ロシアの専門家、運ー20を語る

 ロシアにとっては中国に自国の製品が売れなくなる、輸出のライバルになるという意味で嬉しくない存在でしょうが。

http://military.china.com/news/568/20160406/22375892.html


ロシアの専門家、運ー20を深く解読 設計は中庸 特殊機への改装は浪費

ここ何年かの中国の天空を回顧すると、伝説的な新型軍用機に満ちており、特に「大」をもって有名な運ー20大型軍用輸送機は2013年の初飛行以後、中国の「戦略空軍」建設の歩みのさらなる一歩の加速を象徴的に示している。中国が有史以来製造した最大のトン数の飛行機として、運ー20が体現する設計意図、技術水準および未来のポテンシャルは、いずれも世界各国を注目させ、特に著名な軍事専門家である徐勇凌は人民ネットのインタビューを受けた時、運ー20の研究開発と生産がいずれもボトルネック性の難題に遭遇していないことにかんがみれば、2016年にもう使用に投入できることが有望であるとした。情報がひとたび出るや、多方の関心を引き起こし、インドのネット仲間は「中国の軍事工業は我々インドに少なくとも20年先んじている」とさえした。ロシアの軍事専門家グレゴリー オメイリチェンコは運ー20の開発の詳細と性能指標を詳細に分析した。これは外国人の「鯤鵬」(頑住吉注:運ー20のニックネーム)に対する専門的な解読と見ることができ、すこぶる参考に値する。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「空力レイアウトは中庸を取る」)

ロシアの専門家は、最近明るみに出た画像からは難なく、運ー20は設計路線が中庸に走った輸送機であることに気付く、と分析する。機体の規模から見て、それは米軍が長年装備するC-17大型戦略輸送機に比べほとんど一回り小さいが、ロシアのイリューシン-76輸送機に比べれば今度はやや大きい。運ー20は全体設計の上でイリューシン-76の某いくつかの方案を参考にしているが、尾部などの位置にはまたC-17のいくつかの特徴を融合してある。主翼は飛行機の揚力を生む主要部品であり、主翼の設計の良し悪しは直接的に飛行機の位置づけや性能を決定する。運ー20は片持ち式上翼単葉、中央翼盒外置き、超臨界翼型、活動式3スリット増加揚力フラップの設計を採用している(頑住吉注:よく分かんないですけどこの後ある程度説明されてます)。

いわゆる中央翼盒外置きとは、主翼の中央翼盒が貨物キャビン頂部から過ぎ、機体の外に置かれていることで、形を保つ整流カバーによって機体とつながり、機の背部上方に比較的突出したコブを形成し、イリューシン-76もこの種の設計を採用している。これと鮮明なコントラストを形成するのは、アメリカのC-17が採用する中央翼盒内置きで、主翼が機体内部を貫通し、機体の外観がより平滑である。中央翼盒を一体外置きするのかそれとも内置きするのかは、主に輸送機の位置づけによって決定される。

主翼の設計の上では、運ー20は超臨界翼を採用し、この方案の中国における歩み始めは比較的早く、当初運ー10機(頑住吉注:試作段階で中止)がもうかつて応用したことがある。後にまたK-8/教練-10中等練習機を用いて超臨界翼検証機に改装されたことがあり、後にまたARJ-21支線旅客機に成功裏に応用され、今運ー20に用いられるのは当然の成り行きである。超臨界翼は主翼断面の特殊設計により、気流が主翼を通過する時の加速性を緩めさせ、飛行機の継続した加速の過程の中で衝撃波の発生を遅らせ、あるいは発生する衝撃波を弱める。この種の設計は飛行機に比較的高い経済航行速度を保持させることができ、さらに内部容積が大きい、構造重量が軽い、全幅が比較的短いなどのメリットを持つ。

フラップによる揚力増加方面では、運ー20は活動式3スリット揚力増加フラップの設計を採用し、この種の設計は一般に大型民間旅客機に見られる。計算によれば、この種の3スリット揚力増加フラップは機全体の揚力係数を1.5倍前後高めさせることができる。不足のところはこの種のフラップが非常に複雑なことで、10箇所あまりにも達する活動翼面があり、スライドしての後退、回転機構が比較的煩瑣で、制動機構、スライドレール、整流カバーなども比較的多く、野戦条件環境下での信頼性が試練に直面することになる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「貨物キャビンの設計が重要なカギ」)

ロシアの専門家は、ある輸送機の真の価値はやはりその輸送力であり、貨物キャビンの設計はその中の1つの重要なカギで、もし貨物キャビンが充分幅広く大きくなかったら、大きな寸法の作戦装備を搭載することは非常に難しい、と考える。ロシアの軍事輸送航空兵が使用するイリューシン-76機は貨物キャビンの幅の上で問題があり、その基本型には40トンの最大搭載重量があって、重量上はかろうじて無搭載のT-72戦車1両が搭載できるが、T-72は3.52mの全幅があり、すでにイリューシン-76の3.45mの貨物キャビンの床板の幅を超え、この機に搭載したければ戦車の両側のスカートを取り外すしかない。この時T-72は3.38mの幅しかない。だがインド陸軍の実際の使用経験によれば、T-72を無理やりイリューシン-76の貨物キャビンに入れると、戦車両側のキャタピラから機の貨物キャビンの壁までの距離は足一本の幅しかなく、つまり10cm前後で、相当にギリギリである。

(頑住吉注:これより2ページ目)

運ー20に関しては、非常に多くのデータに権威ある発表が欠けているため、外界は某種の程度の推論を行うしかない。まず、陸軍にとって重量が最大の単一の核心装備はメインバトルタンクである。もしメインバトルタンク空輸の能力を持たなかったら、この機の陸軍にとっての意義は少なくとも半分に下がる。第二に、その貨物キャビンを見る必要がある。外界が推測する運ー20の貨物キャビンの寸法から見て、それはC-17のような巨大な貨物キャビンを追求してはおらず、これは明らかに機体の規模と研究開発のリスクを制御するためで、当然強力なエンジンがないことも重要な原因である。だがイリューシン-76のように幅の狭い機体設計を採用するがゆえに過度に貨物キャビンの搭載の柔軟性を犠牲にしてもいない。

運ー20のエンジンに言及するが、その初飛行後ほどなく、中国空軍指揮学院戦略研究室の教授である喬良はもう、中国は運ー20のために国産エンジンを研究開発中で、かつすでに終わりに近づき、将来運ー20の搭載重量はさらに10トン前後高めることができる、と明らかにした。また、ネット上には中国試験飛行院が持つイリューシン-76の飛行実験プラットフォームが新式の高バイパス比エンジンを搭載する画像が出現し、画像はこの機の左側のエンジンが右側の元々装備するD-30KP-2とは顕著に異なり、現代の高バイパス比エンジンの典型的特徴を備えていて、直径が顕著に拡大され、かつ長さがより短く、中国空軍実験機種の典型的な黄色の塗装を持つことをはっきり示している。信じられているところによれば、これこそ運ー20に装備される高バイパス比エンジンである。もし関連の情報が事実に属せば、運ー20は現在の最大搭載重量66トンから、一気に76トンまで飛躍し、基本的にC-17と同等になるが、真実の状況が一体どうかは、まださらなる一歩の観察が待たれる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「鯤鵬の地位を考証」)

現在アメリカ空軍輸送体系は、戦術輸送方面にはC-130があり、戦役および戦略輸送にはC-17があり、大陸をまたいでの戦略輸送はC-5である。ロシア空軍には戦術輸送方面ではアントノフー12があり、中距離にはイリューシン-76があり、戦略輸送にはアントノフー124とアントノフー225がある。

だがC-5やアントノフー124とアントノフー225といったようなスーパー輸送機は、いずれも米ロのグローバル戦略から出て研究開発された大陸をまたいで飛行する輸送機であって、このようなグローバルな行動を必要とする軍事大国を除き、その他の国は一般に必要としない。このため運ー20が就役後に現有の運ー8および運ー9とコンビネーションすれば、もう基本的に中国軍の国内および周辺区域のあらゆる空輸任務を満足させる。

運ー20が初飛行してほどなく、少なからぬ中国の軍事マニアないしメディア、軍事専門家は次々に、運ー20は空中早期警戒機、電子戦機、給油機などの空中プラットフォームに改装できるとした。この種の視点はあるいは多くあるいは少なく、全て一種のやむを得なさを明らかにしている。冷戦後、先進国では武器装備の中に民間品を大量使用することが流行し、アメリカやヨーロッパは空中給油機、早期警戒機、対潜哨戒機、電子戦機、空中実験機など、飛行性能に対する要求が高くない第二線機の中に広範に民間旅客機を使用した。それらは生産量が大きく、装備量が大きく、部品の備蓄量が大きく、使用コストが低廉で、関連の業界人材は広範に優勢を等(頑住吉注:この場合の意味不明)した。まさに民間旅客機だからこそ、こうした飛行プラットフォームは全世界のいかなる民間飛行場でも便利に維持修理や後方勤務サービスが得られるわけでもある。

筆者は、比較すると軍用輸送機を持ちだして上述の「空中力量倍増器」の改装プラットフォームとすることは浪費にすぎると考える。運ー20を例にすると、それは大型輸送機として設計されており、もしそれを空中給油機、早期警戒機など空中プラットフォームに改装したら、空中輸送のために設計した巨大な貨物キャビン、推力が非常に大きいエンジン、損傷に抗する能力、野戦発着能力等々は、形なき中で全て一種の巨大な浪費となり、かつ購入と維持保護のコストの上で必ずや非常に高価となる。大型軍用輸送機の研究開発は大量のマンパワー、マテリアルパワーの消耗を必要とし、現在アメリカ、ロシア、ウクライナだけがこの種の大型軍用輸送機の製造能力を有する。中国は第4のこの能力を持つ国となるが、これは中国国防工業の進歩であり、工業と軍事近代化のマイルストーンでもある。


 中国国産エンジンが予定通り完成するか、完成しても推力や信頼性が予定の水準に達するかはまだ分からず、ギリギリの搭載状態でエンジン1基が故障しても事故につながるでしょうから困難は大きいのでは。フラップの複雑さも不安要素ですね。しかしまあ大量使用が始まればその真価は外からでも分かってくるはずです。











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