中国の新型軽戦車を分析する
日本の「機動戦闘車」とは共通点も相違点もいろいろあるようですが。ちなみにコラムで紹介した記事との重複部分は冒頭だけです。
http://military.china.com/kangzhan70/zhjw/11173869/20160120/21232639.html
中国の新型軽戦車を詳解:火力は規格外 米軍は求めても得られない!
1月19日、1枚の中国国産新型軽戦車の画像がネット上に明るみに出た。以前比較的よく見られた側面からの姿とは異なり、今回明るみに出た画像は軽戦車の正面であり、画像からは新型軽戦車が完全重武装搭載され、車体正面、砲塔正面および側面全てに付加装甲を追加搭載していること、砲身末端のミリ波レーダー、砲塔上の砲手照準鏡、車長周視鏡がはっきり見える。新たな軽戦車がサイズは大きくないが、それにもかかわらず威力は充足していることが見て取れる! ならば我々に全車の重量、全体的防御、火力と火力コントロール、懸架システム、装備運用の5大方面から、解放軍があるいは間もなく装備するかもしれないこの新型軽戦車を全面解読させてほしい。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「59式中戦車は池沼、網の目のようになった水路など泥濘の地面を通過する時、非常に大きな制限を受けるだろう」)
軽戦車である以上、重量の上できっと「軽」の一字が突出するだろう。現在公開されているニュース報道から見て、新たな軽戦車の全体重量はおよそ35トン前後で、全体重量55トンの99系列メインバトルタンクに比べれば、新たな軽戦車は確かに小さくて精巧でかわいらしいことが目立つ。だが35トンの重量はとっくに59式中戦車の36トンという全体重量に追いついており、解放軍が装備する62式軽戦車の21トンと比べると、新たな軽戦車はむしろ中戦車のようで、あるいは軽量化されたメインバトルタンクと言える。全体重量の増加は防御性能の向上を意味する(後で詳述する)が、某いくつかの複雑な地形に対する通過性の低下をも意味している。59式中戦車を例にすると、その単位圧力は79キロパスカルで、池沼、網の目のようになった水路など泥濘の地面を通過する時、工程保障分隊あるいは非制式の簡易舗装工具(頑住吉注:例えば画像の丸太を束ねたみたいなやつですかね)に頼ることが必須で、さもないと極めて行進は難しい。一方単位圧力が67キロパスカル前後の62式軽戦車は、非常に良く池沼、網の目のようになった水路など泥濘の地面に適応でき、このため南方の地域に駐屯する解放軍装甲部隊はかつて大量に62式軽戦車を装備した。ならば問題が生じる! 59式中戦車とほとんど同じ重量の新たな軽戦車は、同様の問題に直面し池沼、網の目のようになった水路など泥濘の地面に適応し難いのか否か? 筆者は、この問題は決して新たな軽戦車を困らせることはできない、と考える。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「新型軽戦車の重量は62式軽戦車と59式中戦車の間」)
明るみに出た画像の中から、我々は見いだすことができる。新たな軽戦車には大量の付加装甲モジュールあるいは反応装甲が取り付けられ、このことは新たな軽戦車は自身の全体重量に対し非常に強い調節コントロール可能性を持つことを表している。周知のように、西側のいくつかの先進国は新型の装輪式、装軌式軽装甲車両を設計する時、装甲防御の等級を常に調節可能とする。車両は任務の差異を根拠に、柔軟に自身の装甲を増加あるいは減少させることができる。このため筆者は、新たな軽戦車の35トンの全体重量は高い防御等級の時の重量のはずで、もし池沼、網の目のようになった水路などの泥濘の地面に遭遇した時には、新たな軽戦車は付加装甲モジュールあるいは反応装甲を取り外し、したがって軽装出陣の目的を達成することが完全にできる、と考える。軽装状態の下では、新たな軽戦車の単位圧力は顕著に低下し、通過能力は非常に大きく59式中戦車より強くなる。だが、もしこのようであっても、新たな軽戦車の重量はその先輩である62式軽戦車より大きくなる。このため筆者は、新たな軽戦車は低い防御等級の時、その単位圧力は70〜75キロパスカル前後の可能性があり、全車重量は30トン以内に制御されているかもしれないと考える。また、30トンの重量は未来の中国の運ー30輸送機の最大搭載重量でもあり、新たな軽戦車の軽装状態が30トン以内に制御されることは、解放軍がそれに対し快速配備を行うことにも便利である(頑住吉注:運ー20なら2台積めるということになるかもしれません)。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国の新たな軽戦車の正面部分には大量の付加装甲モジュール/反応装甲が装備されている」 乗ってる人の顔モザイクかけてよかったですね。あれだけで何だか戦車まで弱っちそうに見えましたから。)
装甲車両にとって、重量と防御力は永遠に切り離せないものであり、通常の状況下では、重量が大きくなるほど防御能力も強くなる。このため、全車の重量の後、筆者はすぐ続けて新たな軽戦車の防御能力を語ろう。現在、解放軍が装備する軽戦車は62式1機種のみであり、62式軽戦車に関して言えば、防御性はその最大の致命傷である。62式軽戦車の砲塔正面の装甲厚は45mmで、車体装甲は20〜35mmしかなく、このような装甲は現代の小口径機関砲に対する防御能力はほとんどゼロで、甚だしきに至っては新型の12.7mmおよび14.5mmサボ付き徹甲弾さえ防御できず、増してやRPGロケット弾、対戦車ミサイルなどの弾薬は言うまでもない。公開されている画像からは、新たな軽戦車の砲塔正面、車体前部上、下など攻撃されやすい位置には、いずれも大量の付加装甲モジュールあるいは反応倉庫が装備されていることが見て取れ、このことは全車の防御能力に極めて大きな向上を持たせ、その35トンの戦闘全備重量と結合し、筆者はその防御性能は少なくとも59式中戦車レベルに達していると保守的に見積もる。これは低烈度衝突、および中国周辺の潜在的陸上の敵、特に南部の潜在的敵(頑住吉注:主にベトナムですかね)に対応することに対して言えば、すでに基本的に需要を満足させることができる。しかも大量の付加装甲モジュールあるいは反応装甲を追加装備した後は、一般的小口径弾薬、RPG-2/7ロケット弾などは、すでに新たな軽戦車に対し致命的傷害をもたらし難い。もし大口径徹甲弾、対戦車ミサイルの命中を受けても、新たな軽戦車のチームメンバーは必ずしも致命的傷害を受けず、さらに軽戦車の使用環境や作戦任務を結合すれば、新たな軽戦車の防御能力はすでに充分に強力と評価される。
(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「いかにして素早く94式と83式の105mm戦車砲を区別するか? 火砲の抽煙装置前方のサーマルジャケットの節の数を数える。94式は3節、83式は2節である」です。)
もしある戦車の最も核心的で、最も重要なカギとなる組成部分は何かと問うならば、全く疑いなく火力である。戦車として、走るのが遅い、防御が劣るのはいずれも必ずしも致命的ではないが(頑住吉注:例えば隠れて待ち伏せすればこの欠点はある程度補えるわけで)、もし有効に敵サイドの装甲部隊を殲滅できなかったら、その戦車の設計は疑いなく失敗である。新たな軽戦車がもし正面突撃の任務を担う必要がなくても、それは依然火力を最も重要な位置に置く。かつての遠くから撮影された模糊とした画像とは異なり、今回の正面の高画質な画像は我々にはっきりと新たな軽戦車の使用する主砲を見せる。94式105mmライフル戦車砲である。著名なL7型105mm戦車砲の東側の子孫として、この延長された砲身を採用した105mm戦車砲は極めて強大な装甲貫通能力を持つ。長さと径の比が最適化された新型タングステン合金徹甲弾を装備すると、この砲は2,000mの距離での垂直装甲貫通深度が驚異的な500mmに達し、もし特殊合金徹甲弾を使用すれば、装甲貫通効果はさらに一歩向上する。同時に、この砲はさらに105mmの砲から発射するミサイルを発射でき、敵に対する攻撃距離、攻撃威力をさらに一歩拡大する。新たな軽戦車は単に主砲の威力について言えば、すでに周辺各国の初期の第3世代戦車(例えばT-72M)および以下のあらゆる作戦車両をタコ殴りにでき、このことは西部や南部の潜在的敵にとって疑いなく致命的と言える(頑住吉注:中国の真西に仮想敵はいない感じですが、ここではインドでしょうかね)。主砲の威力が大であること以外に、新たな軽戦車はさらに先進的な火力コントロール設備と視察照準設備、ミリ波レーダー、砲塔上の砲手照準鏡、車長周視鏡などを装備し、あるべきものはすべてある。このことは新たな軽戦車に極めて強い「敵に先んじて発見、敵に先んじて発砲、敵に先んじて命中、敵に先んじて破壊」の能力を持たせ、新たな軽戦車の作戦能力にさらに一歩の保証を得させる。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「液体・気体懸架システムは柔軟に車体の高さや縦方向の傾斜を調整でき、日韓のメインバトルタンクはいずれもこの種の懸架システムを採用している」)
新たな軽戦車の運用する多くの新技術の中で、ある技術は筆者を含む多くの人を非常に意外にさせる。それは新たな軽戦車の懸架システムであり、決して中米ロのメインバトルタンクが常用するトーションバー懸架システムを採用しておらず、日本の10式メインバトルタンクや韓国のK1/K2メインバトルタンクが使用するのに似た調節可能式液体・気体懸架システムである。この懸架システムの最大の特徴は自由なストローク調節で、車体の高さや縦方向の傾斜を柔軟に調整し、戦車の前後左右の自由な俯仰を実施することができ、したがって山地や丘陵の戦場環境下、あるいは移動中の照準射撃により利することである。同時に、液体・気体懸架システムの懸架特性は「非線性」である。いわゆる「非線性」とは弾性を持つ部品の変形がどんどん大きくなる時、吸収される衝撃エネルギーがどんどん大きくなり、非線性の増加を呈することを指し、このようだと新たな軽戦車に比較的高い平均行進速度を保持させることができる。新たな軽戦車がいかにしてより有効な山地作戦、および快速機動作戦を行うかなどの方面にずいぶん苦心したことが見て取れる。だが、メインバトルタンクに常用されるトーションバー懸架システムに比べると、液体・気体懸架システムの欠点も非常に顕著である。構造がより複雑で、価格がより高く、弾丸が命中すると損壊しやすいなどの欠陥はいずれも液体・気体懸架システムの実際の中への応用を制限している。この前の報道によれば、国産の新たな軽戦車はチベット高原で条件が極めて過酷な走行試験を行い、毎日平均の行進距離は300kmに達した。しかも明るみに出た画像はさらに、新たな軽戦車が南方の丘陵、泥濘の路面のようなところでも関連の試験を行ったことをはっきり示している。現在の状況から見て、新たな軽戦車の懸架システムはこの一連の過酷な試練に持ちこたえた。もし量産された後、新たな軽戦車の懸架システムが依然としてこのような品質を保持していたら、中国の軍事工業技術のまた1つの質的飛躍となる(頑住吉注:手をかけて作った試作品では問題なくても量産されると問題が多発することがいかに多いかをうかがわせる記述ですね)。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「国産の新たな軽戦車が高原地域や泥濘の路面で試験を行っているところ」)
文章の終わりに近づき、筆者は新たな軽戦車の使用に関する問題を簡単に語ってみたい。現状の視察から、新たな軽戦車は将来南部戦区や西部戦区で大量就役する可能性が極めて高い。これは主に地理的条件によってもたらされる。南部戦区は水路が密に分布し、西部戦区は多くが山地作戦で、2種の劣悪な地形はいずれもメインバトルタンクの性能の発揮を制限している。将来の南部戦区および西部戦区以外に、筆者は将来の中部戦区も一定数の新たな軽戦車を装備することになると考える。何故なら将来の中部戦区は東西南北4大戦区の大後方となり、一定数の新たな軽戦車を装備すると、必要な時に南部戦区あるいは西部戦区に対し有効な支援ができ、同時に戦時において関連の装備を使用、維持修理する人員を養成し、もって南部戦区あるいは西部戦区に対し適時の補充を行うのに便とすることができるからである。しかも、アメリカ陸軍が「ストライカー」旅団を発展させた経験と教訓から見て、装輪式戦闘車両にはその固有のメリットがあるが、依然装軌式大型装備に取って代わり陸軍の中の主戦装備になることはできない。これは何故我が軍が軽師団/旅団、快速反応部隊を発展させるのと同時に、依然大きな力を入れて重装甲部隊を発展させ建設するのかの原因でもある。将来の解放軍陸軍の作戦装備の中で、新たな軽戦車は99系列、96系列メインバトルタンクの有力な補充となり、重装甲部隊の中の「軽騎兵」の役割を担い、完璧に62式軽戦車の位置に取って代わることができる。
歩兵戦闘車から改良されたのではなく専門に設計された新世紀の数多くない軽戦車として、国産の新たな軽戦車は多くの視線を引きつけている。アメリカの「ウィークリー」誌ウェブサイトさえかつて文を掲載し、「長年来、世界で最も強大な地上部隊の身として、アメリカ陸軍はずっと類似の戦車の獲得を希望してきたが、ずっと望んでも得られず、ある日アメリカの軍隊は解放軍の新たな軽戦車を非常にうらやむことになる。」とした。今、大量の新たな装備が不断に解放軍に装備され、解放軍の戦闘力に非常に大きな向上を得させており、新たな軽戦車は多くの新たな装備の1つとして、未来の歳月の中で、中国軍事近代化のために自らの力量を捧げることとなる。
いい点にしか触れていませんがある程度この戦車の概要が分かる記述ではないでしょうか。ただストレートには書いていないものの重量を制限している以上防御力にある程度妥協していることは記述からも明らかなわけで、また火力コントロールシステムが西側最先端のものと比べてどうなのかにも疑問があります。砲身を延長した105mm戦車砲と、日本の10式が使用する短砲身型の120mm砲ではそれぞれどんなメリット、デメリットがあるんでしょうかね。