ロシア空母関連2題

 いよいよ実戦に参加するか、ということで注目されていますが。

http://military.china.com/news2/569/20161001/23693985.html


ミグー29、スホーイー33に取って代わり空母に搭載:インドのうまい汁を吸う一時しのぎ

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「着艦しつつあるミグー29KUB戦闘機。その塗装はロシア空軍の新しい塗装に似ている。甲板上には伝統的塗装のミグー29KUBRが駐機され、現在のロシア海軍の新たな艦載機に対する塗装がまだ徹底して方案として決定していないと推察される。」)

スホーイー33はスホーイー27から発展してできた大型艦載機で、ミグー29Kは双発中型戦闘機である。公認の視点に照らせば、空母の甲板上では、大型機は中型機に比べ戦力がずっと強いだろう。しかし、ロシアはそれにもかかわらずサイズの小さいミグー29Kを改良して主力艦載機とすることを選択した。これは何故か?

「ロシアがミグー29Kを選択したのは実はやむなくだ。」 空軍理論専門家の徐勇凌は次のように説明する。サイズが非常に大きいスホーイー33はスホーイー27ファミリーの内部燃料タンクが超越的に大きい(搭載燃料の量が多い)、航続距離が超越的に長い、外部搭載能力が超越的に強い優勢を継承しており、防空パトロールでも遠距離対地対艦打撃でも、非常に大きなポテンシャルを持ち、これはミグー29Kが望んでも及ばないものである。このため1990年代のロシア艦載機機種選択競争の中で、スホーイー33が最後に笑った。

20年後、現役のスホーイー33はすでに陳腐旧式化して立ち後れ、その生産ラインはとっくに閉鎖され、ロシア軍の1隻の空母のたった24機の需要量はその改良と生産を非常にそろばんに合わないものにさせた。この時、インドがロシア海軍とミグ社を大いに助けた。

徐勇凌は次のように明らかにした。インドは雄大な志に満ちた空母計画を制定し、一方ではロシアに空母の改造建造を請い、一方では空母を自ら建造している。インド空母は全て中型で、クズネツォフ艦に比べさらに小さいため、スホーイー33の搭載は不可能であり、そこで最初からもうミグー29Kに宝を押在し(頑住吉注:例によって検索すると無数にヒットするのに意味を説明したページは全く見つからない慣用句)、7.3億アメリカドルを出してロシアにミグー29Kの改良を継続させた。ロシア人は突然この天が賜った好機に気づいた。インドの金に頼ってミグー29Kを研究開発し、自らも用い、とっくに立ち後れているスホーイー33と交換することができる、と。

ロシア海軍のミグー29Kの単価は4,100万ドルで、インドの同種のものに比べて1,600万アメリカドル安く、コストパフォーマンスが極めて高い。

だが宋忠平は、このことはロシア海軍にとって単なる一時しのぎと言える、と考える。「中国の殲ー15(スホーイー33の近代化バージョンと見なし得る)に比べ、ミグー29Kは空母上での使用において数と運用利便性方面で優勢を占めるだけで、その他の方面では全部劣勢に置かれる。

このため宋忠平の見たところ、ミグー29Kは過渡的なものでしかあり得ず、ロシア海軍は第5世代戦闘機T-50を艦載機に改装し、ロシアが計画中の未来の空母に搭載する可能性が高い。


http://military.china.com/news2/569/20161001/23693970.html


ロシア軍唯一の空母、シリアで剣をきらめかせる あるいは初めて実戦に投入か

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシア海軍唯一の空母『クズネツォフ海軍元帥』号」)

新華社の報道によれば、ロシア海軍航空隊司令イゴール カーニンは22日、ロシア海軍唯一の空母「クズネツォフ海軍元帥」号はそのあらゆる艦載機を搭載して地中海東部に行き任務を執行することになる、と明らかにした。

ロシア通信社は報道し、クズネツォフ艦の今回の出征は、シリア政府の要求に応じてシリアのラタキア空軍基地に駐屯する航空隊を増援し、対テロに入れる力の度合いを強化するものだ、とする。またロシア国防省ウェブサイトが明らかにするところによれば、現在ロシアは東地中海に少なくとも6隻の戦闘艦を有し、クズネツォフ艦はそれらのグループに加入することになり、期間約4ヶ月の任務を執行する。

ロシア北方艦隊の「鎮隊の宝」(頑住吉注:例によって検索すると無数にヒットするのに意味を説明したページは全く見つかりませんがチームのエースとかリーダーとかを評する場合に使われることが多いようです)として、クズネツォフ艦は年中寒冷な北極海一体を遊弋し、騒がしい世界の中心を遠く離れている。もし今回本当にこの艦が就役して25年以来初めて参戦したら、どういった素晴らしい見所があるだろうか? またその搭載する2機種の艦載戦闘機であるスホーイー33とミグー2Kは、各自どのような役割を演じることができるのだろうか?

歯コ秣馬 (頑住吉注:戦いの準備を整えるみたいな意味らしいです。)

ロシアとアメリカの中東での勝負が激化

ロシア唯一の空母がシリア海域に行くことで、外国メディアは普遍的に、これは過激組織「イスラム国」(IS)打撃行動に参加しに行くのだ、と考えている。あるロシアの専門家は、ロシア軍が空母を派遣して参戦させるのは、艦載航空隊に貴重な実戦経験を獲得させるためだ、と考える。一方西側メディアはそれを、ロシアが武力を見せびらかしていると見なす。さらにある分析は、ロシアが空母を派遣することは、ロシアとアメリカの中東での勝負が激化し、もってこの地域における主導権を争奪することを意味している、とする。

ドイツの「独立報」の23日における「決定的性質の戦役の前、ロシアとアメリカ、力量の増加を開始」と題する報道は、現在ロシアはシリアのヘメイミム基地に4,000名あまりの軍人、50機近い実戦機およびヘリを配備しており、一方アメリカは駐イラク軍事力を5,000人近くにまで増加し、モスル解放のために準備をしている。NATOはイラクにすでに100機あまりの飛行機を集結させているとした。

また、アメリカはシリアにおいてロシア、シリアのために飛行禁止区域を設立することを企図している。ロシアの「情報報」は23日、アメリカ国防長官のカーターは22日下院公聴会で、軍用機のシリアにおける飛行停止の提案は、ロシアとシリア政府軍に関わるべきであって、アメリカや国際同盟軍ではなく、何故なら「アメリカの打撃は極めて正確」だからである、とした。これに対し、イラン大統領ロウハニは国連総会で反駁し、もしロシア・シリア軍用機が飛行停止したら、シリア国境内のテロ組織の陣地はどんどん強大になる、とした。

意気込みに力が追いつかない

ロシア空母が剣をきらめかせるのは象徴的意義が実際の意義より大きい

ならば、ロシアが空母を出動させてISといったようなテロリズム武装勢力を打撃するのに、クズネツォフ艦およびその艦載機の作戦効能はこれまでロシアがシリア国境内に配備した陸上基地航空隊と比較できるのだろうか?

銭報シンクタンクの軍事ウォッチャーである宋忠平の眼中では、ロシアが空母を出動させて過激組織ISを打撃するのは、実際の意義よりも象徴的意義が大きい。「陸上基地航空隊には広々とした飛行場、完備された後方勤務支援、防御体系があり、戦闘機は大型早期警戒機、給油機、電子戦機の全方位の有力な保障が得られる。一方空母の各方面における条件は全てそれに比べてはるかに劣悪だろう。」 もしアメリカ海軍の10万トンの原子力空母でも、やはり早期警戒機や電子戦機を搭載しているのだが、総合作戦能力は依然同等の規模のアメリカ空軍に及ばない。

宋忠平は、アメリカ空母に比べ、クズネツォフ艦の戦闘力ははるかに遜色があるだろう、と明らかにした。「まずこれはスキージャンプ式空母であって、カタパルトがなく、実戦機が満載で発進したいというのは非常に困難である。次に、クズネツォフ艦は6万トン級の中型空母で、機格納庫が小さく、搭載機が少ない。最も重要なカギはクズネツォフ艦が早期警戒機を搭載していないことで、このことはその艦載機を、戦場情報の有利な高みの争奪の中で非常に容易に受け身に陥らせる。」

「ソ連が解体して20年あまり、ロシアは長期にわたり経済的に困難で、多くの時間内クズネツォフ艦は困難な状況にいたため、その艦載機は満編成されたことが全くない。その動力システムにはかつて深刻な故障が起きたことがあり、今に至るも航行速度は20ノットちょっとで、この艦に高速で風に向かって航行し艦載機に追加の揚力を提供し難くさせている。」 宋忠平は、機械の状態が憂慮されるため、クズネツォフ艦の遠洋航行は万一意外事が起きたら最も近い港まで牽引できるタグボートの随伴が必須である、と語る。

(頑住吉注:これより2ページ目)

「クズネツォフ艦の地中海入りは、非常に大きくロシア地中海分艦隊の能力を強化した。地中海分艦隊は2015年に成立し、黒海艦隊、バルト海艦隊、北方艦隊から一部の使用に堪える艦艇を抽出した。」 宋忠平は分析し、「だがアメリカの大西洋艦隊の下に属する強大な第6艦隊(「ブッシュ」号空母を持つ)に直面すれば、実力の上ではるかに遜色がある。だがその決意はやはり見くびることを許さない。」と語る。

ひとしきり分析した後、宋忠平は結論を出した。「ロシアが唯一の空母を派遣してシリアで剣をきらめかせるのは、過激組織に見せるのではなく、アメリカに見せるのであって、その政治的意義は軍事的意義よりはるかに大きい。」

臨時抱仏脚 (頑住吉注:泥縄に近い意味らしいです。)

ロシアの艦載機、投弾火力コントロールシステムを追加装備
 

今回の遠征に対し、ロシア国防大臣のセルゲイ ショイグは説明し、クズネツォフ艦は「およそ15機のスホーイー33とミグー29K戦闘機、および10機あまりのKa-52K、Ka-27、Ka-31ヘリを搭載することになる。」と語った。一方「情報報」は、クズネツォフ艦は10機のスホーイー33および4機のミグー29K戦闘機を搭載して任務を執行することになる、とする。

クズネツォフ艦の30機前後の理論最大戦闘機搭載数に比べ、この14機という数はやや貧相である。だが宋忠平は次のように強調する。これまでの時間ロシア軍がシリアに配備した固定翼実戦機は、最大時でも30機程度に過ぎず、10機あまりの第4世代戦闘機のシリアの戦場に対する影響は小さいとは評価されず、結局のところロシア軍がシリアで向き合っているのは比較的弱いテロリズムおよび反政府武装勢力で、作戦の烈度とランクはいずれも非常に低いのである。去年11月「ドゴール」号空母がシリアに行ってISを打撃したが、全部で7機の「ラファール」艦載戦闘機しか搭載せず、今回のクズネツォフ艦の半分しかなかったとされている。

新鋭の多用途戦闘機ミグー29Kに比べ、スホーイー33はずっとグレードアップされておらず、空戦しかできず、対地正確打撃の能力はない。9月15日のロシアの「情報報」の報道によれば、ロシア軍はスホーイー33にSVP-24連続着弾点計算火力コントロールシステムを追加装備し、もって非制御誘導爆弾投擲の正確度を向上させる。このようにすれば、クズネツォフ艦の全部で14機の戦闘機が全て空襲に参加できる。この前、駐シリアロシア軍のスホーイー24戦闘爆撃機はこの戦法を用いて非制御誘導爆弾を大量に投擲し、ISに深刻な打撃を与えた。1981年には早くも、イスラエル空軍は連続着弾点計算投弾法を使用し、イラクの核反応炉を爆破した。

だが宋忠平は次のように明らかにした。連続着弾点計算投弾法は結局のところ正確制御誘導弾薬に取って代わることはできず、命中精度の保証のためには戦闘機は超低空直線飛行し、200m前後の高度で投弾することが必須である。このことは機が地上の兵個人が肩に担ぐ形式の対空ミサイルの命中受けるかもしれなくさせ、非常に危険である。またクズネツォフ艦はKa-52「アリゲーター」武装ヘリを搭載しており、その過激組織の地上武装勢力に対する作戦効果は同様に刮目して見るに値する。


 実戦と言ってもISの攻撃で空母が損害を受ける可能性はまずないでしょうし、実戦経験を積む始まりとしては無難かもしれません。アメリカもロシア空母がどういう働きをするか注目しているでしょうし、逆に「大した能力はない」と見透かされる結果になることもあり得るかもしれませんが。











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