次に登場する新型ミサイル護衛艦は完全電気駆動?

 これもちょっと楽観的すぎる感がありますが。

http://military.china.com/news/568/20130822/18010108.html


メディア、中国の054B新型護衛艦あるいは完全電力推進を使用か、とする 6大優勢を持つ

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「高性能護衛艦054Bの模型」、続いて2枚目「国産電力推進装置」)

中国工業・情報化部装備工業局が最近発表した情報は、中国船舶重工業集団社第712研究所は船舶総合電力推進システムの自主創新の上で重大な進展を取得した、とした。この研究所はインバーター、推進発電器、推進変圧器、出力管理システム、操縦コントロールシステムを核心とする推進システムを研究開発して作り出し、単軸推進出力20兆ワット以下の船舶電力推進システムの全ての国産化を実現した。このことは、未来の中国海軍艦艇が国産電力推進システムを装備し、真の「中国の心臓」を持つことが有望であることを意味する。

アメリカの艦の「完全電力推進」、「海上の革命」をリード

水上の艦船の「心臓」としての伝統的な動力装置には主に蒸気動力、ディーゼルエンジン動力、ガスタービン動力、原子力動力などいくつかの種類がある。これらは基本的に全て機械推進装置に属する。1980年代から、電力推進技術の優勢が日増しにはっきり現れてきて、各国海軍の重点的研究対象となった。1986年、アメリカは「海上の革命」という名の計画の中で、総合電力推進を新世代艦船の推進方式に含めた。1994年、アメリカ海軍は「総合電力推進システム」概念を提出し、海軍はDD21型駆逐艦のために完全電力推進システムを配備することを計画した。

総合電力推進システムは船舶動力の発展方向を代表するもので、主要な特徴は推進動力と発電所の動力を一体化することである。初期の意味での電力推進とは異なり、現代船舶の総合電力推進システムは推進用電力と日常用電力が1つの電力システム内に結合されている。すなわち共通の発電器グループが大出力の電力を生み出し、船舶のあらゆる負荷、需要(推進システム、日用の負荷、センサーシステム、および艦載武器などの需要)を満足させるのである。このシステムが採用するのは突出したモジュール化、集成化、システム化の設計理念であり、主旨は総コストの低下、船舶のシステムおよび設備構成の最適化であり、電力形式を全艦船に必要なエネルギー源に集中することをもって、電力に対し統一した配分と管理を行うことに体現される。

アメリカ海軍が提出した総合電力システムは主に7つのモジュールから組成される。すなわち、発電、配電、電力コントロール、電力変換、プラットフォーム搭載部、推進モーター、エネルギー貯蔵モジュールである。

上海海事大学教授湯天浩は説明し、通常の機械推進方式に比べ、電力推進システムは主に以下のいくつかの優勢を持つ、とする。

第1に、良好な経済性を持つ。電力推進システムを装備した船舶には複数の中速ディーゼルエンジンがあって発電に用いられ、電気の使用負荷を根拠に発電器の使用台数を選択し、発電器グループを終始高効率機能区で作動させ、最大の経済性を実現する。

第2に、操縦性が良い。電力推進システムを採用すると、操縦、コントロールが便利になり、始動、加速性が良くなり、制動が早く、前進後進、速度の切り替えが速く、推進モーターの回転速度が容易に調節でき、正、逆転、各種回転速度下で常に一定の回転モメントが提供でき、最良の作動特性が得られ、船舶に優良な操縦性を取得させる。

第3に良好な安全性を持つ。ディーゼルエンジン推進を採用した船舶に関して言うと、ひとたびメインエンジンの重要な部分あるいは舵、軸系に故障が起きると、往々にして船の麻痺がもたらされる。だが電力推進は複数の原動機を使用し、もしも個別の発電器グループに故障が発生しても船舶が動力を喪失する結果はもたらされない。電力推進システムは多くが2セット以上の相互に予備となり、同歩調のモータステータに2組の相互に独立したコイルグループがあるものを採用し、一組に故障が発生しても依然負荷を軽減しての運行はできる。

第4に、スペースを省くことができる。通常の状況下では、伝統的推進システムを採用した船舶の軸系の長さは往々にして船の長さの40%前後を占める。一方電力推進システムを採用した船舶は伝動軸系、減速ギヤボックスが省かれ、したがって機関室のレイアウト、構造が改善され、電力装置の割り振りをより合理的にさせ、大きなスペースが省かれる。

第5に騒音が低く、艦船の静音性と隠蔽性を向上させることができる。電力推進を採用すると、主要な振動源としてのエンジンは弾性の底座上に装備され、かつ一定の回転速度で運行し、エンジンと軸系および船体も直接連結されず、したがって非常に大きく振動と騒音が減少し、作動区域がきちんとしたものに変わり、乗船の快適さが向上した。

(頑住吉注:これより2ページ目)

第6に船舶の環境汚染のコントロール、排出の軽減に有利である。船舶の電力推進システム採用はさらにコンピュータネットワーク管理を行うのに有利で、システムの自動制御、船舶の情報化、スマート化、自動化レベルの全面的向上実現の助けになる。

現在アメリカが設計、建造したDDG-21駆逐艦と「フォード」級空母はすでに総合電力推進システムを配備している。イギリスロイヤルネービーも電力推進の使用方面で世界のトップを行っている。すなわち、イギリスの45型駆逐艦および建造中の「クイーンエリザベス」級空母はいずれも総合電力推進システムを配備している。

712所、704所が「完全電力化のリーダー」

中国の電力推進システム発展は比較的緩慢で、非常に長い一定の時間内、建造される電力推進船舶の核心設備はずっと輸入に頼った。1980年代から、中国は自らの電力推進システムの研究開発を開始した。一部の民間用船舶への装備のために輸入した電力推進システムは、中国が総合電力推進システムを研究開発するために経験を積ませた。

中国は原動機、発電器、配電、VVVFなどいくつかのカギとなる重要な技術方面で一定の工業的基礎を持っている。中国は兆ワット級ディーゼルエンジン、発電器、中、高圧配電盤の生産、いずれにも比較的成熟した技術がある。国際的交流によって中国のいくつかの艦船設計、製造機関も非常に多くの総合完全電力推進船の設計、建造経験を積んだ。

中国の民間用船舶領域では、電力推進の応用は多種の形式を見せている。完全電力推進船には勝利油田の「勝利232」号技術船があり、「交流・直流」電力推進を採用し、発電器の出力は3,000馬力である。江南造船工場が国外のために設計建造した3,200トンの電力推進化学薬品輸送船が採用しているのは10兆ワット級のアジポッド式推進器である。

今年7月、中国はついに船舶電力推進核心設備の自主研究開発を初めて実現した。中国船舶重工集団社第712研究所は、中国初の自主知的財産権を持つ中圧3兆ワット電力推進システムおよび核心設備(中圧推進インバーター、推進モーターなど)の研究開発に成功した、と言明し、中国船級社(頑住吉注:交通部直属の船舶技術試験機関)の認証を経た。このシステムの主要な技術指標はすでに国際先進レベルに到達しており、中国がすでに船舶用大容量中圧電力推進システムを設計、製造する能力を持ち、世界でいくつかしかないこの技術を掌握する国の一つになったことを示している。このことは、中国が電力推進および自主研究開発の核心設備を高度技術船舶上で応用し、国家海洋プロジェクト装備設計製造能力を向上させ、中国が造船大国から造船強国への発展変化の実現を促進することに対し、重要な戦略的意義がある。

説明によれば、船舶用電力推進システムは低圧と中圧の2種に分かれ、それぞれ中、小出力推進と中、大型船舶のメイン推進に用いられる。船舶推進システムの出力に対する必要性が不断に増大するにつれ、低圧推進設備は容量が限られているために徐々に淘汰され、中圧システムが電力推進の発展の趨勢となっている。「中国水運報」の報道は、中国が研究開発した中圧3兆ワット電力推進システムは顧客の要求に照らして適当なオーダーメイドができる、としている。

欧米諸国の電力推進システムの出力に比べると、中国の中圧3兆ワット電力推進システムはまだ隔たりがあるが、このシステムには民間用船舶および一部の特殊船舶の需要を満足させる能力がある。例えば、海上で正確に自身の位置をコントロールするため、海監船、海上石油採掘プラットフォーム、海洋調査船などの特殊船舶はいずれも電力推進システムを採用する必要がある。

報道によれば、今年5月、中海油田サービス株式会社の4隻の6,000馬力(約5.4兆ワット)の深水プラットフォーム供給船総合電力推進システムの競争入札の中で、712研究所はABB、GEなど国外の有名な会社と同時に入札を行い、最終的に優勢に頼って成功裏にこのプロジェクトの契約を獲得し、この型の船の国内初の総合請負商となった。これは中国海洋工程装備領域初の国産船舶電力推進システム総合請負商の選択である。

712研究所の他、国内のその他のいくつかの企業も総合電力推進システムを研究開発中である。今年3月、中国船舶重工業集団社第704研究所は成功裏に、「1,500トン級海監権利維持法執行総合測量船の電力推進システム」プロジェクトの契約に署名した。704所は船全体の電力推進装置を提供することになり、これには発電器グループ、配電盤、発電管理システムなどが含まれる。推算によれば、1,500トン級海監船の出力は4,500馬力である可能性があり、3兆ワットのレベルよりやや大きい。

「完全電力推進」の054Bを研究開発中

軍用領域において、新世代艦艇の電子設備の供給電力出力に対する要求は不断に高まり、例えばレーザー武器、電磁カタパルト、レールガンなど新概念武器および装備の電力に対する需要はさらに幾何級数的に増加する。このため未来の艦艇が総合電力推進装置を配備するのはすでに必然となっている。また、対潜作戦の需要から言うと、電力推進システムは艦艇の騒音軽減に有利で、任務の成功率を高める。

(頑住吉注:これより3ページ目)

国内軍事ウェブサイトは我が国の完全電力推進システムを解読する時、対潜性能の増強、静音性向上のため、中国は現在研究開発中の054B型ミサイル護衛艦に総合電力推進システムを採用することになる、と指摘している。054B型護衛艦の前身である054A型護衛艦は現在4台のディーゼルエンジンを使用しており、もし電力推進を採用したら、10兆ワット前後の電力推進システムを採用する必要があることになる。

712研究所公式ウェブサイトの情報は、この研究所はすでに続々と数隻の電力推進船舶のシステム集成作業を完成させており、電力推進システムを採用した各タイプの船舶およびその他の工業電気伝動システムのためにシステム集成の全体解決方案と関連のカギとなる重要設備が提供でき、カバー出力等級10兆ワット以下の各種電力推進システムが製造できる、ということをはっきり示している。このように電力推進システムはすでに054B護衛艦のために一揃いの能力を提供することができるのである。

今年8月、中国の単軸推進出力20兆ワット以下の船舶電力推進システムは全ての国産化を実現した。このことは電力推進システムを配備した艦艇の航行速度を大幅に向上させる助けになる。イギリス海軍の完全電力推進を採用した45型駆逐艦の排水量は7,300トンであり、この艦は2軸推進を採用し、それぞれの軸は20兆ワットの出力で、その航行速度は29ノットを超える(これは英軍が公開したデータであり、実際には30ノットを超えるはずである)。45型駆逐艦と同じ動力を採用した「クイーンエリザベス」級空母の排水量は45,000トンで、配備する4台のディーゼルエンジンはおよそ40兆ワットの出力の電力を提供でき、航行速度は26ノットである。

中国海軍の現在の艦艇の排水量が8,000トンを越えない状況を見ると、もし052Cおよび052D型駆逐艦が完全電力推進を採用したら、すぐ30ノット以上の高速巡航が実現できる。だが、CODOG動力模式(すなわちディーゼルエンジンとガスタービンエンジンの交代での使用)の制限を受けて、これらの艦艇の高速巡航時間と速度はいずれも比較的限られている。また、空母動力システムの上では、将来「クイーンエリザベス」級空母のように電動推進を採用し、かつ4軸動力システムを採用したら、航行速度が30ノットを超える正規空母を建造することが完全にできる。

しかし、中国の電力推進システムは他国と依然隔たりが存在する。イギリスの45型駆逐艦の総合電力推進システムの出力は50兆ワットに達し得る。アメリカの新概念戦闘艦DDG-1000の電力推進システムの出力はより高く78兆ワットに達する。また、中国国産完全電力推進システムはすでに登場しているが、全世界で最も先進的な完全電力推進を実現する前に、まだもう1つ重要な動力問題を解決する必要がある。すなわち信頼性が高く、長時間作動できるガスタービンエンジンを持つことである。

中国海軍駆逐艦はCODOGを採用しており、巡航時は一般にディーゼルエンジンを使用し、加速を必要とする時にガスタービンに切り替える。つまり、中国海軍はアメリカ製LMO2500ガスタービンエンジンのように長時間巡航に使えるガスタービンエンジンを持たないのである。一方中国が得意とし、かつ信頼性が高いディーゼルエンジン動力を採用すると、単軸20兆ワットの電動推進と連動することは全くできない。中国海軍は依然艦用ガスタービンの難関を克服する必要があり、それでやっと総合電力推進システム領域でより大きな突破を実現できるのである。(本報特約執筆原稿 郭宣)


 ごめんなさい、私知識不足で最後の部分の何故ガスタービンが必要なのか全く理解できません。ディーゼルエンジンで発電してモーターを回してそれだけを動力にするっていう話じゃないんですかね。それはともかくこの領域の進歩は著しく、次の新型護衛艦にもうこのシステムが採用される可能性があり、海監船にもこの形式のものが出現してくるらしい、ということです。現在最新の海監船でも速度が20ノット代前半だったりして遅いなーという印象でしたが、速度が大幅に向上する可能性があるわけです。









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