航空自衛隊と中国空軍の戦力を比較 その2

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「日本の空自が装備するE-2C早期警戒機」です。)

中日の早期警戒機の性能を比較

1976年9月の「ベレンコ反乱逃亡事件」(当日ソ連空軍飛行員のベレンコが1機のミグー25戦闘機を操縦し低空から日本の北海道領空に侵入し、成功裏に日本の陸上基地レーダーの探知計測をかわし、最終的に函館民間用飛行場に着陸した)の刺激を受け、日本は大きな力を入れて空中早期警戒能力を発展させる決心をし、かつすぐに東アジアで最も早く早期警戒機を装備した国となった。1983年に始まり、空自はもう続々と13機のアメリカのノースロップ・グラマン社が生産したE-2C「ホークアイ」早期警戒機を購入かつ受領した。米軍がそれを艦載早期警戒機としたのとは異なり、空自はE-2Cを陸上基地方式をもって配備した。1987年1月、空自初の早期警戒機部隊が三沢空軍基地で正式に就役に投入された。ベトナム戦争以来、E-2系列早期警戒機はすでに多くの局地戦争に参加したことがあり、かつその「空軍力量倍増器」の重要な作用を充分に証明した。E-2Cの最大巡航速度は474km/h、最大作戦半径は2,583km、空中給油を行わない状況下で連続6時間の巡航ができる。その搭載するAN/APS-145早期警戒レーダーの中・高空目標に対する最大探知計測範囲は480kmで、同時に300の空中目標を追跡し、かつ友軍の戦闘機を誘導しこのうち100を迎撃でき、比較的強い戦術空中早期警戒および空戦指揮能力を持つ。提示しておくに値するのは、このレーダーは低空飛行目標や水上艦艇に対しても比較的強い探知計測能力を持つことである。

中国空軍が国土防空の需要に基づき、早期警戒機を研究開発した時期は日本に比べずっと早かっただろう。1970年には早くもすでにツポレフ-4爆撃機を基礎に初の国産早期警戒機「空警一号」を改良していた。惜しいことに当時の技術水準の制限を受け、地上の雑電波の影響という問題を解決できず、研究開発プロジェクトは最終的に中止が迫られた。イギリスの「週刊ジェーン安全保障業務年鑑」の紹介によれば、21世紀初めになって中国国産空中早期警戒レーダーの研究開発作業はやっと重大な突破を取得した。中国空軍の現役装備の中で、E-2Cと同クラスに属する戦術早期警戒機は空警ー200で、この機種は中国航空工業陜西飛行機製造社の運ー8F-600(別に運ー9説あり)輸送機をプラットフォームとし、スウェーデンのサーブ社の「愛麗眼」(頑住吉注:検索しましたが英語名分かりません)に似た平均台式二面側視AESA早期警戒レーダーを搭載する。このレーダーは高度6,000mでの対空最大探知計測距離が450kmで、同時に300の目標が追跡できるとされる。だが平均台式レーダー設計の制限を受け、空警ー200の正面から飛行してくる目標に対する探知計測能力はいささか割引になるだろう(頑住吉注:以前蛇行して飛ぶことである程度補えるとの記述もありました)。当局は空警ー200の技術パラメータを発表したことは全くなく、ここでは運ー8の関連データを列挙して皆の参考に供することしかできない。運ー8の最大巡航速度は550km/h、最大航続距離は5,615kmである。

E-2Cの他、空自は1998年にまたアメリカから4機のE-2Cに比べ滞空時間がより長く、性能がより先進的なE-767大型早期警戒機を導入した。こうした早期警戒機は2000年5月に正式に就役に投入された。E-767はボーイング767-200型旅客機を搭載プラットフォームとして改良してできたもので、動力システムは2台のCF-80C2ターボファンエンジンで、巡航速度はマッハ0.86、最大航続距離は1万1千kmである。この機は作戦半径を1,852kmに限定した時の連続航続時間が9.25時間である。作戦半径を556kmに限定した時、その最大連続航続時間は13時間である。E-767は1台のAN/APY-2パッシブフェイズドアレイレーダーを搭載し、初期のE-3初期型早期警戒機が搭載するAN/APY-1レーダーに比べより強い空中監視および対艦捜索能力を持つ。イギリスの「グローバルフライト」誌の紹介によれば、E-767の中・高空目標に対する最大対空探知計測範囲は600kmを超え、同時に数百の空中目標が追跡でき、かつ30機の戦闘機を自動誘導および指揮して迎撃作戦が行える。客観的角度から言って、総合作戦性能について言えば、E-767は「先輩」のE-3に比べ「出藍の誉れ」と言うことができ、東アジアの早期警戒機を装備する国の中でトップレベルに属する。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「中国空軍が装備する空警ー2000早期警戒機」です。)

中国空軍が装備する中でE-767に対応する大型早期警戒機は空警ー2000であり、現在5機が装備されている。この機はロシアのイリューシン-76輸送機を搭載プラットフォームとして改装され、中国南京14研究所が独創した三面「電子スキャンフェイズドアレイ」(ESA)を追加装備している。このレーダーはアメリカのE-3早期警戒機が採用する回転式蝶型アンテナ(360度回転によってレーダー信号の全方位カバーを実現)とは異なり、レーダーアンテナ自体は回転せず、レドーム内の3つのESAアンテナモジュール(それぞれのモジュールは120度をカバー)を三角形にレイアウトして360度カバーを実現している。アメリカの「グローバルセキュリティ」ウェブサイト2015年9月提供の資料は、空警ー2000の戦闘機サイズの目標に対する最大対空探知計測距離は470kmに達し得、E-767と比べるとまだ一定の隔たりがあるが、すでにE-2Cより上であるとしている。空警ー2000の最大飛行速度は850km/hで、最大航続距離は5,500km、最大航続時間は12時間である。

客観的角度から言って、空自の早期警戒機部隊は部隊の規模および使用経験方面いずれにおいても中国空軍より優れているだろう。だが中国空軍はこの方面において「後発の優勢」があり、特に近年来東海「防空識別圏」巡視、南海および釣魚島、沖縄付近海域まで前に出ての活動が日増しに頻繁になっている。もし真に衝突が勃発したら、双方の実際の隔たりは恐らくカタログデータのようにはっきりしたものにはならないだろう。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「翼の下に2種の異なる機種の対艦ミサイルを搭載した日本のF-2戦闘機」)

中日空軍の対艦能力を比較

もしF-15Jが空自の「対空の主力」だと言うならば、F-2系列戦闘機はまさしく空自の「対艦の切り札」である。この機は同様に三菱重工由来で、第40ロットのF-16C単座戦闘機を基礎に改良、拡大され、かつ多項目の改良がなされた。例えば機体を延長し、主翼面積を拡大し、かつ一体の複合材料構造を採用し、J/APG-1型AESAレーダーに換装したなどである。F-2Aは対艦任務執行時の最大作戦半径が834kmである。この機の機体、翼の下には全部で9の搭載ポイントがあり、最大弾薬搭載量は8トンである。通常4発のASM-2亜音速対艦ミサイル(最大射程170km)、2発の近距離格闘ミサイル、2つの2,270リットルサブタンクを搭載して対艦任務を執行する。この機は同様に空戦任務を執行することができ、4発のAAM-4中距離空対空ミサイルおよび2発のAAM-5近距離格闘ミサイルを搭載できる。F-2が搭載するJ/APG-1は日本が自ら研究開発を行った初のAESAレーダーである。このレーダーの大型水上艦艇に対する最大探知計測距離は185km、非ステルス空中目標に対する探知計測距離は65kmで、同時に10以上の空中目標を追跡できる、とされる。

2012年2月末、日本の防衛省は36億アメリカドルの資金を費やしてF-2に対するグレードアップを行うと宣言し、これは主に2方面の内容が含まれる。1つ目はこの機にAAM-4B中距離空対空ミサイルを配備すること、2つ目はJ/APG-2型AESAレーダーに換装することである。後者はJ/APG-1の改良型で、オリジナルのレーダーアンテナを留保するのと同時に、発射出力を高め、かつ速度がより速い新型信号処理機に交換し、アメリカ海軍現役のF/A-18E/F「スーパーホーネット」が装備するAN/APG-79型AESAレーダーと同等に優れているとされる。総合的に言って、F-2は一定の空戦能力を持つが、この機は比較的強い超視距離対艦能力を持つため、空自は依然それを「支援戦闘機」と位置付け、主に制海任務に用いる。実戦の時、F-2はF-15Jの援護の下で対艦任務を執行することになる。留意する必要があるのは、日本の防衛省が2015年11月に、2016年にXASM-3超音速対艦ミサイルの実弾標的射撃試験を行い、F-2が搭載機を担当し、標的艦は退役したしらね級駆逐艦だ、と言明したことである。XASM-3は日本が研究開発した最新型超音速対艦ミサイルで、最大射程は150kmを超え、最大飛行速度はマッハ3、比較的強い防御突破能力を持つ。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「鷹撃-12超音速対艦ミサイルを搭載する轟ー6爆撃機」です。)

中国空軍は120機の殲轟ー7戦闘爆撃機を装備しているが、遠距離対艦作戦の主力機種は依然轟ー6系列戦略爆撃機によって担当される。轟ー6Kは轟ー6系列の最新改良型で、2007年1月に初飛行に成功し、かつ2009年10月に正式に就役に投入された。西側の軍事専門家の分析によれば、轟ー6Kの機体には複合材料が大量に採用され、改良、拡大後の空気取り入れ口はあるいはこの機種が推力のより強いロシア製D-30ターボファンエンジンに換装したことを示しているのかもしれない。この機種の最大作戦半径は3,500kmにまで増えている。轟ー6Kのもう1つの重大な改良は、大型内部燃料タンクを用いて内部に置かれた弾薬コンパートメントに取って代わらせていることで、さらに一歩航続距離が増大し、かつ主翼の下に6つの外部搭載ポイントが新たに増え、CJ-10A亜音速巡航ミサイル(最大射程1,500kmに達する)の搭載に用いる。CJ-10Aミサイルの他、轟ー6Kはさらに鷹撃-12超音速対艦ミサイルが選択搭載でき、この2015年に就役した新型ミサイルは4つの空気取り入れルートを一体化した形式のラムジェットエンジンを採用し、西側メディアが言うところによれば最大射程400kmに達し得、比較的強い防御突破能力を持ち、「威力が東風-21D弾道ミサイルにのみ劣る対艦の利器」と呼ばれる。

単に搭載機プラットフォームについて比較すれば、中国空軍の轟ー6Kは圧倒的優勢を占める。最大作戦半径や弾薬搭載量方面でF-2を圧倒するだけでなく、最も重要なのは轟ー6Kが敵サイドの艦隊の防空区域外で対艦攻撃を実施でき、搭載機の生存性の問題を心配する必要がない、ということである。一方F-2が使用するASM-2およびASM-3対艦ミサイルの最大射程はいずれも200kmを超えておらず、このことは戦時F-2が中国空軍戦闘機や海軍艦載「海紅旗-9」遠距離対空ミサイルに撃墜される危険を冒して対艦攻撃を実施することが必須だということを意味しており、疑いなく打撃効果を大いに割引にするだろう。

総括

以上主に制空および対艦作戦という2つの方面から中日両国空軍の隔たりを対比分析した。多くはカタログデータであり、皆におおよその参考を提供できるだけである。実戦の中ではさらにその他の要素を考慮する必要があり、例えば空中偵察、情報収集、海空軍の協同作戦などの要素で、さらには両軍の体系作戦能力に試練が与えられるのであって、単一の装備の一騎打ちではない。

最後に空自の人員の質を語ってみよう。空自の養成訓練機構は主に2個戦闘機訓練連隊、3個練習機訓練連隊、1個将校学員大隊および5カ所の技術学校からなる。養成訓練に参加する総人数は約8,000人である。一般的状況下では、1名の飛行学員は5年3ヶ月の苦しい学習を経る必要がある。何重もの淘汰を経た後、やっと合格した飛行員になれる。飛行教官の経験は少なくとも1,500時間あり、かつそれぞれの教官は1〜2名の学員を率いることしか許されない。また、日本はさらに実戦演習を非常に重視し、毎年必ず飛行員や戦闘機を派遣して海外に行き軍事演習に参加させ、特にアメリカ空軍の「レッドフラッグ」軍事演習である。外界は普遍的に、日本の飛行員の質は米軍に劣らない、と考えている。だが世界の多数の国の空軍同様、空自は近代的空戦を経たことが全くなく、実戦経験が欠乏している。これはその「癒し難い傷」および「弱点」である。

中国空軍は詳細な戦闘機飛行員の訓練状況を公開したことがないが、訓練の強度と質の方面は空自と同等のはずだと信じる。だが多兵種協同作戦や情報化作戦方面では依然隔たりがあるかもしれない。だが近年来の各種新装備の就役や関連の訓練科目の加入と共に、この隔たりはすぐに埋め合わされるだろうと信じる。(作者:石中剣)


 比較的冷静な分析という印象を受けますがどうでしょうか。まあ日本側にはやがてF-35が加わり、またもうすぐ中国側には殲ー16、殲ー10B、さらにはスホーイー35が加わり、さらには殲ー20が加わって状況が変わることが考えられますが、このまま行けば先になるほど相対的に中国側に有利になるのではないでしょうか。F-3には個人的にちょっと大きな期待はできないのではないかと思いますね。















戻るボタン