QSW06式5.8mmサイレントピストル

 前回は92式拳銃をベースにしたサブコンパクトピストルであるCF07を紹介しましたが、今回は同じく92式の発展型であるQSW06サイレントピストルを紹介します。単に切り詰めただけではなかったCF07同様、単にサイレンサーを装着しただけのものではありません。

http://www.hudong.com/wiki/QSW06%E5%BC%8F5.8%E6%AF%AB%E7%B1%B3%E5%BE%AE%E5%A3%B0%E6%89%8B%E6%9E%AA


QSW06式5.8mm微声拳銃

微声は無声ではない

国産QSW06式5.8mm微声拳銃の全貌

微声拳銃は一種の特殊な作戦武器である。これが特殊だというのは、主にこれが普通の拳銃が持たない良好な「三微」性能(微声、微煙、微炎を指す)を持っているためである。特にそれの持つ「微声」性能が、微声拳銃を偵察員が特殊偵察を行う際に敵をひそかに殺傷するにあたり第1に選ばれる武器としている。我々はよく映画やテレビの中で、いわゆる「無声拳銃」を見かける。実はこれこそが微声拳銃である。ストーリーの必要上、大多数の劇中の微声拳銃は射撃時にほとんど聞こえない銃声となっている。拳銃が撃発時にたてる機械衝突音さえ聞こえず、このため人々に「無声拳銃」と呼ばれている。実際にはこれは一種の誇張された表現手法である。「無声拳銃」も実は有声であり、ただその音が普通の拳銃よりもはるかに小さいだけである。例えて言えば、普通の拳銃の音がもし爆竹のようだとすれば、こうした「無声拳銃」の音は軽く手を叩くようである。この意味からいえば、「無声拳銃」の正確な呼び方は「微声拳銃」である。(頑住吉注:原ページには右側にフィールドストリップ状態の画像があります)

微声拳銃の持つ独特の効能のため、世界中の多くの小火器大国が、多くのタイプの微声拳銃を研究開発してきた。例えばベルギーのFN5.7mm微声拳銃、ドイツのH&K Mk23微声拳銃等である。我が国は微声拳銃の研究開発方面においても非常に優れている。前世紀60年代、すでに我が国は独自に最初の微声拳銃を研究開発していた。67式7.62mm微声拳銃である。この銃は1967年に設計定型、1969年に生産定型が完成した。この銃は一体式消音器を採用しており、消音効果が良好で、非自動と半自動、2種類の発射方式が実施できた。ベトナム戦争の期間、この銃はベトナム人民軍と遊撃隊偵察員の重要な秘密兵器であり、偵察、夜襲等の特殊作戦において、多くのアメリカ軍将兵を密かに殺傷し、ベトナム戦争の泥沼に陥ったアメリカ軍を苦しめて止まなかった。67式微声拳銃は戦争を経てプルーフされた優秀な微声拳銃であると言ってよい。ただし時代の発展につれて各種の武器も、その国で遅れた存在とならないために更新、代替わりを要するようになることは必然である。このため、今世紀の初め、67式微声拳銃を超える新型微声拳銃がついに出現した。これこそがこの文章の主役、すなわちQSW06式5.8mm微声拳銃であり、微声拳銃の家族にまた1人加わった「新兵」である。

92式5.8mm拳銃との異同

QSW06式5.8mm微声拳銃の名称を見て、読者は疑念を抱くかもしれない。06式5.8mm微声拳銃(略称06式微声拳銃)は、92式5.8mm拳銃(以下92式と略す)と関係ありやなしや? 確かに06式微声拳銃の基礎部分は92式拳銃から生まれている。ただし多くの改良がなされ、「藍より出でて藍より青し」の境地に達している。

06式微声拳銃と92式拳銃のグリップユニットとマガジンユニットは完全に同一であり、発射機構ユニット(頑住吉注:フレームの金属シャーシを含むユニット)もほとんど同じで、相違点の1つはハンマースプリングである。

06式微声拳銃のハンマースプリングのテンションは92式に比べてずっと強い。5.8mm普通弾薬は死火台であるのに対し、5.8mm微声弾薬は活火台を採用しているため、ファイアリングピンがプライマーを打撃する際一部分のエネルギーの損失が生じるので、必要とされる撃発力は普通弾薬を発射する時よりずっと大きく、もし92式拳銃のハンマースプリングを採用すると撃発の信頼性が保証できないのである(頑住吉注:「死火台」、「活火台」の意味は不明です)。

06式と92式拳銃のスライドユニットは単に外観からするとあまり差がないように見えるが、実際は異なっており、互換性はない。スライドユニット中、スライド内部の若干の寸法が異なり、リアサイト、ファイアリングピン等の構造に改変が生じている。

(頑住吉注:原ページにはここにQSW06と92式のパーツを比較した画像があります。左上はスライドの比較で、上がQSW06、下が92式です。右はバレルブッシングです。QSW06はリアサイトが大型化され、フロントサイトがバレルブッシングに設置されています。左下は発射機構ユニットの比較です。これも上がQSW06、下が92式です。全体では両者の60パーセントの部品は共通で、この部分はほとんど同じとされています。ただしプライマーが異なるのでQSW06には大きな打撃力が必要とされ、ハンマースプリングに最適化設計がなされ、テンションが強化され、撃発の信頼性が保証されている、とされています。右下は比較ではありませんが、ハンマー、トリガー及びトリガーバー、ディスコネクターです)

92式とQSW06式微声拳銃のスライドの比較

比較すると、92式と06式微声拳銃の最大の差異はバレルである。92式拳銃のバレルの外部にはらせん状ミゾとかみ合う突起が1つあり、マズル部には連結用ネジがない。一方06式微声拳銃のバレル外部にはらせん状ミゾとかみ合う突起がなく、これの代わりにフライス加工された固定用突起があり、マズル部には消音器を連結できるネジが設けられている。スライドとバレルの差異により、射撃時92式のバレルは回転し、06式のバレルは回転しないという結果が生じる。これにより92式5.8mm拳銃は消音器を加えてもすぐ「微声拳銃」に変えることはできず、微声拳銃は必要時5.8mm普通拳銃として使える、ということになる。

06式微声拳銃の誕生

92式拳銃という基礎があったので、06式微声拳銃は4年の研究開発期間を要しただけですぐに誕生した。06式微声拳銃を作る方案設計と論証段階には2002年1月に入った。全体的な方案論証段階には8カ月を要した。2つの方案の研究開発と試験が同時に進められ、2種類の口金の形式、2種類の自動原理を持つ微声拳銃および15種類の消音器の方案の設計が完了した。何度にもわたる改良や方案の選び出しを経、専門家と部隊の使用意見を聞き取り、プロジェクトグループは最終的に06式微声拳銃の全体技術方案を確定した。すなわち自由閉鎖機構式自動方式とハンマー回転式撃発機構であり、効果の高い多ルート複合式消音器、特別製のネジによるバレルとの連結が設計された。

2002年10月から2004年の4月にかけて進行したのは06式微声拳銃の工程の研究開発作業だった。これはいろいろな段階の設計、試作、試験、評定の各作業を含んでいた。工程の研究開発段階において、研究開発グループは不発、消音カップの強度不足、初速が高いことによる発射音の増大等の技術的難関を攻略していった。試作品の性能は戦技指示要求に達し、あるいはそれを超え、設計定型段階に入る準備が整った。

2004年10月から2005年12月にかけては設計定型段階だった。06式微声拳銃の設計定型試験および寒い地域、常温の地域、暑い地域の部隊による試験がそれぞれ完了し、設計定型予審会と設計定型審議会が召集され、設計定型審査にパスした。

新型銃器の構造を解明する

06式微声拳銃は我が軍の新世代装備武器であり、我が国が独自に研究開発した初めての小口径微声拳銃でもある。主に我が軍の偵察兵およびその他の特殊任務人員に装備される。DCV05式5.8mm微声弾薬(略称5.8mm微声弾)を使用し、単発火力をもって距離50m以内の軽防御された生体目標を密かに殺傷する。この銃は半自由閉鎖機構式自動原理、慣性閉鎖、ハンマー回転式撃発、大容量のダブルカアラムダブルフィードマガジンを採用している。

67式微声拳銃が採用していた一体式消音器とは異なり、この銃は基礎となる銃と、着脱可能な円筒型消音器からなる。主にバレル、バレルブロック、リコイルスプリングガイド、リコイルスプリング、消音器ユニット、スライドユニット、発射機構ユニット、グリップユニット、マガジンユニット等からなっている。消音器が着脱式であるため、消音器を装着していない時、基礎となる銃は単独で使用できる(その性能は普通拳銃と大きな差がない)。だが67式微声拳銃は消音器を取り外した後、単独で使用できない。また、この銃は必要な時DAP92式5.8mm普通弾薬をも発射できる。当然普通弾の使用時、消音効果は比較にならないほど落ち、原則的には勧められない。消音器装着時には特にそうである。

新世代微声拳銃である以上、この銃の「三微」性能は67式微声拳銃を超えている。終点威力方面においては、06式微声拳銃は5.8mm微声弾を発射する。50m以内の距離では232戦闘ヘルメットの鋼板に25mm厚の松板を加えたターゲットの貫通率が100%である。各種の環境の異なる地域の部隊による試験を通じ、この銃の順応性は非常に高く、我が国の各種環境条件下にあって等しく正常に使用できることが表明された。同時にこの銃は設計上1つのパーツが多くの用途に使用され、1つのパーツが多くの機能をもちユニット化された構造を採用しており、携行に便利であり、素早く操作でき、機構作動は安全で信頼でき、分解結合は便利で迅速であり、クリーニングやメンテナンスが便利であり、専用工具を必要としない。拡張性のため、この銃にはレーザー照準器のマウントベースがあり、必要な時はレーザー照準器を装着できる。

(頑住吉注:原ページの右にはサイレンサーの画像があります。複数のカップ状の部品を連結した中心の筒の外部に、らせん状のリブを持つ筒がかぶさり、さらにこれらがアウターの筒に収納される構造になっています。先端部の滑り止めセレーションをもつ部品を手で回して外すと内部の部品が取り出せるようになっており、このネジは逆ネジなので誤解がないよう緩む方向、締まる方向がはっきり書かれています。銃とサイレンサーの結合はたぶん正ネジでしょう)

92式とQSW06式5.8mm微声拳銃のスライドの比較

汎用性と設計効率を高めるため、06式微声拳銃は既存の銃の成熟した技術および工程を大幅に利用しており、モジュール化構造を採用している。約60%の部品は92式と共用である。スライド表面には斜めの滑り止めセレーションがあり、チャンバーに装填する、あるいは不発弾を排出する等の情況下でスライドを引くのに便利である。表面加工には黒色のリン化処理が採用され、色合いにむらはなく、外観は美しい。銃身長は120mmで、外部表面加工にはクロームメッキが採用され、耐腐食性が良好で、精密な製造が要求される。

消音器の全体方案としては多層通道および多級消音室の複合構造が採用され(頑住吉注:専門用語がよく分からないので構造についてはサイレンサーを分解した状態の画像を見てください)、その構造はユニークで、消音効果は明らかで騒音は大きく減少する。同時に多通道複合構造は火薬ガスによって銃の制退作用を高めることもできる。火薬ガスの弾丸に対する影響(頑住吉注:マズルを出た後の悪影響、ということでしょう)が減少し、銃の射撃は平穏となり、後座力は小さく、射撃精度は高い。消音器は消音筒、固定部品、消音筒芯、消音カップからなり、間違った組み立て、部品の入れ忘れを防ぐ構造が採用されている。野外の分解組立でも部品を紛失しにくく、分解結合は迅速で、クリーニング、メンテナンスに便利であり、勤務性が良好である。阻抗消音、小孔消音などの原理を総合的に使用しているため、その消音性能は世界の同類銃器の先進レベルに達している。消音筒、消音カップ、定位筒、固定カップなど大多数の部品には密度が小さく強度が大きいチタン合金素材が採用されている。チタン合金素材が小火器に使われることは本来少ないが、06式微声拳銃の消音器はチタン合金を大量に使用しているだけでなく、さらにプラズマ炭化チタンメッキ膜処理という先進技術を率先して採用しており、消音器表面の防腐、耐摩耗、抗酸化性能を向上させている。同時に新材料、新技術の使用に有益な推進作用を引き起こした。

グリップにはプラスチック素材が採用され、表面加工は精細で外観は美しく、東洋人の手の形に合っており、グリッピングは快適である。我々は06式拳銃と国外の同類銃器の比較を行い、その結果この銃の全体性能がすでに世界の先進レベルに到達していることを表明する。06式微声拳銃の研究開発過程において、基礎銃として92式5.8mm拳銃を参照した。このことは設計において作業量を大いに減少させ得たし、研究開発期間を短縮することもできた。ただし何事においても有利なことには弊害がある。基礎銃は新製品の設計に影響を与えた。この銃においては汎用性のため当初ファイアリングピン、ハンマースプリングなどに92式5.8mm拳銃と同じものを採用していた。だがテスト中不発等の問題が発生した。研究を通じ、関係する設計を調整して最終的にやっと要求を満たした。もし参考とする銃がなかったら、既存の構造の思想をも頼ることがなかったはずである。06式拳銃は国外の同類銃器の諸元と比較して全く新しい設計であり、新機軸が比較的多く打ち出されている。例えば独特の、間違った組み立て、部品の入れ忘れを防ぐ構造設計である。目隠しをしても消音器を組み立てることができる。消音筒芯の外表面のらせん状設計は火薬ガスの導引距離を相当に増加させ、騒音の減少を大いに助けている。この他、基礎銃と消音器の間は比較的短いネジで連結されているので、射撃時に容易に少しのゆるみが発生する。本来の設計中にはこの問題を解決する専門の措置がなされていなかった。後になっていくつかの部隊が使用中にこの問題を提起した。研究開発グループはこの重要問題専門に取り組んだ。プロジェクトグループは3種類の異なる方案を提出したが、最終的に1点の固定用部品を加え、もって同時にバレルと消音器を頂緊する方案を採用することで一致した(頑住吉注:「頂緊」は辞書に載っておらず、検索すると「頂緊式連結器」のようなものがヒットするんですが結局意味は分かりませんでした)。この方案採用後、消音器が射撃時にゆるみを生じる問題は完全に解決された。

06式微声拳銃の全体的な研究開発中に我々は、1つの新製品を研究開発するには各方面の協力や提携が必要であるということを深く感じた。そこには技術設計人員のいささかもおろそかにすることのない新機軸を打ち出す科学精神、工場における加工人員の苦労を恐れない労働、機関指揮人員の多方面にわたる調整作業、後方勤務保障人員の頑強で有力な保障があった。この他、審議会上における小火器系統の専門家たちの要点を突く意見、各回の試験に参加した兵士の切実な体験や見解も製品の研究開発に対する貢献が相当に大きかった。この中のどれが欠けても好ましい製品を生み出すことは難しかったと言える。

現在06式微声拳銃の設計定型作業は順調に完成し、次の一歩はまさに部隊試用である。部隊の広汎な試用後に06式微声拳銃はさらに多くの貴重な意見を得、生産定型時の06式微声拳銃はさらに優秀さを加え、全面的な装備が間もなく実現すると信じる。


 この銃がストレートブローバックであるという記述とディレードブローバックであるという2つの矛盾した記述があって、どちらが正しいのか正確には分かりません。しかし、バレル回転の機能がなくなっており、新たに加えられたディレードシステムに一切言及されていないので、ストレートブローバックなのではないかと推測します。私は5.8mm口径の92式拳銃のシステムが、弾丸にライフリング回転を与える際の反作用でバレルがねじられるトルクを利用したディレードブローバックなのではないかという疑いを抱いていましたが、中国語のサイトの説明通り後退開始のタイミングを遅らせる機能はなく、単にバレルを回転しなければならない抵抗によってスライドの後退を減速するだけなのではないでしょうか。要するになければないでも構わないおまけ的なもので、この銃ではそれが単に省略されただけで問題ないのではないかと思います。

 リボルバーに関するページの内容をいくつか読んで、「何故口径が9mmになったのか」に関する記述がないことに不満を持ちましたが、今回の記述でも「何故9mmタイプでなく5.8mmタイプの92式拳銃をベースにしたのか」に関する説明が全くないことに不満を持ちました。消音性能を高めるためには弾丸の速度を亜音速以下にしなければならず、低速で威力を発揮させるには当然大口径の方が有利です。おそらく貫通力を重視した結果なんでしょうが、普通弾薬も使用できる銃を快調に作動させる亜音速弾の開発には困難が伴ったことでしょう。

 チタン製のサイレンサーはぜいたくなようですが、当然アルミ製よりはるかにタフ、スチール製より軽いので本来はこの方が望ましいでしょう。コストが高くなりますが、それほど多数装備する銃ではないので許容範囲ということなんでしょうか。








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