QLZ87式グレネードランチャー

 サイト「銃砲世界」が再び見られるようになっているので、このサイト内のページを紹介します。先日ドイツのフォーラムの「Identifikation 」(これなーんだ?)スレッドで紹介された画像を見て、先入観なしに見ると結構カッコよくてSFチックにすら見える、映画に登場したら映えそうだなと思ったQLZ87グレネードランチャーに関するページです。

http://www.gun-world.net/china/gl/qlz87/qlz87.htm


QLZ87自動榴弾発射機

口径35mmx32SR


QLZ87式35mm自動榴弾発射機は1980年代に研究開発が開始された。このすでに設計が定まっているQLZ87式の他に、さらにもう1種のW87式があったが、部隊採用はされておらず、外形および名称上の区別に注意が必要である。QLZ87は、歩兵分隊の面殺傷密度を高め、火力制圧地帯を増大させる一種の火力支援武器系統であり、この発射機には軽型と重型の2種がある。軽型は主に600mという直射距離内での単兵による射撃のために用いられる。重型は軽型に三脚架を加えたものだが、操作の進行にはやはり単兵しか必要としない。600m以内の軽装甲目標、あるいは1200m以内の密集した敵に対処できる。

QLZ87の特徴は重量が軽いことである。軽型は重量12kg、重型は20kgであり、アメリカのMk19 Mod3と比較して70%軽く、ロシアのAGS-17と比べて35%軽い。使用弾薬も30%前後軽く、このため同類の武器と比べてQLZ87式の主要な長所は機動性が高いことであると言える。

QLZ87の自動方式に採用されているのは気吹式原理である(頑住吉注:ブローバックかなと思いましたが‥‥)。すなわちM16に似た自動方式で(頑住吉注:リュングマン方式のようですね)、ただし調節機能が備えられている(頑住吉注:ガスレギュレーターがあるわけです)。導入される火薬ガスの量を調整することによって、ボルトの後退エネルギーの調節が可能となり、異なる環境条件下でボルトに異なる後退エネルギーを与えることができ、これにより武器が自動射撃サイクルを完成するのに必要な充分なエネルギーを保証することができ、またボルトの後退エネルギーが過剰で銃全体の後座力が大きくなるため、ショックが大きく、武器の射撃精度や操作条件に影響するようなことにもならない。この他、ボルトの後退エネルギーが人為的に火薬ガスの量によって調節できるので、そのボルトはストレートブローバック式の自動榴弾発射機のように大きくかつ重くしなければならないということがなく、武器系統全体の重量および外形寸法がいずれも小さくできる。

QLZ87の全体的な外形は丸パイプ状で、バレル、レシーバー、ボルト、ボルトキャリア、ストック等主要部品が全て円柱形の構造となっている。この種の構造の特徴は、ボルト、ボルトキャリア等運動する部品の運動軸線が銃全体の軸線と基本的に一致し、両軸線が異なることによる生まれる回転力が生じないことである。武器の射撃安定性がよく、加工が簡単、便利で、工程性がよく、構造も非常に整ったものになり、武器全体の外形寸法が小さくなる。重心位置上には陣地移転に便利なキャリングハンドルが設けられ、ストックには肩当ての緩衝具が装備されている。プローン時の射撃姿勢を低くしやすいように、発射機構装置はレシーバーの右側にある。ただし実践使用中に、身長175cm以上の射手でないとプローンでの射撃中に右ひじを地面につけて安定した射撃姿勢がとれず、このためやむを得ず発射機構の位置をやや下に移さざるを得なかった。

QLZ87はドラムマガジンによる給弾方式を採用しており、6発入りと15発入りの2種のドラムマガジンがある。このドラムマガジンは銃の下方に位置し、この種の配置の特徴は銃の上方の視野が広く、射手による視察や照準に便利で、かつ武器全体の重心が下になり、携行に便利で重心が安定することである。ドラムマガジンには多層無導軌給弾構造が採用され、同じ装弾量という条件下でドラムマガジンの体積が最小となり、ドラムマガジンの底カバーを開けると即、直接、往抜輪の中に装弾できる。便利、迅速であり、かつ装弾に前後の順序が要求されず、もしドラムマガジンの中に空位があっても武器の正常な射撃に影響することはない(頑住吉注:次の一文意味不明です)。ドラムマガジンによる給弾のメリットは、QLZ87を歩兵による携行にさらに有利にしていること、戦闘状態においても装填速度を高めていることである。ただしマガジンキャッチの固定力は小さすぎ、訓練中に陣地転換過程で15発フル装弾したドラムマガジンがしょっちゅうレシーバーから脱落した。連発射撃時に銃の振動が比較的大きいせいでもこの現象が起こることがあった。これも改良を必要とする部分である。

QLZ87の分解結合は簡単で、何の工具も必要としない。ロックボタンを押し、バットプレートを90度ひねるだけですぐに武器は分解される。分解後の武器にはバレル/レシーバーユニット、ボルトユニット、撃発ユニット、ストックなど数件のユニットしかなく、多くの部品が同時に多種の機能を持っており、このため構造が簡単で、重量が軽くなっているのである。

QLZ87の重型はトライポッドを採用しており、その火線は比較的低く、構造は簡単で、高低射界は−10度から70度、方向射界は360度である。仰角俯角の調節には手輪操作方式が採用されている。微調節もできるし、固定機能もある。調節機構の作動は精巧で素早くできる。ただし実際の使用において、仰角俯角、水平方向の調節機構に以下の欠点が存在することが明らかになった。まず仰角俯角調節用のハンドルが武器の右側にあり、また固定する際に必要な力が比較的大きいこと。このため射手は仰角俯角を固定する際に本来の照準方向を非常にずらしやすい。次に仰角俯角、水平方向の調節に採用されている歯車構造は素早い操作には不便であること。射撃目標を変える際、まず仰角俯角および水平方向の調節器を緩め、その後改めて照準し、さらに仰角俯角および水平方向の調節器を固定しなければならない。熟練した射手でもこの一連の動作を終えるのには1分前後を要する。戦闘中には容易に戦機を誤らせる。3つ目は仰角俯角および水平方向の調節器の部品間のクリアランスが比較的大きく、このため照準の誤差が比較的大きくなり、かつこの誤差の排除は比較的困難であること。もし射手の使う力が適当でないと、本来の正確な照準は非常に容易に狂ってしまう。

照準装置には光学照準鏡と機械照尺があり、機械照尺の射程は600mしかないため、一般的な状況下では光学照準鏡がメインとなる。照準鏡は−10度から70度の範囲で射角を設定することができる。昼間は計測機能もあわせ持つ照準鏡内には目盛りが設けられ、600mの範囲内で目標を直接照準できる。夜間は発光ダイオードで照らされる。照準鏡の視野は大きく、クリアで照準は正確である。ストック上には射表が刻印されている。これにより照準鏡は射撃距離に応じて射角が決定される。最大射角は42度前後である。大射角(45から70度)は主に曲射(頑住吉注:観測射撃のことでしょうか?)や対空射撃に用いられる。照準装置は銃の左側に位置し、グリップを持つ撃発機構ユニットは武器右側中央部にあるため、照準射撃時に首を曲げたり縮めたりする必要はない。

しかし実際の使用中、照準鏡固定装置になお改良の必要があることが明らかになった。まず照準鏡組み付けにかかる時間が比較的長く、戦闘中適時に火力を発揮できないこと。次に射手が組み付けしている際の姿勢が比較的高く、戦闘中に容易に目標として暴露してしまうこと。3つ目に照準鏡がネジによる固定を採用しており、組み付け(緊急状況下でのことだが)時に傾いたねじ込み方になったりネジ山が破損する。射手は照準鏡を使っての照準射撃ができなくなり、射撃精度に影響する。その上緩める、あるいは締める際に半回転や一回転で射手がそれと気づくのは難しく、取り外した照準鏡を再び組み付けて照準射撃する際に毎回一定方向の偏差ができることになる。

QLZ87自動榴弾発射機には目下殺傷弾(DFS87-35)および徹甲殺傷弾(DFJ87-35)の2種がある。これらは高圧発射原理を採用している(頑住吉注:「高低圧」ではないです。中国語ではこう言うのかなとも思いましたが、弾薬の断面図イラストを見ても普通の方式のようです)。これら2種の弾薬の外形寸法は完全に同一で、弾頭重量、内外弾道も一致する。したがってこの2種の弾薬は同一の射表を使って射撃できる。弾薬の重量は250g、初速は190m/s、最大射程は1750mに達する。殺傷半径は11mで、装甲貫徹力は80mm以上である。安全装置付きの弾頭触発信管を採用しており、この信管はダブルの発火機構を採用し、榴弾の発火信頼性を保証している。弾頭上の安全系統には隔爆が備わり(頑住吉注:射手の安全のためあまりに近距離で命中した場合には炸裂しない機構のことでしょう)、セーフティやセーフティ識別機能を不要にしている(頑住吉注:ちょっとここ意味が分かりません)。さらに地面にかすっても炸裂する機構もある。アメリカの40mmx53SR、ロシアの30mmx28BRと比べ、QLZ87に使われる35mm榴弾の重量は最も軽い。ただしQLZ87の設計概念は軽型の使用を重視しており、兵が直接肩当てして射撃できることが要求された。この要求のため武器の後座力を大きすぎるものにはできず、このため35mm榴弾系列の初速はあまり高く出来なかった。これは同時に武器の射程にも影響している。


 西側やロシアのオートマチックグレネードランチャーは重機関銃的な三脚架に据えての使用しかできませんが、このQLZ87は弾頭重量、初速、射程を犠牲にすることで軽機関銃的な使用もできるようになっているわけです。とは言っても初速は黒色火薬時代のハンドガンくらいありますし、最大射程は都市部の駅間距離くらいですから相当に長いです。汎用機関銃が歩兵用機関銃の主流になったように、この「汎用グレネードランチャー」がメジャーになっていく可能性もないではない気がします。しかしやはり細部にいろいろと不備が生じてもいるようですね。

画像の中には、明らかにスコープがバレル軸線より下向きになっているものがあります。このランチャーに付属するスコープはタンジェントサイトのように距離に合わせて角度が調節できるわけです。

 マガジンが横についていて、フォアグリップの機能も持っている銃は一部ありますが、トリガーが付属したメインのグリップが横についている銃は非常に珍しいと思います。文中では射撃姿勢を低くするためとされていますが、軽機関銃的用法もするこの機種では大きく重いドラムマガジンはほぼ真下に設けるしかなく、その後ろにグリップを設けると全長が長くなりすぎるのでこういう配置しかなかった、といったところが実態ではないでしょうか。

弾薬の断面図イラストを見てください。「殺傷弾」は内部に炸薬があって周囲にスチールボールが並べてあるようです。「徹甲殺傷弾」は成形炸薬のようで、これにも数は少ないながらスチールボールが使われています。ただ、これを軽装甲車両に命中させた場合、スチールボールは車外に飛び散るだけなのではないかという気もしますが。装甲車両に随伴する歩兵を殺傷する意図なんでしょうか。

 文中では触れられていませんが、排莢は真上に行われるようです。こうならざるを得なかったのは分かりますが、巨大な薬莢が上に飛ぶのはちょっと邪魔な感じです。

 映画「ロボコップ」において、当時まだあまり知られていなかったバレットが「コブラ アサルトキャノン」という未来兵器という設定で登場したのは有名ですが、このQLZ87の「軽型」は「アサルトキャノン」の名にふさわしい兵器のような気がします。ただ小さい方のドラムマガジンの6発という装弾数はいかにも少ないですね。これだとリボルバー型の連発グレネードランチャーと同程度ですし、小さいとはいえドラムマガジンですから多数の予備は持てないでしょう。かといって15発入りを装備して進撃するのは相当にきつそうです。








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