「ヨーロッパバイソン」の用途

 巨大ホバークラフト「ヨーロッパバイソン」を具体的にどう使うか、という考察です。

http://military.china.com/critical3/27/20130424/17799039.html


「ヨーロッパバイソン」958大型ホバークラフト上陸艇の南海における戦術的応用

中国人はたいていパキスタンが最も好ましい兄弟国家であることを知っているが、我々は同様にもう1つの国に感謝し、この国の名を覚えておくべきである。ウクライナ、と。客観的に言ってウクライナがなかったら我々の今日の軍事の近代化はなかった。ウクライナが我が国向けに貢献させた軍事工業専門家は何千名にもなり、今に至るも依然我が国の軍事工業のために奉仕している。「遼寧艦」はほとんど無料進呈である(さらに設計図面を提供し、アメリカに面従腹背し、重要な構造部品を保護した。当然我々も密かに少なからぬ$を送ったが)。DA80ガスタービン技術を移転し、だからこそ我々は今日「中華イージス」を大量建造でき、中国に艦隊遠距離防空能力を持たせている。運-20大型輸送機の設計を助け、だからこそ今日の試験飛行がある。今また我々に「ヨーロッパバイソン」大型ホバークラフト艇の製造技術をくれる。

「ヨーロッパバイソン」ホバークラフト上陸艇を装備している国は極めて少ない。搭載重量が大きいが、航続距離が短く、特に立体上陸戦術の背景の下では、上陸艦に比べての優勢はない。我が国とアメリカはいずれも中型ホバークラフトを生産、装備しているが、では何故我が国はさらにこれを導入、生産する必要があるのだろうか? 3つの報道のディテールに注意しよう。

1.導入される「ヨーロッパバイソン」は958型と呼ばれ、私は個人的にこれは第1号艇のナンバーであると考える。9XXは海軍では上陸艇のナンバーであるが、我が国の中型ホバークラフトのナンバーは33XXである。このため、「ヨーロッパバイソン」は中国では独立して使用される上陸艇であると考えることができる。

2.我が国は4隻を導入するが、このうち2隻は国内生産である。これはこの機種が我が国で大量生産されることを意味している。

3.958は「ヨーロッパバイソン」のグレードアップ版である。そのエンジンはウクライナのM35ガスタービン動力装置に変更され、このエンジンの出力は本来のエンジンに比べ37%高い。これは958が「ヨーロッパバイソン」に比べより大きな搭載重量と航続距離を持つことを意味している(頑住吉注:エンジンがパワーアップすれば速度は上がるでしょうが航続距離が延びますかね)。「ヨーロッパバイソン」の標準排水量は480トン、満載排水量は555トン、全長57.3m、全幅25.6m、全高21.9m、喫水1.6m、最大航行速度60ノット、巡航速度55ノット、航続距離300海里(頑住吉注:約556km。鹿児島から沖縄までも行けず、確かに短いですね)で、波の高さ2m、風速毎秒12mの海の状況下で平穏に航行できる。以上のパラメータを対比し、私は958型の55ノットの巡航速度での航続距離は800kmより短くはないと考える。

我が国には世界的にも先進的な2万トンおよび5万トンの半潜水艦があって958ホバークラフトを搭載して遠海まで到達させることができるが、半潜水艦の航行速度は遅すぎ、基本的に遠海上陸作戦に用いる可能性は排除してよい。分析すると958は南海においてこそ大いに力の振るいどころがある! 南海における958型ホバークラフトには3つの戦術用途がある。

1.快速補給線の建立

私はかつて「中国南海 深謀遠慮の『環礁』戦略」の中で、我が国が南海を支配して発展するのに最も重要なのは環礁の奪取占領であると述べた。環礁は面積が大きく、陸地に改造でき、かつ大面積の内海を構成し、港湾経済が発展できる。もし我が国が渚碧礁、美済礁、黄岩島、半月礁をリング状の島に改造できれば、南海は単なるオイルタンクではなく我が国の資源の宝庫となる。このことから見て我々は各島礁間に海上運輸線を必ず形成しなければならない。永興島、渚碧礁、黄岩島が構成する三角形のそれぞれの辺は700kmにならず、また南海の渚碧礁、美済礁、半月礁が構成する小三角形は300〜400km程度である。もし普通の艦船なら大三角形の間は1日の時間を要し、小三角形の間は半日の時間を要する。もし我々が高速ホバークラフトを採用すれば1/3の時間しかかからず、1つの作業がその日のうちにもう完成できる。958はまさしくこのような使命を完成させることができ、三沙内に基幹的輸送線を構成することができる。958があってこそ三沙を一沙とすることができるのである!

2.島礁運輸船隊の構築

礁を島に変えるには多くの施工を必要とし、大型機械の輸送を必要とする。普通の上陸艦は着岸して積み下ろしを行うことはできないが、958ホバークラフトなら世界の70%の海岸線に上陸でき、伝統的上陸船の15%をはるかに上回り、普通の上陸船が気候、水文の要素が原因で行きたくても行けないまずい状況を克服することができる。上陸してすぐ設備を積み下ろしでき、このことは島礁建設に対し重要な推進作用を果たす。600トンの重量と958のサイズもちょうど良い選択である。

3.022と快速突撃群を組成

1と2は広大で複雑な南海が軍によって主導された場合でも現実に適合するが、958が民間用に限られることもまたあり得ない。この艇は3両のメインバトルタンク、あるいは10両の歩兵戦闘車両、加えて一個中隊の兵士を輸送でき、武装兵だけを輸送するなら一個大隊に達し得る。もし958が022(頑住吉注:ミサイル艇)と快速突撃群を組成したら、島礁を基地に4時間の快速突撃戦力が形成できる。958は対空ミサイルシステム、30mmАК-630火砲2門、22本バレルMC-227型140mm非制御誘導弾薬発射装置、および20〜80発の魚雷を装備する。同じ海の状況下で022は958と55ノットの速度で高速航行を保持できる(ただし022の高速での航続距離は958の約半分である)。022は8発の鷹撃ー83対艦ミサイル、あるいは8発のウクライナ製Kh-55巡航ミサイルを装備できる。958の敵艦に対する攻撃発動、あるいは島礁の堅固な構築物に対する正確打撃の実行に随伴し、958の武装人員による島礁攻撃占領を確保することができる。


 尖閣諸島は中国本土から400kmなく、時速100km以上の高速で充分に到達できるはずで、極めて大きな脅威となるはずです。

 おまけに直接の関係はありませんがこんなページを紹介します。

http://tuku.military.china.com/military/html/2013-04-24/215181_2340550.htm


中国の地面効果翼船、南海で極度の高速を発揮 試験飛行に成功

新華ネット海南チャンネル4月22日電(記者 アイディ 郭良川) 最近、我が国初の12人乗り海洋地面効果翼船が南海海域で各項目の飛行試験を行った後、試験飛行の成功を宣言した。この技術は我が国の地面効果翼船領域の空白を埋めた。

この船は海南英格地面効果翼船製造有限会社によって生産されるCYG-11型地面効果翼船で、飛行高度は1〜4m、飛行速度は210km/h、搭載人数は12人、搭載重量は1,200kg、100kmあたりの燃料消費は28リットルである。

地面効果を利用しての飛行は1932年に出現した。1936年、旧ソ連の専門家が地面効果翼船の研究開発を開始した。

海南英格地面効果翼船製造有限会社の副理事長劉国光は地面効果翼船の主要なメリットには次のものがあると説明する。総合的な投資が少なく、大型の滑走路、管制塔などの総合施設を建造する必要がない。飛行速度が速く、船舶の10から15倍、(頑住吉注:オーバーな。時速210kmは約113ノットで、その1/15は約7.5ノット、そんな船手漕ぎボートくらいじゃないですか)、快速艇などの3〜5倍(頑住吉注:しつこいですけど113ノットの1/5は22.6ノット、快速とは言えないです)である。搭載重量比率が大きく、自重の50%である(飛行機は20%未満)。応用範囲が広く、海面、氷面、砂漠、草原、湿地上で飛行し、また自由に発着できる。レーダーやソナーのスキャンを避けることができ、広範な軍事領域に応用できる。

劉国光は、CYG-11型の他に海南英格地面効果翼船製造有限会社は現在さらにCYG-40型地面効果翼船の設計作業を完了している、とする。この船は搭載人数40人、搭載重量4,000kgである。この他CYG-100型、CYG-150型、CYG-200型という3機種の地面効果翼船も研究開発中である。


 4枚目の画像に写っている人々はどう見ても白人で、あるいはこれらの画像はロシアかどこかの地面効果飛行機の参考画像なんでしょうか。地面効果飛行機としては「カスピ海の怪物」が最も有名ですが、その研究が再開されるという情報を去年9月のコラムで紹介し、「中国でこういう報道がなされているということはこのアイデアに関心を持っているのかもしれず、ちょっと気になります」とコメントしましたが、今試験飛行に成功したということはもっと前から開発は進められていたんでしょう。あるいはこの技術を伝えたのもウクライナかも。レーダーに探知されにくい超低空(というか普通に言う超低空よりもっとずっと低い海面ギリギリ)をヨーロッパバイソンのさらに倍近い速度で飛び、サイズの割に搭載重量が大きいこの船というのか飛行機というのかにも今後注意が必要かもしれません。












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