台湾、情報員の賃上げで大陸に対抗?

 台湾の軍人などが大陸のスパイになる事件が大きな問題になっていることは何度かお伝えしましたが、関連の情報です。

http://military.china.com/news/568/20130305/17710525.html


台湾、大陸に駐在する情報員に5,000アメリカドルの賃上げ 大陸の浸透に対応、と称する

【グローバル時報駐台北特約記者 蕭師言 本報特約記者 向蕾】 島内の「スパイ案件」が次々出て尽きず、情報人員の士気を鼓舞するため、台湾の「国家安全局」は島内外に派遣し駐在させる外勤情報人員のために大幅な賃上げを行い、毎月5,000新台湾ドルから5,000アメリカドルまでまちまちな「情報工作特別手当」を出すことを決定した。

大陸と香港に駐在する情報人員の賃上げの幅は比較的大きく、もって一定程度上いわゆる大陸の金銭的誘惑に抗することを意図しているとされる。だが島内世論はこの種のやり方を決してよく思っておらず、ある評論は、金銭は1つの方面に過ぎず、「何のために戦うのか」を知らないことこそが台湾の情報人員最大の困った問題である、とする。

台湾の「自由時報」4日の報道によれば、賃上げ幅上、既存の待遇以外に、台湾の島外に駐在する情報人員は毎月1,000アメリカドルの「情報工作特別手当」を余分に受け取る。大陸および香港、マカオ地区に派遣され駐在する情報人員の毎月の「情報工作特別手当」はさらに高く、5,000アメリカドルに達する。島内の各県、市で外勤情報活動を執行する情報人員であっても賃上げを獲得する。

ある当局者は、すでに「情報職務加給」を受けている者は、本来の額に応じてさらに3割加算される、と漏らす。「情報職務加給」を受けていない者には、毎月「情報工作特別手当」が支給され、金額は人員の職業上の位によって異なるが、毎月5,000〜7,000新台湾ドル受け取れる。

外勤情報人員の待遇の大幅な調整に対し「国家安全局」は、「国家情報業務法」の規定、「立法」の精神、「立法院」の決議の要旨に依拠し、かつ各情報機関の業務状況および待遇構造の差異を考慮し、業務特別手当の額あるいは「情報職務加給」を制定したのであり、私腹を肥やすというような疑いは全くない、とする。

外勤情報人員の任務執行時、非常に多くの業務はその時でないと効果がないという性質を持ち、加えて大部分は仮払金精算がなく、彼らは往々にして自腹を切る必要があり、かつてあるアメリカに派遣され駐在した情報人員は任務完成のために何と惜しまず家の財産を売り払って金に換えた。情報機関は事後に高額の報奨金を払うが、依然すでに支出した金額を帳消しにするのは難しい。

当然、台湾が情報人員に大幅な賃上げを行うのは、やはり主に大陸の情報浸透に対応するためである。「自由新報」は4日、台湾の情報関連の当局者の話を引用し、各地における情報戦の攻防戦の中で、金銭と色仕掛けは「必殺技」であり、特に大陸の経済の成長後は、両岸の攻守の役割が逆転し、台湾サイドの人員は頻繁に大陸の国家安全部門および情報人員の金銭および色仕掛けを用いての誘惑の試みに遭っており、羅賢哲少将の「スパイ案件」はまさにその一例である、とする。彼はまず大陸の当局者に罠を仕掛けられ、かつ性行為の写真を撮影され、続いて台湾の軍事機密を漏らすよう脅迫された。大陸は相次いで羅賢哲に15万アメリカドルの報酬を支払った。

(頑住吉注:これより2ページ目)

「自由新報」はさらに、退役情報官陳蜀竜は大陸に抱き込まれた後、台湾の情報を大陸の当局者に渡し、それぞれの情報に5,000〜1.5万人民元の異なる報酬を受け取った、とする。ベテランの情報担当の当局者はこれに対し非常に耐え難く感じ、「台湾の情報資源が何とこんな低廉な報酬ををもって軽易に外に漏らされている。現役であろうが退役済みであろうが、情報人員全てに心理建設を強化する必要がある。」とした。

「情報工作特別手当」支給は、情報人員の任務執行時の弾力性ある空間をより大きくし、相当程度上大陸の金銭の誘惑に抵抗することを希望するものである。

2011年、台湾は50年近くの歴史内で最も深刻な「少将スパイ案件」を暴露した。外界はさらに共犯がいるかもしれないと疑った。「中国時報」は当時、島内情報治安機関が監視中の「スパイ案件」はまだ少なくとも10件余りあり、「国家安全局局長」自ら審査して発行する情報モニタリング票はさらに30件余りが依然執行中である(頑住吉注:この部分ちょっと意味分かんないです)。

当局の軍情報部門に潜伏していると疑われる「スパイ」は少数ではなく、そのうち少なからぬ者は羅賢哲クラスに相当する当局者である。ここ2年、島内では「スパイ案件」が不断に明らかにされ、しかもクラスがどんどん高くなっている。

去年10月末、陸海空軍の8名の退役将校が大陸の情報機関に抱き込まれたと暴露され、案件に関わるのは元「海軍司令部」大気海洋局政治戦所所長ジャンジーシン中佐の他、さらに陸軍第八軍団、「空軍司令部」を含む5名の退役将校がおり、「3つの軍種が同時に中国共産党の情報システムの布建に遭ったのは歴史的にも珍しい。」とされた(頑住吉注:「布建」は検索してもよく分かりませんが。「オルグ」?)。

今年1月、台湾海軍艦隊指揮部上尉李登輝、海軍退役将校銭経国は「靖洋プロジェクト」の情報および海軍の重要幹部の名簿を大陸に漏らした嫌疑がかけられた。

2月、台湾軍の2人の少将はそれぞれ「スパイ案件」に巻き込まれた。2月末、台湾「憲兵司令部」の元中将で副司令の陳筑藩は島内の情報担当当局者を大陸の国家安全局の当局者に引き合わせた嫌疑がかけられたために起訴された。

島内世論は、情報人員に賃上げを行うことは、一定程度上彼らを安心させることができるだけで、彼らの内心の真に困った問題は、彼らが一体何のために戦い、誰のために戦うのか、ということにある、と考える。あるメディアは、台湾の最高の軍事機密は軍事機密がないこと、台湾の安全は「国軍」頼りではなくアメリカ軍頼りだ、ということに他ならない、とさえ自嘲、風刺する。

台湾文化大学教授張士弦は次のように考える。金銭で忠誠を買うことはできない。台湾に近年少なからぬ「スパイ案件」が起きるのは、台湾の政治闘争の頻繁さ、思想の乱れ、アイデンティティの混淆と関係があり、台湾内部ではさらに「台湾独立」とこれに反対する争いが絶えず、台湾人自体が自分が一体どこの人なのか、自分はどこの国の人なのか依然さまよって決まらない時、どうしたら忠義を守り変節しない人を期待できるだろうか?


 台湾人を大陸に抵抗させる原動力は何と言っても大陸にはない、もしくは著しく不充分な自由、民主主義、人権の保障が台湾にはある、という点であるべきだと思いますが、中国が経済的、軍事的に大発展を遂げれば確かに大陸になびく人も増えてくるでしょう。以前もコラムでこんなのを紹介しました。

http://www.qbq.com.cn/a/do/vote.php?job=show&cid=16


あなたの大陸公民としての「台湾打撃」に対する態度は

祖国の統一は必ず必要 武力による台湾回復を支持 1,261票 約57%

現状を保持 もし台湾が独立を宣言したら必ず戦う 529票 約24%

台湾が独立を宣言しても内戦は発動せず ただし承認はせず 44票 約2%

完全に台湾人民の自由な選択に任せる 396票 約17%


 パーセンテージは私が加えたものです。私は中国の改革開放が進んで別の体制でいる意味がなくなって自然に合併する、というのが理想だと思いますが、中国人にはそもそもそういう選択肢がないようですし、現状を見てもとても近い将来そんなことになるとは思えません。

 関連は浅いですが「大陸と台湾の暗闘」がらみということでこんな「秘史」的な記事を紹介します。

http://military.china.com/history4/62/20130306/17714401.html


蒋介石、ベトナム戦争の期間、「ベトナムに進路を取り大陸に反攻」を計画

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「孤島の片隅に封じられることに甘んじない蒋介石」)

1949年の国民党の台湾への敗退以後、蒋介石は孤島の片隅に封じられることに甘んじず、常に大陸に戻って「中華民国」を再度建国する大統一の夢を描いていた。だが、蒋介石の種々の企図はずっとアメリカの断固とした反対とあの手この手の妨害に遭った。

国民党当局が相手に先んじるために密かに行動を起こしたケネディ時代、国民党当局は何度もワシントンに向け、大陸に直接の軍事進攻を発動するよう要求を提出した。だがアメリカは台湾に一定の限度内で大陸に対する小規模な偵察や襲撃を行うことを容認しただけだった。

そので蒋介石は密かに、あるいは鳴り物入りで新たな「反攻」計画を策定した。台湾軍は1961年4月1日に「国光作業室」を成立させ、アメリカを避け単独で「自立」、「大陸反攻」の作戦計画を制定し始めた。この期間、蒋介石は1963年5月2日に開戦の指導を提出し、自ら参謀にいかにしてまず大陸を3〜4日砲撃し、大陸の台湾に対する砲撃戦を誘発するか研究立案するよう指示した。その後、国民党はさらに世界に向け大陸の「台湾に対する挑発」を宣伝し、続いて空軍が対制圧作戦を行い、数日後上陸戦を展開するはずだった。だが蒋介石のこの指示はこの年5月30日に「国防省」参謀によってひっくり返された。中国とフランスの国交樹立(頑住吉注:1964年1月。西側先進国で初めてのことでした)後、台湾当局はアメリカに向け、その東南アジアにおける地位を強固にし、もって「中華民国」の国際的地位を維持保護する要求を提出した。

1964年2月下旬、国民党当局は相次いでワシントンに以下のような提案を提出した。第1に、アメリカが先頭に立ってアメリカ、韓国、南ベトナム、台湾の「4カ国同盟」を組織する。次に、もしアメリカが「4カ国同盟」への参与に不賛成なら、韓国、南ベトナム、台湾による三方が「同盟」を結ぶのでもよい。‥‥アメリカは蒋介石のこの挙は実際には「大陸反攻」の準備を望むものと理解した。このため、ホワイトハウスは「東南アジア条約組織(SEATO)」およびその関連の「協定」はすでに東南アジア防御の要求を満足させるに足りることを理由に「4カ国同盟」組織の提案を拒絶した。

この挙が成功しないと、台湾当局は1964年3月直接アメリカに海南島で軍事行動を取るという提案を提出した。もしアメリカが北ベトナムに対する大規模な軍事行動を取るなら、中国共産党の海南における戦力はアメリカに対し重大な脅威を構成する。このため先手必勝策を取ることが必須だ、というのである。しかもアメリカに海空軍と後方勤務の支持を与えるよう要求した。だが、国民党当局が行動計画をアメリカ・台湾軍事協商機構である「ブルーライオン」委員会に提出した時、拒絶に遭った。

(頑住吉注:これより2ページ目)

ベトナムに進路を取ることがアメリカの支持を獲得しなかったため、台湾当局は密かに、自主的に東南アジアの「反共勢力」との関係を強化する努力を行った。1964年4月19日、ラオスの右派指導者クープラシット アバイが軍事クーデターを発動し、その政権は台湾、ベトナム、タイなどの支持を得ていると言明した。アメリカは情報を知った後、直ちに国民党当局に警告し、直ちにラオスにおける行動を停止するよう要求した。

国民党当局はアバイグループを支持したことがあることを断固否認した。しかし、台湾の新聞は逆にずっと騒いでいた。「国民党軍のベトナム入りしての作戦は第2本目の反攻の道を切り開く可能性がある」と。「征信ニュース報」が5月7日に発表した、「国民党軍ベトナム入り作戦の問題」という題の社説は、「インドシナ半島と中国の東南は境を接し、地理的情勢は複雑で、かつ多民族が集まって住んでいる地域であり、国民党軍の『反攻』にとって極めて優越した大衆的条件を持っている。」とした。

ワシントンの警告は1964年後半のことだった。アメリカのベトナムにおける軍事行動の不断のエスカレートにつれ、ワシントンは台湾当局の東南アジアにおける動きに対し高度の警戒を保持し、もって国民党の局面に対する攪乱が中国共産党の干渉を引き起こすことを防止した。「ニューヨークタイムズ」は5月13日、アメリカ陸軍突撃隊は台湾の深山老林の中で国民党軍特殊部隊を秘密のうちに訓練しているところである、と報道し、かつこれら選抜を経た突撃隊員は密かに中国大陸に送られる可能性がある、と推測した。アメリカ国務省は当日直ちに声明を発表して事をはっきりさせ、アメリカの在台湾軍事人員の国民党軍訓練援助の目的は、台湾を「防衛」するために過ぎない、とした。

ジョンソン政権は、国民党による「大陸進攻」問題に反対する立場上、その前任者と全く違いはなかった。根本的目標が全く食い違っている状況下で、「ベトナムに進路を取り大陸に反攻する」が歴史におけるどたばた劇になり果てることは不可避だった。


 一応お断りしておきますがこれは中国の言い分であって全部信じていいのかは分かりません。ただ、台湾が一体いつまで「大陸反攻」を夢見ていたのかは興味をそそられます。













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