QSZ92 9mmモデル

中国製QZB92ピストルのうち9oモデルに関する解説です。

http://www.gun-world.net/china/handgun/qsz92/9mmpis.htm


QSZ92自動拳銃系統

9ox19型

92式9mm拳銃系統は1992年に論証が開始され、1994年に研究開発プロジェクトの開始が正式に認可された。1998年に設計が定まり、1999年12月20日に92式9mm拳銃とその弾薬が駐マカオ部隊に装備され、正式に公開、周知された。

92式9mm拳銃はDAP92式9mm普通弾薬を使用するが、9mmパラ拳銃弾薬も使え、発射方式は半自動である。ショートリコイル自動方式、バレル回転式閉鎖機構、ハンマー回転式撃発が採用されている。弾丸発射後、バレルは薬莢底部の圧力の作用でスライドと共に後座する。連接座らせん面がバレルに回転を強い、開鎖が実現する。スライドは慣性力の作用で後座を続け定位置に達する。この後スライドはリコイルスプリングの作用で復帰し、この際装填を行う。同時にバレルは連接座らせん面の作用で回転し、閉鎖が完成する。

(頑住吉注:原ページにはここに、バレルと「連接座」の画像があり、原理的にはベレッタM8000クーガーと同じであることが分かります)

撃発機構はドローバー分離式で、シングル、ダブルアクション射撃が可能である。装填されるとエキストラクターのフックが薬莢のミゾに入り、リムがエキストラクター中間部の指示バーを押す。指示バーはエキストラクターのフック外側表面から0.5mm突出する。こうしてチャンバー内に弾薬があるか否かを便利に知ることができ、ローディングインジケーターの目的が達成される。(頑住吉注: http://www.gun-world.net/china/handgun/qsz92/dsc01252.jpg この画像などで、インジケータがエキストラクターと別体になっていることが分かります)マガジン内の最後の1発が発射された後、マガジン内のフォーロワがフォーロワスプリングの作用で上昇し、スライドストップを押し上げ、スライドが最後まで後退しスライドストップ位置に達するとスライドストップがスライドを固定し、スライドストップの動作が完成する。

マニュアルセーフティ以外に、ファイアリングピンセーフティと落下セーフティがある。マガジンはダブルカアラムダブルフィードで、それぞれの銃に2つずつ付属している。全銃寿命は3000発以上で、全銃故障率は0.2%以下である。耐高温、低温性は+50度から−45度であり、テスト中には各種環境模擬試験が行われた。これには塵にさらす試験、さらにその後水をかける試験、川の水(泥砂を含む)に浸す試験等も含まれた。

軍の新拳銃系統に対する要求には比較的良好な貫通能力があったので、92式拳銃のために研究開発されたDAP92式9mm拳銃弾薬は、NATO制式の9mmパラ拳銃弾薬の外形寸法と同じで、またいくつかの仕様が基本的に同じであるが、弾頭構造には鉛スチール複合式弾芯が採用された。DAP92式9mm拳銃弾薬は9mmパラ弾薬と互換性があるが、軽防御目標に対する貫通能力はずっと大きい。このように軍の要求にも合致しているし、92式拳銃を輸出しやすくもしている。

DAP92式9mm拳銃弾薬は全長30mm、重量12.3g、弾頭重量8gで、制式の無錆プライマーが採用され、発射薬にはシングルベース火薬が採用され、弾頭速度(V5)は360m±10m/sである。距離25m、20発の(頑住吉注:ここにも特殊な命中精度の表記が出てきますが意味不明です)。50mの距離において1.3mm厚の232戦闘ヘルメットの鋼板を貫通後、さらに50mmの松板を貫通できる。その他の制式拳銃弾やパラベラム拳銃弾を使った対比試験では、全て鋼板を貫通できず、鋼板上にかすかなくぼんだ痕跡が残っただけだった。

貫通力が高いことの保証とともに、技術人員はDAP92式9mm拳銃弾薬に比較的良好な停止作用をも付与しようとした。傷弾道試験中、30立方cm(頑住吉注:小さすぎます。桁が1つたりないなどの記述ミスか、あるいは中国ではこの表記で30cm角を意味するのかもしれません)の石鹸塊を射撃したが、生じた弾道空腔は9mmパラ拳銃弾よりより大きかった。これは弾頭に複合弾芯構造が採用されたからである。防御具を着用した目標に命中後、弾頭は偏航し、傷弾道は長い不規則な空腔となり、目標に重大な傷を負わせるのである。この他弾頭構造の合理的設計のおかげで、弾頭は比較的低速で貫通能力を発揮することができ、徹甲弾頭のようなオーバーペネトレーションの危険はない。このため、治安任務、暴動鎮圧任務への使用にも適している。

(頑住吉注:以下は最後の画像の上にある、その上の画像群の解説文です)この画像は国内装備型(左)と輸出型(右)のグリップを比較したものである。輸出型のグリップには五角星の代わりに北方工業(頑住吉注:ノリンコ)のマークが使われている。92式9mm拳銃の輸出型は2002年初め頃にはすでに国外で展示が行われた(あるいは写真による宣伝のみ)。国外の人は、もし2005年あるいは2006年にアメリカ政府が中国製軽火器輸入禁止法を自動失効させれば(2004年に突撃武器法を失効させたように)、北方工業は92式9mm拳銃をアメリカの民間市場に投入できると見ている。ただし実際上この画像の銃は唯一の輸出市場用展示型であるのかもしれず、92式mm拳銃の輸出型はまだ生産開始されていない。その主要性能が外国商人の要求にはるかに及ばないからである。これは設計の際の要求が異なることが原因であろう。わが軍の拳銃の持続射撃能力に関する要求は比較的低く、将兵のマガジン携行数も少ないため、拳銃の寿命に関する要求は比較的低い。しかし外国の警察は比較的多くの弾薬を携行する必要があり、拳銃の寿命に関する要求は非常に高いのである。


 9mmバージョンに関してはそう興味深い内容はないだろうと思って読むのを止めようかとも思ったんですが、注目すべき内容が含まれていました。先日中国製の別のピストルに関するページを見ていて、「全銃寿命」が妙に短いらしいことに気付きましたが、どうもこれは中国製ピストルの全般的性質のようです。これが要求が低いためそれ以上の耐久性を与えるよりコストダウンを選んだせいなのか、材質や加工、熱処理などの技術に問題があってそれ以上は困難なのかは微妙なところでしょう。

 QBZ95式5.8mmブルパップライフルが駐香港部隊に最初に配備されて世界に初めて知られたように、この銃も駐マカオ駐留部隊に最初に配備されて世界に初めて知られた、というのも面白いです。外国に注目されやすい地域に優先的に配備するのは見栄みたいなもんなんでしょうか。

 この銃に使用される特殊な9mm弾薬と5.8mm弾薬は全く異なるものですが、「50mの距離において1.3mm厚の232戦闘ヘルメットの鋼板を貫通後、さらに50mmの松板を貫通できる」と全く同じ貫通力に関する評価がなされている点も気になります。記述の間違いの可能性もありますが、軍の要求がそれで、いずれもそれをクリアしているのだ、という意味だという可能性(つまりいずれか、あるいは両方の松板貫通能力はもっと高いのかも)、また5.8mm弾薬には先に完成した9mm弾薬の貫通性能と同等の貫通力を持たせればよいとされたのであのような比較的弱装な弾薬になった可能性もあるでしょう。それにしても、「別冊GUN PART1」で.22LRがスチールヘルメットを簡単に貫通した事実を考えると、「その他の制式拳銃弾(つまり7.62mmx25も含む)やパラベラム拳銃弾を使った対比試験では、全て鋼板を貫通できず、鋼板上にかすかなくぼんだ痕跡が残っただけだった」という記述には疑問を持たざるを得ません。ケブラー製のヘルメットならともかく、現代の中国製スチールヘルメットの防御力が第二次大戦時のヘルメットと比較にならないほど向上しているとはちょっと考えにくいです。
















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