アメリカ空母の強さとは

 「アドルフ2世」氏の「遼寧号」に対する評価です。

http://adaofu2.blog.china.com/201211/10542065.html


中国の遼寧号空母の2大問題、3大欠陥を衝撃的暴露

ネット上である文章を見た。香港の軍事評論員馬鼎盛氏によるもので、中国初の空母の致命的欠陥がどこにあるのかを評論したものだ。

【各位「国防時報」を参照してほしい。トップにゴシック体で「アメリカの専門家、中国空母の『死穴』を評する」との一文が紹介されている(頑住吉注:「死穴」は「急所」に近いニュアンスのようです)。「アメリカ海軍長官補佐官ボールドウィンの回想録『イラク空襲』は、1991年の湾岸戦争中、彼が新米飛行員として『ミッドウェイ』号空母で参戦した経歴をリアルに描写している。この本の素晴らしいところには次のものが含まれる。1.狂気じみた甲板活動 2.空中給油は「鉄の処女」 3.新兵軍規に照らしてベテランを評価 4.降着の難しさ。最近就役した中国空母はこの中から経験、教訓を吸収する必要がある(頑住吉注:「鉄の処女」は中世ヨーロッパの拷問器具ですが、ここでの意味はいまいち分かりません)。

アメリカの「ミッドウェイ」空母は中国の「遼寧艦」と似た所がある。排水量はいずれも6万トン級、航行速度は30ノット前後、差異はアメリカ空母の艦載機が70機余りであることだ。これには戦機であるF-14、F/A-18、A-6、早期警戒機のE-2、対潜機のS-3とヘリであるSH-3など8機が含まれる(「遼寧艦」と同クラスである「クズネツォフ」艦は戦機として20機のスホーイ-27、4機のスホーイ-25と、17機のヘリを配備する)(頑住吉注:中国語の「戦機」は戦闘機とは限らず、これまで「実戦機」と訳したことがあり、その時は輸送機とか練習機が除外されるのかと思ったんですが、これを見ると早期警戒機はもちろん積極的に潜水艦を攻撃することもある哨戒機も入らないようで、定義がよく分かりません)。

アメリカ空母最大の優勢は2基のカタパルトを持つことである。ボールドウィンの回想したイラク空襲「砂漠の嵐」作戦の中で、「ミッドウェイ」の1機のF/A-18戦闘機に燃料漏れ事故が発生し、機が6分以内に緊急着艦することが必須となり、さもなければ機は破壊され搭乗員は死亡することになる状況になった。当時飛行甲板上にはまだ6機の飛行機が発進を待っていた。空母の最大の設計上の能力は1分間に2機の戦機を発射できるという理論上の速度だったが、作戦時には各種の意外な故障が発生する。ボールドウィンは最後の1機のE/A-6電子戦機がカタパルトにセットされながら主翼を折りたたんだ状態なのをその目で見た。この危機一髪の時に「マウス」曹長はすぐにその「プラウラー」機に向け突進し、邪魔している機の吊り下げポッドにひらりと飛び乗り、身を翻して固定された主翼によじ登り、ひっかかった液圧パイプラインを取り外し、翼端を押し動かして下し、水平の状態に引っ張ってロックした。この手に汗握る連続動作は100m走のラストスパートのような瞬間に完成された。E/A-6は遅れず発進し、F/A-18は安全に降着した。映画でも撮れないスリリングなシーンだった。軍歴40年余りの「ミッドウェイ」号空母では日常茶飯事で、完全に重大事故排除を認められる手柄を立てた「マウス」曹長は全くおごる様子を見せず、「誰と代わってもこうやった」と言った。

最も速いスピードでより多くの戦機を戦闘に投入する、これは空母の最も重要な戦闘力の指標である。解放軍の「遼寧艦」はスキージャンプ式発進により、全部で2、30機の戦機を空に送るのにおそらく4、50分間を要するだろう。相手がもし「ミッドウェイ」空母で、双方同時に攻撃を下令したら、アメリカ軍の50機の実戦機は先んずれば人を制すなので戦場の主導権を勝ち取ることができる。

ボールドウィンの回想の中の悪夢は空中給油である。KC-135は空軍の空中給油機で、習慣的に給油管のコーン状カバーを能動的に給油を受ける機の固定された小さなコーン状カバーに伸ばす。一方海軍の給油を受ける機は一貫して能動的にこちらから行って挿入する。2つのコーン状カバーが相争って迎合する結果は成功率の半減で、接触状態から離脱する時給油機のコーン状カバーの巨大なスチール製の縁が給油を受ける機の頭上にぶつかり、「ミッドウェイ」空母の数十機の給油探管がKC-135「鉄の処女」によって壊された。ベテラン飛行員ダグ中佐も給油機のコーン状カバーを正確に挿入しようと試みたことがあるが、一滴の油も入れられないで作動不良が起こり、もし冒険的に断固として再度KC-135「鉄の処女」にコンタクトしなかったら、彼はすぐ6,000万アメリカドルの機を放棄して落下傘降下して命をながらえなければならないところだった。振り返って解放軍の夜間空中給油特訓を見ると、ボールドウィンのような、進路を見失い、あるいは給油に失敗する大災難の中でも助かる飛行員はいるだろうか?

空母に乗ったばかりの新人だったボールドウィンは命令を受けて中隊長「ライオン」の降着動作を評価した。「スロットルが不充分、艦尾を飛行して越える時の高度がやや低い。」 採点は合格だった。「ライオン」は激怒して航空図袋を掴んで投げつけてきた。アメリカ軍の、下級将校の培養を飛行機降着指揮員が担当する伝統は、上司の位が高く権力が大きくても技術動作に誤りがあればありのままに書面に記録するのが必須なのである。

解放軍は機が空母に降着する難度とリスクを報道したことがあるが、戦時のそれに比べればやはりたいしたことはない。「ミッドウェイ」空母は劣悪な海の状況で20度横揺れし、10度縦揺れする状態で機の降着を受け入れ、飛行員がもし7日以内に夜間降着をしていなければ直ちに夜間降着の資格を失いかねない。たとえ3,000時間飛行したベテランでも「曲不離口、拳不離手」(頑住吉注:歌がうまくなるには常に歌い、拳法がうまくなるには常に鍛錬する、つまり苦しい鍛錬を常に続けてこそ上達する、という意味だそうです)の規律に服さねばならない。空母に乗ったばかりのボールドウィンは毎日降着訓練を2回行い、1週間続けてやっと戦闘に参加する基準に達した。】 

馬氏がアメリカの「ミッドウェイ」空母を通じて中国の「遼寧号」空母の欠点を分析しする、その方法はいいが、結論はよくない(頑住吉注:引用していませんが馬氏は「遼寧艦」には致命的問題があって解決不可能、と結論付けているようです)。

馬氏の提出した問題は、帰納すれば2つの問題である。すなわち1つは空・艦勤務人員の技術レベル、もう1つは空母運用の組織能力で、これには飛行指揮、機の発着、機のメンテナンス等々が含まれる。中国初の空母が戦闘力を形成したければ、この2つの問題を解決することが必須である。ただし、これは難題であるにすぎず、「死穴」ではない。

かく言う原因は、人員の技術問題と空母運用の組織問題は、既存の装備の条件下で、人の努力に頼って解決できるからである。例えば、飛行員の着艦能力、空母勤務人員の機の準備能力、空母甲板上の人、車、機の組織および指揮能力は、演習の反復により向上を獲得することが完全にできる。はっきり言えば、これは何事も慣れればコツが分かるという問題なのである。

真の死穴とは、空母上の将兵がどんなに努力しても解決し難い問題のことであるはずだ。「遼寧艦」の欠陥はどこにあるのか。実は、馬氏の方法に照らしてアメリカの「ミッドウェイ」空母とちょっと比較してみれば、すぐに手掛かりが探し出せるのである。

その1、空母自体の設計、製造の問題。

アメリカの「ミッドウェイ」は1945年に進水した空母で、当時の設計上の航空機搭載能力は75機前後だった。半世紀近く後の湾岸戦争で、「ミッドウェイ」は60機余りの航空機を搭載して参戦した。1991年のF/A-18は、1945年のF4Uに比べ体積、重量、燃料消費が非常に大きくなり、一方「ミッドウェイ」の搭載および保障水準は基本的に変わらなかった。同様に6万トン余りのロシア空母の搭載能力はアメリカの「ミッドウェイ」の半分前後でしかない。中国の「遼寧号」はロシア空母から改装された。機の搭載能力はロシアのオリジナルに比べ大きく向上しているが、依然「ミッドウェイ」のレベルには達していないと見られる。これはアメリカ空母の設計、製造能力に、中国と比べ隔たりがあることを体現している。

その2、カタパルトがない。これは普遍的に知られている問題である。カタパルトがないと、中国の現役艦載機の作戦能力を充分に発揮させることができないし、高性能の艦載早期警戒機、艦載対潜哨戒機も使用できない。これは実際上空母の全体設計、製造能力とも関係がある。既存の設備の条件下では、同じトン数クラスの「遼寧号」は「ミッドウェイ」に比べ搭載機の能力に隔たりがあり、もし2基のカタパルトを追加装備しても搭載能力の隔たりはさらに大きくなる。このため、もし中国がロシアの設計をよく飲み込んだとしても、ロシアの思想に基づいて中国の次世代空母を継続発展させるのは、やはり非常に難度が高い。

その3、艦載機の隔たり。中国の殲-15艦載機はアメリカの現役のF/A-18に対応するならまだ匹敵するが、アメリカ海軍は間もなくF-35を装備することになり、さらにX-47Bもある。中国空母が戦闘力を形成した時、殲-15が相対するのはアメリカのステルス機である。第二次大戦期のアメリカと日本の空母の交戦は、艦載機の隔たりは空母の作戦能力の最も主要な隔たりであることを示している。もし中国の殲-31が研究開発過程を加速できなければ、中国の空母はアメリカに対し有効な脅威を構成しない。

中国初の空母たる「遼寧号」に我々が期待しすぎてはいけないのは当然である。アメリカに比べ我々には隔たりがある。「遼寧号」は追いつく条件を提供した。空母を持たない国に比べ、我々には優勢がある。「遼寧号」はまさに実在の脅威なのである。


 引用されるエピソードは興味深いんですが、どうも全体の論旨が不明確な印象を受けます。どんなに慣れてもスキージャンプ式発艦でカタパルトがないハンデは克服できませんし、空母「ミッドウェイ」はもう20年も前に退役し、「遼寧艦」が戦うとしたらそれよりはるかに強力な原子力空母ですしね。











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