中国、ティルトローター機を評す

 オスプレイおよびその後継機ともされる「Valor」に関する記事です。

http://military.china.com/news2/569/20130628/17916771.html


アメリカ、「Valor」回転翼機をもって「オスプレイ」に取って代わらせることを欲す 全面的に「オスプレイ」を超越

近年来米軍が沖縄の普天間飛行場に配備しているV-22「オスプレイ」ティルトローター機はアジア太平洋情勢が安寧でいられないようかき乱している。かつて誰が、米軍が密かに「オスプレイ」の後継者を探し求め、しかも見通しがすでに立っていると考えただろうか。アメリカの「週刊航空」の報道によれば、6月5日、有名なベル社は、同社が研究開発する第3世代ティルトローター機、V-280「Valor」が米軍の「多任務技術検証機」(JMR-TD)プロジェクトで選択された、と言明した。同社の言い方によれば、V-280は低速での敏捷性、高速大過負荷機動性能、燃料消費率など各方面いずれにおいてもV-22より優れており、しかもより航続距離が長く、これらはいずれも「Valor」が「オスプレイ」に取って代わる充分な「技術的合理性」を保証する。

「オスプレイ」に比べより頑丈

ベル社の商業代表は、V-280の基礎設計は「オスプレイ」を換骨奪胎したものと認めているが、より経済性に重点を置いている。この機は比較的高い技術的成熟度と作戦レベルを持ち、「オスプレイ」のように垂直離着陸でき、最大離陸重量は約6.8トン前後、巡航速度は518km/h、作戦半径は1,481kmに達し得、海抜の高い地域で遠距離作戦任務を執行するのに適している。

設計思想は「オスプレイ」を換骨奪胎しているが、「Valor」は結局のところ「オスプレイ」とはやや差異がある。「先輩」と比べての、V-280回転翼機の最もはっきりした差異はエンジンの配置である。そのエンジンコンパートメントは回転式から水平方向への固定に変わっている(頑住吉注:ヘリ・飛行機モード切替時、オスプレイはエンジンごと回転しますが、この機はエンジンは固定でローターのみ回転するのだそうです)。ベル社の言い方によれば、この種の設計は回転翼機の戦闘区域での着陸時に敵サイドの火力の脅威を低下させることができる。V-280は設計過程で終始低コスト理念を堅持し、V-22の380億アメリカドルにも達する研究開発経費に比べ、V-280に費やされた費用はずっと少なかった。公開されている資料からは、V-280はV-22の前進翼を直線翼に改め、よりシンプル化しまたスムーズにしていることが見て取れる。同時に、新型機はさらにハニカム複合材料を採用して大型一体式回転翼を生産し、1つには重量軽減とコスト軽減ができ、もう1つには損傷に対しリアルタイムの監視測定ができる。

現在ますます逼迫する財政圧力の下、米軍の最も切迫した願望は最小の代価を用いて最大のリターンを実現することであり、V-280の設計理念は充分にこの点を体現している。伝統的ヘリに比べ、V-280が用いる部品点数は減少しているが、戦場での輸送能力は大きな影響を受けていない。ベル社は、今回登場させたV-280「Valor」回転翼機は一度に11名の完全武装の戦闘人員を輸送でき、輸送力から見て中型ヘリに属す、と説明する。総合して分析すると、巡航速度、航続力でも輸送能力でも、V-280「Valor」はコストパフォーマンスがすばらしいヘリである。

「オスプレイ」の優勢を継承

V-280「Valor」は決して根本からの創新ではなく、V-22「オスプレイ」ティルトローター機に対する継承および補充である。ベル社とボーイング社の合同設計製造による初のティルトローター機であるV-22「オスプレイ」の誕生は、ヘリの設計、製造理論をひっくり返した。その推進装置を垂直に上に向けて揚力を生み出した時、ヘリのように垂直に離陸、着陸、あるいはホバリングできる。離陸後、推進装置を水平位置まで回転させて前向きの推力を生み、固定翼機のように飛行することができる。このことは固定翼プロペラ機の高速、長い航続距離、低い燃料消費というメリットを併せ持たせ、また垂直離着陸もできる。1973年、ベル社はこの種のティルトローター機の研究に着手し、25年後に第1機目の「オスプレイ」の生産が開始され、かつアメリカ海兵隊の試用のために引き渡された。

V-280は「オスプレイ」の5大メリットを継承している、まず速度が速いことである。「オスプレイ」の巡航速度は時速509km、最大速度は時速650kmに達し得る。この点において新型のV-280は完全にこれに対抗できる。次に騒音が小さいこと。ティルトローター機は巡航時固定翼機の方式をもって飛行するので、騒音は伝統的ヘリのローターの音よりずっと小さい。第3に航続距離が長いこと。「オスプレイ」の航続距離は1,850kmを超え、もしさらに2つの場所移動用燃料タンクを追加で満たせば航続距離は3,890kmに達し得る。一方V-280は軽量の機体材料を採用し、航続距離は増えるだけで減りはしない。第4は燃料消費率が低いこと。ティルトローター機は巡航飛行時、主翼が揚力を生み得るので同じ時間内での燃料消費率が通常のヘリに比べ低い。第5に振動が小さいこと。ティルトローター機のローターのレイアウトは機体から遠く離れた主翼の先端にあり、かつローターの直径が比較的小さく、このためコックピットの振動レベルは一般のヘリよりずっと小さい。

(頑住吉注:これより2ページ目)

「先輩」である「オスプレイ」のメリットを継承する他、V-280は先人の失敗の教訓を取り入れることにも長け、少なからぬ回り道を避けている。例えば、V-280の研究開発は直接的に「オスプレイ」の既存の成熟した技術を基礎に行われ、研究開発期間を短縮した。一方「オスプレイ」の研究開発期間は半世紀にも達し、しかも現在もその技術は依然非常に成熟したものではない。だが「オスプレイ」を基礎に新型回転翼機を研究開発することは、疑いなくその回転翼機の研究開発費用を低下させる。回転翼機は高度な新技術を使った製品であり、技術的に複雑で、難度が高く、各項目の技術の検証に非常に高い費用を必要とする、ということを知る必要がある。見積もりによれば、「オスプレイ」ティルトローター機の研究開発の総費用は380億アメリカドルに達し、さらに海軍型MV-22の単価は4,400万アメリカドルに達する。一方V-280は「オスプレイ」を基礎に空力的複雑性を低下させ、この機はもはや「オスプレイ」の前進翼設計を採用していない。これによりこの回転翼機の前進飛行速度がごく低く、かつ下降速度が比較的大きい時、下降気流に巻き込まれることによる機の墜落がもたらされることがない。

事実として今までに「オスプレイ」ティルトローター機はすでに多くの意外な事故を発生させている。いくつかの事故は基準に合わない部品の組み込みとソフトウェアのトラブルによって引き起こされたが、別のいくつかの事故は危険な渦状の気流に遭遇した影響のせいだった。まさに「オスプレイ」の信頼性と維持修繕性が必ずしも理想的ではないからこそ、米軍は強烈にベルおよびボーイング社に、エンジンコンパートメントに対する新たな設計を要求したのである。V-280はまさにこのような背景の下に誕生した。

更新、世代交代のため準備をする

米軍の予想によれば、V-280の研究開発が定型に至った後、現役の「ブラックホーク」およびAH-64「アパッチ」に取って代わるのに用いられることになる。統計によれば、米軍の現役のヘリには輸送ヘリ、武装ヘリ、偵察ヘリ、対潜ヘリ、掃海ヘリ、特殊ヘリ、空中給油ヘリ、無人操縦航空偵察装置が含まれる。このうち、AH-64「アパッチ」とAH-1「コブラ」は米軍の現役主力武装ヘリの機種であり、CH-47「チヌーク」ヘリは輸送専門に従事し、UH-60「ブラックホーク」とMH-60「舗路爪」は多任務ヘリである(頑住吉注:検索するとMH-60も「ブラックホーク」と呼ばれるようで「舗路爪」が何の英語を訳したものなのかは不明です)。

比較的新しい「オスプレイ」を除くこうしたヘリの共通の特徴は、研究開発時期が早く、就役時間が長いことである。時間の推移と共にこうしたヘリの設備は徐々に老朽化し、維持メンテナンスがどんどん困難になり、米軍の作戦上の必要性を満足させることが難しくなっている。特にここ何年か、米軍の現役ヘリの信頼性はどんどん低下し、機が壊れ人が死亡する事件が時として発生し、このことは米軍のヘリ装備更新、世代交代の歩みの加速を促している。

ベル社はすでにV-280回転翼機のため2種類を設計しているとされる。1種類は汎用型で、11名の戦闘人員と4名の機クルーを搭載できる。もう1種類は攻撃型で、AH-64「アパッチ」ヘリに取って代わるのに用いられる。引き渡しの必要性を満足させるため、ベル社はまさに精力を新型回転翼機の速度、航続距離、生産能力の向上の上に集中させているところである。

だが、ある専門家は、V-280「Valor」は「オスプレイ」の大部分の理念を継承しているため、いくつかの「オスプレイ」固有の弊害は依然存在し、例えば回転翼のティルト過程での機体の安定性に依然欠陥がある、と指摘する。一方NASAが行ったある評価も、未知の航空力学現象がこの機の安全に脅威を与えていると気付いている。このことから、ティルトローター機の多くの技術は依然さらに一歩の研究と検証が待たれる、ということが見て取れる。(畢暁普)


 もう1つ関連の記事を紹介します。

http://military.china.com/important/11132797/20130629/17919215.html


ジェーン:日本にとってアメリカの「オスプレイ」の購入が最も現実的だが価格の高さを恐れ買えない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「米軍のオスプレイ輸送機が日本の艦の上に降着する」)

【グローバルネット総合報道】 イギリスの「週刊ジェーン安全保障業務」6月26日の報道によれば、6月14日にアメリカ海兵隊の輸送機MV-22「オスプレイ」は合同の「島奪取」演習中に初めて日本の海上自衛隊の軍艦の上に降着した。これは最近における米日の良好な関係を突出させる行動で、同時に将来アメリカがV-22「オスプレイ」を東京に販売できるか否かの試練でもあった。

今回の米日合同軍事演習のコードネームは「黎明閃撃戦」で、アメリカのカリフォルニア州で行われた。2機のティルトローター機を日本の「ひゅうが」号ヘリ搭載駆逐艦上に降着させるのは演習の内容の一つで、このうち1機はアメリカ海兵隊VMM-161飛行中隊から来たMV-22「オスプレイ」だった。

日本は2013年財務年度予算の中にわざわざ「外国のティルトローター機の発展の探索と操作の研究」に用いる予算を配分しているとされる。何故ならティルトローター機は日本の現在における空中支援に対する必要性を満足させることができるからである。しかも現在釣魚島をめぐる争いも東京に対する政治的圧力をもたらしており、ティルトローター機は日本の離島に対する防衛に入れる力の強化を助ける。

日本のティルトローター機競争入札に参加する潜在的競争者には、MV-22「オスプレイ」、イタリアのアグスタ・ ウェストランド社のAW609、ベルV-280「Valor」が含まれる。

「ジェーン」の評論は、この3つの潜在的ティルトローター機の入札での競争者の中で、MV-22「オスプレイ」が日本にとって最も現実的と言える、とする。アグスタ・ ウェストランド社は多種のAW-609の改装版機種を提供しており、これには小型多用途機や捜索救援に用いる機が含まれるが、戦闘能力上はいずれもMV-22「オスプレイ」に遜色がある。一方MV-280「Valor」第3世代ティルトローター機はすでにアメリカ陸軍「多任務技術検証機」(JMD-TD)プロジェクトで選択されている(頑住吉注:ん? 当面供給が間に合わないということですかね)。

だが「ジェーン」は次のように指摘する。日本の「オスプレイ」購入には多くの疑問が存在する。これには日本がMV-22「オスプレイ」の支払いができるか否かが依然未知数であることが含まれる。日本の前防衛大臣森本敏は最近、日本の首相安倍晋三が押し出す緩和政策はインフレをもたらし、東京に円安がもたらすコスト上の圧力ゆえのF-35戦闘機購入延期が迫られる可能性がある、とした。

「ジェーン」は、もしF-35の購入延期が迫られたら、同じ状況はほとんど必ず再度米日の未来におけるMV-22「オスプレイ」の交易の中でも発生する、とする。(実習編集翻訳:張希宇、原稿チェック:仲偉東)

(頑住吉注:2ページ目)ひゅうが号のリフト上のアメリカ軍オスプレイ輸送機

(頑住吉注:3ページ目)米軍のオスプレイに搭乗する日本の自衛隊

(頑住吉注:4ページ目)ひゅうが号上で発着する米軍のオスプレイ輸送機

(頑住吉注:5ページ目)日本の艦上で発着する米軍のオスプレイ輸送機

(頑住吉注:6〜8ページ目)アメリカのオスプレイ輸送機


 コストがより安く、事故対策がなされ、攻撃型にも転用できるV-280が登場するならそちらを待った方がいいような気もしますが、まだ未知数の要素もあり、またいつ起きるか分からない有事に間に合わないのでは困りますし、難しい問題ですね。
















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