中国は北朝鮮を放棄すべきか

 国連で北朝鮮制裁に賛成したり韓国と急接近したりといった動きを見ればありそうにも思えますが。

http://military.china.com/important/11132797/20140706/18611103.html


学者:北朝鮮は中国のために代価を負担している 「北朝鮮放棄論」は全く根拠がない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「金正恩は朝鮮人民軍を指導し、戦術ミサイル発射訓練を行った」)

原題:中国が北朝鮮を放棄することはない

銭報シンクタンクの専門家 本報旅法特約評論員 宋魯鄭

韓国の重要性の上昇は中国の対北朝鮮政策に影響せず

最近、習近平主席は韓国に対する訪問を行ったが、その中には1つの前代未聞があった。すなわち初めてわざわざ1か国を訪問したのである。

国際政治は現実的なものだと言うべきである。今日特定の時空の下で、韓国の中国に対する重要性は確かに上昇中である。2つの国の共同の経済的利益は言うまでもない。二国間の貿易額は3,000億アメリカドル近くになり、中国はすでに韓国最大の貿易パートナー、最大の輸出市場、最大の輸入ソース国、最大の海外投資対象国となり、韓国は中国の第3番目に大きい貿易パートナー国、第5番目に大きい外資のソース国である。まさに去年、韓国は初めて日本を超え、中国最大の輸入ソース国となった。地縁政治的角度からだけ言えば、韓国は日本と互いに牽制し合い、アメリカに影響を与え、その作用と地位に取って代わり得る者はない。当然中韓は相互に必要としており、これは何故朴槿恵が当選した後、やはり韓国大統領はアメリカを訪問した後で日本を訪問するという慣例を打破し、中国にやって来たのかの理由でもある。

しかしこれは決して中国の北朝鮮に対する政策に根本的な変化が発生した、あるいは某一部の学者が主張するように、中国は北朝鮮を放棄すべきであり、さもないと国際的道義の上でも、経済コストの上でもメリットよりデメリットが大きい、ということを意味してはいない。

この「北朝鮮放棄論」は明らかに国際関係の実質および中国・北朝鮮関係の特殊性を理解していない。

北朝鮮が非難されるのはむしろ西側が工夫を凝らした汚名化の影響を受けてのことである

「朝鮮半島の近隣として、中国サイドは断固として力を尽くし半島の平和と安定を維持保護し、南北双方の関係改善を支持する。中国と北朝鮮・韓国はいずれも友好協力関係を保持している。我々は北朝鮮サイド、韓国サイドと共同で努力し、中国・北朝鮮、中国・韓国関係の健全で安定した前向きな発展を推進したい。これは三者の利益に符合する。」 外交部スポークスマン秦剛はこのように表明している。

北朝鮮は確かに現在の世界で論争の対象となっているし、また確かにそれは同国自身のすることと関係がある。特に中国の成功が模範を示し、中国の隣国インドやベトナムがいずれも計画経済を放棄し、市場化改革を見習って行っている時には‥‥しかし、もし全世界に目を向ければ、北朝鮮は決して「正しいところが全くない」わけではない。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「金正恩と朝鮮人民軍将校がミサイル発射計画を研究」です。)

生活水準と人の平均寿命を論じれば、アフリカのサハラ砂漠以南の国をはるかに超えており、インドさえ超えている。北朝鮮の平均寿命は68.6歳で、インドは65.5歳である。人の平均寿命は最も直感的にその国の全体的生活水準、医療水準を反映する指標である。その他の例えば1人あたりの平均エネルギー消費や同じく電力消費量で、インドはいずれも顕著に北朝鮮に立ち後れている。さらに指摘しておく必要がある点は、北朝鮮の非識字率はほとんどゼロで、一方インドは30%にも達する(40%にも達すると指摘するデータもある)ということだ。明らかにただ単に生活水準が立ち後れているがゆえにすぐ北朝鮮を非難する、しかもこれを放棄する必要があるというのは、全く根拠がない。

マリだけを例に挙げると、人の平均寿命は51歳でしかなく、1人あたりのエネルギーおよび電力消費は北朝鮮の1/30〜40でしかない。さらに重要なのはまだ奴隷制を実行していることで、全国にまだ20万人の奴隷がいる。このような国であり、しかもフランスからはるかに離れてもおり、かつてフランスの植民地だっただけで、フランスは依然経済危機に深く陥り、国家はすでに破産(労働工業大臣が声明)という状況下で、これにたいし軍事干渉を行うだろうか?

ここで指摘しておくことが必要なのは、北朝鮮をめぐる非難は、自身の原因を除き、より多くは目の上のたんこぶと見る西側工夫を凝らした汚名化だということである。

この汚名化は西側では悠久の伝統と言うことができる。1890年、梁啓超は「論中国之将強」の中で次のように書き始めている。西側の列強が東方の国の征服を望んだ時、その議会、その新聞雑誌は毎日かの国の政治がいかに腐敗しているか、綱紀がいかに紊乱しているか、官吏がいかに汚職をしているかを騒ぎ立てる。西側の列強がある人種を奴隷のように使役したいと思った時、その議会、その新聞雑誌は毎日その人種の性格がいかに野蛮で荒っぽいか、教化がいかに堕落し暗黒か、風俗がいかに腐敗し糜爛しているかを騒ぎ立てる。この種の強大な世論の攻勢の下に、全世界の慈悲深い人物がこぞって救いの恩を施すことを望み、横暴な人物はこぞって機に乗じてこれを征服しこれを使役しこれを改造することを望む。

試しに考えてみよう。もし北朝鮮が今日インドの平均寿命、非識字率で、もし北朝鮮が奴隷制度を実行していたら、西側は今日インド、マリに対応するのと同様に北朝鮮に対応するだろうか?

もう1点指摘しておくことが必須なのは、北朝鮮が非難されるのは、中国とも関係があるということだ。冷戦後、中国は西側の眼中で唯一の脅威となり、中国を打撃するためには、当然中国の最も重要など同盟国の1つである北朝鮮も放ってはおかない。北朝鮮は実際、ある程度中国のために代価を担っているのである。この種の状況下で、中国はどうして北朝鮮を放棄できるだろうか?

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「金正恩、朝鮮人民軍を視察」です。)

北朝鮮の核実験を最も恐れるのは日本

中国は北朝鮮の最重要の同盟国であり、北朝鮮の核実験は確かに中国のメンツをおおいに潰させた。しかしこれは決して中国がなした前例のない反応の原因ではない。実は北朝鮮の核実験が中国の朝鮮半島における戦略の譲れない最低ラインを打破したからである。

中国には朝鮮半島問題の上で2つの明確な譲れない最低ラインがある。すなわち、非核化と安定である。非核化というこの一点の上で、中国と世界のあらゆる大国は一致している。中国は東北アジアの核競争を引き起こすことを心配しており、アメリカは核拡散を心配している。このため、中国とそれぞれの大国が共に北朝鮮の核実験に反対する挙は全く正常なことに属する。しかもこの反対への力の入れ方は核実験の回数と共に不断に高まるだろう。だがもしこのためにすぐ中国が北朝鮮を放棄する必要がある、あるいはしようとしている、と結論づけるのは明らかに誤判である。最も簡単な1つの理由を挙げる。もし中国が北朝鮮を放棄したら、核兵器を持つ北朝鮮の政権は崩壊し、必然的に中国に第二の戦略目標、すなわち半島の安定を失わせることになる。北朝鮮の最も主要な隣国として、恐らく朝鮮半島混乱の主要な代価を負担せざるを得なくなる。

また、北朝鮮が核保有国となったことはすでに改変できない事実である。国際社会も恐らく止むを得ず1990年代のインドとパキスタンと同様に北朝鮮の核保有国の地位を承認する。北朝鮮が核保有国となる、これは確かに中国と国際社会の利益に符合しないが、中国は絶対に最も主要な利益を損なう者ではない。

実際、真に北朝鮮の核実験に対して危惧を感じているのは日本である。今の日本は、まさに釣魚島をめぐる争いゆえに中国と一触即発で、アメリカの支持とアジア太平洋地域回帰戦略の助けを大いに借りて、釣魚島完全占領の企みを達成させようとしている。このため、北朝鮮の第3回核実験は、日本に中国との衝突を考え直さざるを得なくさせる。結局のところ中国は唯一北朝鮮に対し影響力を加えられる国であり、しかも核の脅威は釣魚島1つよりはるかに勝るだろうからである。

さらに、歴史的に見て明朝、清朝、中華民国、中華人民共和国はいずれも北朝鮮に対し援助の手をさしのべ、甚だしきに至っては重大な代価を支払うことを惜しまず、このことはすでに中国の外交の伝統となっている。つまり、北朝鮮の中国に対する意義はとっくに単純な地縁政治、利益計算、道義の範疇を超えている。これは悠久の歴史が形成した特殊な関係である。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「中国は北朝鮮の最も重要な同盟国だが、北朝鮮の核実験は確かに中国の面子を大いにつぶさせた」です。)

ロシア、日本、アメリカも同様に北朝鮮を放棄することはない

最後に指摘しておくことが必要なのは、中国が北朝鮮を放棄しないだけでなく、ロシア、日本、アメリカも同様だということだ。

アメリカにとって、まさに北朝鮮の存在ゆえにこそ大義名分と道義をもって東アジアに軍を駐留させることができ、韓国と日本もだからこそアメリカの軍事的プレゼンスに口先だけでなく心から心服するのである。

日本にとって、北朝鮮が存在するからこそ統一され強大な反日の朝鮮半島政権の出現が避けられるのである。またまさに北朝鮮の軍事挑発ゆえにこそ日本に軍事費支出の増大、再武装する自分なりの口実を持たせているのである。

ロシアに関して言えば、やはりまさに北朝鮮があればこそ極東への介入の立脚点がある。まただからこそ日本、アメリカと駆け引きをする道具がある。

あらゆる利益に関わる者(万里のはるかにあるアメリカであっても)はいずれも北朝鮮を放棄することはない。中国は最大の隣国であり、どうして北朝鮮を放棄できるだろうか?


 誰も平均寿命が短いとか識字率が低いと言って北朝鮮を非難しているわけではなく、また一生懸命働いて近隣と仲良くしても生活が貧しい人と、それよりは多少ましな経済状態でもギャンブルやDV、近隣トラブルに明け暮れている人とではどっちが世間の風当たりが強いのかは分かり切っており、もちろん全く賛成はできないんですが、正直私こういう、立場が違うとこうも物事が違って見えるのか、という文章読むの好きです。














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