サイト「waffeninfo.net」によるPSS、SP-4情報

 サイト「waffeninfo.net」から、かつてモデルアップした特殊消音ピストルPSSとその弾薬SP-4に関するページの内容を紹介します。なお、原ページにはまだ国内の専門誌では詳細にレポートされていないこの銃と弾薬の画像が多数あるので必見です。まず弾薬のページから見ていきます。


SP-4 7.62mmx42弾薬( http://waffeninfo.net/mun_sp4.php )

情報
 SP-4弾薬は消音銃で使用するために開発されたものであり、1980年代の始めにこれ用に想定された「無音」ピストルPSSとともに配備された。SPは「Spetsialnij Patron」(Spezialpatrone 頑住吉注:「特殊弾薬」。「特殊」に関してはドイツ語、ロシア語ともスペシャルという英語と同源らしいこと、「弾薬」に関しては英語は異なるもののドイツ語とロシア語は同源らしいことが分かります)を表している。この弾薬の特別な構造は、サイレンサーを必要とせずに極度に静かな発射を可能にしている。

 このために長さ42mmのスチール製薬莢内にはピストンが存在する。これが発射時に発射体を押し出し、そして薬莢内にはまって留まる。発射ガスはこの方法で薬莢内に閉じ込められ、マズル音を引き起こさない。前任弾薬SP-3とは違って、このピストンは発射後薬莢外に突き出さない。これ(頑住吉注:発射後に薬莢外にピストンが突き出すSP-3の特徴)はSP-3のオートマチック銃での使用を妨げていた。薬莢内に治められた高圧により、これ(頑住吉注:SP-4の発射済み薬莢)は慎重に取り扱われねばならない。

 重さ10gの円筒形弾丸はスチール製であり、薬莢内に完全に隠されている。この弾丸は先端に真鍮製ベルトを持ち、これはバレル内壁との唯一の接触面である。この弾丸のフラットな先端はその空気力学的性質を悪化させるが(これは典型的な実戦使用射程距離においては何の役割も演じないにせよ)、ストップ効果をより良くしている。この弾丸は距離25mから2mmのスチールを貫通する。

 PSSでの他、このSP-4は発射能力のある戦闘ナイフNRS-2で使用される。

 同義語:7.62mmx42

(頑住吉注:原ページにはここに2つの異なる角度から見た発射済み弾丸および薬莢の画像があります。画像をクリックすると拡大され、弾丸の先端のベルトに残ったピッチのきついライフリングの跡などもクリアに見られます。

さらなる使用例
 戦闘ナイフ NRS-2

弾道学的データ

マズルエネルギー 200J
銃口初速度 195〜205m/s
全体重量 24g
弾丸重量 10g
ピストン重量 0.7g
弾丸直径 7.76〜7.91mm
弾丸の長さ 28.5mm

(頑住吉注:弾丸の直径は前者がスチール製ボディ部、後者が真鍮製ベルト部です)


 続いて銃のページです。


PSS/ページ1( http://waffeninfo.net/waff_pss.php )

開発者 LevtschenkoおよびKrylov
口径 SP-4、別名7.62mmx42
さらなる写真 なし
開発および技術 ページ2
PSSデータ書類に関する議論 ドイツ銃器フォーラム
全長 165mm
銃身長 76mm
装填済み重量 0.85kg
未装填重量 0.70g
全高および全幅 140mm、26mm
マガジン 6発

PSS/ページ2( http://waffeninfo.net/waff_pss_02.php )

開発および技術
 消音ピストルPSSは設計者LevtschenkoおよびKrylovの開発品であり、都市Klimowskに所在する精密機械工学中央研究所(TsNII TotschMasch)で作られた。略称のPSSは、「Pistolet Spetsialnij Samosarjadnij」を表し、これは特殊セルフローディングピストルというような意味である。このピストルのインデックス名称は6P28、別名は「Vul」である。PSSは1983年に陸軍および内務省のいくつかの特殊部隊に導入された。

 PSSが他の消音銃と違うのは、この銃がサイレンサーなしで済ませていることである。これは使用される口径7.62mmx42の特殊弾薬SP-4(戦闘ナイフNRS-2は同じ弾薬を使用する)の特別な構造によって可能になっている。この弾薬の発射薬はピストンによってカバーされている。このピストンは弾丸を投射し、そして発射後薬莢内にはまって留まる。これにより発射ガスは薬莢内に捕らえられ、そしてこの結果マズル音が妨げられる。この結果は音の強さがほぼエアライフルと一致する発射である。スチール製の弾丸は円筒形状を持ち、重量は10gである。この円筒形状は発射体の弾道学的性質を悪化させるが、ストップ効果をより良くする。メーカーの言によればこの弾丸は20mからアーミーヘルメットを貫通する。

 PSSは重量閉鎖(頑住吉注:ストレートブローバック)機構を持つリコイルローダーであり、そのリコイルスプリングはバレルの上に配置されている。トリガー設備はダブルアクショントリガーを持ち、これはピストーレPM(頑住吉注:マカロフ)に基礎を置いている。スライド上に取り付けられたセーフティはハンマーのデコックを可能にしている。弾薬供給は6発の弾薬収容能力を持つ一列のマガジンによってなされる。このマガジンはハンマースプリングの下端によって拘束される。このピストルを分解するためには、マズルにあるスライドを保持している部品を前方に引き出し、90度ひねる。その後スライドの前部を少し持ち上げ、後方に動かす。このとき使用者はスライドの後部を少し持ち上げなければならない。これでスライドは取り外せる。

 発射ガスが薬莢を去らないという事実により、このピストルの作動はいくらか異例なものである。バレルは2つの部品からなる。すなわち、可動式チャンバーと固定された施条部分である。発火後弾丸がバレルのライフリング内で圧縮されるとき、薬莢はチャンバーとともに動き、スライドは後退する。約8mmの過程の後、チャンバーは停止するが、スライドはその慣性によってさらに動き、薬莢を投げ出す。その間、チャンバー下に配置されたスプリングがチャンバーを再び前方に押す。スライドがその最後部位置に到達する直前、スライドはフックでチャンバーをグリップし、この重量慣性とスプリングがリコイルショックを和らげる。

 総合的にこのPSSピストルは非常に興味深い構造であり、その長所は特にコンパクトな構造方式にある。サイレンサーを必要としないため、この銃はコンシールドキャリーに非常に適している。欠点は高価な弾薬である。その上これは発射後高い内圧によって危険である。


 さらに、 http://galerie.waffeninfo.net/pss/ ここには8つのPSSの画像があり、クリックすると画像が拡大されて表示されます。ちなみに画像には著作権があるので使用したいときは連絡すべしとあります。

 サイトが2ドット式であるなど、かつての製品の実銃と異なる部分がばれてしまうとは言え(笑)、非常に貴重な画像ばかりです。

 内容に関してはPSSの「実銃について」で触れた内容と大筋かぶっていますが、分解方法の不明な点などいくつかの点が新たに明らかになっています。また、ここの記述によれば、チャンバーはいったん薬莢とともに後退した後にスプリングの力で前進し、前進の途中でスライドのフックに引っ掛けられて再び後退する、で、これがバッファー効果を高めるという説明になっています。高圧を閉じ込めた薬莢が危険であり、慎重に取り扱わねばならないという記述はまるで爆発でも起こしそうに読めますが、たぶんこれは「スイス銃器マガジン」によるレポートにあったように非常に熱いからということでしょう。

 ちなみにこのサイトでは多くの銃が扱われていますが、ほとんどがメジャーでよく知られている機種なので、今後内容を紹介することはないかも知れません。ただ、 http://galerie.waffeninfo.net/ ここは銃のギャラリーになっているのでドイツ語が読めなくても楽しめるはずです。G3の原型になったセトメの詳細なディテール写真、73枚にも及ぶStG44の写真等は貴重な資料になると思います。










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