「戦車両項目」に参加する「96A1」戦車とは

 去年参加しまた中国軍が現在使用している96Aに比べ改良されているということですが。

http://military.china.com/nrzh/11172851/20150804/20132504.html


全く新しく改造:戦車両項目競技に参加する96Aメインバトルタンクの秘密を明かす

2015ロシア戦車両項目国際競技では去年同様、競技に参加する中国人民解放軍は依然自ら装備を携えて競技に参加している。だがニュース写真がはっきり示すところによれば、使用するのはやはり96Aメインバトルタンクなのだが、今回競技に参加する車両は一部改良を経ており、量産型96A戦車とでは一定の差異が存在し、部隊からは96A1型と呼ばれている。

この戦車の物語に関しては、さらに去年の「戦車両項目」競技から語り始める必要がある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「我が軍の戦車両項目競技に参加する96A1戦車。この車両は車体前面の付加装甲を取り外しており、戦闘全備重量が約1トン低下している」)

96戦車の動力不足問題を解決

去年の競技終了後、非常に多くの人は96A戦車のために不平を鳴らした。ロシアの競争を重んじ、射撃を軽んじる競技ルールは不合理であると考えた。ロシアが「主角加成」(頑住吉注:意味不明。主役を目立たせる?)に使用したT-72B3M戦車の競技参加には不正の疑いがある等々である‥‥しかし競技は結局のところ競技なのであって、競技に参加している以上真面目に対峙し、競技の成績に直面すべきである。射撃競技のパフォーマンスがどんなに優秀であろうとも、96A戦車の動力は不足し、後方勤務維持保護が不便で、一部の部品の信頼性が劣るなど多くの問題が人々の面前に見せつけられた。

ロシアの戦車両項目競技開催の初志は、全軍から選抜された優秀な兵士に国際的軍事体育競技に参加させることによってロシア軍の志気を高め、ロシア軍の戦闘の意志と訓練水準を回復させることである。一方中国軍の競技に参加する着眼点はロシア軍とやや異なり、一方において競技参加は将兵の逆境の中で沈着冷静、危機に臨んで乱れず、奮い立って全力で死闘し、勇敢に第一位を奪う精神を養成するためである。もう1つの方面では競技によって欠陥を暴露させ、教訓を吸収し、問題を解決し、我が軍の武器装備改良の助けにもする。96Aに自ら独自に到達したところがあるからといって、すぐその弱点を軽視してはならない。装備の性能の隔たりゆえに良い成績が得られなかったら、我々は装備がダメなこと、ルールが不公平なことに不平をまだ言ってよい。だがもし実戦の中で戦車が「立ち往生」したら、今度我々は何に不平を言うべきなのだろうか? このため競技でも実戦でも、我々は96A戦車の動力方面における不足を補うべきであり、できる限りT-72B3Mとの隔たりを縮めるべきなのである。これこそが今年改良を経た96A1戦車を派遣して「戦車両項目競技」に参加する原因である。

過去、中国軍はずっと96A戦車を、一部第3世代戦車の特徴を持つ第2世代半戦車と位置づけていた。だが96A戦車の競技中の火力の上での非凡なパフォーマンスは、解放軍がこの戦車を継続して使用する自信を確固たるものにした。その機動の上での不足は解放軍が継続してこれに対し改良を行うことを促した。世界戦車技術発展の新たな潮流の下に、96A戦車の動力システムの出力不足はすでに、96A戦車の戦闘力をさらに一歩向上させることの主要なボトルネックとなっている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「去年競技の中で技前をはっきり見せつけたロシアのT-72B3M戦車。この車両はT-90A戦車が採用するエンジンを使用するよう改め、一方重量はそれにもかかわらず依然T-72の水準にとどまり、このため機動性が超越的に強い。だがこの車両は新たな火力コントロールシステムに換装済みであるものの、射撃能力には決して非常に大きな向上はないようだ」)

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ロシアのT-90AM戦車のエンジンはT-72B3Mと同じだが、装甲が大幅増強されているため重量もそれにつれ上がり、このため機動性は少なからず低下している。この戦車はロシア戦車がしばしば見せる『戦車ジャンプ』の動作を見せたことは全くない」です。)


戦車の行進速度向上は敵の火力の下に暴露する時間を短縮する助けになり、戦車の生存能力を向上させる助けになる。我が軍の99A戦車の乗員がすでに卓越した国産動力に頼って爆走できる今日、より多くの現役戦車の走りをさらに速くすることの意義は重大である。またより大きく、より強い動力システムは96系列戦車の防御性能を向上させる前提でもある。中国軍は96Aを基礎に、機動性能を比較的大きく改善し、防御性能をさらに一歩向上させる余地のある「全く新しい96戦車」を切迫して必要とし、ここでは暫定的にそれを96B型戦車と呼ぶ。

スペースを用いて時間と換える

96A戦車の動力不足を解決するという問題は簡単に見えるが、やるとなれば決して容易なことではない。非常に重要な一点は、96A戦車が88式、96式戦車の短小なシャーシの設計をそのまま用いており、動力室の最大容積が3立方m未満でしかないということである。それは外形が小さな12150L系列エンジンとそれとセットになる機械伝動装置しか収容できず、最大出力は800馬力前後で、グレードアップの余地は極めて限られている。これに似たロシアのB84/92(99)エンジンは構造強化によって1,000馬力近い出力を獲得済みであるが、最大馬力に近づいた時エンジンの熱負荷が深刻である。もし砂漠地域あるいは高温多湿地域で使用すれば、エンジン加熱シリンダー破裂、寿命が非常に大幅に短縮する問題が極めて容易に出現する。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「去年の『戦車両項目』競技の中で、トンあたり24馬力の単位出力に頼って、T-72B3M戦車のパフォーマンスは非常に目を引いた」 続いて2枚目。「戦車両項目競技後、我が軍の戦車部隊もこの種の訓練方法を参考にして目的性を持った訓練を行った。96A戦車は動力性能はライバルに及ばないが、去年の競技の中では熟練した操作技術と厳しい試練に耐える作風に頼って、我が軍代表団はそれでもすばらしい成績を取得した」)

(頑住吉注:これより3ページ目)

我が国はすでに第3世代メインバトルタンクのために全く新しい「新150」系列エンジンを開発済みで、この系列のエンジンの中の出力最大のタイプの最大出力は1,600馬力に達し得る。だがその体積は非常に大きく増加し、もし96Aをこのエンジンに換装しようとすれば、必然的にエンジンルームの寸法改修の問題に関わるだろう。

現在96Aを新150系列エンジンに換装するためには2つの「最も優れた」選択可能な方案がある。1つはサイズが適度で、動力室の改造量が比較的小さい8V150型エンジンで、最大馬力は1,000馬力前後である。だがこのエンジンは現在PLZ-05自走砲という動力前置き型にしか装備されておらず、もし改装して戦車に積もうとするなら、一定の時間設計、試験して戦車の動力後ろ置きのエンジン伝動装置一体型に適合させる必要がある。もう1つは体積がやや大きく、最大出力が1,300馬力前後の12V150型エンジンで、つまり現在VT-4が採用しているエンジンである。もしこの動力パックを用いて96Aを改良するならば、極めて大きく96A戦車の性能を向上させることができる。だが動力室に対する改良の作業量が大きく、しかも動力システムのコストも非常に高い。

上述の2つの「最も優れた」方案のほか、さらに第3種目の「次に優れた」方案も存在し、継続してより古い12150L系列エンジンのポテンシャルを掘り起こすことである。もし新150エンジンが用いる新材料をさらにいくつかの新技術と結合して12150L系列上に応用したら、このディーゼルエンジンもそのロシアの類似機種同様、最大出力1,000馬力の水準に到達できる。ポーランドのS1000ディーゼルエンジンは類似の改造に関する考え方を採用しており、このエンジンは若干のドイツの技術を応用した後、最大出力が840馬力から1,000馬力まで向上した。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「ロシアメディアは中国戦車に対し非常に関心を注いでおり、自分たちの市場における競争相手と見ている。だがいくつかのメディアの文章は決して客観的ではなく、去年ロシア戦車メーカーは、中国戦車を悪く言う文章を書いたメディアにわざわざ報酬金を払った、と言われている」 続いて2枚目。「96系列戦車は現在我が国戦車部隊の主力で、装備総数はロシアの戦車現役装備の総数に近い(ロシアの現役戦車は2,300両)。このため96A改造の意義は重大である」 続いて3枚目。「去年の上海協力機構演習の中で、我が軍の99A式戦車の大爆走はロシアサイドの目を見張らせた。この戦車の単位出力はトンあたり27馬力に達し、ソ連のT-80U戦車と同等だが、99Aの戦闘全備重量はT-80Uをはるかに超える」)

(頑住吉注:これより4ページ目。1枚目の画像のキャプションは「解放軍の現役戦車は7,000両以上で、このうち数千両はまだ59式戦車で、それらは現在主に機械化歩兵部隊の支援単位として用いられ、『突撃砲』に似ており、敵サイドの先進的な戦車に対抗する能力は追求していない。現在中国の近代化された戦車の装備数はアメリカ、ロシアなどの国に近い」 続いて2枚目。「高原で試運転中の中国の新たな35トン戦車。この戦車の三大性能は59式に比べ非常に大きな向上があり、情報化能力はもっと大きく向上している」)

我が国の96A1戦車改装に関して言えば、上述の方案を実現するのに必要とされる技術と資金はいずれも問題にならないが、時間はきっと不足する。96A1は96A戦車の競技のために専門にオーダーメイドされた小改良型で、1年に満たない時間内に設計、製造、調整、部隊訓練などの作業を完成させる必要があり、明らかに上述の3方案はいずれもエンジンあるいは動力システムの設計し直しに関わり、この進度には追いつけない。逆に96A1戦車の改装はできる限り改装の幅を減少する必要がある。

現在見たところ、96A1戦車の動力方面の改良は依然エンジンのポテンシャル掘り起こし方面に技量をつぎ込んでいる。

具体的方法は次の通りである。エンジンのタービン増圧装置に対しこまごました改変を行い、そのためにワンセットの一体化した小型中間冷却装置を追加する。これを用いてそのエンジンの吸気に対し冷却を行い、空気取り入れ量を高める。このようにすると、出力を増加させることができるだけでなく、さらにエンジンの高い負荷での運転の下での信頼性を改善することができる。前回の競技中に出現した、エンジン出力不足でスロットルを猛然と踏み、最終的にエンジンのシリンダー破裂、廃棄処分という状況の発生を避けるのである。エンジンの空気取り入れ量を増大させると、空気濾過器から来る抵抗も増大することになる。吸気抵抗の改善および吸気の質向上のため、96A1戦車の空気濾過器も特殊な設計を経てもおり、専門の濾過器を追加している。吸気の質を改善すると、エンジンの作動信頼性も非常に大きく向上する。

最も現実的な改良

追加装備された中間冷却装置の体積は比較的小さく、吸気に対する改善効果は限られ、戦車の性能の向上レベルは根底から覆す程度には到達し得ない。保守的に見積もって、この種の改良は11%前後の出力向上が可能で、エンジンの最大出力を900馬力前後にまで到達させる。もし96A1戦車の車両重量が42.8トンだとして計算すれば、現在96A1は車体前面の付加装甲を取り外しており、1トンの重量が軽減でき、このようにすれば単位出力をトンあたり21.6馬力の水準にまで到達させることができる(T-72B3Mはトンあたり24馬力)。このことは少なくとも96A1戦車が競技の大部分の時間内T-72B3Mにぴったりとついて行くことを保証できる。前回の競技の中で、何度か競技車が引き離されたのは全てがエンジン出力の問題ではなく、1回は衝突がキャタピラ断裂をもたらし、もう1回は水の池を通過した後左側のスカートがめくれて操縦員の視線を遮り、したがって車両の速度に影響したからでもあるからなおさらである。96A1はこの2つの問題に照準を合わせて専門に改良を行い、オリジナル工場で専門に改良した新たなキャタピラに換装してある。スカートの上にウェイトを増加し、かつスカート板間の連結を強化した。このようにすれば速度競技の中で中国チームの戦車はひとまずT-72B3Mと競争する実力を持ったことになる。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「中国兵器装甲の日で、『戦車ジャンプ』の特技をデモンストレーションするVT-4戦車」 続いて2枚目。「ロシア戦車メーカーは各種デモンストレーションの中で『戦車ジャンプ』、『半空中発砲』の特技を見せつけることに熱中するが、この動作はやはり非常に震撼させるものではあるものの、実際の意義は大きくないことを認めざるを得ない」 確かに実戦的な意味はあまりないでしょうが半空中というより完全に空中で発砲してますな。)

競技前のある噂は、今回競技に参加する96A1の火力コントロールシステムにもグレードアップが行われているとした。だがここでの筆者の考えは、この噂は全くの空論だというものである。戦車の射撃訓練は多くの時間行う必要があり、もし96A1の火力コントロールに対しグレードアップを行ったら、乗員が熟練して96A1戦車を操作コントロールし正確な射撃を行えることを決して保証できない。前回の競技の中で、96A戦車の火力コントロールの優勢は決して完全には発揮されていない。96A戦車の優秀な射手は第3ギヤで行進間1,500m動対静の射撃ができ、一方競技中は単に第2ギヤのレベルしか発揮していないのである。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「大幅重量増加後のT-90AM戦車は戦車ジャンプの特技がデモンストレーションできなくなった」 続いて2枚目。「今年我が軍は成形炸薬弾を使用して射撃競技に参加している」)

また提示しておくに値するのは、前回の競技の中でロシアが、中国チームが使用した徹甲弾の精度はその他の競技参加チームが使用した成形炸薬弾よりも優れており、不公平だと言ったことである。しかし事実の上では、96A戦車の成形炸薬弾と徹甲弾の精度には決して差はない。逆にロシアの成形炸薬弾の精度は彼ら自らの徹甲弾よりも優れている。双方が各自精度が最も優れた、訓練の中で最も用い慣れた弾薬を選択するのは完全に合理的である。今年中国チームは自ら携えた成形炸薬弾を使用するが、やはり射撃精度には何の問題もないだろう。


 そもそもこの筆者がどういう立場の人でどこまで専門知識があり内情を知り得る立場にあるのか全く分からないのでちょっと困りますが、記述が正しければ「96A1」にはそれほど大幅な改良は加えられていないことになります。まあ競技会の終了後により詳しい情報が出てくる可能性もあるでしょう。サボ付き徹甲弾の方が精度が高いというのは確かに理屈に合わない感じがし、また現在の実戦では対戦車用としてはサボ付き徹甲弾がメインになると思われるのでむしろサボ付き徹甲弾に統一した方がいいのではという気がします。
















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