88式スナイパーライフル

 順番が逆になっちゃいましたが、今回はD-Boy氏のページによる88式スナイパーライフルの説明です。

http://www.gun-world.net/china/sr/qbu88/qbu88.htm


QBU88式スナイパーライフル

口径:5.8mmx42

(頑住吉注:原ページ最初の画像はこの銃のイラストで、示されている数値や角度は本文中に出てくるのでそれぞれ参照してください)

我が国は20世紀の70年代に小口径に関する論証の進行を開始した。また1982年には5.8mm重弾の重機関銃、スナイパーライフル用弾薬としての可能性の研究を進めていた。1986年には試験を行い、結果として5.8mm重弾の射撃精度と貫通力はいずれも53式7.62mm普通弾(頑住吉注:7.62mmx54R)に相当し、汎用機関銃の要求を満足させうると表明された。これにより1989年には5.8mm重弾、発射薬、この弾薬を使用する汎用機関銃、スナイパーライフルおよびスコープが正式プロジェクトとして立ち上げられ、全系統の研究開発が進められた。QBU88式5.8mmスナイパーライフル(略称88式スナイパーライフル)の研究開発は6年を要し、1996年には試作品の生産という任務が達成され、1997年にまず香港駐留部隊に装備された。

88式スナイパーライフルは5.8mm機関銃弾薬(重弾)を採用しており、有効射程は800mに達し、1000mの距離で3mm厚のA3鋼板を100%貫通できる。この距離内ではその貫通力は85式7.62mmスナイパーライフル(頑住吉注:ドラグノフのコピー)を超えており、精度も85式スナイパーライフルに勝っている。各種特殊環境条件での使用試験を経て、88式スナイパーライフルの故障率は比較的低く、信頼性は比較的良好だった。

88式スナイパーライフルはブルパップ構造を採用しており、このため銃の全長が短縮され、機動性が改善されている。同時に直銃床も肩当て射撃時の回転偶力(頑住吉注:要するにマズルジャンプ)を減少させるのに有利であり、射撃精度が高められている。銃全体はバレルユニット、ボルトユニット、復帰機ユニット、発射機ユニット、ストック、上部、下部カバー(頑住吉注:前者はAKにおけるレシーバーカバーに近いもの、後者はグリップまわりですがまさに単なるカバーでメカは含まれていません)、マガジン、バイポッドという9大ユニットで成り立っている。発射機の全ての部品を組み込んだ後、1本の共用スプリングが同時にハンマースプリング、シアスプリング、セミオートシアスプリング、トリガースプリングの作用を行う。発射機内にはさらにハンマーブロックセーフティ、不完全閉鎖セーフティがあり、多重セーフティ機能を構成している。ストック、上部、下部カバーという3大部品が銃全体の外形を形成し、それぞれの部品は全て銃本体に連結されているボルトで各自の本体上に連結され、バラバラに落ちることはない。付属品は下部カバーのグリップ内に装備されている。

ライフル全体の外形を構成しているストック、上部、下部カバーという3大部品にはいずれも超強靭な強化ポリアミド66のキャスト成形が用いられ、基本色彩は黒色で、全体にむらがなく、外表面はザラザラの半艶消しで、発光することはないし手の感触もよい。その熱変形温度は高く(250〜260度)、しかも原料は豊富である(頑住吉注:「上部カバー」はスチールプレスかと思いましたが樹脂なんですね。ちなみに名称通り単なるカバーで、もし割れても即座に銃の機能に支障が出るものではないようです)。黒色の金属部品には化学複合成膜燐化技術が採用され、被膜の層は薄く、晶粒は細かく、結合力は強い。その抗腐食能力は酸化処理の10倍以上高い。バレル内のボアには換向メッキ技術(頑住吉注:意味不明です)が採用され、メッキ層の結晶は均一で、バレルの使用性能を高めている。バレル素材には調質処理が採用され、加工性能が改善され、長径が特射と比べて大きい状況下で(頑住吉注:全く意味不明です)、ボア内の加工品質が保証されている。ボルトユニット、レシーバー、スコープマウントベースなどのように複雑でキーポイントとなる部品であって寸法の精度上の要求が高く、形状や位置の公差に関する要求が厳格な部品には加工中心加工(頑住吉注:検索したところマシニング加工のことではないかと思われます)が採用されている。照尺のピープにはレーザーあるいはワイヤーカッティングマシンによる加工が採用されている。その他はなるべく切り屑が少ない、あるいは切り屑が出ないプレス、型鍛、キャスト、溶接などの技術が採用されている。

部隊の元々の要求は、戦闘中に陣地を転換する際片手での携行に便利なように、キャリングハンドルを設けることだった。だが88式スナイパーライフルの重心はちょうどスコープの位置であり、もしスコープをキャリングハンドル上に設置すれば銃の全高を増加させることになる。このため設計時には、片手で銃を携帯する際の位置はスコープマウントベースの前に確定した。ここは銃全体の重心位置よりやや前にずれた上下ハンドガード位置であり、下部ハンドガードの右側の寸法の大小を調整して保持を快適にし、また保持する位置とスコープの間の空間を確保した。これは88式スナイパーライフルのハンドガード左右のフィンガーチャンネルの数が異なっていることの原因でもある(頑住吉注:画像に見られるように、右側のフィンガーチャンネルは4つ、左側は8つと数が大きく異なっています。たぶん右側後方のフィンガーチャンネルがない部分を掌で覆い、フィンガーチャンネルがある左側に指が来るような形で保持するということでしょう)。部隊の意見の集約を経て、この設計は銃携行上の要求を満足させ得ると考えられ、キャリングハンドル不設置という目的は達成された。

88式スナイパーライフルはスコープと機械式サイトを同時に装備している。スコープ使用時、機械式サイトは回転して倒しておくことができ、スコープによる照準への影響が避けられる。機械式サイト使用時にはスコープは取り外す必要があり、フロント、リアサイトは立てられる。スコープは3〜9倍の倍率無段階調節ができ、レティクルは内蔵で調節しやすい。スコープは燕尾座によって銃と結合され(頑住吉注:前回JS 7.62mmスナイパーライフルの項目に出てきた「燕尾槽」と同じでしょう)、旗型のノブで固定される(頑住吉注: http://www.gun-world.net/china/sr/qbu88/hk51_5.jpg )着脱は素早く、改めての装着時の精度が高く、正確度に対する影響がない。機械式サイトは直立時に信頼性をもって定位置になり、試験を経て長期間繰り返し倒し、立てても摩耗量が極めて少なく、射弾の散布に対する影響は非常に少ない。両種類のサイトは互いに近い理想的な頬付けからの高さを持ち、機械式サイトは50mm、スコープは51mmである(頑住吉注: http://www.gun-world.net/china/sr/qbu88/dsc1245.jpg 公式発表とは異なり、この画像を見ると、上下ハンドガードの接合線が波打っている、バレル軸線とパイプ状のフロントサイトガードの軸線が合っていないなど、加工グレードが低いことが疑われます)。

軽量型のバイポッドは取り外し、折りたたみ可能で火線の高さが調節できる。このバイポッドには高強度のアルミ合金が採用され、硬質陽極酸化処理により、軽量で耐腐食、耐摩耗性というメリットがある。ただし欠点は強度不足で、もし使用が適切でないと断裂を起こす可能性がある。事実雑誌上で公開された報道によれば、88式スナイパーライフルの部隊装備が始まったばかりの時、部隊内に専門的な狙撃訓練教程がなかったため、多くの射手が軽機関銃の方式を採用してスナイパーライフルのバイポッドを使用した。毎回の地面に委託しての射撃時、習慣的に大きな力でバイポッドを地面に喰い込ませ、結果的に多くのバイポッドが断裂する状況が生まれた(ただし事実としてこのバイポッドの強度も高くはなかった)。結果として専門家が雑誌上の記事でバイポッドの使用方法を説明する必要があった。

バイポッドの装着はバレル上であるが、この位置はネット上での討論中疑問を呈された。バイポッドを支える位置がバレル上にあると、バレルの振動に妨害を生じ、散布精度の低下を招くからである。このため現代のスナイパーライフルの大多数はフローティング式のバレルを採用しており、一般にバイポッドがバレル上に装着されることもない。ただし88式スナイパーライフル自体の設計における精度上の要求は高くなく、使用されるのも普通の機関銃弾薬であり、このためバレルがフローティングであろうがなかろうがその影響も大きくなかったからだとされる。さて、88式スナイパーライフルの精度は結局どのくらいなのか? ネット上の情報によれば100mの距離において10発の全数散布半径は、普通の胸部ターゲットの10点の直径に接近するという(頑住吉注:具体的な直径は不明ですがスナイパーライフルとしては近距離の100mにおいて10点圏に接近する、つまり確実にその中に収まらないというんですからたいしたことはない精度でしょう)。

88式スナイパーライフルの人間工学的操作寸法や位置を決定する際、成年の人体の寸法や部分の指標を根拠として関係する数値を確定した。その中で優先的に確定されたのは照準装置の位置だった。スコープの接眼レンズカバーから肩当て部までの適切な距離は190〜200mmであり、195mmに確定された。リアサイトから肩当て部までの距離は245mmとされた。ブルパップ構造のためこの距離は比較的近く、適したピープの採用が必要とされた。1.1mmx1.1mm、1mmx1mm、0.8mmx0.8mmという3種類の大きさの異なる四角いピープが試みに装備され、部隊の使用試験を経て0.8mmx0.8mmが優れているとして選ばれることに決まった。頬付けの高さに関しては、人間工学的設計の要求する範囲は50〜75mmであり、使用するスコープを高くしすぎず、銃全体の重心をバレル軸線に接近させるため、最終的に51mmに確定した。リアサイトの8つの調節穴ごとの頬付けの高さは50〜53mmである。

トリガーから肩当て部までの距離。射手の操作省力化のために極めて重要である。ブルパップ構造のためグリップとトリガーはマガジンより前方に位置する。これはまさにトリガーから肩当て部までの距離を長すぎるものにし、操作を力が要るものにさせる可能性がある。この距離を短縮するため、グリップとトリガーをできるだけマガジンに近付けた。このためストレートのマガジンが採用され、マガジンの前後幅が小さくされた。そして装着方式は(頑住吉注:AKのような前部をまずひっかけて後方を回すように入れる方式ではなく)ストレート挿入式に改められ、もって装着に必要な前後幅が短縮された。中国人の一般的な腕の長さに照らし、グリップおよびトリガーから肩当て部までの距離は365mmに最適化された。グリップの形状も合理的に選択され、周囲104mm、バレル軸線との角度は65度とされ、射手がグリップを握りやすく、力が要らないようにした。

コッキングハンドルとセーフティの位置。一般的にコッキングハンドルはボルトキャリア上に設置される。ブルパップ構造のためコッキングハンドルと肩当て部との距離が近すぎることになり、これでは操作時に力が入らない。銃全体のレイアウトにより、ボルトユニットには短ガイド長誘導が採用された。ボルトキャリアは長いパイプをもって前方に延長されて、ガイドロッド上には補助ガイドが作られた(頑住吉注:この部分ちょっと意味が不明確です)。コッキングハンドルはボルトキャリア前端の長いパイプの右前方に設置され、コッキングハンドルと肩当て部との距離は375mmとなって装填操作が自然で力のいらないものとなった。セーフティ位置はレシーバー後下方で、左右どちらの手でも操作できる。

88式スナイパーライフルは3つの閉鎖突起のあるボルト、固定撃針を採用している(頑住吉注:これはどうもファイアリングピンがボルト上ではなくボルトキャリア上に装備されていることを表現しているようです)。ボルトの外形はSVD/85式スナイパーライフルののボルトによく似て見える。事実QBU88スナイパーライフル系統全体は基本的に、まさに85式スナイパーライフルの縮小、ブルパップ、改造版である。88式スナイパーライフルの発射機構はトリガー、トリガーレバー、シア、セミオートシア、不完全閉鎖セーフティ、発射機構フレームおよびシャフト等小部品で組成され、セミオート発射機構に属する。ハンマーが発射準備状態に位置する時にトリガーを引くと、引かれたプルバーがトリガーレバーを動かし、シアを回転させ、ハンマーをレットオフし、ハンマーはハンマースプリングの力の作用下で上に向かって回転し、撃針を打撃し、撃発を実現する。撃発後、ボルトが後退してハンマーを押し倒し(射手は依然としてトリガーを引いている)、ハンマーはセミオートシアと不完全閉鎖セーフティの共同作業によりキャッチされる。ボルトが復帰して完全閉鎖した後(頑住吉注:というかその最終段階で)、不完全閉鎖セーフティが押し下げられ、不完全閉鎖セーフティとハンマーのかみ合いは外れ、この時トリガーを緩めると、セミオートシアがシアと共に回転し、ハンマーを開放し、ハンマーは代わってシアによってキャッチされる。ハンマーは発射準備状態に位置し、トリガーを引くと再び撃発サイクルが進行できる。この発射機構と銃はユニット式設計を採用しており、発射機構は1つの単独の効能モジュールとなっている。多方案の設計、改造に便利で、銃の全体設計に有利で、銃の研究開発周期を短縮でき、各部分系統の設計、改造に便利でもある。同時に使用上の維持修繕性の要求も満足させる。銃全体の特殊環境条件(川の水に浸る、砂埃にさらされるなど)下での作業能力を高めるため、発射機構底部には漏水(砂)穴が設計されている。

(頑住吉注:原ページのパーツ名称だけ変更して示します。これは「発射機構説明図(発射準備状態)」です。ハンマーはシアによってコック位置に保持されています。



図の2枚目以後は原ページを参照してください。2枚目は「撃発後、トリガーはまだ緩めていない、セミオートシアがハンマーをキャッチしている状態」です。ここからトリガーを緩めるとプルバーが左に動き、トリガーレバー上部が左にスイングする結果シアが反時計方向に回転してセミオートシアがハンマーを開放しますが、代わってシア右側のフックがハンマーをキャッチして最初の状態に戻るわけです。

3枚目は「セーフティオン、セーフティ状態」です。セーフティの突起がシアをブロックして時計方向に回転できない、すなわちハンマーがレットオフされない状態です。ここまで単純なセーフティも珍しいでしょう。

4枚目は「セーフティオン、」ボルト後退防止セーフティ状態」です。シアがブロックされているのでハンマーがシアを押しのけてコックされることはなく、ハンマーが邪魔になってボルトは大きく後退できない、したがってセーフティをかけていれば装填もされない、ということです。

5枚目は「ボルト不完全閉鎖、セーフティ状態」です。不完全閉鎖セーフティはハンマーとかみ合って、たとえシアが回転しても独自にハンマーを保持しています。ボルトが完全閉鎖する最終段階で不完全閉鎖セーフティの上部は右に押し倒され、レットオフが可能になるわけです。)

全長 920mm
重量 4.1kg
銃身長 620mm
ライフリング 4条右回り
初速 895m/s
有効射程 800m
マガジン容量 10発
トリガープル 10.8〜15.7ニュートン

 この銃はアサルトライフルの強化型ではなく最初からスナイパーライフルに最適に設計された現代のスナイパーライフルでありながらバレルがフローティングではなく、またバレル上にバイポッドを装着する設計になっており、その点が「試用報告」等でも批判されていました。今回の説明によれば、これはそもそも要求された性能が低かったからそれでもよかったのだ、とされており、現にそうした限定的使用を想定した、多くを求められない補助的スナイパーライフルは多くの国で採用、使用されています。しかしそうした銃はたいていアサルトライフル強化型であって独自設計ではありません。この銃の設計が開始されたのは95式小銃の開発開始後であり、95式系統にはロングバレル、バイポッド、ドラムマガジンを装備した支援火器型があります。これのドラムマガジンをショートマガジンに変え、JSサブマシンガンのようにキャリングハンドルを撤去してスコープマウントベースを設置し、コッキングハンドルを側面に移せば、88式と大差ない補助的スナイパーライフルになり得るのではないでしょうか。バイポッドをハンドガード上に移す等の改造も95式ベースで可能なはずで、こうした改造を加えても依然部品の大部分は共用にできるはずです。。その方が生産、消耗した部品の供給、訓練等において便利であるのは間違いありません。マガジンをストレートに、またストレート挿入式にした等の工夫は全く無意味ではないにしろ、両銃の画像を見比べてみてそんなに極端に変わっているとは思えません。スナイパーライフルのコッキングに力が要るとか要らないとかはそんなに重要な問題に思えませんし、「試用報告」では下部に設置されたセーフティの操作性が批判され、側面、つまり95式系統と同じ位置に移すよう提案されていました。そんなわけで私はそもそもこの銃の存在価値自体に疑問を抱いています。












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