対空ミサイルを搭載

 コラムで殲-20の特殊なミサイル発射方式について触れましたが、今回紹介するのはミサイル自体を中心にした記述で、発射方式についても一部触れられています。なお、専門用語等分からないものは例によって簡体字を日本の漢字に直すだけにします。

http://tuku.military.china.com/military/html/2013-03-28/214466_2331125.htm#pic


殲ー20、ミサイルを搭載して離陸し機動飛行を行う 霹靂ー10ミサイル初お目見え

最近ネット上に我が国の殲ー20ステルス戦闘機が弾薬コンパートメントを開いた画像が出現し、特に人を興奮させたのはコンパートメント内の近距離格闘空対空ミサイルも明るみに出たことで、このことは我が国の殲ー20ステルス戦闘機の試験がすでに新たなレベルに達していることを表している。(この評論の筆者:超大軍事 小飛猪 画像の中のミサイルはドイツ製のIRST-Tで、これは我が軍の新型ミサイルと構造が似ている) (頑住吉注:何故かこのページにあるのは殲-20の画像だけです)

関連の画像から見て、我が国の第4世代近距離格闘空対空ミサイルはストレーキを持つレイアウトを採用しているようで、初期のこれがないレイアウトではない。また殲ー20とF-22は同様に弾薬コンパートメントを開く必要があり、ミサイルを伸び出させて目標をキャッチする。

我が国の近距離格闘空対空ミサイルに何故このような変化があったのか? と問う人がいるかもしれない。我々は第3世代近距離格闘空対空ミサイルがエンテ式レイアウト、点光源赤外線制御誘導方式を採用し、当時の技術的条件の制限を受けて射程も精度も抗妨害能力も軸を離れての発射能力(頑住吉注:以下「離軸〜」とします)も比較的低かったことを知っている。このため第4世代近距離空対空ミサイルはこうした問題の解決に力を尽くしている。つまりそれらにはより大きな射程、、より良好な抗妨害能力、より良好な機動能力、より大きな離軸発射能力が必要とされる。

(頑住吉注:2ページ目)国内外のミサイル研究開発部門は第4世代近距離格闘空対空ミサイルに対し以下のように定義付けている。まず先進的空力外形を持つ必要があり、特に抵抗と大仰角の空力的特徴を改善し、もって新世代の高い機動性を持つ目標を打撃する能力を向上させ、同時にミサイルの射程を延長し、もって迎撃範囲を拡大する。より強い探知計測能力と抗妨害能力を持ち、新世代の成像ユニット(線列あるいは面陣ユニット含む)を採用し、もってより良くミサイルの長射程、大離軸発射、越肩攻撃能力を実現することが要求される(頑住吉注:味方の機が前方にいる場合に、さらに先の敵を攻撃する能力のことでしょうか)。さらに離軸発射能力、つまりいわゆる可視なら即撃て、ヘルメット照準具と随時連動でき、離軸角は90度に達し得、このため非常に大きく搭載機の占位に対する要求が軽減され、作戦機の戦闘性能が向上する。(上の2枚の画像は霹靂ー10の初期に開発された構造型)

(頑住吉注:3ページ目)Fー22戦闘機に対抗するという目的達成のため、殲ー20戦闘機は高性能ミサイルを搭載できることが必須であり、さもなければ戦闘機の性能が良くても効果を発揮できない。

(頑住吉注:4ページ目)抵抗を減少させる最も簡単な方法として翼を減らすことに勝るものはない。我々はミサイルの翼はミサイルの揚力の主要なソースであることを知っているが、速度が増加するにつれその抵抗も顕著に増加し、相応にミサイル本体の揚力に対する貢献がどんどん大きくなる。このため現代の高速ミサイル、例えば遠距離対空ミサイルの多くは翼なしのレイアウトを採用しており、そのメリットは構造が簡単、重量が軽い、寸法が小さい、製造と維持メンテナンスが簡単、比較的大きな過負荷が提供できる、舵面の効率が比較的高い、というものである。一般に翼なし式レイアウトは現代の高速ミサイルの標準的空力レイアウトであると考えられている。(画像は殲ー20戦闘機がミサイルを搭載し離陸、飛行しているところ)(頑住吉注:画像は1ページ目と同じで、1ページ目の画像はIRST-Tになるはずのところ、これと入れ間違えたんですな)

(頑住吉注:5ページ目)イギリスが研究開発したASRAAM先進格闘空対空ミサイルは典型的な翼なし構造を採用している。(頑住吉注:この後4ページ目と同じ内容が一部繰り返されていますが省略します。)

(頑住吉注:6ページ目)だが翼なしレイアウトには特有の欠点もある。まず発射エンベロープ両端の能力が不足である(頑住吉注:要するに発射直後と最大射程近くで効果が発揮しにくい、ということのようです)。前述のように速度が大きくなるほどミサイル本体の揚力に対する貢献がどんどん大きくなるが、固体ロケットエンジンのミサイルに関して言えばその初速は比較的低く、弾道の末端ではロケットエンジンの燃料がとっくに消耗し尽くされているためやはり速度は比較的低くなり、このためこの時ミサイルの機動性能が影響を受ける。さらにロケットエンジンの燃料が消耗されるにつれ、ミサイルの重心が前方に移動し、加えてミサイルの空力圧力の中心が変化し、この時ミサイルの空力の非線形性(頑住吉注:英語ではNon-linearity)が比較的深刻になり、ミサイルのコントロールシステムに対する要求が比較的高くなる。(画像は殲ー20戦闘機がミサイルを搭載し離陸、飛行するところ)

(頑住吉注:7ページ目)イギリスのASRAAMはまさにこの種のミサイルの典型で、関連の資料から見てこのレイアウトはASRAAMに比較的大きな面倒事をもたらしている。固体ロケットエンジンの性能は以前に比べ比較的大きく向上しているが、依然ミサイルの速度をあまり大きく向上させられず、相応にミサイル本体が提供できる揚力も比較的限られ、発射エンベロープの両端ではさらにそうで、特に大離軸発射能力は比較的大きな過負荷を必要とする。イギリス人の解決方法はミサイルに一定の仰角を保持させて揚力を増加させることだが、発射の初期、ミサイルの速度が高くない状況下で比較的良好な効果があるか否かに関し、外界は態度を保留している。実際にASRAAM研究開発の進度が遅延して進まないこともこれと関係がある。

(頑住吉注:8ページ目)もう1つの解決方法は推力ベクトル技術の導入である。推力ベクトルは低速あるいは高空で空気が希薄な状況下でもミサイルに依然比較的強いコントロール能力を持たせる。例えば南アフリカ共和国のA-DARTERや日本のAAM-5ミサイルである。だが推力ベクトルはエンジンの推力を低下させ、一般に影響は10%前後であり、このため完全に推力ベクトルに頼ることは決してできない。(画像は日本のAAM-5ミサイル)

(頑住吉注:9ページ目)この種の状況下で近距離空対空ミサイルは依然翼で一部の揚力を提供し、もってミサイルの機動性能を高めることを必要とする。ドイツは初期においてイギリスとASRAAMを合同研究開発したが、研究開発過程で妨げを受けると、ドイツは自ら新型近距離空対空ミサイルを研究開発することを決定した。これがIRIS-Tである。その最大の特徴はストレーキ+ベクトル推力を採用したレイアウトで、ストレーキを持つレイアウトのメリットはその揚力を生む面積が比較的大きく、比較的大きな揚力が提供でき、同時にアスペクト比が比較的低く、衝撃波抵抗が小さく、このため超音速条件下での揚力:抵抗比が比較的高いことである。(画像はIRIS-Tミサイル)

(頑住吉注:10ページ目)さらなる特徴は、その寸法が比較的長く、揚力の中心がミサイルの速度と状態の変化の影響を受けることが比較的小さく、ミサイルの安定度を保持し、もってミサイルの機動性能を向上させるのに有利であることだ。同時にミサイル本体補強の作用も果たす。ベクトル推力と組み合わせると、ミサイルの発射エンベロープが拡張でき、かつ発射エンベロープ内の機動性能が改善される。このため我々は第4世代近距離格闘空対空ミサイル、例えばドイツのIRIS-T、フランスのMICA、日本のAAM-5はいずれもこのレイアウトであることが分かり、このことはそれがすでに普遍的支持を獲得していることを示している。(画像はロシアの新世代空対空ミサイル)

(頑住吉注:11ページ目)海外資料によれば、我が国の第4世代近距離ミサイルのコードネームはPL-10で、初期の方案は翼なしのレイアウトで明らかに射程、速度などの方面の指標が強調されていたが、発射エンベロープ両端の性能改善のため推力ベクトル技術が採用された。だが明らかに根本的な問題解決はされておらず、このため最終的に我々が見るPL-10はやはりIRIS-T同様ストレーキレイアウトを採用している。だが画像から見てその翼の長さは比較的小さいようで、これは明らかに揚力向上と同時に速度方面の指標も合わせ配慮し得ることが希望されていることを示す。同時に位置は比較的前寄りで、こうすれば揚力の中心の変化の範囲が小さくなり、ミサイルのコントロールシステムの簡略化に有利である。(画像は殲ー20が新型ミサイルを搭載したところ)(頑住吉注:またこの画像ないですね。なお「PL」は「霹靂」の発音の頭文字を取ったものです。)

またその舵面は比較的大きく、明らかに比較的大きなコントロール能力を提供できることを示している。正常レイアウトのミサイルに関して言えば、尾舵の揚力の方向と翼の揚力の方向は反対であり、このためミサイルのレスポンス特徴が比較的劣り、比較的大きな舵面は比較的良好な操縦能力を提供できる。同時にミサイルのバランスを取ることができ、特にミサイル発射エンベロープの末端段階でそうである。またこのミサイルはIRIS-T同様に、推力ベクトルを採用してミサイルの機動性能を向上させている可能性がある。(画像は第4世代AIM-9Xと第3世代空対空ミサイルAA-11の打撃性能比較)

(頑住吉注:12ページ目)制御誘導システム方面では、第4世代近距離格闘空対空ミサイルは赤外線成像誘導システムを採用しており、2種類がある。1つは線列陣で、例えばIRIS-Tが採用している4x128アンチモン化インジウム線列陣である。これは機械スキャン体制を採用し、技術と構造が比較的簡単だが、信頼性と敏捷度が依然相対的に低めである。もう1つはAIM-9Xが採用する128x128面積陣で、電子スキャンを採用し、探知計測距離が遠く、敏捷性が高く、抗妨害能力が高いが、構造が複雑で、コストが比較的高い。軍用電子部品関係のある本によれば、我が国はすでに128x128ないしより大きな凝視焦平面陣列部品を生産することができ(頑住吉注:「陣列」はフェイズドアレイレーダーの「アレイ」と同じ語です)、2D電子スキャンを実現し、部品の作用時間が長く、探知計測距離が長く、敏捷度が高く、特に複雑な機械スキャン機構が省略されているため、設備の体積と重量、エネルギー消耗が非常に大きく減少し、信頼性が向上している。これはスペースが限られている戦術ミサイルにとって非常に重要と言え、このため筆者はPL-10が採用しているのは128x128面積陣かもしれないと考える。(画像はアメリカ軍のAIM-9Xミサイル)

(頑住吉注:13ページ目)PL-10の出現は非常に大きく我が国空軍の近距離格闘能力を向上させた。特に第4世代作戦機の間での空戦は近距離格闘である可能性が高い(頑住吉注:「え?」と思いましたが、後の方で納得できるかどうかはともかく理由が出てきます)。現代の超視距離空戦の主要な武器はアクティブレーダー制御誘導空対空ミサイルである。現在アクティブレーダー制御誘導空対空ミサイルは第3世代戦闘機を目標に研究開発されており、ミサイルのスペースとエネルギー源が限られているため、その第3世代戦闘機に対する探知計測距離は一般に25km前後である。第4世代機のステルス能力を考慮すると、その第4世代作戦機に対する探知計測能力は10km以下に低下する可能性がある。こうなれば搭載機の機載レーダーを長時間ONにし、目標をロックオンし、もってミサイルにミサイル制御誘導信号を提供するのに便とする必要がある。だが第4世代戦闘機にとって、長時間レーダーをONにすることは機が暴露する確率を増加させる。レーダーに関して言えば口径と出力が探知計測距離を向上させる2つのカギとなる重要なパラメータであるが、空対空ミサイルの直径は限られ、末端制御誘導レーダーアンテナの口径は明らかに制限を受け、加えてミサイルにおけるエネルギー供給も比較的低く、予見できる将来にもはっきりした改善はありそうもない。このため現在の技術条件をもってしては、現在のアクティブレーダー制御誘導空対空ミサイルで第4世代ステルス戦闘機に対処するのは恐らくやはり意気込みに力が追いつかないという奴である。

(頑住吉注:14ページ目)だが第4世代ステルス戦闘機はレーダーステルス性能は比較的良好だが赤外線ステルスは比較的劣る。これはジェット戦闘機の尾部噴射口の温度が極めて高いからである。また推力や重量などの要素を考慮し、もし第4世代ステルス戦闘機であっても赤外線ステルスに対しては取れる措置を取っていないため、赤外線成像制御誘導ミサイルにとっては依然比較的はっきりした目標である。第4世代戦闘機間の空戦は近距離格闘になるかもしれないと予測する人がいるのはまさにこれが原因である(頑住吉注:ステルス戦闘機の非ステルス機に対する攻撃は超視距離が中心になるが、ステルス戦闘機同士なら近距離格闘にならざるを得なくなる、ということみたいです)。このためPLー10の研究開発成功は、殲ー20のF-22のようなステルス戦闘機に対抗する能力を有効に向上させる。

(頑住吉注:15ページ目)またPL-10はさらに我が国空軍の現有の第3世代戦闘機の近距離空戦能力を向上させる助けにもなる。現在第4世代近距離空対空ミサイルは我が国周辺の国と地域に拡散する態勢を見せており、一部の国と地域の空軍は相次いでAIM-9X、赤外線型MICA、AAM-5のような第4世代近距離空対空ミサイルを装備し、あるいは間もなく装備する。一方我が国空軍が現在装備するのはPL-8およびR-73という2種の近距離空対空ミサイルで、それらはいずれも多元赤外線制御誘導を採用し、敏捷度と抗妨害能力は点光源に比べやや向上しているが、赤外線成像制御誘導に比べればやはり比較的大きな隔たりがあり、このためPL-10の配備は、周辺空軍が第4世代近距離空対空ミサイルを採用することがもたらす脅威に我が国空軍が対抗する助けになる。

(頑住吉注:16ページ目)我が国空軍の第3世代作戦機の中で、PLー10は殲ー10に対し特に重要である。我々は殲ー10が現在推力:重量比でF-15などの第3世代機に比べやはりやや劣るということを知っている。このため穏盤などの性能方面において劣勢に置かれているが、この機は大きなデルタ翼とエンテ式レイアウトに頼って瞬盤方面で勝る。瞬盤角度の増加ゆえに抵抗も急速に増大し、機に高度と速度を失わせ、ミサイルをできるだけ早く発射し、もって機のエネルギーの損失を抑える必要がある。だが現在のPL-8空対空ミサイルはこの機のこの方面の優勢を発揮させることができず、一方PL-10の離軸発射角度は大きく90度に達し得、殲ー10の旋回が比較的小さい角度でもうミサイルの発射条件が達成でき、したがってその近距離空戦能力向上に有利である。(画像は日本のAAM-5ミサイル)(頑住吉注:「穏盤」、「瞬盤」について検索したところ、「瞬盤とは単純に機首の方向を変える能力を指し、他の要素は考慮せず、瞬間の最大角速度を見る。言い換えれば代償に高度、速度が落ちる。穏盤は速度、高度を変えない状況下で行う必要があり、この時機の全体エネルギー量は変わらない。」という記述がありました。 http://lt.cjdby.net/thread-763657-1-1.html )

(頑住吉注:17ページ目)殲ー20に関して言えば、PL-10の研究開発成功は完成の一部分に過ぎない。何故なら第4世代戦闘機がステルス能力を考慮すれば、武器を内蔵し、発射の時になってミサイルをコンパートメント外に出す必要があるからだ。これはレーダー制御誘導空対空ミサイルにとっては問題ではないが、赤外線制御誘導ミサイルにとっては発射前に目標をキャッチすることができない。赤外線成像誘導方式も発射後ロックオン能力を実現できるが、多くの状況下では依然誘導ヘッドの発射前の目標ロックオンを必要とする。だが武器コンパートメントを長時間開いておくことは機の抵抗を増加させるだけでなく、機のRCSの増加ももたらす。このためF-22は側面の小型武器コンパートメントを採用しており、赤外線ミサイルの誘導ヘッドを機体より外に伸び出させ、目標を探知計測することができる。関連の画像から見て、殲ー20が採っているのもこの方法で、F-22と異なるのは、殲ー20はミサイル全体を機体から伸び出させ、その後弾薬コンパートメントのゲートをを閉めることができるらしいことだ。このような設計はコンパートメントのゲートのエンテ翼の気流に対する妨害を避けることができるかもしれない。殲ー20の側面武器コンパートメントの上方にはエンテ翼、ストレーキなどの空力部品があり、それらは機体の渦を生み、また強化し、もって機の機動性能を向上させるのに用いる。もしコンパートメントのゲートを開いている時間が長すぎれば、機体の気流に対し不利な影響をもたらすことになり、このため殲ー20はこのような設計を採用しているのである。

(頑住吉注:18ページ目)我が国のもう1つのステルス戦闘機殲ー31は機体が比較的小さいので側面弾薬コンパートメントは配置されていないようだ。このためPL-10の搭載には問題がある可能性がある。この問題はアメリカのF-35にも同様に存在する。F-35が採った方法は搭載架とコンパートメントのゲートを連動させ、発射の時はコンパートメントのゲートを開き、AIM-9Xを機体から伸び出させ、もって目標の探知計測と発射に便とする、というものだ。だがこのようにすれば明らかに機の抵抗とRCSが増加し、一種の止むを得ざる挙に属す。将来殲ー31によるPLー10発射もこのような方法を採るかもしれない。(画像は日本のF-15J戦闘機)

(頑住吉注:19ページ目)殲ー20は今回PL-10のテストを公開した。このことは殲ー20の試験飛行がすでに武器の使用段階にまで進んでいることを表しており、これはすでに比較的高級な飛行試験に属す。そして機の研究開発進度が加速中であることも表している。殲ー20の早期の人民空軍への装備を熱烈に期待する!


 この方面の知識が乏しいんで充分理解できてないんですけど、いろいろな方面において徐々に西側に追いつきつつあるようで不気味に感じます。
















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