ロシア共和国のKBPというメーカーが要人警護、特殊部隊などのために開発した特殊サブマシンガン。口径は9mmマカロフ。最大の特徴は全体が二つ折りになり、グリップまわりは内部に収納され、サイトもたたまれて単なる箱のような外観になってしまうこと。収納状態では工具箱か何かのようでとても銃には見えない。この状態から発射までは訓練すれば2秒しかかからないとされる。いまどき珍しいオープンボルトファイアだが、参考文献の洋書「The
New Wold of Russian Small Arms&Ammo」(Charlie
Cutshaw著)によると、きわめて珍しいファイアリングシステムを採用している。
通常のオープンボルトはボルトフェイスに固定撃針があり、ボルトが弾薬をチャンバーに送り込んで完全閉鎖すると同時に発火する。これに対しこの銃は完全閉鎖の1.3mm手前で発火する。ボルト前進の慣性と反動がぶつかることによって相殺され、コントロールしやすくなると同時に発射速度も速くなりすぎないのだという。ほんまかいな、という感じで、もし本当としても通常危険とされる不完全閉鎖での発火に問題はないのかなどの疑問もある。いかにも危ない感じのするアンダーグラウンドガンだが、公用に輸出もされているらしい。
実銃データ
○全長:490mm(使用時) 280mm(収納時) ○重量:1.83kg ○銃身長:203mm ○装弾数:30発 ○使用弾薬:9mm×18 ○作動方式:ブローバック フルオートオンリー ○有効射程:約100m ○発射速度:600〜800発/分
現用タイプはやや形の違うPP-90Mというタイプで、当然これをモデルアップするべきだったのだが、使い勝手を考えて改良されたMタイプは「単なる箱のようになる」というこの銃の特色が薄れていてどうしても気に入らず、あえて旧型を再現した。全体の折りたたみ、ボルトをコックし、トリガーを引くとボルトが前進する、マガジンが着脱できるなどのギミックがある。マガジン上部には9mmマカロフに似た9mmショートの実物ダミーカートをセットしたが、チャンバーに送られることはない。
●当時の価格:キット13,000円 完成品25,000円